転生者の黒歴史による魔改造と四龍の超機人   作:バーニングミニラ

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STAGE 01 黒龍を駆る転生者

 もし前世の記憶を持ったまま異世界に転生し、そこが自分が良く知る物語の世界だったとしたら?

 そして人の身に余る強大な力を生まれ持っていたとしたら?

 力に物を言わせて自分が望む方向に話の流れを改変する、それも一つの選択肢なのかもしれない。

 

 だが根っからの小心者である俺はそのような境遇にあっても、特に何か行動を起こす気にはなれなかった。

 それに人から愛される物語というのはそれ相応の理由があり、そこに手を加えるのは無粋というものだ。

 ましてや人の死が隣り合わせの世界ならば、自分の行動一つで誰かの運命が大きく変わってしまう可能性もあり得る。

 

 だから俺に出来る事はせめて身近な人達だけは来たる災いから守れるよう備えておく事だと自分に言い聞かせてきた。

 しかし忘れてはならない。

 生命は生まれ落ちた瞬間から、否応なしに決して世界と無関係ではいられない事を……。

 

 

 

「こちらディメンション1、AGX-01──バグスの機影を確認。これより迎撃行動に移行する」

 

 新西暦186年、年数だけで言えば前世から一世紀半以上の時が流れた未来。

 一見すると転生したこの世界は前世から地続きになっているように思えるが、今は旧暦となった西暦2012年にモスクワとニューヨークに巨大な隕石が激突。

 甚大な被害と混乱を齎すと同時にネットワーク・インフェルノが勃発し、人類の進歩は大きく停滞する事になった。

 それから僅かな期間で世界各地が紛争による戦火に包まれながらも西暦2015年に地球連邦政府が樹立されると同時に暦を新西暦と改め、人類は未だ多くの火種を抱えつつも新たな一歩を踏み出している。

 

 元の世界と似ていながらも、明らかに違う歴史を辿っている異世界。

 そしてこの歴史と非常に似た世界観を持つ物語を俺は前世で知っていた。

 スーパーロボット大戦OG。

 数々のロボットアニメの機体が一堂に集うスーパーロボット大戦というゲームの中でも、ゲームのオリジナル要素だけを抽出して再編する形で作られた新たなシリーズ。

 どうやら俺はそのスーパーロボット大戦OGの中で語られている物語と非常に似通った世界に転生したらしい。

 

 ただし転生したのは物語に登場した人物という訳ではなく、ヨダカ・アマハという名の普通の少年として俺は生まれ育った。

 だから本来のヨダカ・アマハという人間がどのような人生を送っていたのか、或いは本当に実在していたのかどうかも確かめる術はない。

 そもそもゲームのテキストや設定された世界観だけで世界の全てを網羅できる訳がなく、俺が転生したのはあくまでゲームに似通った完全な異世界だと認識している。

 

 少なくとも俺にとってこの世界は紛れもない現実であり、新たな人生においても家族を始めとした大切な人達は何物にも代え難いものだ。

 どういう訳か生まれ持っていた不相応な力も、その大切な人達を護る為だけに使えば良いと信じていた。

 しかし大いなる力には大いなる責任が伴う。

 そんな消極的な思いを胸に秘めていたせいで、世界は俺にどうしようもない罰を下したのかもしれない。

 

 そして現在、俺は二度と同じ過ちを繰り返さぬよう世界に介入する道を選択していた。

 連邦軍の軍人となった俺は極東方面軍支部伊豆基地の配属となり、チートと言うべき能力を駆使して准佐という階級に就いている。

 軍人としての権限は大尉止まりだが階級としては佐官扱いという少々特殊なポジションであるものの、これで一応は軍属であっても自分の意思をある程度なら通す事が可能となっていた。

 

『ヨダカ、このままバグスの降下を許せば市街地への被害が予測される。その前に必ず全機撃墜しろ』

 

「了解」

 

 通信で俺に指示を出すのは同じ伊豆基地に勤務するイングラム・プリスケン少佐だ。

 それぞれ別のチームを預かる身であるが、こうして作戦を共にする場合は階級が上のイングラムから指示を受けることになる。

 しかしイングラムの素性を知る身としては、中々どうして緊張感が続く日々が続いていた。

 

 ネタバレをしてしまえばイングラム・プリスケンは地球人ではない。

 その正体はバルマー星で生み出されたバルシェムと呼ばれる人造人間であり、言うなれば地球に対するスパイなのである。

 俺が今まさに相手取ろうとしているAGX-01バグス──メギロートもまたバルマーの偵察兵器であり、この会敵そのものがイングラムの掌の上という訳だ。

 

 今の立場を得る為に俺はかなり無茶を冒しており、悪い意味でイングラムの目に留まってしまうのは覚悟の上だった。

 それに加えて一年前に起こった転生者である俺にとっても完全に想定外な事態によって、今や完全にイレギュラーな存在としてイングラムにマークされたのは間違いないだろう。

 今こうして俺がメギロートの相手に選ばれているのが、その証でもある。

 

 今日は巷で大人気であるロボット対戦型アーケードゲーム「バーニングPT」の全国大会が開催されており、俺が知るゲームの展開ではその出場者であるリュウセイ・ダテがイングラムに仕組まれてメギロートと戦う筈だった。

 バーニングPTが軍で正式採用された人型機動兵器パーソナルトルーパー(PT)の操縦適正ならびにリュウセイ・ダテが有する念動力という特別な能力を測定する為に利用されているのは変わりないが、今はそれ以上に俺とその搭乗機である──黒龍機の力にイングラムの興味は注がれているらしい。

 

 転生者である俺が生まれ持つ2つの能力。

 一つ目は身体能力を含めたパイロットとしての高い適正。

 しかし流石にそれだけでは士官学校を卒業して間もない俺が今の階級に就くのは難しく、軍で本当に評価されているのはもう一つの力の方だ。

 

 実は前世の記憶にある範囲ではスーパーロボット大戦OGの物語は完結しておらず、その大ファンであった俺は失意の底にあった。

 そんな中で魔が差したように生み出した忘れたい過去(黒歴史)

 具体的に言えばゲームの中でも特に思い入れがあったり、設定的にインフレに置いて行かれつつある機体の僕の考えた最強のロボット化(超強化案)である。

 

 一応は版権作品の技術はNGという枷を課しつつも、OGシリーズに参戦していなくてもスパロボのオリジナル要素なら有りという妙な設定の緩さで生み出された黒歴史の数々。

 何と俺はその黒歴史を実現化する事が可能な知識を与えられていたのである。

 それはつまりこの世界にとっての未来の技術や、全く未知の発明も可能である事を意味していた。

 その幾つかを提供する事で俺は軍での足場を固め、ついでにパテント料を使って万が一に備えた独自の開発も進めている。

 

 そして俺の乗機である黒龍機もまた前世の黒歴史に記されており、その設定はというと……。

 

 四龍の超機人。

 機人大戦の末期に古代のラ・ギアスから渡ってきたトロイア帝国の末裔がナシム・ガンエデンに接触した事を機に開発され、超機人と魔装機の原型に加えてガンエデンに連なる技術が組み込まれた。

 超機人に分類されるものの外観は魔装機の特徴が強く反映されており、各機とも人型機動兵器と呼ぶべき姿をしている。

 他の超機人と同じく自意識を有しており、操縦者を選ぶと同時に真の力を発揮するには念動力が必要不可欠。

 四体の共通点として動力源の「五行器」を更に発展させた「五行器・空羅」は「オルゴン・クラウド」に近い能力を有しており、更に別次元のエネルギー利用する「次元コンバーター」と事象制御の可能性を秘めた「リファイン・スフィア」という3基の動力が搭載されている。

 装甲は「ズフィルード・クリスタル」と「オリハルコニウム」が併用されて自己修復能力を有しており、更に「ズフィルード・クリスタル」のコア・クリスタルと精神感応金属の側面を持つ「オリハルコニウム」の相互作用によって戦闘経験と搭乗者の意思が機体を進化させる可能性を秘めた地球側のズフィルードとも呼ぶべき存在。

 ある理由から機人大戦には参戦しておらず長らく封印された状態にあった。

 

 ……とまぁご覧の通り、思い出すのも憚られるような盛りに盛った黒歴史そのものである。

 そもそも当初のあくまで強化案というコンセプトからも設定そのものが逸脱しており、まさに僕の考えた最強のロボットといった有様だ。

 しかしその是非は置いておくとして四龍の超機人のスペックは確かなものであるものの、その出自に関しては他の黒歴史の産物と異なる事情を抱えていた。

 

 まだ俺が士官候補生だった時に参加した一年前の軍事演習に突如として襲撃してきたアンノウン。

 何処か有機物を思わせる姿を持ちながらもアインストとは明らかに異なり、転生者である俺にとっても未知の存在を前にして絶体絶命の危機に陥っていた。

 そんな状況下で俺の窮地を救うべく顕現したのが黒龍機であり、その時に初めて自覚した念動力に導かれるままに俺は黒龍機に乗り込んでアンノウンを撃退する事に成功している。

 

 ゲームには登場しない正体不明の敵に、俺が作り出す前から存在していた前世における黒歴史の産物。

 気に掛かる点は多々あるものの、残念ながら今の時点でその全容は全く掴めていない。

 それに加えて四龍の超機人の出現は想定外の形で俺にとってのウィークポイントを生み出す事となってしまった。

 

「ディメンション2へ。俺が前に出て蟲共の駆除に当たる。ユヅキ、お前は破片が地上に落下する事がないよう掃除を頼んだ」

 

「わかったわ、任せて」

 

 俺が結成したDimension Trooper X-type Team──通称DTXチームの二人目のメンバーであるユヅキ・スズシナ。

 ユヅキは俺と同い年の母方の従妹であり、幼い頃から殆どの時を共に過ごしてきた実の妹と変わらないような存在だ。

 しかし本気で何かを成そうとすれば周囲の人間にまで危害が及ぶ可能性があると、俺はユヅキを含めた家族と5年前に縁を切っていた。

 

 だが俺の意図に反してユヅキはどういう訳か高校卒業後にわざわざ士官学校に進学し、こうして俺達は再会を果たしている。

 更には俺の身内である事が悪い因縁を呼び寄せているが如く、ユヅキまで黒龍機と同じ四龍の超機人である白龍機に搭乗者として選ばれてしまったのだ。

 ここまで来ては無関係を装うのは無理があるとして、せめて目の届く場所で大切な家族を守れるよう俺はユヅキをDTXチームに召集したのだった。

 

(まぁ今回の作戦に関しては今の時点で数少ない飛行が可能な機体に乗る俺達にお鉢が回ってくるのは別に不自然な話じゃないとはいえ、ハンス・ヴィーパーを排除した今はイングラムの動向に一番注意を払わなくちゃならない事に変わりはない。出来ることなら早い段階でゴッツォの枷を外す方法が見つかれば良いんだが)

 

 と色々思い悩むことは尽きないが、今はとにかくメギロートを排除する事が先決だ。

 ただし本音を言えば黒龍機のスペックを考えれば所詮は偵察機に過ぎないメギロートなど物の数ではない。

 基礎的なMMIとしてダイレクト・フィードバック・システムを搭載する黒龍機は俺の意思に応じて四龍の超機人に共通する武装である『殲魔轟龍刃』を抜くと、フルスロットルでメギロートの群れに肉薄した。

 

 対するメギロートの数は5機。

 数の利を活かす為にメギロートはこちらを取り囲むようにして隊列を散会させるような動きを見せるが、それよりも早く黒龍機の剣先が中央のメギロートを捉えた。

 カルケリア・パルス・ティルゲムによって増幅された俺の念を纏う『殲魔轟龍刃』は一太刀でメギロートを両断するに留まらず、剣閃に追従する形で巻き起こった衝撃波によって残りの機体にまで動作不良を齎す程のダメージを与える。

 

 機体制御を失い落下を始めるメギロートに対して俺は追撃を仕掛けようと試みたものの、直ぐ様その必要がない事を察して剣を収めた。

 既に日も落ち暗くなった夜空を赫く染め上げる紅蓮の炎──『龍波冥獄炎』。

 白龍機が放った煉獄の炎はメギロートを纏めて焼き尽くし、その残骸は灰燼と化して宙を舞う。

 

 空間転移が可能なメギロートであるが今の時点で特に増援の兆しは見られず、市街地に被害が及ぶ恐れもなさそうだ。

 純粋なスペック差による順当な戦果だったとはいえ、白龍機の完璧なタイミングでの援護攻撃はユヅキの腕前が上がってきている事の証明にはなるだろう。

 残念ながら昔からユヅキが言って素直に引くような性格でない事は嫌というほど知っているので、軍に残る以上はユヅキ自身にも生き残るために強くなって貰う他ない。

 これから訪れるであろう前途多難な日々を思うと少し気が重くなるが、取り敢えず今は無事に戦闘を終えた事に俺は胸を撫で下ろすのだった。




黒龍機
   分類:四龍の超機人
   動力:五行器・空羅
      次元コンバーター
      リファイン・スフィア
   装甲:オリハルコニウムZ(オリハルコニウムとズフィールドクリスタルの合金)
    MMI:ダイレクト・フィードバック・システム
       カルケリア・パルス・ティルゲム
  開発者:古代中国人、古代トロイア人、ナシム・ガンエデン
機体サイズ:L
移動タイプ:空・陸・水
 地形適応:空中A陸上A水中B宇宙B
  移動力:7
特殊能力
五行器・空羅
・パイロットの念動力のレベルに応じた全属性のダメージを軽減するバリア
・気力130以上になると地形適応が全てSに変化し、地形&ENコストや敵機を無視して移動できる
イマジナリィロード
・敵との技量差により最大50%の確率で特殊回避を行い、成功するとENを5回復する。
・気力130を越えると通常回避が全てこれに差し替えられる。
リファイン・スフィア
・気力130以上で攻撃力と装甲値に補正
HP回復(大)
EN回復(大)
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