前回報告したつもりが、入力出来てませんでした。
滅茶苦茶誤字多い…!報告本当にありがとうございます!!
廃棄予定だった核融合炉を利用したコロニーの解体は、見事に成功を収めた。推進器を破壊されたことで加速する手段を失ったそれらの残骸は、後方で待機していた主力艦隊とソーラ・システムⅡによって焼却され、デラーズフリートの星の屑作戦は失敗に終わったのである。
即応艦隊が払った犠牲は大きかったが、彼らが稼いだ時間により、ほぼ完璧な迎撃態勢が整えられた。地球には石の一欠けらも落ちることはなく、民間人の犠牲者が出ることはなかったのだ。
「今回の失態によりガンダム開発計画の今後は不透明になりましたが、兎にも角にも二号機の存在だけは闇に葬られる…とのことです」
「で、コレは?」
「ガンダム開発計画にて試作機の運用をおこなっていたペガサス級強襲揚陸艦こと、アルビオンですね」
ア・バオア・クーに鎮座しているのは、今回の事件において重要な立ち位置に居た船だった。この船から二号機が強奪されたことがそもそもの原因で、上も扱いに困ったのか、ここに押し付けられるような形でやって来ていた。
「同型艦が我々の艦隊に居ないんですよ、運用に困ります」
「単艦で運用しようにも搭載できる機数がネックになるな、クルーは?」
「ある程度はそのままのようです、左遷とはいきませんが…この基地にまで流れ着いたようで」
ガンダム開発計画も凍結か継続かが議論されたようだが、ノイエ・ジールというアクシズ製MAの分析が進んだことで、ひとまず継続したいというのが上の考えだ。試作機達がこのア・バオア・クーに集められ、データ収集を続行する運びとなるらしい。
ちなみに原作において度重なる命令違反で極刑となったシナプス艦長はご存命だ。この世界では命令違反をしなくとも、即応艦隊に追従する形でデラーズフリートの迎撃に参加し続けられる状況だったからだろうか。
「大規模な残党軍が消滅したお陰で、海賊行為の件数は大幅に低下しています。これで我々の次なる目標は、あのアクシズになったわけですね。この船もその戦力にしろ、とのことかもしれません」
「あそこにはあまり手を出したくないんだがな…」
艦長こと要塞司令は、身体中に包帯を巻きつけていた。話し相手の副官も同様で、彼らは一様にして大怪我を負っていた。それは掠ったサブアームが僅かにビームサーベルを伸ばしており、艦橋の装甲に穴を開けかけたからだ。
一瞬にして熱された壁が急速に膨張したことで内壁が砕け、破片が飛び散ったことで艦橋内があわや全滅…という寸前だった。
ノイエ・ジールは、あと少しで指揮官を潰せていたのだ。ナガトはその身をもって乗組員を守ってくれたのだが、修復は不可能だった。泣く泣く自沈処分となり、爆薬を大量に取り付けられる様を、基地の面々は涙ながらに見守った。
「この怪我で済めばよかったんだが、また船を失うとはな。艦長失格だ」
「装甲の分厚い戦艦が目立ったお陰で、支援艦艇の被害は軽微でした。MAにも一発かましましたし、ナガトの名に恥じない活躍でしたよ」
爆破する寸前で記念碑とする計画が提案され、作業はすんでのところで中止された。現在は三基のコロニーの残骸を回収する作業が旧サイド5付近で続いているが、将来的にはそこに記念碑を浮かべるのだとか。
テロリストについて言及するわけにはいかないため、記念碑に書かれる文言には色々と気を使う羽目になりそうだ。
「アルビオンについては、ナガトの次の旗艦として使うという手もありますが」
「あの船から二号機を奪われたことがすべての始まりになったんだ、そう易々と使えるか。上からの通達はそういうことか、はっきり言えばいいものを…」
「上はなんと?」
「現在建造中のマゼラン改級の配属先をア・バオア・クー駐留艦隊へ変更し、艦隊旗艦として指揮能力を強化するための設備を搭載する。こちらを次の旗艦とされたしってな、まあ要約しているが」
恐らく他の艦隊に配属する予定だった船を、上層部が横槍を入れてこちらに回す気なのだろう。残党軍による地球への質量攻撃が実例として襲い掛かったため、アステロイドベルトに囲まれたアクシズは最大の脅威だと認識されたらしい。
なおナガトという名は別のマゼラン改級に受け継がれ、その武勲から地球本星艦隊の旗艦となったり、反乱に巻き込まれたりするのだが、それはまた別の話である。
「というか大怪我の後にも働けとは、上は何を考えているのやら」
「ノイエ・ジールはアクシズから提供されたMAです。あれほどの性能を持つ機体を有しているとなれば、上層部も危機感を抱かざるを得なかったのでは?」
「まあ、まだ内乱を始めるよりかマシだがね…」
「内乱?」
「気にするな、万が一の話だよ」
星の屑作戦によって失われる筈だった将兵が多く生き残ったことで、上層部のパワーバランスは急に傾くことはなく、今も派閥間で牽制を続けている。ティターンズの編制が行われるとしても、それはしばらく先の話か、内情が全く異なるものになるだろう。
本来の未来では連邦軍内での内戦が次なる戦乱を生むのだが、今しばらくはその気配がない。今はゆっくり力を蓄えつつ、再編を理由に増援と補給を渋っていた上層部の頬を叩く時間だ。
「まあ何をするにせよ、戦時のジムを別の機体に置き換えてからになるだろうな」
「機体と言えば、あの白いゲルググが居ませんが」
「ああ、払い下げたよ、子飼いの民間警備会社に」
「えっ」
エフェメラ艦長は、デラーズフリートとの戦闘で得た特別手当とこれまでの報酬を元手に、輸送船を護衛する企業を設立した。最終的には戦いから足を洗うらしいが、運送業をするにも海賊が邪魔で自衛するためのものが必要らしい。この宇宙には参ったものだ。
「あのゲルググ、下手なジムより性能が良いんですが」
「そのゲルググを維持するための生産ラインはここにある、首根っこを掴んだまま運用できるのさ」
ジオン公国改め、ジオン共和国ではMSの開発が連邦軍の監視の下で再開されるらしい。今は構造の単純さ、継戦能力の高さ、他のゲルググシリーズと比べた際のコストの低さ、更には連邦軍での運用実績などの理由により、ゲルググ・マリーネの改修が行われているとのことだ。
エフェメラ艦長にはテストを担当してもらおう、暫くはMSが必要になるので損はない筈だと艦長はひとりごちる。
「海賊に困らなくなるのが一番なんだけどな、まあ仕方ないが」
「残党を狩り尽くしても、人が荷物を運び続ける内は必ず発生しますからね」
「犯罪はなくならない、当たり前のことと言えばそうなんだがな…」
革命家からすれば面白くないかもしれないが、この宇宙はなんとか回っている。戦後の復興もまだまだ熱を持っており、新たなコロニーの建造も進んでいくだろう。一年戦争の爪痕が深く残る地球よりも、宇宙は活発に動いている。
デラーズフリートは地球の穀倉地帯をコロニー落としで破壊することで、食糧供給をコロニーに頼らざるを得ない状態を作り出し、宇宙移民の発言権を強くすることが目的だった。しかしそんなことなどするまでもなく、ゆっくりと主役は宇宙に移っていくのかもしれない。
「ま、平和が一番だ。アクシズの問題を片付けるためにも、暫くはゆっくりと要塞の運営に励むさ」
「再編に当たってこちらに配属される人員リストと、船の修理に関しての報告書、要塞内の設備復旧についてはこちらで、鹵獲兵器の解体処分は……」
「励むと言ったらこれか、仕事が増えるばかりじゃあないか」
将来的に決戦が予想されるアクシズに対し、ア・バオア・クーはその中核戦略となるべく戦力の規模を増していく。部隊の本格的な編成はまだ進んでいないものの、何かしらの名前が付けられるだろう。
選定されている中で現在有力な物を例に挙げると、かつて語られた神話の巨人達の名があるとか、ないとか。
ーーー
ーー
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そんなこんなで、暫くの間ア・バオア・クーは平和だった。要塞の名前がゼダンの門に改名された時は、何故か艦長だけが焦っていたらしいが。
新造された多数の艦艇が配属され、戦力もきちんとしたMSで再構成、パイロット含め様々な人員は大きく増えたことで余裕もある。アクシズ周辺の偵察も何度か行えるようになり、どうにか通信を飛ばして交渉を試みたことすらあった。
「亡命を希望と、なるほど」
アクシズの内情はかなり苦しいらしく、脱出して亡命するべく、連邦軍の艦隊へ接触することすら度々あった。そんな中で艦長が直面したのは、対応一つで世界が変わりかねないという、噴き出る汗が止まらない状況だった。
「シャア・アズナブルさんと、ナタリー・ビアンキさん…ですね」
シャアという超ビッグネームと、聞いたこともない名前の女性。アクシズの中で色々とあったらしく、二人の間に子供ができたことで、亡命を決めたらしい。艦長は昔見たガンダムが好きで、外伝作品も少しだが見ている…という程度の知識量しかない。
「な、なるほど、出産も控えられている…と」
なので彼は内心『誰だよ!?』と頭を抱えたが、彼女は外伝作品で登場したシャアの恋人であり、ガンダムZやZZで重要なキャラクターとなるハマーン・カーンによって間接的に殺されてしまう…らしい。
「証人保護プログラムがありますので、情報提供にご協力していただければ新たな身分をご用意できます。しかしシャアさんは何かと有名ですので、暫くは監視が付くことをご了承いただけますか?」
ガンダムZではクワトロ・バジーナと名を改めて登場する彼だが、一年戦争後と再登場までの間に何をしていたかなど、艦長は知る由もなかった。普通にナンバリング作品を追っているだけ、その上何十年と経って記憶が古くなれば、どこかに隠れていたんだな~程度のことしか頭に残らない。
「MSの操縦技能をお持ちとのことで…いえ、連邦軍に入れなどとは言いません、今時は何かと操縦技術が欲しがられますので。斡旋可能な就職先に元ジオン兵の方々も多いので、怪しまれることはまずないかと」
彼が可愛いお嫁さんと平和なご家庭を築きつつ、適度にパイロットとしての腕を輝かせられる仕事。エフェメラ艦長の会社にでもねじ込もうかなと思いつつ、如何に彼らをこれから先の動乱に巻き込まないかを考えるが、あきらめた。把握しているものが少なすぎるので、もう何処に地雷が埋まっているのか分からないのだ。
ティターンズのような組織が馬鹿をやり始めたら船をぶつけてでも止めよう、なんならエゥーゴを作ってやるとまで彼の思考はあらぬ方向へかっとんでいく。
「ひとまず、現在の連邦と各コロニーがどのような状況かをご説明させていただきます。これらを把握してからの方が、実感がわきやすいかと思いますので」
信用できる人材を集めて、彼らの監視と警護を行う部隊は念入りに編成を行うことを決めた。というか馬鹿正直にシャアと書くと面倒事を呼ぶ気しかしないため、もう名簿には違う名前をでっち上げて書いている。
色々と説明をした後、艦長は意を決した。彼に隠し事をするのはよくない…かどうかは分からないが、腹を割って話すことにしたのだ。
「えっと、あのですね…これは私が言っていないという体で聞いてほしいんですが」
シャア自身は名前と身分を明かすことで持っている情報の信ぴょう性を高め、より良い逃亡先を選べるように交渉を進めたいのだろう。彼に接触したい人は多い、その出自を知る人間はほとんどいないだろうが、エースとなれば引く手あまただ。
艦長はザビ家を二人ほどぶっ殺せるほど頭が回り、一年戦争終盤という仕上がった状態のアムロ相手に生き残ってガンダムをも破壊、その後も歴史をかき回す彼に畏怖の念を抱いていた。受け入れた結果問題を起こすのであればまず、責任を持って止めねばなるまい。何かあればその袖引きちぎってやる。
「色々あったというのは、ハマーン・カーン氏と関係あったりしますか?」
だが交渉を進めようがなんだろうが、いつかハマーンはZZのように行動を起こすだろう。一応一通りの作品を視聴していた艦長は、因縁がありそうなことを覚えていた。というかハマーン以外にも、彼は目を付けられる可能性に満ちている。ならば元凶をどうにかせねば、この世界に真の平和はやってこない。
「ひとまず全速力でゼダンの門、いえア・バオア・クーまで後退します。何があっても安全なサイドへお送りいたしますので、少々お待ちを…」
艦長の言葉は警報によって遮られた。敵襲だ、恐らく彼らの追っ手だろう。既にかなりの距離を離していた筈だが、アクシズは余程二人にご執心らしい。
二人をより安全な区画へ避難させようとしたが、そうする前に艦長はとある提案を受ける。『使える機体はないか』、確かにシャアが迎撃に加われば百人力だ。彼ら二人が乗ってきた機体は損傷しており、戦闘で使うには万全とは言い難い。
「…一機あります、貴方ならば乗りこなせるかもしれない」
連邦軍用のパイロットスーツを渡しつつ、彼を格納庫へと案内する。そこにあったのはガンダム試作四号機だが、外見は赤く塗られた上、ジオン系MSを彷彿とさせるものへと改造されていた。
この機体は試作機として一通りのデータ収集を終え、今はガーベラ・テトラと名を変えると共にアグレッサー、模擬戦での敵役として運用されていたのだ。
「機体の限界に近いデータを引き出すために、ありとあらゆるチューニングを施された状態です。あまりにピーキーなので、アグレッサー機としても持て余していましたが」
彼はニヤリと笑い、開かれたコックピットに滑り込む。この機体の開発にはジオン系技術者が数多く関わっている、通常の連邦軍機よりも扱いやすい可能性はあった。
「これを」
艦長がコックピットに居る彼に渡したのは、機体のマニュアルとカード状の身分証だ。彼はペラペラとマニュアルを捲りつつ、手早くガーベラ・テトラを眠りから叩き起こしにかかる。そしてハッチを閉める寸前、身分証を見た。
「貴方は今からクワトロ・バジーナ大尉です。通信に名前が残ると面倒ですので、その名を使ってください」
頑張れ艦長。アクシズが地球に落とされようとするか否かは、彼の手にかかっている。
これにて完結です、お付き合い頂きありがとうございました。
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