パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
このカマキリの妖怪、強い。
なんだか変な鳴き声で攻撃してくる。
その音を聞くと、頭が痛くなって、おなかの奥の方が熱くなる。
目がかすむ。
なかなかやるじゃない、と
さらには、こっちの攻撃も全部受けきってしまう。
かなりの強敵だ。
さっさとやっつけて、早くお姉ちゃんと合流しなきゃ……。
視界の端に、カブトムシが壁に貼り付いているのが見えた。
あいつもどんな攻撃をしてくるかわからない。
カマキリが一番脅威なのだろうが、そっちにかかりきりになっていると、カブトムシやチンアナゴがどんな攻撃をしてくるのかわからない。
戦闘は、まず弱い敵から片づけておく。
それがセオリーだ。
「ドーマン!」
目の前に
「ドーマン! ドーマン!」
さらに叫ぶ。
格子が二重、三重に
これでカマキリの攻撃をある程度は防げるだろう。
「セーマン!」
だが、
「ギャシャシャ!」
カブトムシが驚いたように二足歩行でよけようとするが、
殺った、と
しかし。
五芒星がカブトムシの身体を真っ二つにする直前、とんでもないスピードでカマキリがカブトムシをかばうように跳んできた。
そして、
このカマキリ、ほんとに強い!
でも――。
一発なら防げても、これはどう!?
「セーマン! セーマン! セーマン! セーマン!」
飽和攻撃。
防御されるなら、相手の防御力を上回るほどの物量攻撃で勝負だ。
何十もの五芒星が連続してカマキリの妖怪に襲い掛かる。
霊力を使いすぎて膝から力が抜けそうになる。
「ぐううう!」
気合で足に力を入れる。
履いている地下足袋がダンジョンの床にこすれてジリッと音を出した。
「キシャァァァ!」
カマキリが雄たけびをあげて、五芒星をカマで防ぐ。
「まだまだぁっ! うわぁぁぁぁぁっ!!」
★
なによ、
次々に飛んでくる五芒星の攻撃を
「ひぃぃぃっ」
背中でヤミが恐怖の声を上げている。
あの
なんでそんなのがここに?
相手すべきは
なにかがこの部屋に侵入してきている。
『そいつ』は、天井にはりついてこちらを監視しているようだった。
いや、今はまず
「あー、もう! しょうがないわね!
それは空中で浮いた。
そして、
この杖は、自分を守るために設置したのではない。
ヤミを守るための杖だ。
その隙に、大声で叫ぶ。
「臨!」
そして両手の指で組んだ。
これを印を結ぶ、という。
仏の悟りの内容を手指をさまざまな形で組むことで表す方法だ。
それと同時に、
「兵!」
次の印を結ぶ。
五芒星がまっすぐ飛んでくるが、
「闘!」
さらに踏み込んでいく。
五芒星が次々に飛んでくるが、そのすべてをヒラリヒラリとかわしていく。
その五芒星はまっすぐヤミを狙っているが、すべて
「者! 皆! 陣! 烈! 在!前!」
一語発するたびに手指の形を変えていく。
丹田――下腹を中心にして、霊力が自分の中からあふれ出していくのを
印を結びながらも、
「
そして、
「筋力がある! 物理で抑え込んであげるわ!」
左のこぶしをギュッと痛いほど握ると、
「ふん!」
だが
そのパンチは右の肘でガードする。
さすがに妹の顔だけは殴りたくなかったので、今度は右足で下段回し蹴り。
「ケガしたらごめん!」
そう言って、渾身のローキックを
ガキィィィン!
ものすごい音が響く。
だが、その感触は――。
クリティカルヒットとなっただろうその蹴りを、一本の棒が防いでいたのだ。
いや、棒ではない。
その先には掃除機のようなノズルが付いている。
「――せっかく幽霊を殺せるところだったのに、なぜお前は幽霊を――モンスターをかばう?」
そこにいたのは、黒装束に身を包み、背中に掃除機本体を背負った、長い黒髪ツインテールの女性だった。