パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
縛られている、というよりも、挟まれている、と言った方が正確かもしれない。
腕や足は格子の間で拘束されており、ほとんど身動きがとれない状態にしてあった。
口は塞いでいない。
だが、
まだ諦めていない顔ね、と
そんな
さきほど
ただ、身に着けているニンジャ装束はあちこちに穴が開いている。
装束は固まって黒く変色した血で汚れていた。
トメは焼けこげてチリチリになっているショートカットの髪先をいじりながら言う。
「どうするんだ? 殺すのか?」
そんなつもりは毛頭なかったのだ。
「なに言ってるの、トメさん。殺すわけないじゃないの。私をなんだと思ってるのよ。殺人鬼じゃないのよ」
「しかし、そいつはお前を殺そうとしていたぞ? というか、私や虹子もまだ呪いの刻印が消えてないし」
「ああ、そうだったわね。じゃ、まずそれから解消しましょ。呪いの元はあの祭壇よ。祭壇を通り道にして悪い――かどうかはしらないけど、とにかく神様の力がトメさんや虹子さんに流れ込んでいるのよ」
それを聞いて虹子が顔を上げた。
虹子もハナエの針による攻撃で身体中に穴を開けられていて、今は
虹子は痛みが強いのか、眉間にシワをよせていて、そのままの表情で言った。
「あのさー、私たちをこんな目に合わせたんだから、悪い神様に決まってるでしょ。……あ、いたたた!
「はあ、はあ、はあ……」
「
「あ、はい、ごめんなさい……」
「……
「ま、まさか! でもほら、
「まじヤベーよ……お姉さま、お姉さまの妹さんはモンスターなみにやばい子に育っちゃってるよ……さっきまで自分を殺そうとしていた人が拘束されてるのを見て興奮しちゃってるよ」
「してません!」
「いたた! 緊縛を楽しむのは私を治療してからにしてもらうと嬉しいんだけど……」
「
トメが大きなため息をついた。
「そういう問題じゃないぞ……。けっこうガチでヤバいなお前の妹は……。で、私たちに呪いをかけたんだから、悪い神様じゃないのか?」
「うーん、でも神様が向こうから呪いをかけにきたわけじゃなくて、人間が――
体当たりをして祭壇を壊し、蒸留酒の入った素焼きの壺を踏み潰した。
そこでやっと
「や、やめて……あそこに赤ちゃんが……」
「コウオツヘイテイちゃん、ストーーーップ!! どこに赤ちゃんがいるって?」
「あの祭壇の……真下に、壺が埋めてあるわ……。それだけは壊さないで……」
「赤ちゃん? さっきもそんなこと言ってわね……いったいなんだってのよ……」
気を取り直して虹子の手当に集中していた
「お姉ちゃん! 刻印が消えていくよ!」
トメも自分の襟口を引っ張って覗いている。
「確かに消えていくな……。あれだけ加持祈祷してもらっても消えなかった刻印だが……。祭壇の壊し方がずいぶん雑だったが、これで私たちは死なずにすむということか?」
「うん、消えたわね。これで安心よ。あとは……
ヤミはさすがに氷の球体を壊すのは諦めたらしく、そのそばで不満げな顔をして体育座りをしていた。
ヤミは唇をへの字にして
「あのー、で、私は今どうなってるの? 牛さんたちがその祭壇を壊しちゃったら、なんか頭の中のモヤが晴れたっていうか、いろいろ思い出してきたんだけど」