パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件   作:羽黒楓

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第31話 宝和工業製21式5.56ミリ小銃

「ええ~? 地下6階? 国も救助しにきてくれない階層だよ?」

 

 虹子が嫌そうな顔をするが、零那(れいな)は自信たっぷりの表情で、

 

「大丈夫! 私も羽衣(うい)もいるし、余裕余裕! それに、虹子さんもちょっと強い敵と戦えばもっと強くなるかもしれないし!」

 

「まじか~~」

 

〈大丈夫か?〉

〈特SSS級とSSS級がいるんだから大丈夫だろう〉

〈ニジー、気をつけてくれよ〉

〈おお~地下6階のダンジョン配信なんてレアだぞ〉

〈楽しみ!〉

 

 コメントにも押され、虹子はしぶしぶ了承した。

 

     ★

 

「地下6階に降りてきたよ~」

 

 虹子は小銃を構えながら言った。

 小銃、といっても女性の装備としては十分に大きい。

 拳銃とは比べ物にならない。

 小銃の『小』は大砲と比べると小さい、という意味なのであって、虹子のような女性が持つにはかなり大きく見える。

 いわゆる、アサルトライフルと呼ばれる型で、AKシリーズやM16みたいなやつだ。

 虹子が携えているのは宝和工業製の21式5.56ミリ小銃。

 

「それ、すっごく重そうですね……それに、強そう」

 

 羽衣(うい)が感心したように言う。

 

「えへへー、そうでしょ? 私みたいに可憐で華奢な美人が扱うには確かにちょっと重いけど」

 

〈なにが可憐だ〉

〈華奢?〉

〈スタイルいいけど華奢ってほどじゃないだろ。羽衣(うい)ちゃんのほうがよっぽど華奢〉

〈さらっと自分で美人って言ったな〉

〈可憐で華奢ってなんだよ。ガサツで雑ってのが正解だろ〉

 

「うるさいよ、あんたたち!」

 

 コメント欄とケンカを始める虹子。

 羽衣(うい)はクスクス笑いながら虹子にたずねる。

 

「でも、日本じゃ鉄砲持つの、禁止ですよね? 猟師さんとかは許可もらって持っている人いるけど……」

「だって、これ本物の銃じゃないもん」

「どういうことですか?」

「これはね、地上で使用できないように、銃身にインサートっていう鋼鉄製の板が埋め込まれているの。ほら、見て、これ、SMGマーク」

「なんですか、それ」

「安全対策が施されているモデルガンを示すマークだよ。ダンジョン探索に必要でも、本当の銃を扱うと普通に銃刀法違反で逮捕されちゃうもん。そもそも、ダンジョン内だと火薬を使って武器は無効化されちゃうけどね」

「そんなんで戦えるんですか?」

「あのね、私のスキルは魔弾を撃ち出すものなの。弾丸だって魔法力を込めた特別製だし、これが一番なんだよ」

「へーー」

 

 羽衣(うい)にとって銃を見るのはこれが初めてなので、好奇心をあらわにして虹子の持つ銃を指で撫でている。

 零那(れいな)もひとつ、気になっていたことがあった。

 

「ねー、虹子さん。そのでっかい鉄砲、なんで前は持ってなかったの?」

 

 零那(れいな)の質問に、すると、虹子は恥ずかしそうに笑って、

 

「いやー、これ担ぐとねー。私の体格だと、重くて他の荷物もてなくなっちゃうんだ。だから、ソロのときはほとんど持ち出さないんだよ。弾丸も重いし」

 

 なるほど、かなり現実的な回答だった。

 

〈そういや最近使ってなかったもんな〉

〈ちょっと威力を見てみたい〉

〈モンスター出てきたら使ってみて!〉

〈どんな感じだろ〉

 

「へへ~ん、こいつの威力はすごいよ? これさえあれば、たとえアルマードベア相手でも、いいとこまで戦える自信があるよ。こないだは拳銃だけだったから太刀打ちできなかったけど」

 

 そのとき、ちょうどいいタイミングでモンスターが現れた。

 ただし、そのモンスターは零那(れいな)たちを狙って現れたわけではない。

 なぜそれがわかるかというと、そのモンスターはこちらに向かってダッシュで逃げる幽霊少女を追いかけてきたからだった。

 

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