『ぎあまき!』   作:すやすや教徒

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第10話【喫茶店と特訓】

俺はあの昔話を聞いたあと、散歩兼昼食探しをしていたら見知った人物を見かけた。

 

「あ、高山さん、おはようございます」

 

俺の主治医、秋川和真の助手、高山鈴

その女性はふわっとした黒髪に泣きぼくろが特徴的の可愛らしい少女

 

「あっ、理人さん、えっと、おはようございます?」

 

まあ確かに時間的にはお昼ちょっと前くらいか

 

彼女は私服姿で買い物袋を持っている、中には…と盗み見は良くない

 

「お買い物ですか?」

 

「はい、今は保存食をちょっと買ってて…えっと、理人さんは…何を?」

首を傾げそう聞いてくる彼女

「散歩とちょうどいいお昼の美味しいお店を探していたところです」

 

「おー、良いですね」

 

「……………………」

「……………………」

 

長い沈黙が流れる、周りの環境音が妙にうるさく感じる

イカンイカン、なにか話を…!

 

「あ、そうだ!高山さん、なんかいい感じのお店とか知りませんか?」

 

「えっ?」

「……………………」

 

高山さんフリーズしちゃった、どうしよ

「あっっっ!良いお店知ってますよ!!何なら、お昼如何ですかっ!?」

「えっ一緒にとか良いんですかっ!?」

急に起動する高山さんに驚きつつもそう返す

 

「はい、『レイメイ』という喫茶店なのですが…結構通ってて……」

 

と、言うわけで高山さんと『レイメイ』という喫茶店に行くこととなったのだった

 

 

喫茶店『レイメイ』の木の看板、質素だが味のある店構え

 

扉を開ければ、カラン、という小気味良い音

 

「いらっしゃい」

「いらっしゃいませ~!」

 

俺がまず入店し、高山さんがあとに続き入店する

 

俺が入店したのを見て、2つの声が響く

 

カウンターの向こうにいたのは店主であろうカッコいいオジサマ、歳は四十代後半、と言ったところだろうか

静かな雰囲気のカウンター席と子供連れにちょうど良さそうなテーブル席

 

お客さんもそこそこいて賑わっている

 

「高山さん、普段座ってるのはカウンター?テーブル?」

 

「…カウンター、です、そっちのほうが落ち着きますし」

 

そんな俺達小さなやり取り、俺はカウンター席に座ろうとして店主が先程のやり取りじっと見つめていたことに気づく

 

二人カウンター席に座れば

 

「ちょ、愛衣ー!ジケーン!ジケンが起きた!鈴ちゃんが…鈴ちゃんがー!」

と、店主は騒ぎ出す

 

事件?何のことだ?

高山さんもアワアワと、困惑している

 

そんな中、トトトと階段を降りる音

 

「お父さん、何、まだ休憩時間は終わってな、」

ガタ、と親に文句を言いかけている途中で少女はおぼんを落とした

 

じょ、状況が掴めない…一体何が起きてるんだよ…

 

「す、鈴ちゃんが…」

「彼氏連れてきたァー!?」

 

「ち、違いますぅぅー!!!」

なんかすごい勘違いしてる!?

 

 

「いや、すまない、少し騒がしかったな…」

申し訳なさそうに後頭部を掻く店主

 

「いえ、別に…ダイジョブです…」

ペコリ、と頭を下げる高山さんに従業員の少女は問う

「それで、いつこんなカッコいい彼氏クン捕まえたわけ?」

 

「だから、違うってば………」

 

「すまないね、本当に…」

そう俺に向かって謝る店主

「えっと…君は」

 

「俺、尾河理人って言います」

「尾河くんね、よろしく。私は阿礼将、そっちの従業員は私の娘の愛衣だ」

 

「よろしくね!彼氏クン!」

 

「だから彼氏じゃないですって」

「違いますぅ…そもそも接点もあんま無いですし…」

 

「それでもよ!!」

ダン!と身を乗り出す愛衣

 

「人見知りレベル50のアンタが人、しかも秋川以外の異性連れてくるなんてジェテリアの雨が降ってくるくるくらいありえないことよ!?」

 

そう捲し立てる彼女に高山さんは「あぅぅ」としか声を発せられていない

 

「愛衣と鈴ちゃんは幼馴染のような関係なんだ」

そう説明する店主

「へぇー、そうなんですね、てか止めてきますね!?」

 

 

「ストップストップ!高山さん困ってる、またショートしちゃうから!てかなんで秋川さんはそんな不憫なんすか!?」

 

「「秋川さんですから/だから」」

 

急に息合うじゃんかこの人ら

 

「てか、尾河くんはどうやってこの人見知りを連れてこれたんです?」

 

高山さん人見知り扱いなんだ……まぁ確かに、否定できる要素はないけど

 

「良いお店知りません?って聞いたら普通に誘われて」

 

「えっそうなの?」

 

「多分、焦ってたんでしょうかね?まぁ、高山さんのことは普通に好きですよ?」

優しいしな!

だからこそ、初対面の時、不器用ながらも慰めてくれたのだろう

 

「うぇ~、ねぇ、鈴。彼、気、あるって」

「うぇえ!?」

言葉にならない声を発す高山であった

 

あっと、そろそろ注文も頼まなきゃ、雑談をしに来たわけではない。昼食のためにここに訪れたのだ

「そろそろ、注文いいですか?」

 

「はいっ!ただいま!」

やけにテンションが高い愛衣さん

 

「じゃあ、俺はカツサンドとコーヒーで、高山さんは?」

「わたしはうーん、コーヒー牛乳とたまごサンドで…」

 

了解いたしましたー、と愛衣と事務的やり取りの後、それを店主に伝えた

 

「そう言えばさ、」

そう切り出せばヒャイ!?と鳴き声

 

どうしたぁ?という目を向ければ何でもないですと答えられ話を続ける

「単なる疑問なんだけど…秋川さんが前来た時、助手であるあなたがいなかったのが少し気になったんだけどさ、なんで?」

 

そう聞けば彼女は少し暗い顔をした

「高山さん、なんかあったの?」

 

「いえ、そういうわけではないんですが…わたしにはその、ギアがないので…危険な場所には連れて行かせてくれないんです」

 

あー、なるほど、そんな理由が

 

「立場上わたしは秋川さんの助手ですが、実際は違います。現場で彼を手助けしてくれる方々が本当の助手なんです」

 

「でも、彼は高山さんを選んでるよ」

そんな疑問をぶつけてみたら

 

「あの人は優しいんですよ。わたし、このようなコミュ障なので…実際はギアのない方と組むべきなのですが…どうしても合わなくて、最終的に行き着いたのが秋川さんなんです」

 

「なるほどなぁ」

そう思っていると、注文の品が出来たようだ

 

カツサンド、それはパンの間にサックサクのカツがはさんである究極の食べ物

 

「まあ、その秋川さんも、よく喋る方なので合わない方も多かったようで、流れ者と流れ者でタッグを組んだみたいなそんな感じになりました…」

 

なるほどなぁ

「なんともまぁ、大変でしたねぇ…」

変な口調になる俺

 

「と、というか!」

 

「わわわっわw、わたしのこと好きって!?」

バグった目で聞いてくる高山さん

 

「うん、高山さんは優しくて好きだよ」

 

「べぇぇ!?」

「わひゃああ!ごちそうさまでしたぁぁぁ!」

お金をダァン!と叩きつけ、彼女は走り去っていった

 

悪化していく勘違い、これは一体、どうなっちゃうんだぁ〜?

 

 

2日後、俺達同期三人は訓練場にて特訓をしていた。二人は俺に向かって言う

 

動力爆破を使えるようになろう!!と

 

「覚えるためにもなんかコツとかあります?」

と聞いてみた所

 

タケルは

「全身の細胞にぐぅぅっと力を込めて、全力でギアから動力を流すんだ!」

 

雪城

「手っ取り早く、一度、他者の動力を借りて動力爆破を体験してみる…というのは?」

 

「他人の動力で?」

そんな事出来るの?

 

「はい、本人の動力が最も本人に適していますが出来なくはないです」

 

なるほどねぇ、確かに、効果ありそう

 

「なら僕が動力を流してあげよう」

いの一番に立候補するタケル

 

「タケル、頼んだ!」

 

「任せとけ!」

自信満々のタケルは俺の後ろに立ち、左手のギアを俺の背中に当てた

 

「セイッ!」

左手を中心に光の筋で回路を様な紋様が創り出される

そして回路の紋様は俺の背中にも伝わり全身へと広がっていく

 

そして、感じる明らかな体の変化、これが…動力爆破…!

 

「だぁぁぁ!?これが限界だ!」

ギブ!と動力の接続を中断するタケル

 

「お前の身体、全身ギアだっけ?やばすぎ、こっちの消耗がヤバい」

 

「そうか、ごめん、でもなんとなく分かったよ」

俺は一度、一瞬だけ、動力爆破をしたことがある

 

「シラネとの戦いの時、避けきれ無かったはずの攻撃を異常な速度で回避したことがあった」

 

確信を持って言える

「案外、出来そうな気がする」

 

 

そこからは三つ巴の実践形式の特訓となった

 

「まずは僕から行かせてもらうよ!」

タケルは跳躍し、ギアに動力を込める

「新技だ!バレットパンチ!」

現れるのは4つの小さな拳

それらはタケルが拳を振るうのと同時に射出され、俺、尾河理人に飛んでゆく

 

まさに弾丸、俺は右手による防御行動しか取れなかったのだ

 

「スピードクラッシュ!」

次の手っも超速の拳

 

「くっ、速さで押してくるか!?」

発生する衝撃波

「どわっ」

というタケルの声、そしてそのままこちらの方に飛んでくる

 

奥には尻尾の少女、雪城友里の姿、おそらくタケルは不意を突かれて叩き落されたのだろう

 

彼女はおそらく二人まとめて狩るつもりなのだろう、彼女のスピードならそれも可能だ

 

なら

「動力爆破…!」

こちらも強化するまで…!

 

彼女は尾による斬撃を飛ばしながら、こちらにくる

 

全身に力を込めて、ギアから力を引き出す…!

 

「バレット!」

ダン!タケルが初手、発動したバレットパンチの残弾を一つ発射した

 

「まだ、遅い」

カン!と彼女は尾先の刃でバレットパンチを弾く

 

そのままタケルは近接戦に持ち込まれ、尾が腹部に直撃、吹き飛ばされる、そのままの流れで俺にも攻撃が

 

動力爆破を試みたが、失敗、俺の首筋には刃が添えてあった

 

「わたしの勝ちでいい?」

 

「まだ、俺は諦めてないぜ…」

再びぐっと全身に力を込める

 

フゥーーーと深呼吸、

全身から不思議な力が滲み出る

 

次の瞬間、雪城の拘束を俺は振りほどいた

そして、次の瞬間、彼女の間合いから消えた

 

全身から電子基板のような紋様が現れ、やがて全身を包む黄色のオーラのようなものとなる

 

彼女の目の前には『動力爆破』を使用した尾河理人の姿があった

 

 

 

巨大モールイオソ、郊外に大雨が降る

漆黒のコートとシルクハットの男だった

 

彼は雨の中、傘もささず歩く。ゆっくりと歩き、倒壊した電柱の前に立った

 

手が前に出る、その瞬間、空が赤く染まり、赤が男の手に収束された

 

男の手には赤い宝珠

それを電柱に押し付ける

 

宝珠はパキリ、と割れ、電柱が大きくブレ始める、まるでなにかに浸蝕されているかのように

 

ブレた電柱はやがて形を変える。ブレが静まった時

 

一人の少女が跪く

その少女は黒いドレスに濁りの蒼の瞳のヒトそっくりの人形

シラネと呼ばれる者であった

 

「わたくしを復活させていただいたこと、深くお礼申し上げます」

まるで紳士淑女の二人

 

「次の役割、謹んでお受けいたします」

何も言わず紳士は雷鳴が鳴り響くと同時に影も形もなく消える

 

「【虚飾】そのもの、我らの父であり母でもある、あぁ、本当に素晴らしいお方」

フフフフフと笑いながらシラネは影に溶けるように消えた




四日、五日でストックを切らすおバカさんは誰ですの?

わたくしですわぁ〜!
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