パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
母親の口ぶりからすると、おそらく日本人だったのだろう。
『
母親は日本に渡ってきた日系ブラジル人だった。
働きもせず、昼間から酒を飲み、夜になると男とどこかへ消える、それが母親だった。
しかし、愛情に飢えて育ったというわけでもない。
そこには日系ブラジル人のコミュニティがあり、彼らが集う教会があった。
その教会に通ってくる人たちはとても親切だった。
特に教会の神父は
神父なので当然結婚を禁じられていて、子供がいない。
その分、まだ幼かった
彼は人格者だった、と今でも
神父のことを考えると胸がじんわりと暖かくなる。
食べ物もまともに与えてくれない母親の代わりに、神父の援助によって
精神的に早熟だった
信仰を失った人間は、不幸になる。
母親を見て育ち、そう思い込んだ
神父は自分の信仰心が
これから神に一生を捧げて生きていく。
しかし。
転機はまもなく訪れた。
ほんの数か月後、神父が悪性の腫瘍を患い、あっという間に亡くなったのだった。
どれだけ泣いたかわからない。
神様はどうしてあんないい人を天に召したのだろう?
その頃には母親はどこかに失踪していたし、父のように懐いていた神父は死んでしまった。
次に神父の座を受け継いだ男は、金にがめつく、人々の信仰心を利用して大金を集めるような男だった。
潔癖な
しまいには
神父様は素晴らしい人格者であるべきなのに、なぜあんな男が神父になるのを神様は許しているんだろう?
そんな
ブラジルのカトリックはもともとアフリカの宗教と結びつきが強く、それがマクンバとして発展した。
カトリックの聖人とアフリカの神々を同一視する『習合』が行われて成立したのがマクンバなのである。
したがってマクンバの信仰者であっても、表向きは普通のカトリック信者として、コミュニティの中心としての役割も持っていたカトリック教会に出入りするのは普通のことだった。
カトリックの神への信仰に疑問を
彼らは
さらに、マクンバを信仰する人々は、
その頃はまだ、ダンジョンへの出入りは今ほど厳しくなかったから、マクンバの人々は、まだ子どもだった
才能があったのだろう。
わずか15歳で
余談であるし、世界の誰もそれを知ることはないのだが、ソロ探索において、15歳で地下五階に到達できた人間は、
その実力を、周りの皆は称賛し讃えてくれた。
『我らがお姫様』
とチヤホヤすらしてくれた。
そしてある日、マクンバを信仰する集団の、リーダーであった老婆に
築四十年の安アパート。
外壁はボロボロで、建物を囲む塀も崩れかかっている。
外から見ただけではまさか宗教団体のトップが住んでいる場所だとは思われないだろう。
しかし、一歩建物に入ると、そこはまさしく宗教団体の本拠地だった。
老婆が住む一室は、さまざまな装飾が施された儀式の部屋となっていた。
赤と黒のロウソクに火がともされ、老婆がくわえる葉巻の煙で充満している。
床にはペンバと呼ばれるチョークで魔法陣が描かれ、その真ん中に老婆は座っていた。
その顔は深いしわが刻まれ、もはやどこが目でどこが口かもわからぬほどだった。
老婆は、噂によればもう120歳を超えている年齢だという。
本当かどうかはわからないが、1908年に行われた最初のブラジル移民船、笠戸丸の乗員だったという伝説まである。
祭壇の前に座る老婆の第一声は驚くべきものだった。
「