パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
「で、これ、どういうこと?」
ダンジョン地下四階。
地下6階へと続く階段のそば。
虹子が立てた看板はまだそこに立っている。
この場所で、幽霊少女がキョトンとした顔で言った。
今日も編み込みサイドテールにしていて、それがゴスロリ衣装に似合っていてかわいらしい。
さすがにもうそろそろ慣れてきたのか、虹子は幽霊少女をそんなに怖がっていない様子だった。
まあいつまでも怖がって会話もできないようじゃ、なにもわからないものね、と
「で、あなた……」
幽霊少女に言いかけて、
「そういや、名前もわからないんだったわね。でも、いつまでもあなたとかじゃ不便だし……」
「じゃあ、なにかニックネームでもつける?」
虹子が言う。
「ニックネーム……私に名前をつけるってこと?」
幽霊少女の言葉に、
「そう。なにか希望の名前ある?」
「そうね……月光に照らされ、闇に輝く王女……たとえば闇姫とか……」
ゴスロリ趣味っぽいことを言い出す幽霊少女。
「病み姫かあ、なるほどね、合ってるかも」
うんうん、どっか病んでそうな雰囲気もあるっちゃあるし。
「じゃあヤミちゃんにしとこうか、仮の名前」
虹子も賛成のようだ。
「じゃ、よろしくね、ヤッちゃん! で、あのね、ヤッちゃんって、自撮りネットにアップしてたって言ってたじゃない?」
「うん。けっこう盛れてたと思う。あーあ、あれ、よく撮れてたのになあ……」
「アカウントとか覚えてない?」
幽霊少女が視線を上にあげてうーん、と考え込む。
「ううん、覚えてない……。インサタグラムとトリッターだったのは覚えているけど……」
「そっか、2018年だとトリッターの時代か……今はZよ。ま、それはどうでもいいわ。それでね、私、考えたんだけど、あなたのインサタとトリッターのアカウントを特定して、その写真を虹子さんのリスナーに聞いてみれば知っている人いるんじゃないかって」
虹子は明るいショートボブの髪の毛をファサ、とかきあげて得意げな顔をした。
「ふふーん。私のチャンネルの登録者は30万人もいるからね!」
そこに、
「でも、アカウントのことも忘れてるんじゃ……。それより、直接この子をカメラに映して探せば……? あ、駄目なのか」
そうなのだ。
この幽霊少女、カメラには映らない。
能力を持っている人間にしか見えないのだ。
「そこで! 私は考えました! これはいい考え、私大天才!」
虹子が何かを取り出しながら言った。
「じゃーん! これこれ!」
虹子が取り出したのは、一冊のスケッチブックだった。
「ん? なにそれ?」
不思議そうに聞くヤミ、虹子は得意げに胸を張って、
「スケッチブックでーす!」
「いや見ればわかるけど?」
「だから、今からあなたの人物画を私達が描きます! そしてそれをリスナーに見てもらって知っている人とか、あとネットで見たことある人とかを探します! いい考えでしょ!?」
〈その手があったか〉
〈ニジーって絵がうまかったのか〉
〈そりゃそうだろ、自信がなけりゃこんな手は思いつかない〉
〈いやでも絵で有名人でもない個人を特定できるもんか?〉
「なーにを言ってますか! 今でも警察の捜査に似顔絵は使われてるんだよ! なにを隠そう私はけっこう絵がうまい! まかせなさーい! ついでにお姉さまと
虹子が鉛筆を取り出しながら言う。
「うーん、私もそこそこ描けると思うわ……」
と
「私はちょっと自信ないかなあ……」
と言っている。
「えー? 私を絵に描いちゃうのー? どうしよっかなー。なんか恥ずいなー」
などと言いながらも、幽霊少女はいろいろポーズを試している。
それを見て虹子は呆れた顔をした。
「いやいや、顔、顔。顔を描くからそんなポーズとかいらないよ……ってか嘘!? Y字バランス!? 嘘でしょ!? 身体柔らかい! あと見えてる。はしたないからやめなよ」