パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
2018年9月2日、日曜日、午後二時。
私は新潟駅からすぐそばにあるファミレスの前に立っていた。
空を見上げると、重たそうな雲が広がっているのがビルの間から見える。
まだ残暑は続いていて、気温も湿度も高い。
汗のせいで着ているゴスロリ服に肌がペタペタくっつくような気がして少し気持ちが悪かった。
私は緊張していた。
すごく緊張していた。
これからバイトの面接なのだ。
人生初めてのバイト、その面接なんだから、まだ高校一年生の私が緊張するのも当たり前だ。
ゴスロリにぴったり合うお気に入りの痛バッグ(合成革、2980円)の中にはしっかりと履歴書も入っている。
バイトの面接でゴスってのもどうかなとは思ったけど、これは私のアイデンティティだから譲れない。
私は意を決してファミレスのドアを開けた。
入ってすぐに、異様な恰好をしている女性がいて、あ、この人だ、とすぐに分かった。
なにしろ彼女は真っ黒な修道服に身を包んでいたからだ。
頭までベールで覆っていて、顔の輪郭まで白い布で覆っている。
ザ・修道女、みたいな恰好だ。
そしてその向かいの席には、白いシャツにワイドパンツを履いた女性がもう一人。
長い黒髪のポニーテールで、すごくかっこいい顔をしている女の人だ。
修道女の方が、私を見るとニコッと優し気に笑って手招きした。
「こっちこっち。あなた、
修道女は笑って言う。
「あのお……」
「座って座って。はい、じゃあ面接を始めます。でもその前に飲み物でもとってきましょう。ドリンクバー注文してあるから、私がとってくるわよお」
多分私が一番年下だから、それは私の仕事だろうな、と思った。おごってくれるという年上の人に飲み物を頼むわけにはいかない。
「いえ! 私が持ってきます。みなさん、何がいいですか?」
「じゃあ私、コーヒー」
修道女が優しい笑顔で答え、もう一人の女性はハスキーな声で、
「私もコーヒーで」
と言った。
★
修道女の女性は、テーブルに二人の履歴書を並べて言った。
「さて、飲み物が揃ったところで自己紹介しましょう。私は朱雀院
次に私の隣に座っている黒髪ポニーテールの女性が、ハキハキした、でも女性にしては低い声で答える。
「
「よろしくね。へー。あなた、埼玉の人なのね」
「あの辺にはあまりいいダンジョンがないので。新潟までは新幹線で一本ですし」
「なるほど。で、あなたも自己紹介。年齢と出身地」
言われて私はビッと背すじを伸ばした。
ここで決めなきゃ!
絶対この面接には受かりたい!
だから、印象に残るような自己紹介しなきゃ!
「あの、私、
それを聞いて
「
「はい! 月光に照らされ、闇に輝く王女、闇姫ですっ」
「ふふふ、かわいいと思うわあ。あ、何歳だっけ?」
「15歳です!」
「あら、高校一年生で15歳というと、誕生日はこれから?」
そう聞かれて、
「誕生日は2003年の!」
そして、猫のように顔の前で手を握ると、そのまま猫の真似。
「ニャー! ニャー! ニャー! の日です!」
呆気にとられる目の前の二人。
あー……これは、やっちゃいました?
そう思った瞬間、
「あははは、2月22日ってこと? あはは」
いいの、そういう目にいちいち傷ついてたらゴス趣味なんてやってられないんだから!
と思ってたけど、なんかいたたまれなくなったのでストンと椅子に腰を下ろす。
なんなら、涙まで流して笑ってた。
そんなにおかしかったのかな……。
やっぱり傷つかないってことはないかも。
自己紹介でやらかすなんて多感な高校生にはよくあることだけど、センスのある私に限って……と思っていた。
よし、この手はこの先二度と使わないぞ、と決心していると、ポニテの
「っていうか、いいんですか、修道女の方なのに、ゴスの人を雇うって……。ゴスって、なんか悪魔的なイメージが……」
「いいのよお。私、そんな敬虔なクリスチャンじゃないから」
敬虔なクリスチャンじゃない修道女なんているのかなあ?
まあいるのかもしれない。
なにしろ私は高校一年生で、世の中のことは何も知らないの。
これから学んでいくんだから!
そのとき、私はひとつ気づいたことがあった。
「
あれ? でも、修道女の人って結婚していいんだっけ?
私の視線の先に気づいたのか、
「ふふふ、違うわよお。いえ、違わないかも。これはね、修道女が神様に一生を捧げる誓いの指輪。
「へー! それってなんか素敵ですね!」
神様の花嫁かあ。そういうの、かっこいいなあ。
なんか胸がドキドキした。
「私、神様の奥さんをお手伝いできるってことですよね?」
「ふふふ。そう、私は今、手伝いのバイトがほしいのよ。で、トリッターで募集したら