『ぎあまき!』   作:すやすや教徒

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第3話【ギア人間と試験】

「全身…ギア人間?」

全部ギアってこと??右手はTHE・機械みたいな見た目だが、この左手も?左手は人間の生身そのものみたいな見た目だけど…

 

「人体そっくりのギアなんて初めて見たわ、疑問に思っていた事の理由もはっきりしたわ」

秋川和真はそう語る

 

「疑問?」

 

「せや、オレの疑問は二つ、お前が搬送されてきた時、お前は全身大火傷、やがオレがギアをくっつけようとした時にはギアはくっつき、火傷が完治した。これはギアの吸収治癒現象によるものや」

 

「吸収治癒現象?」

なんだぁ、それ?

 

「あ、すまんな、説明させてもらうわ。損傷したギアに適当な鉄片だとかそういった資材を接触させるとギアはその資材を吸収、そして自己修復を行う、要はなんかくっつけたら勝手に治ってくれるんや」

 

ま、原理はしらんけどな!!とガハハと笑う秋川

 

「すごいんすね、ギアって」

「せやろ?お前は特にやばいねん、全身がギアやから資材さえあればいくらでも復活できる実質的な不死身の体になってんねん」

 

「思った以上にすごかった!?」

え?俺不死身になっちゃってんの?もはやそれって人間か?

 

「そんでもう一つの疑問、どんなフィジカルしてたらジェテリア殴り壊せるんか、て話や。人体に大火傷を浴びせられるレベルのジェテリアとなるとクラスBはあるねん、bは子供でも壊せる。クラスBは人間が出来る暴力で壊すのはほぼ不可能。武器がないとな。

「じゃあなぜクラスBを素手で壊せたのか…これに関しては至極単純、既に全身ギア人間になっていたから、であんたの見解と一致しとるかな、風雅さん?」

 

そう返答を促す、侵略対策部、部長である佐美宗風雅は答える

「俺の予想と一致している、ギア化した原因は暴食グーラかその【金色】の何かであると考えるのが妥当だろう」

 

全く話しについていけない…二人の会話にジェテリアなどに対する知見がない…そうオロオロとしていたら

 

「…主治医、そういう話は後でして」

 

「あぁ、すまんな、ごめんな、理人くん。置いてけぼりにしちゃって」

「ありがとう、助手ちゃん。いやー、気遣いが足りてなかった」

と謝りながら、

さて

 

「君は…これからどうするんや、行く宛なんてないやろ?」

 

◆

 

怪我はギアの吸収治癒現象によって完治した。しかし心はまだ休めていないからと数日入院となった。秋川さんからは‪”‬住居に関してはこっちで何とかしておくから、とりあえず大日本基地壱号をほっつき歩くけばええ”‬とのこと

 

そして無事、退院…!外の空気を吸える

 

そこはいわゆる街、建物が立ち並び、人がうじゃうじゃいる

その中にはギア発現者も多くいた。

「すごい…街だ…大人たちから聞いた崩壊前の世界の街みたい…!!」

俺は大はしゃぎ

ここが、次世代のTokyo…!

 

 

「とはいえ、だ」

行く宛がない

 

どうしたものか、困った。

 

人の声もいっぱい、知らない人たちいっぱいで見たことないくらい大きな建物いっぱいで頭の中がぐるぐるする

 

「あわーー」

このままだとショートする機械化したばかりの脳みそが爆散してしまう……!

 

 

「あの……!」

後ろから服の裾を引っ張られた感覚

 

その人物は秋川主治医の助手、高山鈴であった。

「えっと、高山さん?何の御用で……」

いきなりの襲来に俺は困惑する、病院になにか忘れ物でもしただろうか、いや、ありえないな。そもそも何も持ってきてないし

 

彼女は覚悟を決めた様子で口を開く

「…あの、風雅部長からの伝言…です」

 

多分この子すっごい喋るのが苦手なんだ…ようやく理解した気がする。

 

「伝言って?」

 

彼女は咳払い、集中

『君は才能の原石だ、侵略対策部としては逃したくない人材、行き場に困ったのなら、”探したい人”がいるのであれば来ると良い』

「えっと、以上です、それでは」

 

探したい人…あの一人の少女を思い出す。探し出す…そう約束した少女

絶対に会ってみせる、そう再び決意を固める

 

その隙に高山さんが遠くに行ってしまった

「ありがとうございます!高山さん!」

 

そう言うと高山さんは一度振り返りまた病院へと走っていった。

 

「場所はっと、えーと地図地図」

退院する際貰った地図を取り出す

 

「右に五歩先、真横か」

思った以上にすぐそこにあった。【侵略対策部:北支部】

 

めちゃくちゃ近いな、だれか仕組んだ?

 

ガラリと中に入れば高身長で右眼の眼帯が目に入るカッコいいタイプの女性が受付にいた。

 

女性は俺を見て

「いらっしゃい、どうかしたのか?」

 

その女性は凛とした声でなにか言葉の節々に圧が感じられた

「えっと、侵略対策部に所属したくて」

 

「あぁ、良いぞ」

 

「そう、ですよね、やっぱ自分じゃ、えっ良いの!?!?」

 

「うるさいな、もっと静かに喋れ」

 

「ごめんなさい!」

 

「許す」

 

え、もう入れるの?マジ?

女性は静かながらもよく響く声でいう

「ただし、所属するには今日これから始まる試験に合格できたらの話だ」

 

やっぱりそうだよな、そんな簡単に入れるわけないもんな、簡単な試験だと良いなぁと呑気なことを考える。

 

受付のお姉さんは”奥へどうぞ”と俺を促す

 

俺は案内された方へと向かうのだった

 

◆

 

さっきのお姉さんが言ってた奥に向かうとそこは広い運動場であった。そこには多くの人がいて、その全てが発現者だった。

 

準備運動をする者、目を瞑り瞑想する者、ただぼーっとする者、何かブツブツつぶやき続ける者、などなど多種多様だった。

 

運動場全体の空気が張り詰めている、そんな気がする。

 

俺は聞き耳を立てる、聴覚が鋭くなる

「アタリでありますように…アタリでありますように…鬼教官は嫌だ鬼教官は嫌だ鬼教官は嫌だ鬼教官h」

 

 

「鬼教官?」

疑問に思い、目の前の青年に話しかけてみる

 

「ウワァッオ!!」

青年は猫のように飛び跳ねる

そして転びそうになる青年

「トットット、危ないだろぉ、いきなり話かけちゃ」

 

「そんなびっくりすると思わなくて……ごめん」

青年はうむ、くるしゅうない、と謝罪を受け入れ、鬼教官について話す

「お前知らないのか?鬼教官っていうのはな?大体五分の一くらいで試験を担当する、鬼教官だよ…あれは怖いぞぉ、声を一つ聞くだけで背筋が凍る感覚がするんだ…」

彼はブルブルと震える素振りをする

 

「ふむ、今回は引かないといいな」

「だよなぁあああ!!」

うわ、とてつもない同意の意

 

 

「いきなり話しかけて肝心の自己紹介がまだだった、俺は尾河理人、よろしく」

俺がそう自己紹介すると彼も自己紹介で返答する

 

「あー、よろしく、僕は新島タケル、よろしく、なんかありがとな緊張しすぎてたみたいだ、さ、張り切っていくゾー、なんせ僕は20回は試験に落ちてるからなぁ」

 

「落ちすぎじゃないかそれ?向いてないのでは?」

 

「ズカズカ言うねぇ、君」

ま、いいけど、とタケルは笑って許す、

危なかった、普通に失言。相手が相手ならぶっ飛ばされてた。

 

 

【『集合』】

 

!?

心臓の鼓動が急激に早くなる

運動場の中心に女性が一人

横のタケルは顔が真っ青になりながらも走り出している

それと同時に俺も走り出す

その場の全員がほぼ同タイミングで運動場中心の女性へと走り出す

 

それだけの威圧感がその一言にあった。

 

何も知らなくても分かる、【鬼教官】が担当の試験なのだろう

 

全員の集合が完了した

 

「お、今回は比較的早かったな」

 

その鬼教官は長身で眼帯を付けた女性、先程受付に立っていた女性だった。

 

「今回の入部試験を担当する葉月朱音だ」

葉月朱音……それが教官の名前か

隣のタケルは名前を聞いた時点で震え上がっていた。

 

朱音は話し出す

「まず、私が優先するのは[結果]とその[過程]だ、至ってシンプルだろう?」

朱音は続ける

「そして、それ以外にお前達の家柄、境遇、他者からの風評などはこの試験において一切加味しない、こんな事一々言わなくてもいいだろと思うかもしれんが、稀に馬鹿がいるからな、一応言っておく」

 

「さて、試験内容を話そう、その名も【無限組手】」

 

朱音はストップウォッチを取り出す

「ルールはシンプル、3分間私相手に耐久すること、ストップウォッチは私の首にかけておこう、もしこのストップウォッチの時間を止められたり、破壊されたりしたら、その時点で試験終了だ」

 

ざっと20人はいる受験者の誰かから生唾を飲む音が聞こえた。

凄まじい緊張感、20対1にも関わらず、恐怖の感情が湧き出る。

 

フゥーっと深呼吸

 

「さぁ、試験開始だ、かかってこい」

ストップウォッチが教官の首にかけられた

 

刹那

 

彼女の右の眼帯から光のすじが拡散していく、まるで、回路に伝わる電気信号のように…そして

 

俺の腹部に衝撃が走る、

 

「ハッグッ!?」

いま、殴られたのか

 

後ろを見れば他の受験者も攻撃された様子だ

 

「後ろを見ている暇があるのなら敵を追え」

 

!?耳元で声、反射的に腕を防御に回すが…

 

ほとんど意味をなさず数m吹き飛ばされてしまうのだ

 

「隙だらけ、素人の防御だが…タフだな?」

そう俺を評価する教官の背後から鋭い刃が襲う

 

その攻撃の主はショートヘアの可憐な少女、本来、人間にはないはずの部位、尾があるのが特徴的だった。

 

「背後からの奇襲、残念ながら風の流れで読めるんだ」

そう言いながら地面に叩きつけられる尾の攻撃を右手を軸に回避し、そのままの流れで蹴りを尾の少女に放つ

 

当たるかと思われたその攻撃を少女は体勢を低くして回避

 

それと同時に複数の受験者が前に出る、その中にはタケルの姿もあった。俺も前へ出る

 

教官は複数人相手でも関係なく圧倒的なスピードとパワーで攻撃を弾き、流し、時には正面からへし折った

 

俺の攻撃はすり抜ける、つまり流されたわけだ、隙ができた俺には手痛い一撃が待っていた

 

腹部に突き刺さる

 

「ガハッ…!」

身体能力がイカれてる…!

 

タケルは…!?

 

「ハハハ!前より動きが良くなってるじゃないか!」

「こちとら怪獣に追われてる感覚ですよぉぉぉ!!!」

移動しながらの攻防戦、教官の殴る蹴るはもちろんとして、着地の衝撃すらも教官の立派な攻撃となっていた。タケルが押されているが俺が復帰、もう一度殴りに行く、確か俺のタフさを評価したよなぁ?

 

「うおおおお!!」

俺はただ教官に向かう

俺の動きに教官は一言

「一直線…それは前にも見たぞ?」

ストップウォッチを狙った攻撃はスルリと流され

「2度目だ厳しめに追撃させてもらう」

 

さぁ!来な!

教官が一瞬消え

体中に衝撃が走る

 

神速の連撃、しかし

 

その全てを、受け入れよう

俺は教官からの攻撃を真正面から受ける

 

「一撃目!」

動じずに放った俺の拳が教官の胴に命中

この人生で一番力の入った一撃だった

 

 

数歩、教官は後ろに下がる、何処かに潜んでいた尾の少女

少女は尾を彼女の足に絡め、転倒させようと試みる。

 

尾に揺られながらも一言

「ちょうど一分」

教官の抵抗は更に増し、尾の少女を振り回し、吹き飛ばそうとした。

 

「新技!」

上からタケルの声、見上げれば天にギア化した左手を掲げ、エネルギーを溜めているタケルの姿があった。

 

「スピードクラッシュ!!」

教官狙って空で拳を振れば、高速の拳が射出され教官の足元が爆発する。

そして砂埃が立つ

 

何がなんだか良く分からんがチャンスだ!

勘で位置を把握、前に出る

 

ここらへんかな、拳を振るう、当たった感覚と同時に複数の打撃音、砂埃の中でもう一人いるようだ。おそらく尾の少女

 

確実に命中したがどう評価してくれるか、教官?

 

攻撃による風圧の発生を目的としたその場での連撃、風圧で砂埃は消え去り、姿を表す教官

その連撃による風圧は俺と尾の少女を後退させた

 

パサパサと服についた砂を払う

「尾河、お前はすごく良い勘とガッツを持ってる。そして、雪城は優秀、それに尽きる」

 

タケルの方を向き

「新島、私はお前の成長に驚いた、毎回新技を持って来るものだから、毎回の楽しみになりつつある、今回のは特にいい技だ…」

 

次にその他受験者の方を向く

「その他はもう、ダウンしちまって、残り3人。残り時間は1分30秒、ちょうど半分だな。少しギアを上げるとしよう」

 

まだ、上を行くのか…!?

右眼の眼帯を中心に光の筋が流れていく

 

教官はそのまま俺に向かって一直線

 

来る…!

集中、集中集中集中!相手の動きをよく見ろ!

 

そのまま一瞬の殴り合い、すれ違う、

 

「グッ!?」

「ハハッ、良いね」

俺に一発、教官に二発

 

 

「尾河、私の動き、良く盗めたな」

 

さっき俺は教官の攻撃を流し、あまり力の籠もったものではなかったものの反撃できたのだ。”もう一度試してみようか”なんか教官怖いこと言ってる!

 

今度は横軸の移動も含め、撹乱も兼ねた突撃。

 

「はぁぁ!」

その突撃を阻止しに雪城という少女が割って入る、彼女は素早く教官の突撃に対して、鋭い蹴りを放ち、妨害、避けられたことも予測し、鋭い尾による三連撃

「先読みも可能、と」

教官の手刀、鍔迫り合いが発生したがその途中で尾を手首に巻き付け、引き寄せる、雪城からも教官に向かい、引き寄せながらの打撃を繰り出そうとする。

一方教官、引き寄せられる力を利用した蹴りを放つ

格闘戦となり、その末、彼女の尾は掴まれ、地面へと叩きつけられる。

 

その数瞬後、タケルが向かい、

エネルギーで出来た巨大な拳がタケルのギアに生成される

 

「ビックフィスト!!」

その一撃、教官は回避できない位置関係にあった

 

直撃

 

そして、

受け止められていたのだ、教官の右腕によって

その巨大な拳を防いだ教官の右腕は淡く発光していたのだった。

 

全てのエネルギーを使い果たしのか

「やっぱ、だめなのかよ」

ガクン、とタケルは膝をつく、

 

「中々、強くなっている…惜しかったな」

 

「残り一人、1分後、お前は立っていられるかどうか、見ものだな」

「逆にぶっ飛ばしても?」

 

「出来るならやれ」

地響き、来るな

一撃目は横にずれ回避、次の瞬間、教官の体勢が空中で変わり、ケリが地面を抉る。

その隙に俺が攻勢に出れば、殴り合いの開始だ、受ける避ける流すの繰り返し、一撃一撃が血反吐を吐くほどに痛い。地獄みたいな環境だが、相手の技術を吸収している、そんな気がする

「尾河!お前の覚えの速さの理由、わかったぞ!」

 

なんで教官は喋りながら戦れんだよ!?

 

「それは、脳だ!全身ギア人間であるお前はもちろん脳もギアだ!ラーニングってやつだよ、お前は今それをしている!!」

 

なるほどなぁぁぁぁ!!!!

渾身の一撃を、ストップウォッチに放ち、ぶち壊す!

今なら行けると思った、

だが、教官の手は動いた、俺の一撃を受け止めに…

 

尾が、教官の手を抑えた

 

雪城!?

複数の手が飛んでくる、その手は教官の動きを抑制し、一瞬の停止

 

 

そして

 

 

 

バキッ

 

 

ストップウォッチ、破壊、完了

 

◆

 

教官は降参の意思を示す

「やられたなぁ、3人共、合格だ」

 

「やったぁぁぁ!!!」

俺達3人は抱き合う、初対面であってもそれが成立するほどの試練であったのは確実だ

 

「あぁ、お前ら3人、受かって早々悪いが、明日、任務な?」

 

「「「は?」」」

喜びは浜で死にました!

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