続かないつもりでいたのに、続きが浮かんでしまって2年ぶりの更新です。
というわけでいっそのことチラシの裏から引っ越ししました。
オレの名前はうちはサスケ、16歳。
木の葉隠れが誇るエリート一族うちは一族の1人であり、木の葉警務部隊長うちはフガクの息子で、かつてアカデミーはじまって以来の神童だと謳われたうちはイタチ(現・暗部の隊長)を兄に持つ、エリート一族のサラブレットってわけだ。
エリートっていっても、勿論、血筋だけにかまけてきたわけじゃねェぞ。
オレだってアカデミーは主席で卒業したし(兄さんみたいに1年で卒業とかはしてないけど!)、順調に中忍、上忍と昇進してきたし、同期でも実力はかなり上のほうだ、と思う。これはオレの努力の賜なんだ!
学生時代から毎日遅くまで修行に明け暮れてきたし、修行は既にオレのライフワークだ!
ていうか、幼少の頃からオレの面倒見つつ学業優秀、眉目秀麗、1聞いたら10理解して、ほいほい出世して、13歳で暗部の分隊長まで成り上がった兄さんがちょっと化け物過ぎるだけなんだ!!
そんな兄・イタチだが、昔はとても格好良くて、オレの憧れそのものだった兄さんだったんだが、最近は平和なのも手伝ってか、子供の頃大人過ぎた反動がきたのか、天然ボケボケ甘味大好き変人兄貴化しているイタチのヤロウなんだが、最近オレはあることが気になって仕方がない。
「~フン、フフ~ン、~ン♪」
ヌリヌリヌリ。
なんか最近になって兄さんが指にマニキュアつけはじめたんだけど、これは一体どういうことなんだ?
おかしいな、オレの認識じゃマニキュアって女がつけるものだと思うんだけど、このオレの認識が間違ってたのか?
ていうか、よく見たら最近になってイタチの奴は首飾りとか、『朱』って文字入ったダッセェ指輪とかまでつけてやがる。これはなんだ、どういうことだ?
昔は兄さんの奴そんなのつけていなかったよな?
ていうか昔はオレと同じで首が隠れるタイプのうちはらしい伝統的な格好していたのに、最近になって兄さんは鎖骨が見える服装を好んでしたりとか、服の趣味も変わってきたような気がする。この前なんて赤雲模様の黒コートなんてものを嬉しそうに洗濯に出していたけど、あれはなんだったんだ。
は、まさか……!
(まさか、イタチの奴とうとう春がきたのか!?)
兄さんは弟のオレがいうのもなんだが、整った目鼻立ちに長い睫の美形だ。
顔立ち自体はオレも兄さんも母さんの遺伝で似た系統ではあるけど、兄さんとオレでは雰囲気と睫の量が違うし、兄さんはオレと違って髪質も母さん譲りの真っ直ぐで綺麗なストレートの髪をしており、それを後ろで赤い紐で結っている。
そのせいもあってか、同系統の顔なのに、オレよりも兄さんのほうが中性的な面差しになっているし、もしもイタチの奴の顔に渋みを出す父さん譲りのほうれい線がなかったら、外見だけなら性別を間違えてくる奴もいたかもしれない。
まあ、ともかくイタチの奴は中性的で涼しげな美形の持ち主ってわけだ。
おまけに頭脳明晰、文武両道、幻術・忍術・体術全てが一定の標準値を超えており、普通うちは一族なら切り札として使う筈の写輪眼すら、兄さんにとってはただの手駒の1つに過ぎない。ようはそれくらい引き出しが多いってことだ。とくに手裏剣術の扱いで兄さんを上回れる相手をオレは知らない。
……で、ここまで条件が揃っているんだ、モテてもおかしくない。なにせ兄さんだってあれで年頃の21歳なんだから。おかしくないんだが……。
(いや、でもねェだろ)
と思うのは先日判明した事実だ。
なんでも兄さんは、結婚相手が見つかるかも知れないからと、告白受けたら1度は女の子と付き合うものの、其の日のうちに毎回振られているらしい。
というのも兄さんのイメージと相反する甘味大好き&女無視の甘味馬鹿食い癖のせいで。
まあ、そりゃ振られるって話だろ。
だってどっからどう見ても線の細い、クールビューティーみたいな外見したイケメンが、どこの大食い王だお前はと言いたいぐらいの団子やら汁粉やらを馬鹿食いして空皿積み上げてんだから、そりゃドン引きされるだろ。しかも甘味食ってる最中のイタチのやつ、連れの女ガン無視で甘味に夢中だし。オレが女でも付き合いたくねェよ!
そんなイタチの奴に指輪や首飾り、マニキュアを送る女なんているのか?
ていうかよく考えなくてもそれって女が送られる側なんじゃないのか?
女が身につけるような装飾品なんじゃないのか?
そういえば兄さんはアカデミー卒業した頃からずっと髪が長かった。
母さん譲りの長くて真っ直ぐで綺麗な黒髪は、オレにはないものだから少し羨ましく思ってた時期もあった。そう兄さんの後ろをひたすら追い回してた頃のことだ。
そうしてオレに振り向いて仕方なく優しく笑う兄さんは、まるで母さんとよく似ていて……。
(はっ、まさか……!)
「兄さん……!」
「? どうした、サスケ。丁度良かった。左手にこれをつけてくれないか。どうも自分ではやりにくくてな、先ほどもついはみ出た」
とか言いながら天然ボケボケ星人はズイッと先ほど塗ってたマニキュアをオレに差し出してくるが、そんなもん知ったこっちゃない。
ガシッ。
「兄さん!」
「?」
オレは兄さんの肩を掴んで真剣な赤い目でしっかり兄さんを見ながら言った。
「兄さん早まるな、性転換は、性転換だけはやめとけ! 生まれた体を弄るなんて母さんが泣くぞ、どうしても女になりたいっていうんなら、オレがウスラトンカチのやつに完璧なお色気の術の使い方を聞いてくるから、だから早まるのだけはやめ……ゲブラッ!」
メリッ。
突然、額に思いっきり石をめり込まされたような痛みが襲い、オレは思わず床をのたうち回った。
「愚かなる弟よ……」
スゥ。
一方イタチの奴は静かなる怒気を湛えながら、その目を写輪眼に変えつつ立ち上がり、未だイタチより頭半個分背の低い
「どうやら、オマエは最近たるんで頭の中まで平和ボケを抱え始めているらしいな」
いや、普段天然ボケボケ星人と化しているアンタが言うなよ!
というオレのツッコミが届くはずもなく。
その後オレは30分に渡って「修行の扱き」という名の容赦ないボコりを受け続けたのはいうまでもない。
写輪眼による幻術使った精神攻撃も混じっていたから肉体の損傷は少なかったが、最終的にピクリとも動けなくなったオレ相手に「印も結べぬ分際が」と吐き捨てていった声は暫くトラウマになることになった。
兄さん……アンタは鬼か。
そして其の日、オレは寝込んだ。
一方、その夜某居酒屋では。
「ひっく、ひっく……サスケが、サスケが……オ、オレのことをオカマ呼ばわりしてきたんだ……!」
「はいはい、哀しかったんだな。それでも動けなくなるまでフルボッコなのはどちらにせよやりすぎだぞ」
「だって、サスケが……サスケェ!! グス、グス」
「はいはい、オカマと思われて哀しかったのはわかったから、明日はサスケに謝りに行こうな」
「……ジズイィ……」
「あとお前飲み過ぎだから、普段の面影ゼロだから」
とそれほど得意ではない酒を飲みながらエグエグ泣いている兄イタチの姿があることなんて勿論、知る由もなかった。
因みに、オレがイタチのつけていたマニキュアや指輪がなんだったのか、その正体を知ることになるのはこの10日後、アカデミー生による砂との合同文化祭でのことだった。
終われ