パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件 作:羽黒楓
壁をぶち壊した
傍らには白い着物を着た雪女みたいな妖怪もいる。
なんだかわからないけど、早く助けなきゃ!
「
と叫んで溶岩の海へと身を投げ出した。
そしてそのまま煮え立つ溶岩の上を、まるで地を走るかのように駆け出した。
あと少し……!
その時、溶岩の中から巨大なワニがその口を開けて
「えい!」
溶岩から上半身を出して
「トメさぁ~~~~~~~~~~~~ん!」
ギリギリのところでトメの身体を受け止める。
体中火傷だらけ、いやそれどころかところどころ炭化して黒くなっている。
ひどい有様だった。
ついでに一緒に落ちてきた妖怪の襟首もひっつかむ。
「え……誰……?」
雪女の少女がびっくりした顔をしている。
雪女といってももう全身が溶けかかっていてドロドロだ。
「あんたなに? トメさんの友だち?」
「え……いや、弟子というか」
「なら一緒に来なさい!」
トメを背中に負い、雪女を左の小脇に抱えた。
「待って待って頭がとれちゃう!」
と言って雪女の少女は自分の頭を両手で抑えている。
「うおおおおおりゃああああああああ!」
また駆け出した。
巨大なワニが咆哮を上げて
「邪魔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
長さ20センチくらいで、手に握れるほどの太さ。
両端は槍の穂先のように尖っている、山伏の持つ武器の一つである。
「そおおりゃああああっ!」
そしてワニの上あごの内側に激突した。
途端に爆発のようなものが起こり、ワニの上あごの根元部分がはじけ飛ぶ。
次の瞬間、今度はワニの背後――つまり、
「トメさん! 死なないで!」
そのまま溶岩の上を走り抜ける
すぐに横穴にたどりつくと、トメを地面に横たえる。
「
「うん!」
中にはたくさんの赤い小さな粒が入っており、酸っぱい臭いがしてくる。
「ちがーーーう! これは梅干し! もう一つの方!」
「ごめん、慌ててたから!」
蓋を開けると、ヒーバーが作った秘伝の軟膏が入っている。
二人はそれをトメの皮膚に塗りたくり始めた。
「もう全部使い切っちゃっていいから! くまなく!」
「うん!」
「まだ息してる! 助かるよ! なんとかなる!」
そして
「え……このお姉さん、助かるの……?」
雪女はもう半ば溶けていて、顔の表情もわからなくなっている。
「助かる助かる! っていうかあんたも死にそうじゃない! 首も取れそうだし! トメさんの弟子? じゃああんたも!」
「はい、一時間くらいじっとしていて! そこに梅干しあるから食べといて! 霊力復活するから! あとトメさんには近づかないで! 巻き込まれると妖怪は消えちゃうよ!」
「ひぇっ」
雪女は自分の首を押さえたままトトト、と後ずさった。
もともと、山伏は仏法の僧侶でもある。
治癒や回復の術はむしろ専門なのであった。
「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン!」
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ!」
すぐにトメの身体は光に包まれ始めた。