パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件   作:羽黒楓

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第143話 おまけSS② 

 放課後の教室。

 廊下の窓を通して、西日が入ってきている。

 机を挟んで向かい合わせにすわる二人。

 羽衣(うい)と、深夜(みや)だった。

 二人とも、紺色のセーラー服を着ている。

 開け放した窓から風が吹いてきて、赤いリボンを揺らした。

 小柄な羽衣(うい)の、ふわふわな髪の毛に太陽の光があたってきらめいている。

 羽衣はうつむいて自分の指をいじっている。

 その表情は暗かった。

 深夜(みや)が心配そうな顔で聞く。

 

「で、相談って……?」

「うん、深夜(みや)、こういうことに詳しいのかなって思って……ほかの人には相談できないし」

「なにか、心配ごとでもあるの?」

 

 深夜(みや)の質問に、羽衣(うい)はコクリと頷く。

 

「あのね、明日から6月じゃん?」

「そうだね。私たちも、だんだん学校に慣れてきたよね。羽衣(うい)なんて、小学校から学校通ったことないって言ってたけど、けっこう馴染んでるじゃん」

「うん、学校は楽しいよ? でもね、……でも、明日かあ。気が重いんだ……」

「どうして?」

 

 羽衣(うい)はパッと顔をあげて、真剣な表情で言った。

 

「あのね、あの! 深夜(みや)に、教えてほしいことがあるの……」

 

 そして羽衣(うい)は、悩みを話し始めた。

 

 

     ★

 

 

 その日の夜。

 午後7時。

 もうすっかり日は暮れて、暗くなっていた。

 

 羽衣(うい)がアパートのドアを開けると、狭い6畳ワンルームの部屋の真ん中にローテーブルを置いて、姉とその友人が座っていた。

 さらには10歳くらいの女の子も正座している。

 姉――零那(れいな)は風呂上がりなのか、いつもはポニーテールにしている髪を下ろしている。

 そして羽衣の顔を見ると不満そうに、

 

「あーー! 羽衣(うい)、遅いわよ? 何度も電話かけたけど出ないし。なにしてたのよ」

「うん、ごめん、ちょっと深夜(みや)と遊んでた」

「それならそれでいいけど、電話くらいしてほしいわよ。せっかく虹子さんがごはん作ってくれたのに」

 

 ローテーブルには料理が並んでいる。

 お刺身とサラダ、それに肉じゃが。

 虹子が立ち上がって味噌汁をお椀によそいながら、

 

「羽衣(うい)ちゃん、お姉さまに心配かけちゃだめだよ。まだ16歳なんだから、夜遊びはメッ! だよ」

 

 金髪の女の子、聖華(せいか)も口をとがらせる。

 

「すごく待ったのです。おなかペコペコです。羽衣(うい)お姉ちゃんをみんなでずっとまってたのです」

 

 そして顔を上げて羽衣を見る聖華(せいか)。

 その瞬間、聖華(せいか)は目を見開いた。

 

「あれ? 羽衣(うい)お姉ちゃん、なんか変……」

 

 羽衣(うい)はとぼけて、

 

「え? なにが? 別に変じゃないでしょ」

「なんかいつもと違うです」

 

 セーラー服姿の羽衣(うい)を上から下まですみずみと見る聖華(せいか)。

 そしてその視線が羽衣(うい)の胸でピタリと止まった。

 

「羽衣(うい)お姉ちゃん……なんか……」

「ん? なにかなあ?」

「大きくなってる……」

 

 羽衣(うい)はビクッとして目を反らす。

 反射的に胸を手で隠してしまった。

 

「零那(れいな)ママ、虹子ママ! 大変です! 羽衣(うい)お姉ちゃんの胸が……でkっかくなってる!」

 

 それを聞いて零那(れいな)と虹子が同時に羽衣(うい)を見た。

 

「……ほんとだ! 羽衣(うい)、それどうしたの?」

 

 驚きの声を上げる零那(れいな)と、

 

「ははーん。そっかあ、羽衣ちゃんもついに色気づいたかー」

 

 ニヤニヤしながらそう言う虹子。

 虹子は味噌汁の入ったお椀をローテーブルに置く。

 

「深夜(みや)ちゃんでしょ? ふふふ、そういや深夜(みや)ちゃんも盛ってたしなあ」

 

 聖華(せいか)は立ち上がってピョンピョン飛び跳ねながら、

 

「羽衣(うい)お姉ちゃんが! おっぱいおっきくなったぁ!」

 

 と叫んだ。

 羽衣(うい)の顔はたちまち赤くなり、ぷいと横を向いた。

 

「え、どういうこと? 1日で成長したってこと? まさか聖華(せいか)じゃあるまいし」

 

 零那(れいな)が不思議そうな顔でそう言うが、虹子はウンウンと頷きながら、

 

「駄目だよお姉さま、こういうのはそっとしておこうよ! 羽衣(うい)ちゃんだってお姉さまみたいな胸になりたかったんでしょ!」

「えー。羽衣(うい)、それどうなってんの? 触っていい?」

 

 羽衣(うい)は顔を真っ赤にしながら、

 

「駄目! これヌーブラつけてるの! ずれたら困るから……」

「え、買ったの? あんたお小遣いをそんなことに……」

「だって! 明日から夏服なんだもん! みんなスタイルいいのに私だけペッタンコで恥ずかしかったの!」

「羽衣(うい)、そんなことにお金を使ってもったいない!」

 

 零那(れいな)の言葉に、

 

「パチンコよりマシでしょ」

「パチンコよりマシです」

 

 虹子と聖華(せいか)、二人が同時に突っ込んだ。

 零那(れいな)は反論できなくて黙り込む。

 ちなみに今日も三万円ほど負けていた。

 

「いいじゃんいいじゃん、かわいいよ! 羽衣(うい)ちゃん、ごはん食べよ! いっぱい食べて自前のおっぱいを育てようぜ!」

 

 なぜか男言葉で虹子がそう言い、聖華(せいか)は自分の完璧にまったいらな胸をさすりながら、

 

「あの……私もおっぱいほしいです」

「あんだはまだ絶対ダメ。まったくもう、羽衣はそのままでかわいいのに」

 

 虹子がポンポンと床に置いてあるクッションを叩いて、

 

「ほらほら食べよう! 聖華(せいか)ちゃんもそのうちおっきくなるでしょ! ほら座って食べて!」

 

 ところが聖華(せいか)は座ることなく、そのまま羽衣(うい)に抱き着いた。

 

「うわーい! ふかふか! ……でも零那ママとなんか感触が違う……」

「あ、ちょっと待って聖華(せいか)ちゃん! ズレた! ズレたから!」

「うわ! おっぱいがおなかに移動した!」

「やーめーてー!!」

 

 爆笑する虹子と呆れた表情の零那(れいな)。

 

 そんなこんなで、今日もとても平和な一日だった。




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