パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
必死の形相で逃げてくる幽霊少女。
それを追いかけてくるのは、異形のモンスターだった。
というよりも、機械的な姿をしているモンスター。
〈うわ、
〈危険レベル4!〉
〈人類が勝てないレベルのモンスターだ〉
〈ニジー、無理しないでれいなちゃんに任せるんだ!〉
〈危険レベル4のモンスターを倒した人類はいないんだぞ〉
〈※ただし山伏は除く〉
そいつは、八本足の蜘蛛のような姿をした、多脚戦車だった。
モンスターと言っても、魔界から呼び出されたような悪魔や怪物ばかりではない。
このような、機械でできたモンスターも存在するのであった。
「うわー! ロボットだ! かっこいいー!」
対して、アサルトライフルを構える虹子の額には汗が浮かぶ。
S級の虹子にとって、危険レベル4のモンスターとの戦闘はまさに生死を賭けたものだった。
その上、苦手にしている幽霊までこっちに向かってダッシュしてくる。
幽霊少女の表情といったら!
青白い肌色、目の下には小さな泣きぼくろが二つ、なびく編み込みサイドテールの先からは禍々しいオーラが放たれている。
虹子の全身から脂汗がタラタラ流れるのも無理はないのであった。
だが、今は幽霊どころではない。
この幽霊少女がただちに生命を脅かすものでないことは知っていた。
だから、アサルトライフルの照準を
引き付けて、引き付けて――。
「今だ! 虹色魔弾《レインボーバレット》!!」
引き金を引く。
タタタン!
銃声が三発、連続で発射された。
三点バーストと呼ばれる打ち方である。
アサルトライフルは何十連射もできるのだが、そうすると弾丸の威力で銃身が跳ねてしまい、狙ったところに当たらなくなる。
だから、三連射をワンセットとして射撃するのが基本のひとつなのだ。
虹色の軌跡を残しながら、発射された弾丸が
そこは鋼鉄に見える装甲で覆われていて、弾丸をすべて弾いてしまった。
八本の脚をシャカシャカ動かしてこちらに向かってくる
その上、幽霊少女が前と同じように虹子の背後にぴたっとくっついて、
「ぎゃーっ! 怪物が! 私を食べようとしてるー! 助けてー!」
と叫ぶ。
虹子の耳がキーンとなった。
「うるさーい! ちょっと黙ってて!」
思わず叫び返した。
「虹子さん、脚狙おうよ、脚! 関節のとこ! 装甲がないわよ!」
虹子が狙った通りの場所に三点バーストが命中する。
ガキン! と
「よし、三点バーストでいける!」
「三店方式!?」
「お姉さまも黙ってて!」
さらに射撃を続ける。
そのたびに虹子の体内から魔力が消費され、力が抜けていく。
だが、相手は危険レベル4のモンスターなのだ。
魔力をすべて焼き尽くしてでも攻撃しなければならない。
なにより、自分がきちんと戦力になることを
今のままじゃ、戦闘においてはただのお荷物にすぎない。
それは、いやだ。
「行けぇ!
三点バーストによって発射された虹色の弾丸が
もう一本、脚が関節部分から弾丸にふっとばされた。
だが、まだ六本の脚が残っている。
「もっと、もっと……
虹子は咆哮をあげる。
気合を入れてさらに魔力を弾丸に込める。
脳みそから酸素がなくなった感覚。
ふわっと意識が飛びそうになるのをなんとか抑えて、
「行けぇぇぇぇっっ!」
命の危機を感じて、ゾッと震えが背中に走る。
だが逆に、この近さなら三点バーストなんて必要ない。
「うらぁぁぁぁぁぁぁ!」
虹子は叫びながら引き金を引きっぱなしにする。
けたたましい音とともに弾丸が連続発射される。
薬莢が金属音をたてて床に散らばった。
弾丸は
ついに、
だが、そこまでだった。
残り五本の脚でこともなげに接近してきて、残ったその長い脚を振り上げ、虹子に向けて振り下ろしてきた。
もう、虹子に魔力は残っていない。
危険レベル4のモンスターをここまで破壊できた事自体は、褒めるべきことだった。
なにしろ、人類はいまだ、このレベルのモンスターを倒したことがないのだから。
そう。
ただ一人、
だが。
人類史に残る、二人目の危険レベル4モンスター討伐が、いまカメラの前でなされようとしていた。
ふわふわな髪の毛をしたちっちゃくて小柄な女の子の山伏が叫んだのだ。
「