藤丸立香が東方ロストワードの主人公だった概念ss 作:ライシャ
「この封結晶を開ければあなたは幻想郷に来る前の時間の元の世界に帰れるわ」
「気をつけてね!」「今まで楽しかった!」「寂しくなるな・・・」「元の世界でも元気でね!」
「ふふっ、相変わらず人気者ね。まあ私もとやかくいえないのだけれど。・・・本当にありがとう。本来ならここには無関係なあなたを巻き込んでしまった。でもね、じつを言うとこの出会いをもたらしてくれたロストワード異変に、少しだけ感謝している自分がいるの。不謹慎だけどね」
「さようなら、そしてありがとう———藤丸立香。幻想郷を救ってくれた人間にして、私たちの大切な友人」
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ゴトッ
立香「んあ?」
マイルームにて立香は何かが落ちる音で目を覚ます。 どうやら読書中にうたた寝している途中に本が手元から落ちたようだ。
立香「ふあ~あ・・・。久しぶりに懐かしい夢を見たな・・・」
ダ・ウィンチ『藤丸くん!新たに聖杯の反応を確認した!至急司令室に来てくれ!』
久しぶりにカルデアに来る前の出来事の夢を見て懐かしさに浸る間もなく、ダ・ウィンチからの連絡ですぐさま特異点に赴くための礼装に着替え司令室に向かった。 ──────────────── 立香「みんなお待たせ!」
立香が司令室に来るとダ・ウィンチ、ゴルドルフ、シオン、マシュ、そしてカルデアスタッフのみんなが待っていた。
マシュ「お待ちしていました先輩」 ダ・ウィンチ「来たね藤丸くん。今回聖杯の反応があったのは明治時代の1885年だ」
シオン「そして気になる今回の同行メンバーはこの方々です!」
シオンがそう高らかに言うと6名のサーヴァントが入室してきた。
小次郎「日ノ本のにて拙者が呼ばれようとは」
一振りで同時に三つの斬撃を放つ剣技の使い手、佐々木小次郎。
金時「任せな大将!オレっちたちがゴールデンに力になるぜ!」
平安にて幾度となく妖魔を打倒してきたまさかり担いだゴールデン、坂田金時
清姫「ふふふふっ、マスターのためならこの清姫、たとえ水の中火の中溶岩の中特異点の中です♡」
愛に燃えるストーキングバーサーカー、清姫。
阿国「この阿国、お得意の阿国歌舞伎を特異点でもドドーンと咲かせて魅せましょう!」
斬ザブロー「ザンッ!」
魔を退ける巫女にして歌舞伎の申し子、出雲阿国とその従者である絡繰り武者の斬ザブロー。
道満「ンンンッ!此度の特異点にて拙僧の術が火を噴きますぞ!」
妖魔がばっこする時代に悪として名を遺した陰陽師、蘆屋道満
伊織「まさか小次郎殿と同行することになるとは思わなかったな。だが呼ばれたからにはマスターの力になろう」 とある並行世界の聖杯戦争の元マスターにして凄まじい二刀流の侍、宮本伊織。
マシュ「私、マシュ・キリエライトも不肖ながら今回の特異点で先輩たちとともに聖杯回収に向かいます!」
そしてつい先日、シールダークラスからパラディーンクラスへとなったカルデアの聖騎士、マシュ・キリエライト。
ダ・ウィンチ「いやー、見事にマシュを除いたメンバー全員が日本出身だね」
ゴルドルフ「やはり同じ国の出身だから相性がいいのか?とはいえ十分に警戒して行きなさいよ」
立香「はい!」
ゴルドルフの忠告を受けながら立香はコフィンに入り準備は整った。
ダ・ウィンチ「それじゃあレイシフト開始!」
次なる舞台は、明治の日本——— のはずだった。
ビー!ビー!ビー!
シルビア「機器に異常発生!レイシフト先の情報が書き換えられ・・・いえ、偽造されていたもよう!」
ゴルドルフ「なにぃ!?即刻レイシフトの中止を!」
トマリン「駄目です!間に合いません!」
レイシフト先が偽造されていたという前代未聞の事態に、ゴルドルフは素早くレイシフト中止の指示を出すが一足遅くレイシフトは完了してしまった。 ダ・ウィンチ「いったいどこに飛ばされたのか分かるかい!?」
カワタ「時代に大きな変化はありませんが座標は大きく外れマスター藤丸立香とマシュ・キリエライト以外は高確率でそれぞれ別の場所に飛ばされることが懸念されます!」
ムニエル「しかもなんだこりゃ!?神秘濃度だけでいったら偽造された情報のものとは比べようもないくらい高いぞ!?下手したら神代に匹敵するレベルだ!」
ダ・ウィンチ「こちらからの連絡は!?」
セレシェイラ「駄目!連絡どころが通信も出来ない!」
ゴルドルフ「さっそく厄介なことになったな・・・」
シオン「そこまで大きな反応でないと安心していましたがまさか情報偽造ときましたか」
ダ・ウィンチ「とはいえ、今の我々に出来るのは藤丸くんたちの無事を祈りながら観測を続けるだけだ。無事でいてくれよ、藤丸くんにマシュ・・・」 ダ・ウィンチによる指示とカルデアスタッフによる報告が飛び交う中、カルデアにいる者はレイシフトした立香とマシュ、そして同行したサーヴァントたちが無事にカルデアへ帰ってくるのを祈りながら自身が出来ることに専念する。
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一方カルデアでそんな騒動が起きているとも知らない立香は・・・。
立香「えっ」
青空広がり大地なき空中へと放り出されていた。
ビュンッ!
立香「うわあぁぁぁ!?」
重力に従いながら落下していく立香。
だが空中レイシフトになれていた彼はすぐさまこの状況を打開するための行動をとろうとする。
立香「誰かいる!?」
マシュ「大丈夫ですか先輩!」
マシュの存在を確認した立香は慣れた様子でマシュに声をかけようとする。 立香「マシュ、着地を――」
だが次の瞬間、二人は突如現れた紅白と白黒の人影に受け止められると立香とマシュを優しく地面へ降ろした。
マシュ「あ、ありがとうございます!」
マシュは唐突に現れ自分たちを地上へと降ろしてくれた人影――二人の少女にお礼を言った。
紅白の少女は大きな赤きなリボンを黒髪に付け赤を基調とした巫女服を着ており、白黒の少女は大きな白いリボンが付いたつばが大きい三角帽、黒い服に白いエプロン、そして箒といったいかにも魔女らしい服装をしていた。
そんな二人は立香のほうを向くと絞り出すように声を出した。
「なんで———元の世界に帰ったアンタがここに・・・」
「本当に———立香なのか?」
二人の少女の問いに立香は周りの綺麗な景色やすぐ近くにある神社を見渡すと言葉を紡ぎ出した。
立香「霊夢、魔理沙。二人がいるってことは――ここは幻想郷なんだね」
マシュ「先輩はこの場所とこの方々をご存じなんですか?」
立香「うん。俺がカルデアに来る前に———」
「立香さーん!!」
立香「ぐえっ!?」
マシュ「先輩!?」
ズシャァ!
マシュの言葉に立香はそれに応えようと語りだそうとするも、何者かが思いっきり突っ込んできてそれは遮られた。
立香「あはは・・・。相変わらずだね、あうん」
あうん「はい!お久しぶりです立香さん!どうして幻想郷に!?」
腰下まで伸ばした緑色のカールの髪形に赤いアロハシャツと短パン、そして特徴的な額の角と狛犬のような耳のあうんと呼ばれた少女は、よほど嬉しいのか尻尾を千切れんばかりの勢いで振りながら立香に跨っていた。
ヒョイ
霊夢「はいはい取り合えず落ち着きなさい」
あうん「クゥーン」
紅白の少女———霊夢はあうんをつまみ上げ立香から引きはがすと白黒の少女———魔理沙とともに神社へ入って行った。
霊夢「立香、アンタが幻想郷に来たってことはまたなんか大きな異変か何かが起きてるんでしょうけど、取り合えずそこの盾を持った子」
マシュ「マシュ・キリエライトといいます」
霊夢「マシュって子と博麗神社の中でそっち側の事情を話しなさい。お茶くらいは出すわ」
魔理沙「せっかくの立香との再会なのになにか菓子くらいないのかよー」
霊夢「うるさいわね。・・・せんべいくらいしかないわよ」
こうして藤丸立香と幻想郷。
星見の旅路より前に紡がれし、失われた言葉を探す物語での縁が時代───否、世界を越えて今再び結びつく。