パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
「
「うん、お姉ちゃん!」
光明真言とは、大日如来の功徳を説くものである。
大日如来とはこの宇宙に満ちるすべてのエネルギーを統べる存在。
本地垂迹説においては、それが姿を変えたものが天照大御神であるともされる。
この世を光で照らす大元、つまり太陽の象徴でもある。
仏教の宗派の一つ、密教に大きな影響を受けた修験道において、大日如来は信仰の根源にいらっしゃる仏様なのである。
「ヤッちゃん、そのペンダントをギュッと握って! 目をつむって、自分の身体に戻ることだけを考えるのよ!」
「え、う、うん……」
言われた通りに、
「行くわよ!」
そう言って、
大きく深呼吸し、自分の心臓がゆっくりと鼓動しているのを感じとった。
絶対に成功させなければならない法術である。
心の中の煩悩を振り払い、ただただ仏への想いを募らせた。
そして静かに
「……唱えたてまつる光明真言は
ジャラ、と
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン!」
とたんに、分厚い天井で覆われているはずのダンジョンに、どこからか光が差し込んできた。
「なにこれ……まるで真夏の太陽みたいな光が……」
眩しさに目を細めて虹子が言う。
「信じられん……ここは地下20階だぞ……? この日光はどこから……?」
トメも目を眇めてそう言う。
暖かい光が、
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン!」
自分の身体が熱くなってくるのが分かった。
身体の中心、丹田から発生する自分自身の熱。
さらには、天井を透過してふりそそいでくる太陽の熱。
「熱い……」
隣の
「いいわよ、うまく行ってる! もっと、もっと祈って!」
「やめて……やめてぇ! その身体は……私の……赤ちゃんのものなのよお……」
後ろから
もちろん、この身体はもともと
そんな言葉に耳を傾ける価値はなかった。
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン! オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン!」
二人の
それに伴って
「熱い……熱いよお……私が……吸い込まれそう……吸い込まれる……吸い込まれるよお……」
ここはダンジョンの通路、十字路の中心である。
そこに直射日光が差し込み、まるで炎天下にいるような熱気が満ちていた。
「なにこれ……ヤバ……あっつい……」
虹子が汗を拭う。
トメは目を細めて光の源に視線をやる。
「ものすごい魔力だ……。桁違いどころじゃないな……」
「やめてぇ……やめて……その身体は……私の娘のためのものなのお……」
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン!」
その時だった。
よりいっそう強い光が、
「あ! あ! あ! フワッってなる! 怖い! 怖い! 私が……! 吸い込まれるぅ……! 怖いっ……!」
それと同時に、タオルに覆われた
虹子とトメはその眩しさに目を開けていることすらできなくなる。
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン……」
その余韻が静かにダンジョン内に響き渡り、強烈な光がだんだんと鎮まっていく中。
編み込みツインテールが揺れる。
胸にはさっきまで霊体がもっていたはずのペンダント。
タオルを抱いたまま、裸の
「めっちゃ寒い!」