パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
法螺貝の音が通路内に響き渡った。
指向性のある音波である。
絡めとられているクーを避けて音の衝撃が蛇たちを襲う。
多量の蛇たちは
「もー怒ったわよ、私! 覚悟しなさい!」
そして
怒りに燃えるその姿は、まるでこん棒を持った鬼のよう。
「クーちゃんを……返しなさーーーーーーーーーーーい!!!!」
法螺貝のこん棒を持った
襲い掛かってくる蛇たち、その一匹一匹を法螺貝で叩き落していく。
「この! こんの! このこのこの!」
数十、数百の蛇たちが
「あはは、お姉さま、やっぱりすごいねー」
「めちゃくちゃだな……。あの蛇のモンスターを物理でやるつもりか……?」
トメも呟く。
虹子が今度は
いやがるアルフスを押さえつけ、
「ほら、これ食べるの! いっぱい食べて!」
あまりの酸っぱさに、鳥のくせに涙を流していやいやするアルフス、無情にもそのクチバシの中へつっこまれまくる梅干し。
それを見て虹子はまた笑った。
ああ、いつもの大騒ぎだなあ。
そこへころころと氷の球体が転がってきて、虹子のそばでポン! と音をたてて割れた。
中から出てきたつららが、あたりをキョロキョロと誰かを探しているようだ。
「トメお姉さんは? ……あ、いた。バスタオル一枚……えっちだねえ……」
「あの……あなた、誰?」
虹子がつららに聞いた。
「私? 私はね、つらら。つららはね、あのトメお姉さんの弟子……みたいなもんなんだよ」
「え、ちょっと待って、あなた、私とどこかで会ってない?」
「そうだっけ?」
「うん。えーとどこだっけなあ……」
そこにトメが近づいてきた。
トメの身体はもうほとんど完治していた。
バスタオル一枚で身体を隠すトメの肌は、つららほどではないにせよ、白くてキメが細かい。
胸のあたりにチラリと覗く呪いの刻印はそのままだった。
トメは虹子に言う。
「それには事情があるんだ。私は虹子に謝らなければならないことがある。ずっと黙ってたんだ……。それは、」
と、その時。
「お姉さま!」
虹子が叫ぶのと、
蛇がからめとっていたクーが、空中から落ちてくる。
「クーちゃん、大丈夫!? まだ息はある……。梅干し食べれば元気になるから! 梅干し好きでしょ、クーちゃん!」
クーは目をつぶったままぐったりとしていたが、
「好き嫌いは駄目よ。じゃ、
そして
「にゃおおお!?」
ぶん投げられたクーは翼を広げる間もなく
「クーちゃんも梅干し!」
いやいやをするクーのくちばしに無理やり梅干しを突っ込み始めた。
「さあて、お仕置きの時間よ……」
コーポ・デ・スキュリの身体からは、新たな蛇が次々と生えてきている。
だが、その全力の攻撃をすべて
しかしもちろん、
大切な友達をこんなひどい目にあわされたのだ。
それ相応の報いは受けるべきだと
「
そして不動明王の真言を唱えた。
「ソワタヤ ウンタラタ カンマン!!」
さらに叫ぶ。
「南無俱利伽羅龍王! 不動明王様がお持ちなる剣の力を与えたまえ!」
倶利伽羅龍王とは不動明王が持つとされる、邪を斬る大剣のことである。
とたんに、
刀身の長さ3メートルの、炎をまとった剣が、
「ム……ゴ……ゴ……」
全身から大蛇の生えた人型のモンスター、コーポ・デ・スキュリは明らかに恐れの色を見せ、
それを許すほど
ほんの数秒でコーポ・デ・スキュラの間近まで接近する。
「地獄で反省しなさーーーーーーーい!」
一瞬であった。
コーポ・デ・スキュリの身体はまっぷったつに割れ、紫色の血しぶきをあげながら、あっさりと地面に倒れた。
蛇たちの目からも光が消えた。
もはやその生命活動を停止してただの死体となっていた。
「すっごーーーーーい!」
ヤミがパチパチと拍手をしている。
「虹子さん! 足! 足を!」
そう叫んで今度は虹子の元へと走った。