パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
「それでそれで、この
虹子は自転車トレーラーのカゴにつかまりながら、饒舌にしゃべり続けている。
「あ、お姉さま、もう少しスピード落として! 風切り音でうまく声が入らなくなっちゃう」
「はいはい……。ゆっくり行きますよっと」
なにしろ、地下20階を出発してから今は地下7階まで来ている。
四頭の牛にも自転車を牽かせているし、それに祭壇を破壊したからか、強力なモンスターが出現してこないというのも大きな要素ではあったが。
ちなみに
さすがに自転車トレーラーに五人つかまるのは狭すぎたからだ。
ちなみにつららも牛の背に乗ろうとしたが、あまりに冷たすぎて牛が嫌がったのであきらめてトレーラーにつかまっている。
だから、
そしてチラッと後ろを振り返ると、虹子がトレーラーのカゴに掴まり、カメラに向かってずっとしゃべり続けている。
反対側にはつららが捕まり、トレーラーに積んである荷物の上に
ちなみに『荷物』には光り輝く格子に挟まれて拘束されている
トレーラーに乗り込むときも、「なんだか現実感がない」としきりに言っていた。
無理もないわね、と
なにしろたった半日前まで、『死んでいた』のである。
幽霊だったのに、突然肉体をとり戻した反動で、脳の処理が追い付いていないのだろう。
それにしたって、と
早くお母さんに会わせてあげたいわね。ちゃんと家まで送り届けなきゃ。
だんだんと気が急いてきた。
虹子さんはゆっくり走れって言ってたけど、そんなこと言ってられないわ……。
「ちょっとちょっとお姉さま! 速い速い!」
後ろから虹子の上げる抗議の声が聞こえてきたが、
★
〈お、もう地下2階まできた〉
〈ニジーって話うまいよな。けっこう臨場感あふれてて〉
〈いまや登録者数が300万人超えてる〉
〈それは今回の探索で増えた分がかなりあるから〉
〈なにしろ地下20階まで潜った人間って今までにいなかったんだろ?〉
〈その前に朱雀院
〈精霊とのあいだに子供を産んだってやばすぎる話だろ〉
配信についたコメントは、読み上げソフトによって倍速で読み上げられ、
子供……あの赤ちゃん……。
石の赤ちゃん。
間違いなく、魂を持っている。
でも、その魂を入れる身体――同じ年、同じ月日に産まれた
「赤ちゃんには罪がないのにね……」
自転車のペダルを踏みながら、
地下一階へ続く階段が見えた。
「みんな! また階段だから、ガタガタ揺れるわよ! 舌を噛まないようにね!」
まず
あまりに酷使したせいで、250万円もしたダウンヒルバイクのフレームもさすがにきしみ始めている。
なんとかこの探索の終わりまで持ってくれた。
「ありがとね」
地上への出入り口まであと数分だ。
その時。
「ええ!? 嘘!? なんで!? コウオツヘイテイちゃんたち、止まって!」
それが誰なのかを確認した直後、
そして
慣性の法則に従って前方へと吹っ飛んでいく