パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
スマホを手に、絶句する
スピーカーにしていたので、それを聞いた虹子とトメの顔もひきつる。
「待ってヒーバー、それどういうこと? そんな強い妖怪の仕業なの、これ?」
『
「いやそんなのどうでもいいから!」
『あのの、それは妖怪の仕業でねーよ。それはマクンバで人間を人柱にするための印だぞ。人の仕業だ』
「マクンバ? なにそれ」
『知らねなが。ちゃんと世界の呪いを勉強しねば立派な
いや、
そう疑問に思いつつも、
「いいから。だから、マクンバってなによ」
『アフリカの呪術を起源とする南アメリカの呪法だ。ブラジルあたりで広まてんなんよ』
それを聞いて虹子が顔を上げた。
「ブラジル……まさか……」
SS級探索者だという朱雀院
ブラジルに行っていたと言っていた。
あいつか!
でも、なんで?
なんでそんなことを?
意味が分からない。
そういえば、朱雀院
その前にも彩華は虹子に抱き着いたりトメの手首を握ったりしていた。
「あのときか……。なんで……? 私と
『
「人柱ってどういうこと?」
『その印をつけられたものは、地上では生きていけなくなるんだ』
「はあ?」
『で、洞窟の中にいれば死なね。地上さずっといると呪いで死ぬ』
「解呪の方法は!?」
『洞窟の奥の奥に、悪い神様がいる。そいつをぶったおせばええんだが……。なにしろ神様だからな。
「そんな……」
『その印がついていると地上では生活できね。だから、洞窟の中さ潜ってなければなんね。呪いを解こうとするならずっと深くへ行かなきゃいけない。そこを神様の手下に捕まって連れていかれて、神様がパクリと食べるわけだ。ま、一種の人柱だの』
「なんでそんなことを
『そいつが呪いの印つけたんか? 理由はわがんね。神様に供物をささげて、なにかかなえてもらいたい願いでもあるのかもの』
と、突然、虹子がパッと起き上がった。
「あーもー! で、結局その神様を倒さなきゃいけないってわけ? じゃないと私たち、死ぬの? なに、朱雀院
トメも起き上がりながら言った。
「ふん、虹子も私も日本に数少ないS級。そしてそこの山伏女と妹
そんな単純な理由でカメラの前で人に呪いをかけるなんてこと、やるだろうか、と
ほかになにか強い動機があるのかもしれない。
「いや、理由はどうでもいいわ。とにかく、その悪い神様を倒しちゃえばいいのね!? ヒーバー、もっといろいろ教えて!」
『いや、やめとけ。危険だ。友達なんだろうが、オレはひ孫に死んでもらいたくねえ』
「ヒーバーのひ孫は友達が死ぬのを黙って見ているなんてこと、しないわよ!」
『………………』
ヒーバーはしばらく黙っていたが、長い沈黙のあと、「はあ……」と大きく息をつくと、
『しょうがねのお』
と言った。
『準備がいるぞ。んだども、時間もそんなにねえ。その呪いの印を目指して神様の手下がどんどん襲ってくるようになるぞ。手に負えなくなる前に、神様をやっつけねばなんね。三日か、五日か……。長くても十日だの。それも、呪いを解くつもりなら、そいつらも連れていかねばならん』
「地下何階まで潜ればいい?」
『地下二十階ってところかもしんねの……オレも若いころだばそこまで潜ったことあるが……。そこまで行けば
虹子は眉をひそめ、不安そうな顔だ。
トメは不機嫌そうな表情をしている。
友達といっても知り合ったばかり。
虹子はともかく、トメにいたっては友達と言っていいのかもわからない関係性である。
それなのに。
正直、その時は死にかけた。
地下二十階だとしたら、まさに命がけとなる。
でも……。
放っといたら、この二人は死んでしまうのだ。
それに、
妹の命も危険にさらすことになる。
そこに、トメが不機嫌そうな顔をくずさぬまま言った。
「別にいい。私たちのことは捨てればいいさ」