パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
「……ヤッちゃん、どこまで思い出したの?」
ヤミは目を伏せた。
そして、呟くように言った。
「私の名前は……
ヤミ――いや、
虹子とトメはかける言葉もないようで、
それに対して、
「いやいや、まあ死んでるけど。死んでないよ。だって、ヤッちゃんの身体、まだそこにあるもの」
そこに、
「……身体はあっても、魂とあの死体はもう切り離されてるのよ……あの身体は私の赤ちゃんのためのものなの……」
「赤ちゃんっていったいなんなの? 誰の子ども?」
「私よ……私が、エシュさまと交わって得た、私の子ども……」
「神様との子どもってこと!? 昔話でしか聞いたことないわ……すごいことするわね……で、なんでヤッちゃんの身体が必要だったの? 産まれてきたならそのまま育てればいいじゃないの」
「……私の力が足りなかったのよお……。産まれてきてすぐに石化してしまったの……でも、魂はまだ生きている……だから、壺に入れてスライムで包んで、保管していたの……。あの子は、そこの幽霊と同じ年同じ日に産まれた……。ねえ、
それを聞いて、
「なに言ってるの! あの身体は私の! 私の身体に知らない人の魂を入れないで! 私に帰してよ!」
「それは無理よお……」
「あなたには悪いけど……あなたは死んで幽霊になった。魂と死体は分離するともう戻れないわ……。もう、何の関係もない二つの存在になるのよ……」
「あなたの赤ちゃんはもっと関係ない存在じゃない!」
「あの子は精霊様と私の子……。聖なる存在の子どもなのよお……。ただの人間のあなたとは魂の力が違うわ……。あの子なら、関係のない身体にも入れるはず……。ねえ、
「なに言ってるのお! 私、私……! あの時、
そう言うと、幽霊の
そして拘束されて床に転がっている
「この、この……! 人殺しぃ!」
そしてつま先で思い切り
とたんに
同時に、そんなことを普段やったこともない
「いたた……!」
と言ってその場にうずくまった。
「ヤッちゃん、気が済んだ? ……まあ、殺されておいてそれで済むわけないか……」
「気が済むわけないよお! お母さん……お母さん……お母さん……」
と言って大粒の涙を流して泣き始めた。
「もう、あなたは自分の身体には戻れない……。ごめんね……。私にはもう、あなたの魂が天国へいけるように祈るしかできないわ……。だから……。ね、
「ずいぶんムシのいいことをいうんだな」
トメが冷たい声でそう言った。
それはそうだろう、
自慢の長いツインテールも溶岩の熱で焼け焦げて今はぼさぼさのショートカットになっている。
「おい、
「殺さないわよ。私は
治療の終わった虹子が口を挟む。
「でもさ、こいつ、すごい数の人を殺しちゃったんでしょ? なにあの死体の山。しかもそれをつなぎ合わせてモンスターに操らせたりして……最悪。私も殺しちゃってもいいくらいの気持ちだよ」
「気持ちはわかるわよ。でもね、私は神様でも仏様でもない。人を裁くのは
聞かれて虹子もトメも
「それは……まあ言われてみればお姉さまの言う通りかも……」
「だから、この人は生きたまま地上に連れて行くわ。きっと、被害者はヤッちゃん以外にもたくさんいる……。被害者の家族のためにも、その人たちがどう殺されたのか、きっちりと取り調べしてもらいましょう」
格子でサンドイッチにされている
「いいわ……それでもいいわ。きっと私は死刑になるでしょう。それでもいい。でも、私の、私の赤ちゃんだけは……」
その言葉を無視するかのように
「ああ、そうそう、つららちゃん、もう出てきてもいいよ。その身体、ヤッちゃんに返すから」
「だから、それは無理なのよお……」
それに対して、
「何言ってるの。最初から、あなたに勝ち目はなかったのよ。だって……ヤッちゃんは、自分の身体の所有権、ずっと持ってたから」