パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
「ん、なんですか?」
山形にいた頃は、男というものと触れ合ったことのない
「テレビで見た通りの超美人じゃん」
「おい、ドローンとかカメラはないか?」
「大丈夫みたいだ。こんなダンジョンの奥に女の子一人で来ちゃうとはな」
「いくら強くても俺たちAAA探索者5人相手だからな。おとなしくしたほうがいいぜ」
「ううー、俺もう我慢できねえぜ」
しかも、どういうわけか、中には女もいる。
茶髪のいかにもヤンキーっぽい女だ。
「うふふふ、高く売れそうな女じゃん……撮影しちゃうけど、金払えばデータ消してやるからさあ。わかってるよね?」
うーん、世の中には少数だがこういう悪いやつもいるのだ。
これが住宅街での出来事なら商品を押し付けて帰ればいいだけの話なのだが。
それをやるとむかつくことにバッド評価をもらっちゃうけど、まあしょうがない。
ただ、今回はこの男たちの言う通り、ダンジョンの中である。
実際、ダンジョンの中ではこういう犯罪もおこりがちではあった。
国としてもライセンスを発行して管理することで、防犯に努めて入るのだが、どうしてもすべてを防ぐことは難しい。
ダンジョンの中ではいくら大声で叫んでも誰にも聞こえないし、助けも来ない。
「うーん、大変なことになったわね……」
「ひひひひ、そうだ、大変なことになったんだぜ……」
「いや、あなたたちが……」
そう。
大声で叫んでも誰にも聞こえないし、助けも来ない。
今この状況で助けを乞うべきなのは、
絶対的弱者なのは、むしろこの半グレ探索者たちなのであった。
物心つく前から修行に明け暮れた
そのうえ、修験の術によって身体能力も常人では考えられないほど向上している。
「一応、私も修験者。人を無駄に傷つけるのは禁止されてるのね。でも身を守るくらいならOKでしょ」
そして、
「ほい!」
と男を壁に向かってぶん投げた。
「ぐわっ」
壁に叩きつけられる男、他の半グレが身構える前にすでに
一人の目の前に立つと、
「ほい!」
掌底でボディブロー。
探索者というのは基本的に、防刃チョッキやそれに準じる丈夫な格好をしている。
「ぐぅぅ……」
そのまま悶絶する男。
「な……!」
剣を抜く男たち。
一人の男が
しかし
プオン!
と短く吹く。
「ぎゃっ!?」
それだけで脳を揺らされてばたりと昏倒する男。
「な、な、な……。てめえ、ただじゃ……」
ほかの男たちが一斉に
修行で鍛え上げられた
こんな半グレの振るう剣など、洞窟の奥に巣くう妖怪たちに比べれば止まっているようなもんだった。
剣はあっさりと折れて刃が地面に転がる。
「男の人の仕事は女の子を守ることだ、って
「いてええ……!」
うずくまる男、残った男にも
「ぐうう……!」
丈夫な防刃チョッキを着ているし、大けがはしてないだろう。
たぶん。
「お姉ちゃんは怪力なんだから、人間相手には本気出しちゃだめだよ!」
と
最後に残ったのは茶髪の女。
彼女の目の前に立つ
女は攻撃魔法の詠唱を始めていたが、
「いや、あはは……うそうそ、ごめーーん」
と媚びるような笑顔を見せた。
「悪いけど、男女平等だから……」
そう言う
「ごめんて! ほら高評価入れたし! チップも5000円追加したし! ほら、ね、ね、許して?」
「うーん、5000円ですか。あざーす。じゃあ、デコピンで許したげます。あ、デコピンってこれね」
「……さらに追加で3万円いれました。昨日スロで負けちゃったからもうこれしかないです」
女の言葉に
「そういうギャンブルは身を滅ぼしますからほどほどにしたほうがいいわよ。スロットなんてインチキだし。いくらきっちり7を狙って止めても絶対揃わないし」
「いや、それはそういう仕組みで……大当たり引いてないと揃わないから」
「絶対にインチキよ! 私の動体視力を持ってしても絶対揃わないんだもの!」
「いやだからそういうシステムじゃないから……」
「私、二度とスロットコーナーに行かない。パチンココーナーだけ行くことにしたわ」
いやあインチキだと思うならそんなことする店のパチンココーナーにだって行かないほうがいい、と女は思ったがもちろん口に出さずに、
「へ、へへへ、そうすよね」
と
「じゃ、ポテト確かにお渡ししましたーあざーす!」
恐怖でへたりこんでいる女を背に、
次は、地下4階か。
時間かけすぎたから急ごうっと!
ここまではサイクリング気分だったが、時間に追われるとなると別だ。
「|臨兵闘者皆陣烈在前⦅りんぴょうとうしゃかいじんれつざぜん》!」
眼の前に現れる
大きさは二メートル四方。
その格子は自転車の前方30センチのところに固定された。
「さー飛ばして行くわよ!」