貞操逆転・男女比偏重・美少女ソシャゲ・ゲッターロボ   作:芯鉄

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2話

「暇だ……」

 俺は今、50階建ての高級ホテル最上階のスイートルームでベッドに横たわり、無為に時間を浪費していた。

 フロア丸ごとが一つの部屋なっており、室内プールのような設備もある。

 ホテルに来た当初は、前世を含め経験したことのない豪華な部屋に興奮したものだが、二週間も軟禁されていれば、目新しさもなくなり、飽きてしまった。

 

 〇

 

 東京の霞が関に監査庁という国の機関があった。

 20年前のケッダー線関連技術の公表以降、国内企業におけるケッダーロボ製造業の誕生に加え、他国への炉心の貸し出しや機体のライセンス生産契約等の要因により、国の歳入が大幅に増加した。

 そして、同時に不適切会計等の不正も増えてしまった。

 汚職事件が多発し、内閣支持率が低下したことを受け、政府は従来あった会計検査院に権限を拡大させることで、監査庁という組織とした。

 

 監査庁の会議室の一室――机の上に広げられた資料を見ながら、監査官である宮崎翔子は苦い顔を浮かべていた。

 資料には4月に発覚した事件に関する情報が記されていた。

 その中から事件の時系列が記された書類を手に取り、読んだ。

 

 4月5日10時41分――●●県警本部へ荷物が届く。

 4月5日11時00分――開封したところ、光ディスクと地図が入っていることを確認。

 4月5日11時15分――光ディスクの内容を確認したところ、道場のような場所で7歳ほどの男子に対して、全身を黒装束に身にまとった女が暴力を振るう映像を確認。

 4月5日11時43分――男性の心身保護等に関する法律(通称:男性保護法。以下「法」という)に基づき、特殊部隊の派遣が決定。

 4月5日13時15分――地図に印がつけられていた地域である●●県□□村△△集落に特殊部隊が到着。

 4月5日13時17分――映像にあった道場を発見。「法」に基づき、特殊部隊が通告なしの突入を実行。

 4月5日13時32分――地下室に続く隠し階段を発見。続いて、暗証番号の入力で開場する形式の地下室の扉を確認。

 4月5日13時36分――地図に書かれていた文字列を入力したところ、扉が開錠。

 4月5日13時37分――拘束され、意識を失っている人物を発見。

 4月5日13時39分――映像の男子が成長した人物であると推定し、保護。

 

 文書の上では『映像の男子が成長した人物であると推定し、保護』と簡潔に書かれているが、特殊部隊員が保護対象の少年と断定するのに、大きな混乱があった。

 なぜなら発見した人物が、男性とは思えない筋肉質な肉体を有していたからだ。

 男性とは、握るだけで折れてしまいそうなほどの繊細な体つきというのが常識であったため、拘束された人物を最初は女性だと誤認していた。

 男性と気づいた後の驚愕は凄まじく、人体改造の被害にあったと考えた隊員達は集落の空地に待機させてあったドクターヘリに少年を搬送した。

 そして、救出後、事件に関わる権限は特殊部隊から●●県警の捜査一課に引き継がれ、集落全体の捜査が行われた。

 

 △△集落について、戸籍上では33人が暮らしているとされていたが、全員の消息が不明となっていた。

 ――なお、後に判明するが、保護した少年は戸籍を持っていなかった。

 そして、お集落内の全家屋を捜索する中で押収された品々の中に、荒唐無稽な資料――男性をケッダーロボに乗せるための計画が書かれた資料があった。

 

 捜査本部は、危険薬物等により思考能力が低下し、ケッダーロボに男性を乗せるという不可能な妄想に囚われた集団による犯行と当初は考えていたが、少年を保護した施設からの報告が捜査本部を混乱に陥れさせた。

 

 報告には少年の異常性が列挙されていた。

 百メートルを4秒を切る速度で走り、垂直飛びは3メートルを超える等の身体能力、そしてそれらを超える異常性として、少年の精神性が挙げられていた。

 この世のすべての男性が持つことのない闘争心を少年は有していた。

 闘争心を持つ男性の発見は、人類がこれまで積み上げてきた歴史やあらゆる学問の否定するものだった。

 

 県警本部長は自分たちの手に負えるものではないと判断し、事件を政府に報告した。

 

 〇

 

 続いて、翔子は少年の発言を記録した書類を見る。とは言っても、その記録内容はとても少なかった。

 なぜなら、少年は捜査に非協力的だったからだ。

 自分に暴力を振るった集団に対しての情報については口を閉ざし、多くを話そうとしなかった。

「恨んでいないのか」

 という捜査員の問いに対して、少年は、

「ロボットに乗るために必要な訓練だった。恨んでいない」

 と答えた。

「なぜ、男性の君をケッダーロボに乗せようとしたのか」

「詳しくは知らない。ただ、政府からの依頼があったと言っていた」

 

 この証言を犯罪者から吹き込まれた嘘だと断じることが出来たら、どれほど楽だっただろうか。

 発見されたシミュレーター内のデータや紙の資料には国の機密情報が含まれていた。

 

(背後に機密情報を提供する存在がいる)

 

 黒幕の正体について、一番ましな想定がケッダー開発企業で、最悪のケースは証言通り政府の一部が黒幕だった場合だ。

 

(とんでもない事件を担当することになったものだな)

 

 国を揺るがすことになるかもしれない事件だと思うと、頭が痛くなる。

 

 少年は現在、保護施設から移されある高級ホテルの最上階にあるスイートルームに滞在している。

 情報流出の阻止もあるが、閉鎖空間で育った少年が外部の情報に触れることに対する精神への悪影響等も考えられた結果による処置だった。

 しかし、

「どこから漏れた」

 雑誌のページを見る。そこには、『驚愕! 男性パイロット育成計画!』との見出しがあり、男性パイロットを育てる国の極秘計画があると書かれていた。

 掲載された雑誌は真偽不明の情報を載せるゴシップ誌であり、発行部数も多くはない。

 この記事を信じる人間はほとんどいないだろう。

 

(監禁犯の捜索に加え、情報流出の出どころ探しもしないとな。やる事はたくさんあるが、少年から情報を聞き出すのが一番の近道だ。そのためにも信頼関係を築き、心を開いて貰わねばいけないな)

 

 

 

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