コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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まだ暫く、ぐだぐだとエリア11は続きます。

ただ、どうしても扇達への厳しめの場面はやりたかったので。別の場面でレイも行きたいです。カレンと違い、日本人であることも認められなかった環境。

ネタバレですが、この後は中華連邦です。

KMF戦はE.U.までありません。暫くは杜撰で拙いですが、外交や謀略です。戦争だって外交ですけど。


BERSERK-10『卑怯な鳥と動物』

オークションの方は既に事務次官経由で首謀者が逮捕され、少なくともライルが招かれた時に買い取られたイレヴンはライルの要請という形で政庁が協力者と合同で保護し、生活の一定の支援を約束させている。ライルが買い取った二人も、元々ライルが証言を得るためであったことと状況を顧み、ライルが暫定の身元引き受けを担う形で片が付き、ライルも事務次官に騙された事を考慮されお咎めなしになった。

 

これはフェリクスやゲイリーが各方面に掛け合ったのはライルも分かっている。危ない橋を渡ってしまったという自覚もある。だが、今のエリア11ではライルがいくら喚いたところでとぼけられる可能性もあった。実際に買う以外に潰す手を思い浮かばなかったのも本当だった。

 

そして有紗と距離感が狂って二日後に、優衣と涼子はブリタニア軍に志願した。動機は後見人に裏切られたことで同国人への疑惑を強め、限定的だがブリタニア人の方がまだ信用できる上に生活面の保証とのこと。

 

後見人に奪われた両親の遺産も戻ってない上に皇コンツェルンが紹介する新しい後見人も拒否している。そのために現在通っている学校を休学……民間の協力者という名目でライル軍への編入することになっている。

 

何の能力もない人間など雇い入れる余裕はないが、二人は協力企業の後ろ盾があった分他の名誉ブリタニア人より学力も高く、書類や機械の扱いが得意だという。簡単なもので試してみると、なかなかのレベルであった。元々、皇コンツェルンで既に片足を突っ込んでいたというから、それだろう。実際に皇コンツェルンに確認を取れば、彼女達が手がけた資料を一部見せてもらい、政庁の役人も一定の評価を下している。

 

いずれにせよ、二人を起用することについては政庁の役人達も人材が不足しているライル軍の急場しのぎとしては十分だと認め、実地で叩き込めばいないよりはいいと幕僚達も一応の了解を出し、協力企業の関係者ということで二人は伍長待遇で話がまとまりつつあった。

 

最も、こんなのはこの二人にある程度基板があったから通ったに過ぎない。

 

優衣と涼子の入隊手続きをするライルは、山本経由で面談を申し入れる協力企業役員がいると聞いた。

 

「間もなく出立ですから、手短になりますよ?」

 

「ええ、それでもかまわないそうです。」

 

何か、悪い予感がする。いつもの勘でライルはそう考えていた。こちらに来てから、どうにも碌でもない事ばかりに見舞われている。

 

「初めまして、ライル・フェ・ブリタニア殿下。村田弘美です。」

 

容姿は良く整っている少女だ。まだ大人になりかけ、ライルやレイと同じくらいだろう。物腰は一応丁寧だが……どうも本能的に受け付けられない気がする。両親も一緒だ。

 

「殿下、この度はご多忙のところを我らイレヴンの申し出に応じてくださり、ありがとうございます。」

 

「いえ、我が国の植民地政策に協力してくださる方々ならば、こちらから出向くべきだったところです。…それで、お話とは?」

 

両親も物腰は丁寧だが、どうも…

 

「はい、単刀直入に申し上げます。娘を殿下の元で使っていただけないでしょうか?」

 

「………お話が見えないのですが。」

 

父親の申し出について、ライルは悪い予感が的中していたことを薄々感づいていたが、何とか誤魔化そうとする。

 

「殿下はイレヴンも積極的に取り立てているとか。娘などはいかがです?」

 

なるほど…娘を売りこんでブリタニアのパイプが欲しいということか。

 

「ありがたい申し出ではありますが、ご息女は何が?」

 

「え?」

 

鳩が豆鉄砲を食らったような表情になった。親子三人でだ。

 

「……あ?え?」

 

「え、わ、私どもは武石財閥に勤めておりまして…」

 

間が悪い…既に跡取りが来ているうえに皇コンツェルンの役員の娘も来ている。しかし、片足でも突っ込んでいた優衣や涼子と違い、どうやらこの娘は何もしていないようだ。

 

「勉学だけでは今の我が軍に起用するわけには参りません。申し訳ございませんが、ご息女の起用は見送るということで。」

 

「あ、で、殿下!わ、私の身体!胸なんてどうです!大きいじゃありませんか!」

 

立ち上がったライルに抱き着き、確かにクリスタルに近い豊満な胸を押し付けてくる。

 

「夜のお相手、務めさせていただきます!貴族の方には勝てなくても、あんなみすぼらしいみなしごのメイドや混ざりものなんかより殿下を楽しませて差し上げられますわ!」

 

どこで聞きつけたのか…いや、ネットでそういう噂があるのだろう。事実もあるが……

 

「取り入りたいのなら、少しは慎重になったらどうです?」

 

「え?」

 

「で、殿下?あ、あんなハーフごときより私達の娘は純血のイレヴンです。同じ純血のイレヴンならゲットーの孤児より、財閥に勤めている私共の方が!」

 

母親が娘を売りこもうとするが、ライルは睨みつけて娘を引き離す。親子そろって、有紗とレイを侮辱している。それで既にライルの心は彼らから離れていた。

 

「会社のポストや家柄で勝負するのなら、間が悪いですよ?先日、あなた方がお勤めになっている武石財閥のご子息が我が名誉騎士団に編入されました。」

 

「な!?りょ、良二君が!」

 

「で、でしたらなおのこと」

 

が、相手はまだ諦めない。

 

「……家柄で言えば、確かに私のメイドは孤児です。しかし、部下達にはそうした平民層やゲットーの孤児が多いことをお忘れですか?前線では、そんなもの何の役にも立ちはしない。第一、従軍慰安婦を何人も連れ歩く余裕などない。」

 

「な、ならばあのメイドは!?」

 

「彼女は私の専属メイドで、今ここで置いていけば働き口を失う。更に私から離れれば貴族達が何を仕掛けるかわからず、私の側が一番の安全地帯であるだけのこと。ブリタニア人がナンバーズにどのような態度をとるか、あなた方の方がお判りでしょう?」

 

相手は完全に詰まった。

 

「大体、レイ・コウガ・スレイターを貶めていますが、家柄で言えば彼女は帝国で侯爵家の後継者、そして皇族の騎士。はっきり申し上げますが、ご息女は彼女に最初から負けている。」

 

今度こそ、完全に言い負かされ…親子は茫然としていた。

 

「では、失礼します。」

 

 

 

村田弘美は理解できなかった。

 

なんで?なんで、私があんな混ざりものに負けるの?

 

初めて会った日…小学一年の同じクラスになった頃から弘美はもてはやされていた。児童モデルとして既に女王になっていた。

 

そんな中であの女、甲賀レイが現れた。あの女の美貌は既に天分をのぞかせていた。弘美は嫉妬した。あんな女より自分の方が上に決まっている。

 

それから、他の生徒たちも巻き込んで苛めた。ブリタニアのハーフという格好の材料を見つけて。

 

その後も児童雑誌モデルとして順風満帆だった。それが日本占領で頓挫してしまった。すべて、あの女の仕業だ。

 

「全部あの女が悪いのよ…あいつのせいよ。」

 

「そうだな。あの子が悪いんだ。」

 

「あの子さえいなければ、ライル殿下がきっとあなたを取り立ててくださるわ。」

 

そうだ、あの女と他の奴らさえ消えれば私は女王になれる。

 

「ねえ、良二に頼んで取り立ててもらいましょう。」

 

「その手があったか!」

 

だが、その目論見はあっさり崩れ去った。

 

「殿下の元へ配属されたばかりの俺が言っても効果がないでしょう。」

 

端から見れば、現実的な意見で却下された。だが、弘美自身はもちろん両親でさえ娘が成功した時の夢に縋りついていた。

 

それが、新たな火種になるとはこの時は誰も思いもよらなかった。

 

 

 

武石財閥の役員といってもかなり下位に位置する親子がライルに売り込んだが、失言で追い返された話は政庁側の耳にも入っており、大勢が呆れ果てた。しかも、それがお気に入りの女や部下を侮辱した発言とあっては、当然の帰結だと。

 

レイもまた、あの女が売り込んでいた事実を聞いて居合わせたギルフォードとダールトンの養子でもある『グラストンナイツ』に愚痴を聞いてもらっていた。

 

「小学五年のあの夏まで、ずっと狙って虐めてきて……戦争は私が内通よ?小学生に何ができるって思うんです?避難先の学校で先生までが言ってきたんですから。」

 

「それは…無理があるのでは?」

 

「誰かのせいにしたくて、私に矛先が向いた?」

 

ある種の正論を突きつけ、ギルフォード達を黙らせる。先ほどから三十分はこの調子で、実戦経験は遥かに上のコーネリアの親衛隊のエースたちが一回りは年下の女の愚痴に気圧されている。

 

「し、しかし…その女、児童雑誌のモデルで親が協力企業に勤めているのであれば、協力企業のイメージモデルで再度デビューできたのでは?」

 

『グラストンナイツ』のリーダー、クラウディオの質問にレイは。

 

「ああ、それがね。どこも手一杯で使ってくれなくなって、行き詰っているみたいです。母の会社経由で聞いたところだと、面接やオーディションをパスしてもらえると思っているみたいで。」

 

「それは…都合がよすぎるのでは?」

 

アルフレッドのいうとおりだ。レイだって面接やオーディションは受けないと駄目だと思う。通るにしても、採用最有力候補として融通してもらうのが限度のはず。昔ならともかく、今ならば尚のこと。

 

「そうね、大方今回ライル様に売り込んできたのも…私へのマウント狙いでしょうね。ライル様の愛人になって、同時に『フォーリン・ナイツ』の宣伝か何かに使ってもらおうと思ったのかも。」

 

バートがため息をつく。

 

「それでは従軍慰安婦かそれ未満ではないですか。仮に愛人でも、あのメイド一人で殿下は事足りるのでは?」

 

有紗のことを指したようだ。どうやら、彼らの間でも有紗がライルの愛人で夜の相手をしているという認識があるようだ。当たってはいるが、あの様子では当分それの再開はないだろう。

 

「…立場はともかく、ライル様はあの子に真剣です。私とクリスタルも含めて。」

 

「そ、そうですか…」

 

クラウディオが僅かに口ごもった。

 

「それにグラビアで『フォーリン・ナイツ』の志願者が集まれば苦労しませんよ。オークションで買い取った子達が例外なだけ。」

 

実力主義のライルならばなおのことだ。今民間の有志という形で入隊手続きをしている姉妹だって皇コンツェルンで両親の仕事を手伝っており、それぞれの知識を得ている状態だ。あの二人はレアケースだが、才能はあるとのこと。

 

ライルはまさに、実力や才能を重視するが努力や人間性もまた尊ぶ人だ。仕えてきて、それがよく分かる。筋金入りの現場主義だが感情も尊ぶ。悪く言えばワガママだが、レイはそこが好きだ。

 

「本国での事件は聞いております……確かにそのような女で宣伝して解決する問題ではありませんね。」

 

デヴィッドもうなずき、エドガーが続く。

 

「ええ、正直申し上げますと……貴女を含めナンバーズ系には昨年の再来になるのでは、という不安がエリア11内でもあります。払拭には、やはり戦果を挙げる以外にないでしょう。」

 

「……素直な意見をありがとうございます。ライル様が貴方達を信頼するのがよくわかりますわ。」

 

「……スレイター卿、少しいいかな?」

 

ギルフォードが慎重そうに口を開く。

 

「なんでしょう?」

 

「日本侵攻を指揮したコーネリア様の騎士の私が聞くのも無神経だが、何故父上の仇のブリタニア軍に入隊した?母上を認めさせたいなら、軍隊でなくても良かったのでは?」

 

ギルフォードの問いに、レイは数秒沈黙する。が……

 

「ギルフォード卿は『卑怯な蝙蝠』という童話をご存知ですか?」

 

「いや?」

 

「昔、絵本で読んだんです。」

 

森で動物と鳥が戦争をしておりました。そんな中で、洞窟に住む蝙蝠は鳥に「自分は羽があるから鳥の味方です」と鳥に着いた。だが、鳥が危うくなると今度は「自分は毛があるから動物の味方です」と動物に寝返った。

 

そして、動物の旗色が悪くなれば今度は鳥、また動物にと寝がえりを繰り返した。そして、双方が仲直りした際には度重なる裏切りで両方から嫌われてしまい、夕暮れ時からしか蝙蝠は飛べなくなってしまいました。

 

 

 

奇しくも、同じような話をライルもゲイリーやフェリクスとしていた。

 

「この場合、レイは蝙蝠で我々ブリタニアと日本が動物と鳥だろう。ただし…」

 

「…ただし?」

 

ゲイリーの問いにライルは答える。

 

「例えばブリタニアが動物で日本が鳥だとする。『お前は毛があるから動物の味方をしろ』、ところが旗色が悪くなれば『お前は羽があるから鳥のスパイだ』。そして鳥から『お前は毛があるから動物の一味だ』、『羽があるから鳥の味方をしろ』。そしてその繰り返し。」

 

フェリクスがため息をついた。

 

「彼女の人生そのものですね…日本からブリタニアと迫害され、ブリタニアからはイレヴンだと迫害される。」

 

「……私の勝手な分析を付け加えれば、彼女にとってはついこの間まで私も含めて母親以外のブリタニア人は死んで欲しい人間だっただろうね。当たり前だが。」

 

「父親が既にこの世にいない今、日本人は絶滅して欲しい…というわけですか。純血の我々には想像も出来ませんね。」

 

少し前なら、過激な思想だと非難したゲイリーも今回は否定してこない。そう、正にその通りだ。もしかしたら、ブリタニアの世界侵攻の最大の被害者はブリタニア人との、或いはエリア化した国の混血児なのかもしれない。

 

 

 

「つまり、君にとっては父上以外の日本人はすべて敵。母上以外のブリタニア人は全て敵。母君を認めさせる以外に、最初の加害者の日本に合法的に仕返しをしたかったのか?」

 

「かもね……母が引き取ってくれなかったら両方を相手に暴れていたかもしれない。これはライル様も含めて、純血には百年経っても分からないでしょう。実際のところ……去年まで母以外のブリタニア人なんて何億死んでも良いし、イレヴンは全て死んで欲しいと思ってたんですから。」

 

その非難に全員が沈黙する。黙るだけ、彼らは今までの奴らより百万倍まともだ。イレヴン共とくれば、所詮ブリタニア人なんてほざいていたくらいだ。

 

「でもライル様は…ハーフという出自そのものへの関心を打ち明け……私自身を見ようとしてくれた。初めて、ハーフという私を見てくれたんです。だから、女としても騎士としてもライル様に全てを捧げる。」

 

「……ご両親以外で初めて信じられる人、か。そういう忠誠心もいいだろう。」

 

ギルフォードは騎士として、レイの忠誠心と同時にライルへの感情は一定の評価はしているようだ。

 

「ただ……あの飯田有紗やウィスティリア卿のような友人関係に恵まれたなら、せめてご両親やライル殿下を基準にブリタニア人と日本人を見る努力をしてみたらどうだ?」

 

「それは私が半分とはいえ、ブリタニアが導くと謳うイレヴンだからですか?」

 

「いや、騎士の先輩としてだよ。枢木スザクもだが、軍の内でも外でも人間関係は大切にするべきだ。いつまで経っても母君以外信じられる人がいないのは、君自身のためにもならない。」

 

あくまでも穏やかな表情で言い聞かせるギルフォードの姿勢をレイは好ましく思った。本当に、彼は誠実で筋の通った人だ。

 

「……やっぱりライル様じゃなくて、先にあなたに会っていたら惚れていたかも。」

 

「お世辞でも、素直に受け取るよ。」

 

「ああ、でも。そのご助言どおりなら、コーネリア総督がその基準に満たなければ敵意をむき出しにしていますから、その時はご容赦を。」

 

「手厳しいね。」

 

 




ちょっと強引でご都合主義になった自覚はありますが、優衣と涼子は入隊です。尚、『姉妹二人ともいただきます』、なんてハーレムの王道はありません。片方だけです。

二人の入隊はw-ZEROで言えば、アンナ、クロエ、ヒルダの三人に相当するでしょう。



そして、レイを虐めていた女王様は追い出されました。なんか最近のシンデレラ少女漫画の横取り女みたいになってしまってます。横取りはしてませんが……まあ、マウント目当ての馬鹿女かも。

後、一番レイについて力を入れたのは『卑怯な蝙蝠』です。この場合、イレヴンとブリタニアが蝙蝠なのでしょうが…ハーフであることを考えて動物と鳥が卑怯者になりました。

差し詰め、逆蝙蝠というところでしょうか?

私の見解では、カレンだってこうだっただろうしE.U.にいるイレヴンのハーフもこうなっていたのでは?と思います。つまり、収容所ではユーロピア人、出ればイレヴン。これが逃げ出せばユキヤみたいにリョウ達に出会ってその人達を家族と見なす。ブリタニア本国か『ユーロ・ブリタニア』、もしくはまともなE.U.の人間に助けられれば、その人以外はどうでも良いとなるでしょう。

レイにとっても同じ…『お母さん以外のブリタニア人は死んじゃえ』、『お父さん以外の日本人は死んじゃえ』。カレンとの決定的な違いはやはり、ちゃんと愛情を実感できる母親がいた代わりにナオトや扇がいなかったことでしょうね。

はっきり言って、これでブリタニアに味方しろ、日本に味方しろなんて下劣にも限度があります。
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