私、ゼータは好奇心が旺盛なタイプだ。
カロス地方のミアレシティに生まれた私は、物心ついたころから世界を見てみたいという憧れがあった。目指すはポケモントレーナー。だがしかし、ポケモントレーナーになるには15歳まで待つ必要があった。
どうしてもトレーナーになりたかった私は耐えた。ひたすら、15の年齢になるまで。それまでに、トレーナーとして必要な知識だけを頭に詰め込んだ。
そして15歳。私は外へと旅出していった。
ジムめぐりとかはせず、ただひたすら世界を見て回る旅人。カントー地方、ジョウト地方、ホウエン地方、シンオウ地方、イッシュ地方、アローラ地方、ガラル地方、パルデア地方と、結構な旅をしてきた。
今現在、私の生まれ故郷であるカロスのミアレシティに戻ってきているんだが……。
「なにこの、ミアレ……」
私の実家があった場所になんと緑色のホログラムでできた壁が設置されている。ゲートらしきものもあり、⑰と描かれていた。
その先にはたくさんのポケモンの姿が見える。誰かに使役されてるわけでもない、見るからに野生として生きているポケモンの姿。
「ちょ、ロトム! なんでこうなってるかわかる!?」
「んーと、5年前にフレア団って呼ばれる組織が最終兵器を撃っちゃって、ミアレとかから人が離れていったらしいロト! で、その影響か街に野生のポケモンが集まるようになってワイルドゾーンとして野生のポケモンとの共存を謳っているらしいロト!」
「なんだよそれ……。私が旅している間に私の家がワイルドゾーンってやつになったのか……?」
え、じゃあ帰る家ないじゃん。
中にはものすごいデカいカエンジシがいるし、見るからに警戒している。近づいていたら死にそう……。
「……ロトム、ここら近くにいいホテルない?」
「んーと、超巨大なおじいさんが経営しているホテルZというホテルがあるらしいロト!」
「そこでいっか……。しばらくはホテル暮らしかなぁ。父さんと母さんは中にいるかもしれないけど……。とりあえずロトム、ホテルZまでのナビお願い」
「了解ロト!」
私はロトムについていく。
すると、割と古めかしいホテルにたどり着いた。
「……これちゃんと営業してんの? 潰れた廃ホテルとかじゃないの? ゴースとか住み着いていたりしない?」
「一応営業しているらしいロト」
「……ま、あまり期待はしないでいきましょか」
私は扉を開ける。
「こらガイーーーー! あんたどこほっつき歩いて……」
入った途端、ものすごい怒声で怒られた。
「えっ?」
「あっ、ガイじゃない? だ、誰?」
「誰って……」
「……もしかしてお客さん?」
「い、一応?」
「マジーーーー!? AZさん! お客さんだって! 今度はサビ組じゃない人!」
白い帽子をかぶった女の子が奥のフロントの椅子に腰を掛けている長身の男の人に話しかけていた。
「あー、えっと、いらっしゃいませ! ホテルZへようこそ!」
「ど、ども」
「宿泊ですか?」
「あ、は、はい。しばらく宿泊させていただきたく」
「そうですかそうですか。ではここにお名前を~」
と、宿泊者の名前を描く紙を渡される。
その時、扉がまた開かれる。今度は若い男の子のようだった。
「ただまー……っと。誰?」
「誰じゃないわ! お客さん!」
「……お客さん!? ようこそいらっしゃいませホテルZへ。宿泊ですか?」
「そのくだりもうやった」
「そうか? やらせちまって悪いな! ゼータさん……。AZさん、部屋の鍵いいですか?」
「うむ。206号室を使うといい」
鍵を渡される。
奥の古びたエレベーターで二階に上がればいいらしい。なんというか、お客さんが来たことに驚いていたからマジでお客さん来てないんだろうな……。
まぁいい。ホテルの値段も格安だったし、次の目標地方が見つかるまではここに泊まっていこう。
私は部屋に荷物を置き、鍵を閉めてフロントのほうへ向かう。
フロントの椅子にはさっきの子供たちが座っていた。
「浮かれすぎですよ。お客さんは確かに珍しいですが」
「ウチを選ぶなんて結構なもの好きだねー」
「なんだよそれ。俺の動画を見てくれたんだろ?」
「あのような動画に広告力とかあるとは思えませんけどね。噂をすれば先ほどの人が」
「外出ですか?」
「まぁ、はい」
「そうですか。……ところでお客様はミアレのお方ではありませんね?」
「生まれはミアレだけどここしばらくは離れてたからそうじゃないともいえるかも?」
「では、今のミアレのことは知らない、と」
「まぁ、そうなるかな……。ここに泊まることになったのも私の実家がワイルドゾーンってやつのなかになっちゃったからだし」
「それはそれは災難で……」
これって災難で済ませていいのだろうか。
「では、ZAロワイヤルのことはご存じで?」
「なにそれ」
「夜に行われる……バトル大会?」
「……バトルすんの?」
「ポケモントレーナーじゃないなら参加しなくてもよいのですが……」
「トレーナーだけどさ……」
「ならやりましょう! あなたはとても強そうです!」
「ZAロワイヤルに参加するロト?」
「……まぁ、バトルは嫌いじゃないし、金稼げるならやるか」
「ならバトルカード用の写真撮りましょ!」
と、あれよあれよというまにZAロワイヤルとなるものに参加することになったのだった。