ZAロワイヤルで野良トレーナーとの戦闘を繰り返す。
ZからAまでは果てしなき道である。なんのためにこのようなイベントをしているのかはさっぱりだが……。叶えられる範囲で願いを叶えてもらえるというのは大きい。
ミアレに戻ってきた理由が、旅費が底をついたというのも一つだった。各地方でバトルをして金を貯めては使っていたものの、それだと限りがあるし、私も負けることがある。ポケモンバトルのルールとして、勝ったら相手からお金をもらい、負けたら相手にお金を支払わねばならないルール。
一度ミアレに戻って真面目に働いて軍資金を貯めるつもりだった。
軍資金、ロワイヤルでAランクになればもらえるだろう。
「そろそろランクアップチケットが手に入るかな……」
スマホロトムを起動し、ZAロワイヤルアプリで確認。
だがしかし、そこからの記憶がなくなってしまったのだった。
目を覚ますと、なにやら高級そうなソファに私は寝かせられていた。
「あ、あれ? ここは?」
「ここはサビ組の事務所や、嬢ちゃん」
「えっ、あっ、どちら様?」
「オレか? オレはカラスバっちゅうんや」
「私はジプソと申します」
「あ、これはどうもご丁寧に……。私はゼータです……。と、カラスバさん、ジプソさん、ここはサビ組?の事務所って言いましたけど、なんでここに私はいるんですか? ロワイヤルに参加していた気がしたんですが……」
「あんたのポケモンが倒れてるあんたを運んでおってな。オレも戦おうとしたんやけど、それどころじゃあらへんかったわ」
「なんで倒れてたんだろ……」
身体を起こすと、腹部に強烈な痛みが迸った。
腹部には包帯が巻かれており、血がジンワリと滲んでいる。
「ポケモンに腹部を貫かれたんや。傷口からしてスピアー……。毒にも侵されとった」
「スピアーに……? でもなぜ? ロワイヤル中には野生のポケモンは入ってこれないはずでは……」
「ロワイヤルには悪質なプレイヤーもおる。それこそ、トレーナーに攻撃して戦闘不能にするバカモンがな……。規約違反やねんけどな」
その規約違反プレイヤーに襲撃されたってわけか。
一歩間違えていたら死んでいた……。そう聞くと少しゾッとしてしまう。
「そうですか……。あなたたちが助けてくれたんですね。ありがとうございます」
「ええねんええねん。それよりも、や」
「はい?」
「あんた手持ち1匹だけで挑んでおったんか? ロワイヤルに」
「えっ? そんなわけ……あれ、1匹しかいない!?」
「やはりな。今、凶悪なポケモンに襲われてる男性がいるっちゅう情報があんねん。そのポケモン、おまえさんのやないか?」
「た、多分……」
「きょーさん被害も出とるらしいわ」
「…………」
や、やばい。
なんだかこの人は怖い威圧感を放ってきている。鎮めてくれるよなと言わんばかりの圧。
「や、やります……」
「おぉ、そうか。オレもミアレが壊されてくのは嫌やからのぅ……」
「私のポケモンたちがすいません……」
「いや、あんたは悪くあらへんわな。あんたを守ろうとあんたのポケモンが復讐みたいなもんをしようとしてるのはわかっとる。オレらもあんたは被害者やってのは承知の上や。手伝ってくれへんか? あんたのポケモンが追っている男に興味があるんや」
「は、はい」
私は思わず背筋を伸ばす。
腹部にまだ痛みが残っている。
「っつぅーー……」
「ジプソ、いくで。この怪我じゃ歩くのも一苦労や。おぶっていき」
「了解です。ゼータさん、私で申し訳ありませんが」
「い、いえ……」
私はジプソさんの背中におぶられる。
ガタイがいいジプソさんの背中はとても温かみのある背中だった。