俺、尾河理人は何も無い、ただ黒だけがある世界にいた。
「なんだ、ここは…」
一切意味がわからない、俺はさっきまで何をしていたんだっけ?
俺の身体は今、右腕も存在する、純粋な俺の身体だった
「ッ゛!」
突然、頭痛と共に脳内に砂嵐のようなノイズが鳴る
「頭が、割れるようにッ、痛いッ」
なんだ、何かの信号音が流れる続ける、意味の分からない言語で、しかし意味だけは理解できる。そんな気色の悪い感覚
グッ、ヅゥウウ
◆
「ッっは!?」
過呼吸状態となり、息苦しい、なんだ?リ、ヴィズ
「あ、起きたわ!!無事か!?」
「過呼吸なっとる、深呼吸しぃや」
俺の主治医、秋川和真が俺の背中をさする
つか、なんで生きてんだぁ?てか敵は!?クラスGは!?
敵、《シラネ》と呼称されるジェテリアは応援に来た佐美宗風雅さんが撃破しました。それとなぜ生きてるかは尾河さんの吸収治癒現象のおかげですね♪
「どわぁ!?」
突然脳に直接響く声に驚き声が出る
「うお!?いきなり喋らんといて!?」
身体を見れば、傷一つない、
「どうやら、オレの見立て通り、ほぼ不死身みたいやな、肉体の一部位くらいあれば資源がある限り無限に復活できる。尾河くんはきっと場所馬のように働かされるで?」
社畜人生確定コースやね、あ〜怖い怖い、と言いながら、
「改めて、どうやって治ったかなどの諸々は後で説明するで。ほな、オレは雪城ちゃんの火傷でも診に行くわ」
そう、言うだけ言って秋川は去っていく
俺も立ち上がり、数回跳ね調子を確認。一切問題がない
「すごいな、この身体」
軽い軽い、さっきまでの激闘が嘘みたいだ
周りを見れば、医療班がバタバタと動いている
「そうだ、雪城とタケルにも改めて顔を合わせなきゃ」
助けてくれたお礼がしたいんだ
なら案内させてください!
脳内に響く声
お?いいの?なら頼むぜ
はい!お任せください!
喜びに満ちた、そんな声
◆
むかうはタケルと雪城のいる場所
「よっ!調子はどうだ?」
ナビさんに案内されながら、俺は二人がいるであろう場所にたどり着く
ありがとね、ナビさん
いえいえ、さん付けなんて固いですよっ、あの地獄の乗り越えたんですから!気楽にナビちゃんとお呼びください!
じゃあナビちゃん、俺もどんなニックネームでもいいぞ
えぇ〜じゃあ、理人さんで……
「かなり捻って、ギア(尾河とかけた)理人とかでも良いのに……」
なんか、ダサっ
グサッ
結構な致命傷を受けたところで俺は二人発見。雪城、タケルの二人は座って休んでいた。
「おーい、おつかれ、本当に」
そう言いながら二人に歩み寄る
「おっ、理人じゃ〜ん、おつかれ」
出会って二日経つがこの新島タケルという男、かなり気安い
「お疲れ様です。先程は有難うございました」
一方の雪城は開幕早々に感謝の言葉を口にする
その雪城の両手首には包帯が巻いてあった。きっと秋川が処置したのだろう
「なんかしたっけ?」
本当に必死だったから覚えていない
それに
「それに、感謝したいのはこっちの方で、命張って、あの花畑に入ってきた。俺は二人に助けられたんだぜ?」
「ですが、こちらも…命を助けてもらったのです」
俺はどうやら彼女の命を助けたらしい、
どうなってるんだ!?ナビちゃん
ナビちゃんは『あはは……』としか返さない
「アーアーアー!」
急にタケルが叫ぶ
え?本当にどうしたんだ?
「どうしたの?新島くん」
雪城も困惑の表情を浮かべる
「いやさ、要は僕等、助け合って生き残ったんだぜ?」
「それに途中にコンビネーション!完璧に相性がいい!」
「だから、僕ら仲良くやっていけそうじゃーん、そう思うだろ?」
はは、確かに、
「本当に、そうだな」
「ホントだ、そうかも」
雪城もクスリ、と笑う
「お、ナビチャンもそう思うか?だよなぁ!証人一人ゲットォ」
俺はインカムがないから分からないけど、ナビちゃんが『そうですね♪』的なことを言ったのだろう
「俺からも一言、」
「「「風雅さん(部長)!」」」
後ろからの声の主、それは、先程激闘の末シラネを下した。侵略対策部の部長、佐美宗風雅だった
「お前たちは確実に良いトリオになる、ナビちゃんとの関係も良好だしな」
ナビちゃん呼びなんだ、この人
はい!私が矯正しました!
うわナビちゃんツヨイ
「僕ら、部長のお墨付きだってよ!」
「やったな、タケル、雪城」
「良かったですね、新島さん」
みなさん、そろそろ切り上げるそうです。基地壱号に戻りますよ♪
この場にいる計四人の了解の声が響く
◆
基地壱号:侵略対策部【会議室】
風雅の声が響く、力強い、背筋がピンとする声だ、これから堅苦しい感じの会議が始まるであろう
この場にいるのは以下の6名である
佐美宗風雅
葉月朱音
秋川和真
尾河理人
新島タケル
雪城友里
そして、大きな会議室のテーブルの中心には一台のスピーカー
「さて、色々ふわっとしたタイプの会議を始める、なんせ俺自身、こんな世界になる前はただのブラックなタイプの平社員だったもので、厳粛な会議の仕方が分からない。既に死んだであろう上司の会議が苦痛すぎて思い出すだけで頭痛がする。故、ゆるっと会議を執り行う」
「と、言うわけで今回の議題はこちら」
ででどん!
議題その一《喋るジェテリア、シラネとその裏にいるであろう存在》
議題その二《巨大モール、イオソ内のジェテリアの掃討作戦会議》
議題その三《医師による全身ギアの人間の今分かっている特性》
「ではまず、議題その一について、ナビちゃん、まず概要を頼む」
『はい!』
テーブル中心のスピーカーから可愛らしい声、ナビちゃんの声か
「まず、この議題でコアになるのが[クラスG強のジェテリア:シラネ]です」
あの黒いドレスの女、正直俺一人ではすぐに死んでいたであろう。
それほどまでに凄まじい力の差、俺、タケル、雪城はそれぞれ、その力を直に浴びたのだ
『彼女が自称するのは、《虚飾の子》、わたしと理人さんは彼女が暴食と言われるクラスEジェテリア、グーラのことを認知している。ということが問題です』
そうグーラについて、ナビちゃんが言及すると、会議室に驚きの声が響く
「そして、グーラという名前そのもの、暴食という異名、その二つも我々人間が決めた名前だ。それすらも知られている」
燐とした声、試験で聞いた声、長身眼帯の女性、葉月朱音である
それも疑問の一つ、なのだろう―――
声が良い、とても。でも確かに、なぜ知られている?
あっ、そうだ、バッ、と俺は挙手をする
「あと、シラネは俺のことを”ソノコ”と呼んでいました」
「それに関しては手掛かりが一切無い」
「ですよねぇ」
うん、全くわからん!
「あと喋るジェテリアというのも前例がないはずですよね」
雪城の疑問の声
『基地壱号のデータベースを調べてみても、そういった存在の記録はないですねぇ』
ナビの返答に全員がうーん、と頭を悩ます
「直接仕留めた俺からも一つ、シラネの裏にいる存在『虚飾』についてだが、ソイツはシラネに力を与えていた。クラスGが俺の攻撃を対処出来るレベルに短期的に強化していた。」
「シラネが『暴食』を認識していたことからおそらくその『虚飾』は『暴食』と関係がある」
なるほどなぁ、強力なジェテリア間の横の繋がり……
「話が変わるが、『暴食』が出没した跡地には大量のジェテリアが存在する。その中にほぼ必ず俺や葉月などの手練が対処しなければならないほどの強い個体がいるんだ」
「えぇ!?風雅さんがでなきょ行けないほどってクラスTとかじゃ!?」
驚きの声、風雅の戦闘を間近で見たタケルの声だった
「そうだな、だいたいクラスTだ。それらを俺達は《暴食の残り香》と呼んでいた。だが、これを機に《暴食の子》と呼称しようと思う、異議は?」
異議なし!と全員が口を揃える
関西弁の男、秋川和真が口を開く
「なら、さしずめ、暴食虚飾ときて『八つの枢要罪』か、七つの大罪はありがちやけどこっちは珍しいなぁ。虚飾の子、暴食の子、合わせて、〈大罪の子〉ちゅう感じか?」
それ良いな、すごくぽい
「異議なし!」
俺はそう叫んだ。
視線が集まる。
「あっ、いやその」
キョドキョドと
「あっはっは!元気でええわ、総称して〈大罪の子〉でええかなぁ?風雅さん」
そう問われた風雅ははははとと笑い
「いいぜ、じゃあ次の議題の移ろうか、ナビちゃん、よろしく」
議題その二《巨大モール、イオソ内のジェテリアの掃討作戦会議》
『はい!巨大モール、イオソに蔓延るジェテリアを掃討する作戦なのですがクラスGが複数体、シラネとは別に存在しました』
『その中でも最も強力だったのは巨大時計型ジェテリアです。その推定動力量はシラネと並びます』
あれと同等のヤベェのがいるのか…
『この個体の対処は葉月さん、お願いします』
「了解した」
『それさえ対処すればあとは流れで行けるかと』
そんな簡単に行けるか?いや、まて、今日、目覚めたときに流れてきた情報…シラネからのメッセージ
思い出そうとする、それを阻止するような耳鳴りと頭痛、頭が割れるように痛い。だが情報を無理やり引っ張り出す
<ソノコよ…あなたはまた…此処に来ることになります。リーヴィズ・カンターレ、彼女の情報を知りたければこのモールを落とす時、虚飾の子と会うことです。その時は、わたくしかもしれませんし、わたくしではないかもしれません。まあ、そんな事貴方には関係ありませんか>
俺は静かにだが、聞き逃すことは出来ないことを言う
「虚飾の子とはもう一度相対することになる……」
「え?」
困惑の声が何処かから
「メッセージを受け取ったのか?詳しく話せ」
風雅さんからの命令
「はい、まず、俺にはリーヴィズ・カンターレという幼馴染がいます。侵略対策部に入ったのはこの幼馴染を探すことが目的です。そして、今話し合っているモール掃討作戦中に虚飾の子に会うことができればこの幼馴染について話しましょう、という内容です」
風雅と葉月は軽く思案し
「ふむ、その情報が正しければあのモール内に虚飾の子とまた相対することになるのか」
「最悪の最悪を元から想定してある。その程度構わん」
と部長、副部長は語る。
「幼馴染、そんな事情が、ならああいうヤベーのにも勝てるくらいに強くならないとな!」
「…特訓、と行きましょう」
と、友人衆は言う
「うんうん、こんなにも友達に恵まれてオレは嬉しいで!」
と医者
誰目線だこの医者
「話を戻して、部隊はここにいる葉月、尾河、雪城、新島は作戦にさかしてもらおうと思うのだが、どうだ?」
「大丈夫です、任せてください!」
俺がそう言うのと同時に他三人の同意の声
会議は次の議題に移る
「さて、次の議題、秋川、任せた」
「了解、ほなここからは、オレ、秋川和真が担当させてもらうで」
秋川は立ち上がる
議題その三《医師による全身ギアの人間の今分かっている特性》
秋川はオレの方に歩いてくる
「パッパと行くで、まず、青年、尾河理人、驚くことに全身がギアで構成されている」
「今回のことで常人だったら余裕で死んでいるのような損傷を受けても立っていられたのはそのためや」
秋川は雪城とタケルに視線を向け、その後俺に向かって語りかける
「なぁ、この子らはな、改めてあんたの怪我見た時、とんでもない顔してたんやで?」
「ま、その後、レンガとかくっつけて治したの見て、これまた、えげつない顔しとったんやがな」
そうだったのか…心配をかけてしまっただろうか
そう思いながら二人の顔を覗き見るとなんとなく顔が赤くなってる
「ここからは数字の話になるんやけど、まずギアが扱える動力量、これがなんと風雅部長と同等。それも成長途中の今の段階でや」
驚愕の声が会議室を覆う
てか、あのー
「すみません、動力ってなんですか?」
まずそこから話して欲しい、猿でも分かるように
「あれ?教えてなかったけ?」
と医者は供述している
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