ハイスクールD×D 転入生はアランカル   作:見裏世薄袈

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夢のような現実を
現実のような夢を








5.Like a girl ,like a flower

本日は休日、晴天なり。夏も過ぎ、街の様子は秋へと徐々に変わってはいるが、どこかに夏の面影を残している。街往く人も半袖から長袖に衣替えしたようでちらほら見かける。

そんな穏やかな雰囲気の中でひときわ目立つ数人の男女。その視線はコンビニの先で談笑する1組のカップルに向けられていた。

 

 

「ねぇ、リアスさん。今更かもしれないけどぉ………………なにしてるの」

「見てわからないの? 浮k……部員の素行調査よ。あと極力隠れなさい、リーラ」

「いや、見てわかるからこそ、質問してるんだけど……」

「……リーラさん、ここは空気読んでください」

「読んだら読んだで(人じゃないけど人として)負けかなと思うんだけど……」

「イッセーさん……朱乃さんに抱き付かれてデレデレしてます……」

「あわわわ、先輩ぃ」

「いつものイッセー君だね」

 

 

オカルト研究部のメンバーだった。

今日はイッセーと朱乃のデート。その内容がどうしても気になる(羨ましい)リアス、アーシア、小猫と完全にただ巻き込まれた木場、ギャスパー、リーラ。計6人は朝っぱらからストーキング紛いのことをしていた。というかそれとなく変装してる時点で普通にストーカーと化していた。

 

ちなみにゼノヴィアとイリナは女子高生らしくどこかでショッピングを楽しんでいるとかいないとか。

 

 

「ていうか、もうばれてない?」

「……承知の上よ」

 

 

ビキッ!

 

手に力を込めながら言うリアス。電柱には罅が入っている。誰が直すのだろうか。

 

 

「……先輩たちが移動を開始しました」

「……追うわよ皆」

「……はい、リアス姉さま」

「……い、行きましょう」

 

 

イッセーと朱乃が移動したのを見て、物陰に身を隠しながら追うリアスたち。その様子を苦笑しながら見る木場と半ば呆れたように見るリーラ。

 

 

「僕らも行きましょうか?」

「……正直付き合いたくない」

 

 

リーラの返しを受けて、でしょうねと返す木場。彼女としてはせっかくの休日をこのようなストーカー行為で潰したくないのだろう。こちらの世界に来てはじめてゆっくりできそうだと思った矢先にリアスに連れ出されてしまったのだから無理はない。

しばらく2人でその場に立ち止っていると木場が声を掛けた。

 

 

「では、僕らは僕らで楽しみましょう。リアス部長たちは放っておいても大丈夫でしょうし。リーラさんはなにか行きたいところや欲しいものはありますか? よければ奢らせてください」

 

 

まだこの世界の通貨はお持ちでないでしょうし……、と木場は言う。確かにリーラはまだこちらに来て日も浅く、昨日リアスたちからこちら側について(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)教えてもらったとはいえ(理解してるかは別)実際こうして人間たちの街へ繰り出すことは彼女にとって初めての体験なのだ。しかも人として(・ ・ ・ ・ ・)

 

そう、今の彼女はどういうわけか、人間と同じように実体がある。

普通彼女の姿は人には見えない。なぜなら虚だから。

虚とは元を辿れば死した人の魂であり、わかりやすく言うなら幽霊。どちらかといえば悪霊の部類に入るが。

 

 

つまり、よほど霊感のある人間でなければ彼女の姿を見ることも、声を聞くことも出来ない。

 

 

しかし、街往く人々は彼女を見、認識している。主に彼女の服装や髪の色に珍しさを感じているようだが、もちろん彼女は気づいていないし、気にもしない。

 

これについてはリーラ自身不思議に感じるかと思えばそんなことはなかった。というかもともと自分に実体があることについてはそこまで疑問には思っていない。

 

というのも、かつて彼女が破面となるまで現世にいたころ、彼女が襲った人間は全員たまたま霊感が強かったので彼女のことが見えていた。そして彼女も自分が見られているのは当たり前だと思っていたので本当は大多数の霊感のない人には自分のことが見えないということ自体知らなかった。

 

彼女の欠点その3、世間知らず。

 

 

「え、いいの? ほんとうに?」

「ええ、構いませんよ。これでも僕はそこそこお金は持っていますから。女性1人の買い物を奢ることくらいはなんてことはありません」

「……それじゃあ、ちょっと……甘えちゃおうかな……?」

「どうぞ。……まずは洋服でも買いに行きましょうか。前に契約している方に教えてもらったショップがこの近くなのですよ。そこに行きませんか?」

「うん、……木場くんにお任せするね」

「ありがとうございます。ではこちらです」

 

 

―――時刻は10時30分。

こうして自然ともう1組のデートが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    ―○●○―

 

「このスカートなんかいかがですか? 秋らしい落ち着いた色合いですよ」

「あ、いいかも……。ここの黒のラインがいいね」

 

 

10時45分。

 

先程の地点から北に100メートルの場所。様々な店が立ち並ぶ大通りに軒を連ねている女性服の店、『ハリベル』。とても有名というわけではないが時たま雑誌に隠れた名ショップとして名前が挙がることもある。店主はティアというらしいが説明は割愛する。

 

そのショップでリーラと木場は秋服のコーナーを物色していた。

 

 

「……どう、かな? 変じゃない?」

「ええ、とてもよくお似合いですよ。……そうですね……このアクセサリーも着けてみては?」

「んと、こんな感じ?」

「あ、ちょっとずれてますね。ここは……こうで……。はい、できました」

「ありがとう……木場くん……。えっと、鏡は……」

「こちらですよ。……どうです? ご自分で確認してみて」

「うん……うん……! すごくいい感じっ!」

 

 

鏡に映ったリーラはどこか子供っぽさが残るなか、大人の雰囲気を醸し出しているような絶妙な組み合わせだった。

薄緑色のニット帽。七分丈の袖のワインレッドのシャツに上から白のパーカーを羽織り、耳には小さなライラックの花をあしらったイヤリング。木場が最後に勧めてくれたものだ。

下は膝上のゆるやかなベージュ色のフリルのついたライトブラウンのスカート。フリルの端には黒のラインが入っている。足は同じくライトブラウンのブーツ。若干上げ底。

左手首には星と月の形をした金属片が連なったブレスレット、首にはオープンスターを通したネックレス。光を受けて紫が光る。

 

 

「じゃあ、決まりですね。このあとはこの恰好のまま過ごしましょう」

「なんか、こういうの初めてでどきどきするなぁ」

「ハハハ、可愛らしいですね、リーラさん」

「か、可愛っ……!?」

 

 

木場のさりげない一言に動揺してしまうリーラ。生まれて初めて言われたことだ、自分が可愛いなど。思ってもみなかった。

 

 

「ほ、本当に!? 私、可愛い……?」

「ええ、とても。その証拠にほら、ウィンドウから何人か覗いてますよ?」

「きゃっ……!?」

 

 

気づくのがだいぶ遅かったが、リーラはその姿を店の外の歩いている人々に見られていた。ちょうど店の構造上、フィッティングルームがウィンドウの傍にあったのだ。彼女がそこから出てきた時からその姿に思わず見惚れてしまった人が何人か立ち止り、軽く集団になってしまっていた。

 

 

「あまり長居はできませんね。出ましょうか」

「お、お金は……?」

「すでに支払済みですよ。ご心配なく」

「いつの間に……」

 

 

着替える前に買ってからリーラに渡していたのだがこれは秘密。

 

2人は人ごみをかき分け、次の場所へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

11時30分。

 

「ここは……?」

「契約の時に行きつけのレストランです。とても美味しいですよ。もうそろそろお昼時なので―――」

 

木場がリーラを見て、視線をだんだん下ろしていく。

く~きゅるるるる。

 

「……お腹がすくでしょう?」

「…………そう、だね」

「この時間ならすぐに席に座れるはずです。もうすぐですよ」

「はい……」

 

 

体も正直なリーラだった。

ここは老舗レストラン、『ルイゼンバーン』。これといったジャンルを決めていないので、さまざまな料理を楽しめる大人気のお店。ではあるが、値段が少し高めなので食事時でも席は空いていることがある。

2人が来たときはまだ席は空いているようだった。

 

 

「なに食べようかなぁ。おすすめとかある? 私人間の食べ物ってこの間のクッキーと紅茶が初めてだから……」

「そうなのですか。……この『A4の牛肉のステーキ極上デミグラスソース~The Heaven~』、『抹茶塩で頂く季節野菜の天ぷら~日本列島縦断~』、『ヴァイスシュヴァルツオムライス~天地の狭間で~』、『ピリッと辛い本場風麻婆豆腐~鬼殺し~』とかどうでしょう?」

「名前がおかしい気が……」

「この店の四天王といわれている料理だそうで」

「そ、そう……。じゃあ『ヴァイスシュヴァルツオムライス~天地の狭間で~』にしようかな……無難そうだし。名前的にも、量的にも」

「では僕は『A4の牛肉のステーキ極上デミグラスソース~The Heaven~』で」

 

 

2人が注文してから10分後、それぞれの料理が運ばれてきた。

リーラのほうは異様に黒いソースと白いソースが半分ずつかけられたオムライス。木場のほうは一見普通のステーキだが、なぜかステーキ皿とデミグラスソースの入れ物が十字架で、ナイフとフォークまでも十字架の形をしている。祝福はされてないので悪魔に影響はないようではあるが。

 

 

「(見た目すごいけど)い、いただきます」

「いただきます」

 

 

さっそくいただくことにした2人。

果たしてその味は。

 

 

「お、美味しいぃ!」

「でしょう? この店、味は確かなんですよ」

「すごい美味しい! 生まれて初めて食べたよ、こんなの!」

「満足していただけたのならよかったです」

「うん! ありがとう、木場くん!」

「頬にソースが着いてしまってますよ」

「え、どこどこ?」

「今取りますからじっとしててください」

「ご、ごめんなさい」

「……取れましたよ。そんなに急がずにゆっくり召し上がってくださいね」

「えへへ、つい美味しくて……」

 

 

すっかり唯の人間の女の子っぽくなってしまったリーラ。かつての彼女を知る破面たちがこれを見たらきっとかなり驚くに違いない。それほどの変わりっぷりだった。

しばらく会話を楽しみながら食事を続けたあと、食後のコーヒーを木場が、紅茶をリーラが頼み、ブレイクタイムにしようということになった。

 

 

「……ふうん、リーラさんは結構な修羅場を潜ってきたということになるのですね。虚圏のような過酷な環境で最上級大虚(ヴァストローデ)にまで上り詰めたということは」

「あの時はただ生きることだけに必死だったから。“やらなきゃやられる”、“喰わなきゃ喰われる”。そういう関係で成り立ってた世界だもん。藍染様に拾われて、破面になってからはだいぶマシだったけれど」

「…………まだ数日ですが、こちらの世界で過ごしてみて、どうでしたか? 僕らもなかなか緊迫した状況ではありますけれど」

「一言でいうなら、『不気味』……かな」

「『不気味』、ですか……」

 

 

リーラの返しが意外だったのか、木場は眉を(ひそ)める。この三大勢力が和平を結んだ今が『不気味』? それとも『禍の団』に対する彼女なりの評価だろうか。

リーラは続ける。

 

 

「そう、『不気味』。あるいはごちゃ混ぜ、というのが正しいかな。少なくとも虚圏よりは殺伐としていると思うし、さまざまな勢力が入り乱れている感じがする。嵐の前の静けさみたいなね」

「……なんとなくわかる気がしますよ。僕らみたいな三大勢力以外にも神話体系……勢力は多くありますから」

「みたいらしいね。アザゼルって人から聞いたよ。……3時間くらい、ね」

「あはは……。あの人は説明するのが好きですから」

「虚閃で吹っ飛ばしたかったよ……。たまに愚痴とか混ざってたし」

「永く生きてるようですから。大目に見てあげてください」

 

 

どうやらリーラの中でアザゼルの評価はかなり低いようだった。むしろマイナス。

 

 

「……さて、そろそろ出ましょうか。飲み終わったことですし」

「そうだね。あまり長居は迷惑かもね」

「次はどうしましょう? ゲームセンターにでも行きますか?」

「……うーん、それは行ってみたいんだけどぉ……」

 

 

困ったような表情のリーラ。訊いていいのかわからない、といった表情だ。その様子に怪訝に思った木場が尋ねる。

 

 

「……どうしたのですか? なにか言いにくいことでも?」

「……ちょっと訊いてもいいかなぁって思ってることがあるんだけどね? ……その……さっきからいるなぁ(・ ・ ・ ・)って、気になっていたんだけど……」

「いる……? なにがです……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……、2人のお供を連れた隻眼で長髪で杖持った(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)とても強いお爺さん(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)って…………誰だか分かる?」






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