ワンパターンの…………アンチというかくだを巻いているというか……でも、ルルーシュの仕業が効かない部分を出していきます。
超合集国とブリタニアは和平を結ぶ事が決定した。それに伴い、各エリアも開放されて元の名前を取り戻す事になった。しかし………
「なんで、俺達があのクズ共の手下にならなきゃ行けないんですか?」
「あたしも同意見…クソ女の手下になるくらいなら、いっそ処刑してちょうだい。」
「魔物共と仲良しごっこなんて嫌だね。」
ライルの名誉騎士団…特に祖国への敵意が常軌を逸している幸也、周作、雛の三人は露骨に拒んでいた。
「まだ、手下と決まったわけでは…」
ブリタニア人の幕僚が窘めようとするが……
「同じじゃない。あんた達だったら、耐えられるの?ウチの隊長が同列になるのだって少し前なら不満たらたらだったくせに。」
雛が長野を指して、貴族出身の幕僚を黙らせた。ある意味、正論で核心だろう。
「分かった…超合集国議会と『黒の騎士団』首脳部と交渉してみるよ。ただ、もう私も皇族ではないから、今までのような権力で目をつぶって貰うことは出来ない。」
「…いっそ、あんたが皇帝になってりゃ良かったと思うわ。そうすりゃ、あたしらナンバーズ出身の『ロイヤルガード』であんたのエリア制度の改正だって超合集国って形でなってたんじゃないの?」
またも核心だ……
「確かに……だが、母親を投獄して弟を殺したような皇帝を人々が支持するか?大体、貴族が君達を排除するためだけに叛乱を起こすのが目に見えている。」
「いそうだけど、馬鹿ですね……貴族制度を復活させてもらう代償も嫌がるなんて。あいつらの不平等って、本当にブリタニア人優位なんですね。」
優衣も核心を突いた。
「ああ、結局私の考え方は奴らとは水と油だよ……野合しようもない。」
ライルはシルヴィオ達と共に改めて、議論することになった。
「私の旗下にいる名誉ブリタニア人達だけでも、酷い反感の嵐です。あのまま、『黒の騎士団』に加えてもその敵意だけで帝国の再興を謳う貴族勢力に合流しかねないでしょう。」
「それは……」
ライルと交流があった各エリアの政治家や業界人も何人か意見調整役として招かれていた。だが、それでも超合集国の代表達は不服そうだ。その中で、山本秋水が手を上げる。
「失礼ながら、ライル殿下が彼らにそういう反感を植え付けた……等という一般市民や当時の反対勢力の『洗脳皇子』をあなた方まで鵜呑みにされておられるのですか?」
痛い指摘に相手の代表達が押し黙り、ライルはまた意見する。
「……彼らに限らず、今各エリアにいる名誉ブリタニア人全てに対して言える問題です。ブリタニアの企業が撤退したら、どうされるのです?彼らは再び、職を失います。新しい敵を作るような短絡的な対応だけは、私としても超合集国にして欲しくありません。」
シルヴィオも追従する。
「実際のところ、そちら側で言うぞんざいな扱いをされた名誉ブリタニア人は多いでしょう。弟の対応が珍しすぎる………せめて、名誉ブリタニア人としてブリタニア企業に勤めていた彼らは一般ナンバーズよりはその業界での能力に恵まれているはずです。不平等にはなりますが、そこだけは考慮してよいのでは?」
バルディーニもライルに味方をしようと意見をする。
「E.U.でも、日本人収容をやめて彼らを解放している。だが、彼らのE.U.への憎悪と反感はブリタニアに対するそれと同じ或いはそれ以上の可能性も高い。面倒ではありますが、財産の返還と当時に近い形での職場復帰は配慮しなければなりません。」
そう、E.U.の日本人隔離も本当の意味で終わりを迎えるべきだ。ブリタニアの領土になっていた他のE.U.加盟国も同じ。
「……身贔屓、のつもりはありませんがこればかりは弟のせいにできません。ブリタニアも含め、各国で体制を続け知得た我々全員が招いた結果です。」
エルシリアが現実論を突きつける。今までの悪いことは全て『ルルーシュの仕業』という風潮が起きているが、そんなのは建前だけ。
「ドイツの外人部隊の中に一人…第五皇子ルーカスに姉を攫われた少女がいます。彼女はペンドラゴンでメンタルケアを受けようとした矢先にフレイヤで死亡しています。分かりますか、このような小さな火を放置すればどうなるか……」
ライルはそれがゼラートの部下のイロナ・メルクーシンだと理解した。直接会ったわけではない。だが、軍門にいる間ゼラートも彼女を気にかけていた。
「絶対に嫌……ルルーシュが悪いから、自分達は悪くないなんて理屈並べる奴らの手下なんてやだ。」
イロナはデメルングの前でかたくなに首を横に振っていた。アサドとアレクシアの二人は何も言わずに、只付き添っていた。
「だ、だがな…」
「だったら、三番目のゼロと藤堂に頼んでお姉ちゃんを返してもらって。できないなら、あいつらとあいつらの支持者を全部、私に処刑させて。」
正論過ぎる。子供のワガママだが、シュナイゼルとナナリーがペンドラゴンごと多くの市民を殺した事実が揺るがない。それと手を組む選択をした『黒の騎士団』特に扇や藤堂への憎悪はE.U.やブリタニアに対するそれ以上だろう。
「き、君の上官だって……」
「中佐をあんた達と同列にしないで。外人部隊や日本人にやらせて、安全な場所でワインと女の人しか興味なかったあんた達にほざく権利なんかないわ。」
E.U.の将校の説得も意味をなさない。それどころか、ついこの間までそうした連中が跋扈していたのだ。大人の論理以前だろう。
「それとも、ルルーシュ皇帝が即位しなければなんて言わないわよね?」
「或いは、俺の家族がルルーシュ皇帝のシンパだったとでも言うつもりか?いや、最初からそういう方程式がお前達の中にあるんだな。世界中そういう風に出来ている。だから俺達は異端になるんだ。」
幸也も『黒の騎士団』から来ている軍人達に言ってやった。
「それとも、『ブリタニアが攻め込んだせい』とか『殿下が俺に嘘の記憶をすり込んだ』とでも言うか。」
セルフィーも代表達を睨んでいる。
「私達三人は今でこそ、E.U.の人気ダンサーだけど経歴は綺麗なものじゃないわ。スペインのストリートチルドレンで本当にスペイン人かさえわからない。マリーベル総督の下でいつ殺されるか分からなかった…それを救ってくれたのはライル殿下、あんた達じゃないわ。それとも、その殿下がルルーシュ皇帝に服従させられたから、助けたのは自分達だって事に都合良く変わるっての?」
「あ、いや……そうでは、なくて…」
「言ってるじゃない。最初に『もうブリタニアに従わなくてもいい』なんて寝言抜かしておいて。大体、この人に限ればお父さんをブリタニアに殺されただけじゃない……お母さんとお姉さんを日本軍人に殺されたのよ?先に裏切っておいて、虫が良いのよ。」
「はっきり言うけど……あんたらが耳あたりの良いイデオロギー並べて暴れてる間にウチの殿下は自分の手で救える人間救ってたのよ。ナンバーズを………救えずに殺したのも沢山いるわ。」
雛もまた、日本から来た先方の代表者達を相手に一歩も引かない。
「まさか、ウチの殿下がルルーシュ皇帝と最初から結託してた…って、言うの?最初っていつから?『極東事変』で11歳だったウチの殿下に、何が出来るの?」
「そう、ではなくてだね……」
「言ってるじゃない。要するに、ウチの殿下を陥れて超合集国が戦勝国だってアピールしたいだけでしょ?たまたま、三番目のゼロが出てきて皇帝を殺しただけだってのに。」
「貴様…」
「本当のことじゃない………どんな形でも、あそこで失敗してればゼロは只のテロリストよ?だって、『黒の騎士団』と超合集国議会のトップを兼任してる皇帝を殺したんだもの。」
「何が…言いたいのだね?」
「所詮、反体制テロリストのゼロが作った国なら超合集国は世が世なら、単なるテロ国家だって事。世界征服のお題目で侵略戦争やってたブリタニア帝国の方がまだマシだって事よ。」
「な!」
良二もまた、追い打ちをかける。
「大体、武石財閥に限れば今度はお前らに媚びようとしているんだろう?日本政府、ブリタニア、そして超合集国。会社のためなら、俺もやむなしで……経営者として自然だと思うさ。」
「な、なら君だって…!」
「だが、あいつらは自分の体制内での地位にしか興味がない。ブリタニアの体制下ではスザクが『ナイトオブラウンズ』になったら……スザクと同門だったことを売り込め、挙げ句に殿下に売り込めなんて言ってきたんだ。自分で何もしないで。そんな親をどうやって、敬えと?あいつらなんかより、自分なりのノーブルオブリゲーションを果たす殿下のほうが百億倍立派………いや、比較するのは皇族への不敬だ。」
クラリスもまた、議会で意見をした。人質の皇妃とE.U.軍人の両方の視点でだ。
「率直に申し上げますが、我が『ロンスヴォー』にはフランスや各国のブリタニアとの講和の折りに市民権や軍籍を抹消された者もおります。先に裏切った祖国をどうして信用できるのですか?」
政治で片付く問題ではない…いや、政治の汚いそれも最低なやり口。既に証拠はある。しかも、それを公表するために動いたのは今ここにいるライルだ。
「それにもう一つ……殿下は蓬莱島で未遂ながら、皇妃方を誘拐されました。扇副司令や藤堂将軍、皇議長も事実として認めております。なんでしたら、その際の証拠を我が『ロンスヴォー』と殿下の合同で提出します。」
クラリスはこの動議がライルを始末するか飼い慣らすためのものであると見抜いていた。ルルーシュに加担したは方便……ナンバーズに損がないように動けるだけ動いた事実を有耶無耶にするのが目的だ。
だから、クラリスはこの場でカードを切った。
「彼らにはブリタニアも『黒の騎士団』も信用する理由がありません。いえ、ブリタニアならば殿下だけ……殿下に少なからず助力した貴族・皇族、並びに各エリアの政策協力者ならば僅かな信用があるでしょう。少なくとも、これまでの殿下の『洗脳』は政治的に波風が立たない、国家の命脈を伸ばす試みとしては理想的な『洗脳』だと思いますが?」
ブリタニア、それもライルと彼に近い貴族以外は信用していない。祖国側で信用をしているのも、ライルと多少なりと接点がある業界人や政治家………他は一切合切信用していない。誇張はあるが、全て事実だ。未だにフランスではあの講和でライルが告発した事件の記憶は新しい。
「先日、エリス殿下がブリタニアで出した案は彼に軍以外に生活の糧がない名誉ブリタニア人の受け皿になって貰うという法案です。少なくとも、我々よりは殿下やエリア政策に協力していた要人達の方が恭順派の市民からは信用がまだあります。彼らにそれを受け持って貰うべきです。」
バルディーニも更に助け船を入れた。
浅海はE.U.の軍人達に意見をしていた。
「ねえ、私達はともかく名誉ブリタニア人になった一般の人達はどうなるんですか?」
「ど、どうって……」
「『ナンバーズから解放されました、もう自由です』で、終わりじゃ意味がないですよ………何とかブリタニアの企業でやってきた人や小さい子供の勉強とか……『自由になりました』で終わらせる気ですか?」
「そ、そんなことはない。」
「……扇副司令や藤堂中佐はどうなんですか?敵に指摘されないと分からない政府なんて信用しません。」
実際、浅海も一度はE.U.政府に裏切られた身。正式な市民権を与えておいて、奪われたのだ。そしてライルの皇妃になり、僅かだが彼の傍にいる名誉ブリタニア人とその言い分に触れた。
彼らは浅海が耳あたりの良い言葉で言い訳していた日本独立の負の面の犠牲者だ。ブリタニアの主義者もそうした人がいるのだと、今なら分かる。
畑方秀作は日本から来た団員を睨んだ。
「貴様らの目的は、俺を枢木スザクの代わりに日本が独立した旗印にしたいんじゃないのか?」
「そ、そんなことはない!だが、君は畑方将軍の孫だ……日本代表となれば」
「大ボラ吹きやがって。魔物は所詮、魔物だな。いや、ここまで来ればブリタニアが導く価値もないな………俺の側の突然変異種以外は死に絶えるべきだ。」
「なに、貴様!日本人の誇り…」
海棠が刀を首に添えた。秀作はそれが少し意外だった。
「馬鹿も休み休み言え…このほら吹き。」
「な、か…海棠大佐?」
「今の日本代表で枢木スザクの代わりに欲しいってお前ら自供したんだ……体の良い徴兵だ。絶滅は言い過ぎだが、議長様も込みで殺されても文句言えないぞ?ウチの子供達以上にこの子らは自分の国を信用してないんだ。それは理解しろ……信用して欲しいなら、少しはワガママ聞いてやりな。」
ライルはしばし黙っていたが、口を開いた。
「この場を借り、はっきり申し上げます。私の側近相当の名誉ブリタニア人達だけでも、自国を信用していない者が両手の指だけはいます………私がブリタニア貴族を信用しないのと同じか、それより遙かに超えるほど。」
優衣と涼子などブリタニアに両親を殺されたが、その後後見人に裏切られた。皇コンツェルンもそれは認めている……幸也は日本とブリタニアに家族を奪われ、雛は日本政府が助けてくれなかったから自分で生き残ろうとした、秀作は親を始め日本人のエゴに振り回された。日本だけで片手の指が全て埋まってしまう。
「私どころか、弟だって関与しようのないことです…………弟のせいだというあなた方や、人種や身分をかざす貴族より、部下達の方がずっと大人に見えるほどです。それに……」
「それに………なんですか?」
議会側の問いにライルは一呼吸置いて答える。
「私の騎士の言葉を借りますが、彼女はハーフ故の迫害故に『混血迫害協定』をブリタニアが世界各国と結んだと、蓬莱島で『黒の騎士団』に詰め寄ったことがあります。」
「今度は、ブリタニアと超合集国が『混血・名誉排斥協定』なんての結ぶんじゃないの?名誉ブリタニア人の軍人がブリタニア人に危険な任務をやらされて、捨て駒にされたように……今度はあんた達が私のようなハーフや元名誉ブリタニア人を危険な任務をやらせる。E.U.のイレヴンや外人部隊もそうだったしね。さしずめ、ブリタニア風に言えば『ヘブンズナイツ』ってところ?」
「わ、我々を愚弄するか!所詮はブリタニアの混ざり物」
「いきなり、ぼろが出た。これなら、ブリタニアが世界征服したままの方が私や名誉騎士団のみんなにとってはマシだったかもね。」
レイの指摘はある意味で的を射ているだろう。実際、名誉ブリタニア人達が迫害されない……等という保証はどこにもないのだ。
「……ですが、繰り言や恨み言ばかり並べても意味がないことは承知しています。ブリタニア側からは我々の処遇についてどのような連絡が来ていますか?」
「…貴方を指してかは分かりませぬが、名誉ブリタニア人らの受け皿が必要だと兄君のエリス殿下がとりまとめたそうです。ナナリー様やシュナイゼル殿下もほぼ同じ意見だということ。」
「分かりました………私はともかく、名誉ブリタニア人達には大なり小なり一般ナンバーズよりも学力や職歴にはアドバンテージがあります。彼らの力は否が応でも必要となるはずなので、どうかそこはご配慮を…」
それで議会はお開きとなった。とはいえ、半ばライルの弾劾裁判となりかけていたのを反撃されたような形になった。
「殿下、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
議員からライルは質問された。
「何でしょう?」
「貴方がルルーシュ皇帝についたのは、母君の復讐ですか?」
母…確かにあの女はペンドラゴンにいた。生き残った侍従の話によれば、ルルーシュの即位を認めないばかりかライルにルルーシュを殺させて即位させろ、と喚いていた。そうしてわめき続け、ペンドラゴンごと消えた。
「……何故、部下や領民を殺そうとした女の仇討ちをしなければならないのですか?肉親の情なんて、もうありません。そもそも……その論理で行けば私が弟に着くのはおかしな事ではない、ということになりますが?大体、人数で言えば兄と妹の方が遙かに大勢殺しています。」
そう……あの戦争は要するにきょうだいでの殺し合いだ。帝都にいた大勢のきょうだいがシュナイゼルとナナリーに殺されたのだ。
「………兄達が良くて、弟は駄目なんて言いませんよね?」
またも正論……いや、これは恐らく未来永劫…平行線の課題だ。そんな命題を二十歳前の若者に突きつけられて議員達も黙った。
ブリタニアから解放されて「めでたしめでたし」で終わる。そんな絵本と同程度にしか物事を考えていなかった者達には酷だっただろう。
本編では余り掘り下げられなかった、名誉の扱いの可能性です。実際、今回は極端だけど名誉ブリタニア人にとってはどっちも信用できない可能性はあるでしょう。
それこそ、真っ当に扱ってくれる貴族の元で何とかやってきてたのに「おめでとうございます。もう、ナンバーズじゃありません」と言われて『ナンバーズじゃなくなったんだから良いじゃないか』では盗人と何ら変わらないでしょう。
当初のスザクみたいな扱いされた人にとっては、良いでしょうけど……実際問題として歩兵としてでも『黒の騎士団』で使ってくれなきゃ…ですよね?
散々、本編でライルや海棠が指摘して且つ……浅海を悩ませたそれです。
こればっかりはルルーシュの仕業が効かない……『ロゼ』のブリタニア・バッシングより質の悪い問題かもしれません。