パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
むしろ、そこに垣間見えるのは、やさしさですらあった。
背中から大きな白い翼が生え、宙に浮いていた。
三又の矛と盾を構え、長いウエーブのかかった茶色の髪がなびいている。
そして、
その姿を見て、
美しさと恐ろしさを同居させた、そんな圧倒的な存在感があった。
「赤ちゃん……私の赤ちゃん……今、助けてあげる……」
すかさず
「
「あなたたちも……天国へ送ってあげるわあ……」
三又の矛を振り下ろす
その先から空気を切り裂きながらまばゆい光線が発射された。
バリバリバリッ! という、鼓膜を破るかのような轟音。
それは
ものすごい衝撃が辺りに満ちた。
床は揺れ、壁や天井からパラパラと小さな石片がおちてくる。
「今度はこっちから行くよ! セーマン!」
錫杖から直径数メートルはある巨大な五芒星が無数に発射される。
「ふふふ……神の盾の前では無力……」
ドスドスドスッ! と五芒星が盾に突き刺さる。
しかし、それまでで、盾を破壊することもできずに、そのまま五芒星は空気の中へと溶けるように消えて行った。
ちらりと後方を見ると、虹子やトメがハナエを撃破したところだ。
氷でできた球体はまだ無事で、それを霊体のヤミがひっかいている。
「ねえ、
「なにかしらあ?」
「もう、やめない?」
「なにを言っているのお? 死ぬのが怖くなったのかしら? 大丈夫よ、死は救済よお。あなたの命はエシュ様の……そして私のかわいい娘のために使われる……。人類のための犠牲になるのですもの、きっとあなたは天国に行けるわあ」
「あなたの赤ちゃん……今、どこにいるの?」
「んん? 教えるわけないでしょお?」
「私は山伏よ」
「そして、あなたは……神様にかなり同化してるけど……人間だわ」
「それがなにか?」
「山伏は妖怪を退治する……でも、人間を殺しはしない……。私が本気を出しちゃったらきっとあなたは死ぬ。私は人殺しをしたくないのよ」
自分と他人を救う。
そのために修験道はある。
決して、人を殺すためにあるわけではない。
でも、今の
だから、
「私にはわからないけど……赤ちゃんを救う方法もあるかもしれない。それに……ヤッちゃんの身体に他人の魂を移すなんて、できるわけがないわ」
「できるわ! エシュ様のお力を借り、あなたたちの魂の力を使えば……!」
「いいえ! だって、あの身体はまだヤッちゃんのものだもの! 聞いて!」
「誰が敵の話を聞くってのよお? あの身体の霊的な所有権は私にあるのよお! 一度身体から離れた幽霊はもはやあの身体とは関係のない存在! それに、あなたはなにか勘違いしているようねえ……。私の赤ちゃんの魂をあの身体に移植するのに使う力は……あなたたちの魂の力だけじゃないわ……」
「は? どういうことよ」
「決まっているわあ! 私の! 私自身の魂の力も! あの子のために全部使うのよお!」
今まで感じたことのないほどの強大な霊力を全身に感じた。
「私自身も我が子に魂を捧げる! そして人類に……そして私にも……救いが訪れるのよお!!!!」