まず、動いたのは雪城だった、近くにあった木の杖、俺がシラネの手から弾き飛ばしたものだ。その木の杖を手に取る、数瞬の思案の後
その杖を引き抜く
それは隠し刀
杖を中心から引き抜けば銅色の刀身が現れる
彼女が刀を引き抜く姿はあまりにも様になっていた。
シラネはツルで出来た槍を創り出す、それを横に薙ぎ、青いバラの花吹雪を巻き起こさせる
不味い、情報の共有を…!
「あの花びら、爆発する!」
そう言えば全員が後ろに飛び後退
花びらは俺の警告通りの爆発を引き起こす
その後、すぐさま俺は全力でシラネに向かって一直線
「ここまで痛めつけて、どうして動けるのでしょうか?」
シラネは首を傾げながらも槍を地面に打ち付け、直後、樹木がシラネ自身を守るように展開される
俺は樹木を掴み、引き抜くことを試みる
2、3m程、樹木の根を引き抜き、気付く
樹木の根に花が咲いていた
すぐさま退却する、
なぁ、ナビさん、樹木そのものは爆発や発火はしないかもしれない
なるほど!伝えてきますね!
{聞こえているのですよ?}
なっ、そうだった、忘れてた!コイツ、俺達の思考に干渉出来るッ!
シラネは自らの檻を突き破り、花びらを纏いながら槍での突進
俺の首筋に向かう槍先
「まず、一名」
「スピードクラッシュ!」
超速の拳が俺とシラネを間に割り込み地面に着弾、衝撃をもたらす
「僕のこと、忘れてない?」
タケル!
タケルの技で、シラネの刺突は停止する
よし、シラネに隙ができた…!
「今、殴るぜ?」
宣言通り俺の一撃が腹部に直撃、凄まじく軽い身体が吹き飛んでゆく
あまりにも軽い身体、追撃が難しい、
「追撃は、任せてください」
一瞬、風を切る音がした、視線の先には刀を抜いた雪城の姿
ほんの一瞬のシラネの槍と雪城の刀の打ち合い
穂先が宙を舞う、シラネの槍が二つにバッサリと分かれていた
シラネは驚愕の表情を浮かべる、なぜならば、無かったのだ。
シラネの右手首が無くなっていた
「右手は斬らせて頂きました」
次の瞬間
鮮やかな剣撃によりシラネは吹き飛ばされる
こちら側へのサーブだろうか
ちゃんと準備してるぜ?最高のトスを
吹き飛ばされながらも、手首が切り落とされたからツタが伸び、こちらを襲う
ツタの所々にバラの花、それぞれが小さな爆発を引き起こす
俺をツタを弾き、爆発をこの身に受け、シラネの懐へ入る
そして、アッパーカット、上へと吹きとばせ、そして、決めろ
「タケル!!」
天を舞う一人の男
「準備万端!最高のスパイクを見せてやるぜ!」
七つの拳が一斉に動き出す
「セブンフィスト」
「一点・インパクト!!」
七つの拳を同時に直撃させ、膨大な威力を叩き出す
新島タケルのギア【ゴーストハンド】
左手のギア、そのギアは高出力のジェット噴射とエネルギーを手の形に形成し操作する、二つの機能を有す
中でも『セブンフィスト』の一点直撃は彼の持つ多くの技の中で最高峰の威力を持つ
シラネは凄まじい威力で叩きつけられ、煙が巻き起こる
数秒の沈黙
「まだ、立つんだろ?クラスG」
三人全員が集合する、何があっても協力して対処出来るように
大きな樹木の束が上へと伸びていった。その頂点には巨大な蕾
蕾は花開く
バラから現れるシラネ、その姿は元々の黒いドレスに、胸元に4つの深紅の宝珠と一つの白の宝玉を付け足した。新たな姿となっていた。
完全に傷は修復し、本気、と言ったところか
「かなり、ダメージを負いましたわ、わたくし、あなた方を少々侮っていたようです」
シラネは雪城は指差す
「その刀、まずは返していただいて」
刀に蕾が現れる
「やばっ」
雪城は冷静に刀を放り投げた
蒼炎が広がり、刀は一瞬にして燃えカスになる
「よそ見、している暇はありませんわよ?」
一輪1mはあろう、一輪の青いバラ、それが何輪も中に浮いていた
それらが俺達に向かって放たれた
巨大なバラ、バラの先は鋭く、人体など容易に貫く
起爆するバラの花の大きさがその爆発の威力を物語っている
走って、走って、時々飛びながら回避する、後ろには爆発音が聞こえる
不味い、2人と別れてしまった
前方から花びら!?
しまった…!後ろばかり気にして、前を…
花びらと強風に巻き込まれた
不味いっ、爆破をモロに…クソッ…敵が遠い!
俺に纏わりつく花びら、花びらは焼き焦げ、やがて蒼色の爆発を引き起こす
「ぐわッ、」
なんとか、立っている、全身に火傷、視界が揺れる。
グサリ、と左腕に突き刺さった巨大なバラ
そのバラの茎は左腕を貫通している
キュイキュイという、起爆の合図
「まず、一本もらい、ですわ」
大爆発、
俺は倒れ、気付けば左腕が消えて、いた
た、て、不死、身、何だろ?
◆
side雪城友里
何とか耐えた、バラの串刺し攻撃
新島くんとわたしでフォローしあい、なんとか攻撃を凌いだいた
しかし、先程発火し灰になった刀…あの時の炎がわたしの手の平を焼きます
「っ…!」
「大丈夫かよ!?」
「わたしは大丈夫、です」
あのバラの串刺し攻撃の際に孤立してしまった尾河さんは無事なのかどうか…
「面倒なのは一旦対処しました」
花の玉座から降り立ったクラスG
美しい女性、麗しい一国の姫のような容姿の人間に近い見た目の彼女だが、ジェテリア、それもクラスGである
尻尾に力を集める、タケルもまた左手に力を集める
「飛んで火に入る夏の虫、ですわね」
突如そう宣うシラネ
「何のことだよ、一回僕らの必殺技バレーでサーブ、トス、スパイクのフルセット食らってんの忘れてねぇからな?」
「あなた達はこの空間に入り込むことさえなければ、あなた達は死なずに済んだ、と言っているのです」
タケルはその言葉にハンッ、と馬鹿にしたように返す
「知ったことじゃないね!!」
と吐き捨てたのだ
「スピードクラッシュ!」
超速の拳がシラネに向かって飛ぶ
シラネはふわりと回避し跳躍、そのままの勢いでかかとを鎌の様な形の樹木で覆い、振り下ろす
わたしは静かに、変形していない足に尻尾で巻き付き、後ろに叩きつける事によって振り下ろし攻撃を阻止した
「すまん、助かった」
「貸し、一つ」
今回ばかりは敵の軽い身体に助けられた
地面が蠢く、わたし達の足元には樹木が伸び、飲み込もうとしてくる
大規模攻撃…!
「っ…!」
一つ一つの樹木を切っていく、わたしはまだマシ、でも新島くんは…
「ぐおおおお!」
新島の方を見れば、大きな手の平が二つ、それによって押し寄せる樹木から身を守っていた。
「押し寄せる樹木の波、これをどう対処する?その次は?この手で生き延びても、次の手で死ぬ、結果的に死ぬのは同じ…」
パチン、指を鳴らす音、その合図で樹木に花が咲き、爆破する。
全力、全エネルギーを注いで耐える…しか
【無名︰〇〇】
全力を持って次の瞬間を生きるために…斬りましょう
ベストコンディションではない…武器も己の身体のみ
赤い閃光
その閃光が千にも分かれた
まず、救います
閃光が樹木を切り払う
次に、敵を断つ
首筋を捉えた尾の刃、その赤い閃光の正体
わたしの目には全てがスローモーションに見えていました。普段から、ずっと、なのに…その樹木はわたしの刃と敵の首の間を想像も絶するような速度で割り込んできたのです。
「言ったでしょう?飛んで火に入る夏の虫…と」
ヴゥン、とシラネの胸元の宝珠の一つが明かりを消す
わたしは樹木の攻撃を受け、吹き飛ばされる。
「っ!?大丈夫かよ!?」
なんとか吹き飛ばされたわたしを新島くんが受け止めてくれました
ここは青色のバラの花畑、この空間の巨大なバラの玉座がある
その全ての花びらが剥がれ落ち、中心へと集まる、それはやがて巨大なエネルギーの塊に成る。
「この空間、そのものが巨大な爆弾…この空間に侵入してきた…その時点で…」
「オイオイオイ、やべぇぞ」
これは、マズイです…
あなた達、詰んでいたのですよ――
カッ……と光が発される
◆
side新島タケル
死ぬ―
そう思って、数秒
案外、死とは無なのだな…と
いや、寒いな
目、開けれるじゃんか
目を開ける、息が止まる。
そこには…
「ッ」
僕達二人を庇い、血みどろの尾河理人の姿があった
僕も雪城も軽いやけどくらいで、なんとか、なっていた
「まじ、かよ…」
あの花畑の空間は崩れ去り、フードコートエリアに僕達は膝をついていた
「このまま、完全に殺し切りましょう」
大きな一輪の青いバラを創り出し、ゆっくりと放る、その速度は加速していき、やがて尾河理人の心臓を貫く程の速度に加速した。
やめろ…!
「やめろォォォ!!!」
そのバラは止まった。阻止されたのだ。
その黄金の腕に
軍服を着た大柄な男
ただ唯一、その人差し指だけが、金の鎧を纏う
「基地壱号、佐美宗風雅」
「即座に敵を排除しよう」
その圧倒的な気配は武神を彷彿とさせる。
彼は掴んだバラをグッ、と握る
腕に纏った黄金の輝きがバラに流れる、次の瞬間、バラは塵となって消えた
「おかしいな、ほんの少し力を与えただけなのに」
なぁ?とシラネを一瞥する
シラネはふふふっ、と笑う
「まさか佐美宗風雅本人が現れるとは…」
「まあ、やるだけやってみましょうか」
ヴゥン、という音とともに樹木が風雅を突き刺そうとする
「…フンッ」
それを残像が残るほどの速度で回避し、シラネの命を奪おうと拳を構えて一歩、あまりにも大きい一歩を踏み出す
その衝撃は地響きを起こすほどであった
しかし
その一歩の途中の時点でシラネは風雅の懐へと移動しており、首を跳ね飛ばそうとする
それを上半身を反りながらすんでで避け、次の瞬間、両者が消える
次両者が現れた時
シラネの首と右腕を持った風雅とそれらを失ったシラネがいた
風雅は顎に手を当て言う
「クラスGにしては中々やる奴だった」
僕、新島タケルは思う
す、スゲェ、コレが侵略対策部【部長】佐美宗風雅、黄金の武神の異名を持つ男……!!
「あ?」
風雅は疑問の母音を口にする
無かったのだ。シラネの首と腕、そしてその他残骸が
「チッ!幻術ッ!」
何処からか現れた樹木、確実に殺したはずのシラネの能力
その樹木によって風雅は拘束、宙に吊るされ、首筋には一輪の青いバラ
「ふぅ、なんとか、騙せたようで」
いつの間にか存在し、当然のように言葉を話すシラネ
「このまま絞め殺します」
「出来るものならやってみろ、俺の下積み時代のあだ名、ゴリラだからな」
グゥゥッと締め付けられる、その力は巨大生物の締め付けのようだった
ギチギチギチッ
痛々しい音が響く中
風雅はその締め付けている樹木は堂々と内側から引き千切った
彼の全身の色は軽く黄金色に染まっていた
シラネは内心冷や汗を流している、だが表には出さず、優雅に
「なら、燃え盛る花は如何ですか?」
首筋のバラを起点に、風雅の全身に蕾が現れる。それは花開き、やがて発火する
する、はずだった
空間が歪む
風雅の体内を躍動する膨大なエネルギー、表に滲み出た、ただそれだけだった。
それによってバラは消え去る
「次はこっちから」
溢れる力そのままに殴る宣言をし、
ヴゥンと衝撃波
「っ、な」
その一撃は前方上方向にシラネを弾き飛ばす
壁に衝突する音が少し遠くからする
「防御されたな…」
一方…シラネ
(ギリギリだった!!”残って”なかったら既に死んでいた!後チャンスは一回…!この一回をどう活かすか…)
そう、シラネは風雅の攻撃が直撃時、樹木を貼り巡らせ、ダメージを最大限減少していたのである
それでも、口からはジェテリアにとって血に位置するオイルを吐くほどの大ダメージ
スタリ、と降り「すぅ~、はぁ〜」と深呼吸
目の前には悠々と歩く風雅
「借り物、とは言えこの力、どんな存在からソレをもらった?」
「はて、何のことで」
彼女のドレスの胸元には赤い五つの宝珠のアクセサリー、その内四つが輝きを失っていた
「とぼけるなよ、」
風雅は一瞬にしてシラネとの間合いを詰め、正拳突き
その攻撃に対してシラネは残り一つの宝珠の輝きが失われると同時にツルを生成する。そのツルが威力をまだ保っている風雅の腕に巻き付き、シラネは風雅の背後に移動する
「背後からっ、心臓をいただきますわっ!」
鋭い一輪の大きなバラ、それが背中から風雅の心臓を貫こうと刺突を放つ
「《三角》」
突如、シラネの頭部にとてつもないエネルギー波、そして数十m吹き飛び、宙を舞う
「…は」
シラネの頭に疑問符が浮かぶ前に…
「逃さん、《六角》」
シラネの目の前には風雅
そして、シラネの眼前に正六角形の図面が現れる。
次の瞬間、シラネは正六角形と一緒に地面に叩きつけられ、押し潰される。
シラネは終わりを悟る
(わたくしは終わりですわね、次に期待しましょうか。ソノコよ…あなたはまた…此処に来ることになります。リーヴィズ・カンターレ、彼女の情報を知りたければ…ね?)
シラネは完全に押し潰され、消滅したのだった
敵の排除を終えた風雅は元の地点に戻ってきた
「秋川、治療は任せた、尾河理人、全身ギア人間」
(全身火傷に左腕損傷、内臓はぐちゃぐちゃ、さて、治ってほしいものだがどうなるか…だな)
風雅は此処にいる全員の無事を願うのだった。