パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
次の瞬間、飛び上がるようなしょっぱさとすっぱさが全身に満ちる。
「うひぃっ! うげ、これヒーバーの梅干しじゃない! 私これ好きじゃないのに……!」
「お前も嫌いなのか」
「いやだってこれあんまりにすっぱすぎるもん……。苦手なのよね……」
「まあおかげでお前も正気に戻ったし、いいだろ」
「あ、そうだ、
「
驚いて妹に駆け寄ろうとする
「よせ……邪魔してやるな……」
「なに言ってるのよ!
「……いや、いま補充しているみたいだぞ」
「ほんとに意味わかんないんだけど」
そしてその表情はキラキラと輝いていた。
くっついた状態で毛布でぐるぐる巻きにされている虹子と
その二人がくっつきあって、もぞもぞと動いているのだ。
「寒い! 私が寒くなってきちゃったよ! そろそろほどいてぇ~」
虹子はそう言っているし、
「わ、私ももうあったまったから……あの……もういいから、もういいです」
などと言っている。
そしてそんな二人をうっとりした瞳で見つめる
「うへへへ……美人二人が……縛り上げられて……困っている顔が……うへへへへへ……」
「………………」
わが妹ながら、どうコメントしたらいいものかわからない。
「な? 大丈夫そうだろう? 邪魔してやるな」
トメはそう言うが、
「……元気なのは分かったわ、よかった。……でも、姉としては邪魔してやりたいところだけど……教育に悪そう」
★
一時間後。
「わーすごい! 似合ってる!
言われた
「え、そうかなあ? ほんとはゴスがいいんだけど……」
「ゴスも似合ってたけど、
身長150センチに満たないチビな
だが、女性としては高身長な
上衣である
その上、
とは言ってもそのぶかぶかサイズがまだ幼さを残す
「へー。いいじゃんいいじゃん。ヤッちゃん、そのまま山伏の修行する?」
「しないよ!」
「残念」
さきほどまで溶けかかっていたつららも、梅干しの効果のおかげか、今はもうすっかり回復していた。
「溶けきらなくてよかったよ。雪女にとって溶けて死ぬのは屈辱なんだよ。つらら、それだったらかき氷の方がまだいいと思うの。でも死ななくてよかった。……あの梅干しはもう二度とごめんだけど」
どうやら、雪女というのは変な矜持を持っているのね、と
ちなみに梅干しについては
「さあて、あと一つ、解決しなきゃいけないことがあったわね……」
まだ気絶している
ダンジョンの床というものは、基本的に硬い石材でできている。
しかし、その場所だけは柔らかな土になっていた。
破壊された祭壇の破片――木材の切れ端で、その部分の土を掘っていく。
カチン、と木片が何かに当たった。
今度は手で土を慎重に払っていく。
「……あった。これかな……」
土に埋められていたのは、素焼きの壺。
割らないように、ゆっくりと取り出す。
「そいつの中に
トメがそう聞く。
「らしいわね。確かに、なんらかの魂は感じるわ……」
壺にはフタがしてあった。
木製でできたそれを、
すると、壺の中に満ちていたのは青色の粘液だった。
「これは、スライムね……。スライムの粘液は霊力を遮断するわ。これで保護していたのね」
そして、中に安置されていた、
それは、石化した人間の赤子だった。