狼のヒーローアカデミア 作:ベネット
「んじゃ、パパっと結果発表」
トータル最下位が除籍ってマジなのだろうか。早速クラスメイト1人とお別れとか嫌なのだが。
「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なので一括開示する」
相澤先生が手元の機械を操作すると、空中に映像が表示された。
(えーと、最下位は……緑谷出久ってあのモジャモジャ君かな)
まだあんまり個性制御できてないみたいだけど……あんな超パワー普段使う機会ないだろうし、伸び代はありそうなので除籍は勿体無いと思う。
「ちなみに除籍はウソな」
「「「!?」」」
「君達の全力を引き出すための合理的虚偽」
「「「は〜〜〜〜っ!!!??」」」
セーフ!
「あんなの嘘に決まってるじゃない……ちょっと考えれば分かりますわ」
発育の暴力、という言葉が似合いそうな女子生徒が呆れたように言う。彼女は……確か持久走でバイクを生み出して走るという無法をやらかしていた生徒だ。ぶっちぎりの
(んーー?)
優秀な生徒の、常識的な考え。
そこに自分が感じた印象との違いはあったがーー
「そゆこと。これにて終わりだ……教室に戻ったらカリキュラム等の書類があるから確認しとけ」
(……まあいっか)
終わり良ければ全て良し。
この結果に不満なんてなかった。
1.傘咲保与
2.八百万百
3.轟焦凍
4.爆豪勝己
.
.
.
20.緑谷出久
「緑谷。
そう言って相澤先生は去っていった。
「ーーチッ」
その後に続くように、爆豪と呼ばれていたボンバーマンが足音も荒く去っていく……思いっきり舌打ちされたし睨まれたけど。
(しばき倒したろかな。でも個性使って攻撃したら除籍って言ってたっけ……はたしてどこまで嘘なんだろうか)
「緑谷くん、ここ広いから保健室の場所分かんないでしょ。一緒に行こ」
そんな疑問を抱きながら、とりあえず怪我をしたクラスメイトに付き添う事にした。
「相澤君のウソつき!」
「オールマイトさん……来てたんですね」
生徒が見えない所で、教師同士の会話が始まった。
「合理的虚偽て!
君は去年の1年生を1クラス全員除籍処分にしているだろうーーと続いた言葉に、もう1人は大した反応を見せない。
「そんな男が前言撤回……それってさ、君も
「……君
反応を引き出そうと言葉を重ねるが、思わね反撃を受け固まる
「半端に夢を追わせる事ほど残酷なものはない……まあ、教育方針の違いは今はいいです。それよりオールマイトさん。悪い予想が当たりました」
「!それってひょっとして」
「ええ、どうやら
チユ〜〜!
「わあああ!?」
(何が起きてるんだろ)
保健室の前で待つ事暫し。
「お、お待たせ傘咲君……」
数分後、やけにげっそりした緑谷君が出てきた。
「なんかさっきより疲れてるけど大丈夫?」
「うん……"リカバリーガール"に治して貰ったんだけど、その分体力を消耗するって言われてーー」
「ふんふん」
「ーーキスされたんだ」
「おふ」
因みに"リカバリーガール"とは雄英高校に最も長く勤務する女性看護教諭で、希少な治癒の個性を持つ小柄でやさしげな老ーーではなく妙齢の女性だ。
「……そのうち良いことあるよ。元気だして」
そんな会話をしながら教室に向かう。
「でもありがとう傘咲くん。わざわざ付き添ってくれて」
「いーよいーよ。これから3年間、なんとか協力しあって生き延びようぜ。私も筆記試験は自信ないし、そのうち助けてほしいなーって」
「も、もちろん僕で良ければ全然!……でも首席だった人に僕なんかが教えられるかな……」
「勉強嫌いなんだよねー……あ、そういえば緑谷くんってあんまり"個性"使い慣れてない感じ?」
そう言うと緑谷君の顔が明らかに強張った。
「あ、言いたくないなら無理しなくていいよー。でもそうだよね。あんな超パワー普段使えないよね。反動凄そうだし」
「……そ、そうなんだよ。まだコントロールが全然上手くいかなくて」
「うむうむ。個性の無断使用は原則禁止されてるし、強力な力は人に怪我させちゃいそうで怖いよね。おにーさん気持ちは良く分かるよー」
なんか血走った目でブツブツ言ってたし、不安定な超パワー持ちのヤバい奴かと思ってたけど案外普通の子だった。典型的なオタクっ子って感じ。
「あ、そうだ!もし良かったら"個性"の訓練する時協力しよっか?」
「!いやいやいや悪いよそんなの!」
「遠慮しなくてええんやで。それに協力っていってもとりあえずサンドバッグの提供ーー」
そこまで言って、先ほどあった事を思い出す。
「?傘咲くん、大丈夫?」
「……ん。多分大丈夫。たださっき」
ちょっと調子が悪かっただけだから。
雄英高校入学2日目。
「んじゃ次の英文のうち間違っているのは?」
(((普通だ……)))
午前は必修科目・英語等の普通の授業。
「傘咲、お前よく食うな!」
「……美味しい」
昼は大食堂でクックヒーロー"ランチラッシュ"が作った一流の料理を安価で頂く。
「あんま食い過ぎんなよ。なんたってこの後ーー」
そして午後は楽しみにしていた授業。
「わーたーしーが!普通にドアから来た!」
教室の扉を開けて入ってきたのは、全世界のヒーローの頂点。
NO1ヒーロー"オールマイト"
「オールマイトだ……!!すげえ本当に教師やってるんだな!」
「
「「…………」」
「緑谷と傘咲がやべえ顔してるぞ!?正気に戻れ!」
かっこよ……
「ごほん……ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作るために様々な訓練を行う課目だ!!そして早速だが今日はこれ!戦闘訓練!!」
クラスメイト達の興奮したような騒めきが広がる。
「そしてそれに伴って……こちら!」
オールマイトがリモコンを操作すると、教室の壁が動き中から棚が現れた。その中には番号が振られたスーツケースが収納されている。
「入学前に送って貰った『個性届け』と『要望』に沿ってあつらえた
「「「おおおお!!!」」」
(落ち着けー落ち着けー私。まだ始まってないよー)
チラリと確認した空は快晴で、ほっと一息。
「着替えたら順次グラウンドβに集まるように!」
「「「はーい!!!」」」
皆がワイワイ騒ぎながら自身の出席番号が書かれたスーツケースに向かっていく。
「緑谷くん一緒に行こー」
「う、うん!」
1人で行くのは寂しいので知人(まだ友人まではいかない)に声をかける。
(まだ皆とあまりお喋り出来てないし、今日はもっと仲良くなりたいな……それに)
「格好から入るってのは大切なことだぜ少年少女!!自覚するんだ。今日から自分はーーヒーローなのだと!!!」
なんとなく予感がした。
何か楽しいことが起きそうな、そんな気配。
「……楽しみ」