不死人はキヴォトスでも人間性を捧げるようです 作:闇霊人食い埴輪
これからも不定期で投稿していくため、暇な時にでもお読みくだされば幸いです。
ということで、今日からしばらくアビドス高校で過ごす不死人くんだよ〜。皆、仲良くしてあげてね。」
挨拶もそこそこにそう言い放ったホシノに対して、最も非難の態度を顕にしたのは黒い猫の耳を持った少女だった。
「ふざけないで先輩!ただでさえシャーレの先生だなんてよく分からない大人に頼ってるのに、それに加えて鎧を着た変な人なんてどうして連れてくるのよ!」
「そんなこと言われても、この人食料も飲み物も無くて遭難しかけてたからさ〜。それとも、セリカちゃんは外の世界から来た人を見捨てるって言うのかな〜?おじさんセリカちゃんをそんな風に育てた覚えは無いんだけど……不良になっちゃったのかな、おじさん悲しいよ〜。」
そう言ってホシノは嘘泣きをしてみる。
セリカも流石に砂漠に放り出す訳にはいかず、
「しょ、しょうがないわね!落ち着き先が見つかるまでだからね!」
と渋々ながらも承諾してくれた。
「それにこの人割と強いみたいだからさ、学校を守るのを手伝って貰おうかな〜って思ってさ。」
「わぁ☆それは心強いですね〜」
「ん、入学試験をしてあげよう。」
「シ、シロコちゃん落ち着いてください!不死人さん、よろしくお願いしますね……」
薄い栗色の髪をした少女、白色の狼耳を持った少女、眼鏡を掛け尖った耳をした少女が楽しそうに話し出す。
「そんじゃ、不死人くんも自己紹介をどーぞ。」
「不死人だ。好きに呼んでくれて構わない。それから、シロコと言ったか?無為に血を流したくは無いが、戦いなら何時でも来い。」
「ん!!!!じゃあ体育館に……」
「2人とも落ち着いてください!」
尖った耳の少女の一声により2人は姿勢を正す。
そうしなければいけないと感じさせる威圧感があった。
「とりあえず、私たちの自己紹介をしましょう。私は奥空アヤネ、皆のオペレーターをしています。」
「十六夜ノノミです、よろしくお願いしますね〜☆」
「ん、砂狼シロコ。よろしく。」
「あとは外部顧問の先生がいるんだけど、今シャーレのお仕事でここにいないんだよね〜。同じ部屋だからいつか会うだろうし、その時にでも挨拶しといて〜。」
「あぁ、委細了解した。」
自己紹介を一通り済ませたところでホシノが、
「それじゃ、不死人くんの歓迎会に行こっか!」と言った。
「昨日に続いてまた芝関ラーメンですか?それもう先輩が食べたいだけじゃ……」
「うへ〜、なんの事かな〜?不死人くんもラーメン食べたいでしょ?」
「すまない、ラーメンとはなんだろうか……?」
その言葉にアビドス対策委員会全員が驚愕した。ホシノが尋ねる。
「ふ、不死人くんって外の世界だと何食べてたのかな〜?」
「食事か……基本は草とたまごくだしだな。なにぶん食事を取らずとも何とかなったからな。娯楽として食事を楽しんだことは無い。」
「そ、そっか……ラーメンってのはね、すっごい美味しい食べ物なんだよ!」
ホシノは少し声を落としたようだったが、直ぐに気を取り直してそう言った。
「これは不死人くんにラーメンの美味しさを知って貰わないとだね〜。」
「そうですね。シャーレの弾薬のお陰で予算も節約できていますし。」
「丁度お昼どきだし、ナイスタイミングですね〜☆」
その勢いに押されたのとラーメンという謎の食べ物に興味が湧いた事もあり、不死人は歓迎会に参加することにした。
「よう、嬢ちゃんたち!それと、そこで縮こまってる兄ちゃんは大丈夫か……?」
「あっ、柴大将。この人はしばらくアビドスで暮らす不死人さんで……てか不死人さんはなんで震えてるのさ。」
「犬だぞ!逆に何故貴女達は平然と話せる?」
「キヴォトスだとそういうものなのよ!私たちにも動物の耳はあるじゃない」
「ふむ、それもそうだ。済まない、私の世界では犬は恐るべき戦闘力と凶暴性を持っていてな……許してくれ」
「なぁに、気にすんな!それで、皆注文はどうする?」
「私は芝関ラーメンでお願いします。」
「それじゃ、おじさん達もそれにしようかな。不死人くんはどうする?」
どうやらラーメンとやらには種類があるようだ。彼女達と同じものを選ぶのが吉だろう。
「私も芝関ラーメンとやらを頼む。」
「あいよ!芝関ラーメン6人前!」
そう景気よく言うと大将は手際よく鍋で麺を茹で、スープを調合した。最も、不死人には何をしているかは分からなかったのだが。
それから少し程あと、不死人がシャーレの先生について聞いているとラーメンが運ばれてきた。
「「「「「いただきます」」」」」対策委員会の面々がそう言って手を合わせるのを見て、不死人も同じように手を合わせる。
(ジェスチャー いただきます を獲得しました)
対策委員会の皆は2本の棒を手に食べ始める。
不死人も真似をするが上手く使えず、取り落としてしまった。
「大丈夫かい、兄ちゃん?フォークなら幾分かマシだと思うぜ。そうそう、そうやって巻いて食べるんだ。」
「すまんな、大将とやら。」
そう言って不死人は芝関ラーメンを口に運ぶ。
1口、そしてゆっくりともう1口食べたあと不死人は
「あぁ、食事というのはこれほどまでに素晴らしかったのだな。」
と呟いた。見ると目からは涙が溢れている。
「お、おい兄ちゃん!大丈夫か?!」
「すまない、大将のラーメンが美味かったからついな。」
そう言いながらもラーメンをフォークに巻き付けては口に運んでいる。
「そうか……うちで良かったらまた来てくれよ、何時でも待ってるからな!」
「本当にありがとう……いい犬も居たのだな、この世界には。」
食事を済ませ、会計をノノミに払ってもらい店を出た。
「そういえば不死人さん、お箸の使い方も知らないってことは本当に外の世界から来たんですね……」
「あぁ、私からすればあのような棒2本で食事ができることが驚きだ。」
そんな事を話しながら歩いていると、アビドス高校に到着した。
スーツを着た中肉中背の男性がこちらに気づいたようで足早に歩いてくる。
「皆、ごめんね。シャーレの仕事が遅れて。そっちの人が……?」
「そうそう。この人が不死人さん。訳あってアビドスで暫く暮らす事になったんだよね。」
「不死人だ。よろしく頼む。」
「私はシャーレの先生だよ。こちらこそよろしく。」
この世界に来てから何度目かの簡略化された挨拶を済ませると、おもむろに先生が左手を差し出してきた。
戸惑っている不死人に先生は続ける。
「君がヘルメット団の皆を助けてくれたって聞いたよ。ありがとう。」
「それはいささか私を過大評価しすぎだな。私は聖人君子でも正義の味方でも無い。あの少女達に恩を売るだけの理由があり、生き残れるだけの力もあった。それだけだ。」
「どんな理由があったとしても、君は私が救えなかった生徒の味方だった。それは事実だよ。ありがとう。」
「そうか……ならば素直に受けとって置こう。」
そう言って不死人は先生の手を取った。
「クックックッ……どうやら役者は揃ったようですね。奇跡の担い手足る先生と、生徒たちとは全く異なる神秘を持つ不死人……楽しませていただきましょうか。」
ということで日常回でした。
ノノミのエミュレートが下手な初心者先生は私です
次話もゆっくりお待ちくださると幸いです。