ハイスクールD×D 転入生はアランカル   作:見裏世薄袈

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言葉は交わす
刃は躱す








2.Talk about yourself

「あー、スマン。もう一回はじめから」

「えぇぇっ! またなんですかぁぁぁ!?」

 

堕天使の総督――アザゼルはリーラに対して、再度の説明を求めた。ちなみにこれで5度目。

 

「だからぁ! 私は破面(アランカル)でぇ! この刀は斬魄刀といってぇ! 藍染様の命令で虚圏で虚探しててぇ! ご飯食べにいこうと思って黒腔開いたらぁ! 亀裂見つけてぇ! 変なとこに出てぇ! そしたら赤い化物が追ってきてぇ! 無我夢中で逃げてたらぁ! あそこにいたんですぅ!」

 

…………。

………………。

……………………。

 

「ダメだ。さっぱりわからん」

「なんでですかぁぁぁぁぁ!?」

 

アザゼルのセリフに対し、抗議の色をあらわにするリーラ。このやりとりも5度目だった。

 

あのあとリーラはグレモリー眷属に駆け寄り、助けを乞うたが、そもそもグレートレッド自体リーラを追っかけていたわけではなく、リーラが追われていると勘違いしていただけだった。

その勘違いが解けるまで結構な時間を要し、さらにその場に駆けつけたタンニーンに対し、

 

「また化物ぉぉぉ!」

 

と思わず虚閃(セロ)をぶっ放したので今度はタンニーンがリーラを敵と勘違いしたため、さらに時間が掛かった。

その場はとりあえずアザゼルがリーラの面倒を見ることになり、解散。

 

そして現在。

 

駒王学園の体育祭の余韻残る平日授業中、空き時間となっていたアザゼルが話を訊こうと旧校舎のオカルト研究部の部室でリーラと話し始めて1時間。

 

「なんでって、破面やら斬魄刀やら虚圏やら虚やら黒腔やら聞いたことねぇ単語をそう並べられちゃあ、いくら俺でもわからん。とりあえず藍染様が人名なのはわかったが」

「むぅぅ……」

 

アザゼルは嘆息し、リーラは不満げに頬を膨らませる。

話はどこまでも平行線だった。

 

「まあ、細かく訊こう。……破面とは?」

「……仮面をはがされた虚ですぅ。ほら、両耳のここに名残があるでしょ?」

 

リーラが人差し指で耳を指す。

 

「いや、そう言われてもな……。……虚とは?」

「私たちのこと。もともとは死んだ人間の魂」

 

それを聞いてアザゼルは驚く。

 

「死んだ人間の魂だぁ? おかしいだろ。普通は冥府か天国かそうゆうところに行くだろ。何で虚とやらになるんだよ?」

「知りませんよう! 気づいたら虚だったんですからぁ」

「ハァ。……じゃあお前さんはもとは人間なのか?」

「そうですぅ。……記憶とかは私あまり残ってないですけどね」

 

頭を掻くアザゼル。

 

「証拠なしじゃねえか。……まあいいや、で、斬魄刀っつーのはお前さんが抱えているその刀のことか?」

「そうですぅ。これが私の斬魄刀ですぅ」

「ただの刀ってわけはねぇよな」

 

もちろん、とうなずくリーラ。どういうわけか自信ありげだ。

 

「この刀は破面の人は全員持ってます。そしてこれこそ私たちの虚としての能力の結晶なのです!」

「お、おう。そうなのか。神器(セイクリッド・ギア)の類か?」

「そんなの聞いたことないです! 斬魄刀は斬魄刀です!」

「わかった、わかったから。そんなに顔を近づけるな」

 

あまりの興奮にリーラは鼻と鼻がくっつくくらいアザゼルに詰め寄っていた。

アザゼルのセリフを受けて、顔を赤らめて急いで離れる。

 

「すみません。気持ち悪かったです……」

「おいそれどういう意味だコラ」

 

リーラは素直な子だった。

 

「その斬魄刀やらの能力――お前さんの虚としての能力ってなんだ? 俺としては話を聞く限り見てみたいんだが」

「いいですけど……ここの建物吹き飛ぶかもですよ?」

「そこまでヤバいのか!?」

 

目が飛び出さんばかりに驚きを隠せないアザゼル。

とは裏腹に冷静に話を続けるリーラ。

 

「だって、藍染様に虚夜宮の中ではやっちゃダメって言われてましたから……」

「虚夜宮、てのは知らんがその藍染様すら許可しなかったってことは相当すげえんだな」

「理由は言ってくれませんでしたけど……」

「いや、いい。とにかくヤバいってことはわかった。またの機会にしよう。じゃあ、次は……」

 

―――キーンコーンカーンコーン

 

と、そこで授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。

 

「ん、もうこんな時間か。じゃあ、リーラ。おまえはここにいろよ」

「えぇぇ。置いてくんですかぁ?」

「しょうがねえだろ。……放課後には全員来るからよ。それまで寝るなりなんなりして待っとけ」

 

そう言うとアザゼルは足早に部室を出て行ってしまった。

リーラは文句を言う間もなく1人取り残され、言われた通りソファに横になり、放課後まで過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―○●○―

 

放課後になり、続々とオカ研メンバーが部室に集まってきた。

結局のところリーラはソファでぐっすりと終始眠りこけていた。

若干涎を垂らしていたのでリアスの怒りを買い、彼女の拳骨で目を覚ました。

 

「あれ、アザゼルは?」

「今日は来ないそうよ。冥界で話し合いをするそうだから」

 

リーラの問いにいまだにちょっと怒っているリアスが答える。

それを聞くとリーラは興味なさげにふうん、と返した。

 

「あなたのことは後々聞くとして、2年生はそろそろ修学旅行の時期よね?」

 

紅茶を優雅に飲みながら、リアスは話す。

 

「行くとこと時間はちゃんと決めておくのよ。3泊4日って意外と短いもの。移動時間や食事の時間も決めておかなければ後悔するわ」

 

まるで経験があるかのように言うリアス。すると姫島朱乃は小さく笑って言う。

 

「そうですわね。部長はそれが原因で二条城を見に行けませんでしたものね」

「ちょっと! それは言わない約束だわ!」

「……リアスさんって抜けてるのね」

「……うっ!」

 

頬を赤らめて反論するリアスに対し、リーラは容赦なく自分の思ったことを口に出した。

つくづく素直な子である。

 

「と、とにかく! あなたたちも気を付けなさい」

「ははは……。気を付けます」

 

苦笑しながら、イッセーは答えた。

飲み終えたカップを置き、リアスは話題を変える。

 

「旅行もいいけれど、学園祭の出し物についても話し合わなければならないわ」

「っと、そうですね。二学期はイベント豊富ですもんね、うちの高校」

 

朱乃から受け取ったプリントを机の上に置くリアス。リーラは今度は興味があるようで覗き見ている。

 

「楽しみですね、学園祭!」

「ああ、私も大いに期待している。日本のハイスクールの催し物はとても楽しいからな」

「こんな時期に転入できるなんて最高ね! これもミカエル様のお導きだわ!」

 

アーシア、ゼノヴィア、イリナの海外からの転入生トリオは初めての出来事にとても楽しみな様子だ。

イッセーは言う。

 

「確か、去年はお化け屋敷でしたっけ。クラスで入った奴が随分リアルだと語ってましたよ。本格的な造りでお化けが本物にしか見えなかったそうです」

「怖いのは当たり前よ。本物を使っていたのだから」

 

さらりとネタバレするリアスに、イッセーは驚いている。

 

「本物使っちゃったんですか……」

「ええ、その妖怪たちも仕事が無くて困っていたそうだからお願いしたのよ。おかげで大盛況だったわね」

「あのあとソーナから怒られましたわね。『本物なんてルール無視もいいとこだ』って」

「それは当然だと思うけど……」

 

和やかに会話するリアスと朱乃にツッコむリーラ。

真っ当な意見である。

 

「じゃあ、今年もお化け屋敷にしますか? 段ボールヴァンパイアのサーカスでもやりますか?」

「先輩のイジワルゥゥゥゥ! すぐ僕をネタにしてぇぇぇ!」

「いいと思うよ。ギャスパーくんかわいいし」

「リーラさんまでぇぇぇぇ!?」

 

イッセーのギャスパーいじりにリーラも混じっていた。

若干Sな表情も浮かべている。

しかし、イッセーの問いにリアスは悩ましげに答える。

 

「でも、新しい試みもしてみたいと……」

 

そう言ったところで、グレモリー眷属全員のケータイが鳴った。

リーラは何のことかわからずにきょとんとしている。

 

「え、なに、どうしたの?」

「リーラ、私たちはこれから『禍の団』を討伐してくるわ。あなたはここにいなさい」

「また一人にするのぉ? 私も行きますぅ! 一人寂しい!」

「とは言っても、関係者じゃないあなたを連れていくわけには……」

 

懇願するリーラにリアスは戸惑いを見せる。

 

「私だって少しは戦えますぅ! この前はいろいろあったけど……もう大丈夫ですぅ!」

 

意地でも、といった様子のリーラに渋々うなづくリアス。

 

「しょうがないわね。でも自分の身はなるべく自分で守りなさい。いい?」

「そのくらい出来ますぅ! これでも藍染様に認められた破面ですから!」

 

溜息をつくリアス。胸を張るリーラ。その様子を見て、眷属たちは苦笑するのだった。

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