コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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前回登場したエレーナの胸のサイズ、私のキャラでは最高レベルでこれ以上は出ません(笑)。


BERSERK-16『英雄皇女』

サラゴサにあるゲットーの一角に潜伏するテロリストを討伐してほしいと要請を受けたライルはその場の指揮権をもらうという条件で受諾した。

 

作戦には母艦を含めた三隻のカールレオン級で赴く。任務地のゲットーはかなりしぶといという。最大勢力の『マドリードの星』ほどではないが、おそらくかなりの苦戦を強いられるだろう。

 

『マドリードの星』と繋がりはないが、エリア24の抵抗勢力は面従腹背のスペイン政府と軍…隣国のポルトガルやフランス、更にブリタニア軍内部にも協力者がいる。エリア11以上に複雑な様相を見せるのは、マリーベルの統治がブリタニアにとっても目に余っている証拠だ。

 

ライルは問題のゲットーに展開し、ヴィンセントで発進する。そして、一番目立ちそうな場所に着陸してスピーカーを最大にした。

 

「私は神聖ブリタニア帝国第八皇子ライル・フェ・ブリタニアである。この地区には、スペイン独立を掲げながらも租界に害を及ぼすテロリストが潜伏しているとの情報を既につかんだ。」

 

流石に航空艦とKMFがいるというのは目立ち、ゲットーの住民達も困惑する。やはり、知らない住民も多いようだ。

 

「既に我が軍はこの地区を包囲している。テロリストに告げる……戦えない同胞を………子供達を案ずるのならば速やかに武装を解除して投降せよ。そうすれば、これ以上の軍事行動はない。祖国のために命を落とすのが全てのスペイン人の幸せと思うなら、向かってきても構わない。……十分だけ待つ。」

 

とはいえ、マリーベルの統治でイベリア半島のほとんどは血の海にされているような状態。本当にいるのだろうか?いたとしても……

 

定刻二分前に入った頃でセンサーが反応した。下からだ。機体を飛ばして躱すと、そこにはバズーカ兵のジープがいた。

 

「子供を案じるなら、と言っておいたのに!」

 

ライルはハーケンで乗っている人間諸共ジープを破壊する。

 

「全軍、テロリストは交戦の構えを取った。私を囮に攻撃してきた敵を各個撃破」

 

こうなった以上は少しでも住民の犠牲を減らすしかない。しかし、命令の前に突然砲撃が行われた。ハドロン砲だ。

 

砲撃はヴィンセントの後ろから。見上げると、そこにはデータで見た機体があった。

 

両肩に大型のハドロン砲と両手の巨大なクロ―……間違いない。ルーカスがガウェインのデータを元に作らせた専用機、ラモラックだ。

 

「ルーカス、貴様!どういうつもりだ!この場の指揮権は私にある!速やかに後退」

 

〈お兄様の指揮権を総督権限で剥奪します。〉

 

いつの間にか、『大グリンダ騎士団』旗艦のグランベリーがいた。そして、白いヴィンセント…ヴィンセント・グラムがナイフをライルの機体の首に突き付けた。さらに、他のプラズマブースターを装備したサザーランド隊がライル軍の艦に取り付いた。

 

「な!マリー、何の真似だ!?」

 

〈お兄様はテロリストに投降を命じ、まして十分もの猶予を与えました。よって指揮官として不適格な判断をしたとみなして、わたくしが指揮権を停止させました。〉

 

〈マリーベル総督、それは総督といえど越権行為が!〉

 

『大グリンダ騎士団』の天空騎士団に所属するグロースターが抗議してきたレイのヴィンセントのコクピットにランスを突きつけ、更にライルの旗艦にブラッドフォードとゼットランドが武器の照準を合わせている。

 

「シュタイナー卿…ロックハート卿、君達も同じなのか!?」

 

モニターに映ったレオンハルト・シュタイナーとティンク・ロックハートは無言だ。しかし、その顔が不本意なのは目に映っていた。

 

〈総督として命じます、ゲットー制圧を開始しなさい。〉

 

「待て!」

 

〈お前、立場が分かってないだろう?これを見な。〉

 

ラモラックからモニターが映ると、なんといつの間にか『グリンダ騎士団』とルーカス軍の兵士がライルの旗艦に乗り込んでブリッジを占拠していた。有紗や優衣も、美水すら銃を向けられていた。

 

〈お前の女共をいただきたいのをこっちは我慢してやってるんだぞ?逆らえば、どうなるかわかるよな。〉

 

〈殿下、貴方はテロリストに甘い。〉

 

ライアーと呼ばれている筆頭騎士も淡々とマリーベルに従う。その表情は仮面越しで分からない。

 

「き、貴様らぁぁぁ!!!」

 

重装騎士団がゲットーにミサイルやハドロン砲を無差別に撃ち、ビルの地下に逃げ込もうとした人々をラモラックが砲撃してビルごと押しつぶす。さらに『グリンダ騎士団』のKMFが市民を手当たり次第に撃ち、赤ん坊を抱いて逃げる幼い子供を踏み潰した。

 

「やめろ、マリー!君のやっていることは統治ではない!ユフィと同じ虐殺だ!!」

 

〈力を示すことが民衆を守るのです。それに、あの事件はテロリストを〉

 

「あれは帝国臣民の日本人として恭順を示した人々への裏切りだ!」

 

〈イレヴンは臣民ではありません。テロリストになる危険な民族です。〉

 

「テロリストじゃない人間だってこの地区にいるんだぞ!」

 

〈ゲットーごと焼き尽くせば済む話です。〉

 

まるで会話になっていない。そもそも、聞く意志すらない。

 

「こんな暴挙、皇族として見過ごせるか!!」

 

ランスを構え、グランベリーを狙う。

 

だが、ヴィンセント・グラムがナイフでこちらの右腕を破壊し、更にラモラックがクローで頭を叩きつけた。

 

〈動くなって言っただろうが。〉

 

「ルーカス殿下のお考えには賛同できませんが、次やれば貴方の女達がどうなるか保証できませんよ?」

 

「ぎ…ぐぅ……くそぉぉぉおぉぉ!!!!」

 

結局、ゲットーは二時間で壊滅した。解放されたライルは街に降り立って歩いた。

 

ここまでやる必要はないはず。クロヴィスのシンジュク事変にしても、そうだ。戦争であれば、市街地に被害が及ぶなどざらにある話。しかし、だからこそ被害を抑えるのが軍人であるはずなのに、マリーベルはそれを放棄している。まるで自分の怨念を晴らすことそれ自体が目的であるかのように。

 

そこへ、小さな泣き声が聞こえた。近くを見回すと、五歳くらいの男の子が泣きながら歩いていた。親とはぐれたのだろう。保護しなければ。

 

「だいじょ…」

 

だが、男の子は左から撃たれた。頭を撃たれて、即死だった。

 

「ご無事ですか、お兄様。」

 

マリーベルだ。子供を撃ち殺したというのに、何とも思っていない口ぶりにライルは戦慄した。

 

「何が『ご無事ですか』だ!既に戦闘は終結した!生存者の保護まで邪魔するか!?」

 

「生存者はいません。ナンバーズはテロリストになり得るから、監視しなければならないのです。」

 

「その監視するナンバーズが根絶やしになったらどうなるんだ!?」

 

だが、マリーベルは子供のように首をかしげる。

 

「どこが問題なのですか?テロを根絶できた証拠ではありませんか。」

 

「ぎ…そのためなら、スペイン人という人種を絶滅させる気なのか!?」

 

「スペイン人などという民族はいません、彼らはツーフォーです。」

 

「それは我々が勝手につけた名前だ!」

 

「ブリタニアは惰弱な民主主義から彼らを守っているのです。いわば、その庇護を受ける誉ある名前です。」

 

ライルは確信した。こいつはもう、ユフィ以上の虐殺皇女だ。その気になれば、E.U.加盟国の市民を本当に皆殺しにしかねない。こいつを生かしておくわけにはいかない。ブリタニア以前に世界のために。

 

ライルは剣を抜き、斬りかかるが間にライアーが入った。

 

「どけ、ライアー!!」

 

「どくのは貴方です。」

 

ライアーは剣を押しのけるが、ライルも再び剣を振るう。

 

「おっと、そこまでにしてもらおうかライル。」

 

ルーカスの声が聞こえると、ルーカスはどこで見つけたのかツーフォーの少女に銃を向けていた。

 

「何をしている、貴様。その子を解放しろ!」

 

「そうはいかないな、テロリストかもしれないから尋問しないと。良いだろう、マリーベル?」

 

「ええ、どうぞ。」

 

な!?こいつらは本気で!?ルーカスが何をするかなど、マリーベルだって知っているはず!つまり、総督が何をしても良いと認めているから、それを実行に移すと!!

 

「き、貴様らは…!!」

 

どこまで見下げ果てたんだ、マリー!!ソキア・シェルパが離れたのは間違いなくこれだ。自分がソキアの立場なら、迷わず除隊する。レオンハルトはウィルバー・ミルビルの事件での家の名誉挽回、ティンクは身体がサイバネティックスで補修されて軍のケアが必要だから除隊できない。だが、逆に言えばそれらがなければ二人も離れかねないということだ。

 

ジヴォン卿がいないだけでここまでなるのか!?

 

いや、これではたとえオルドリンがいたとしても止まるどころかオルドリンでも!

 

 

 

クルークハルトはグロースターのコクピットでパネルを殴りつけた。こんなもの、『ユーロ・ブリタニア』だったら絶対にやらない。いや、本国でもここまでやらないはず。

 

俺は何をやっているんだ!サン・ジル卿の逃亡という不名誉を少しでも回復しようとしているのに、これではサン・ジル卿の汚名を余計に際立たせるだけではないか!!

 

 

 

マルセルは待機していたKMFのコクピットで言葉を失った。ロシア軍時代に交戦した『ユーロ・ブリタニア』はここまでやっていなかった。いや、むしろ逃げるE.U.正規軍でもやらなかった。

 

これじゃあ、『ユーロ・ブリタニア』が丸ごと離反しかねないじゃないか!高潔なヴェランス大公ならこれを許すはずがない。もしそうなれば、自分は宗主を…我々ユーロピア市民の真の王を敵に回すことになるのか?

 

そんなの、本末転倒も良いところだ!冗談じゃない!!

 

だが、そうなっても果たして自分はE.U.に戻れるのか?そんなわけない。大体出戻りなんて信用されるわけがないし、逃げるために自分の家族を奪った軍隊など信じない。

 

むしろ、この暴走が拡大して『ユーロ・ブリタニア』を襲う可能性の方が高い。ライルはそれを認めるのだろうか?

 

まだ仕えるようになって短いが、エリア11での甘すぎるともいえる対応に今回の件でも総督が直々に動けなくしたあたりを見ても、マリーベルとルーカスの二人からは相当に目障りなようだが。

 

 

 

その後、ライルはすぐさまこの暴挙を本国に報告した。流石に本国の保守的な貴族もこれには青ざめていた。何しろ、二人の皇族があまりにも強引な理屈で指揮権譲渡を撤回してゲットー一つを丸ごと焼き払った。しかも、友軍を人質にして止めようとしたライルを動けなくしたとあっては、いくら問題児のライルの報告といえども笑い飛ばすわけにはいかなかった。この件ではレオンハルトとティンクもマリーベルやシュバルツァーに抗議したが聞き入れられず、代わりにライルが部下達を人質にされた事実を証明する側に回った。

 

結果論だが、ライルがルーカスとマリーベルと共謀してゲットーを虐殺したという疑惑の払拭はできた。しかし、それだけだった。

 

ライルは座り込んで、うつむいていた。

 

「ライル様……」

 

有紗だ。水を持ってきてくれたが、ライルはグラスではなくボトルから直接ラッパ飲みする。だが、一気にたくさん飲んだのでむせこんでしまう。

 

「ライル様!」

 

有紗が背中をさすり、ライルは呼吸を整える。

 

「っ、はぁ…はぁ……!」

 

「今回の事、ライル様の責任じゃあ…それに、あれじゃあどうしようも。」

 

「分かっているんだ、そんなこと。それに…何万人も殺したくせに今更、だというのも。」

 

 

 

中島の時と同じ…弱弱しい姿だ。頭では分かっているんだ。あの特区の事件と同様、ライルでは止められなかったことを。だが……それでも今度は居合わせてしまった。よりにもよって陥れられるような形で。しかも、生き残った子供を保護しようとしたところで撃ち殺された上に、生存者の少女がルーカスに拉致されるのを事実上黙認してしまったという。

 

「私は…僕はどこまで行っても、悪逆非道なブリタニア皇族なんだ。ユフィやルーカスと同類なんだ…!分かってるのに…!!」

 

どんどん、自分自身を貶めているようだ。

 

「止められる権利や立場があるなら…やらないより、やった方が良い!それを可能にしうる立場と権力があるのに、これじゃあ……!!」

 

有紗はライルの頭を抱きしめた。

 

「ライル様…ご自分でもわかってるはずでしょう?全部は取れない。取れるものを取るしかない。私達のような、ブリタニアに恭順しないと生きられない人を取る選択をしたって。ここに、それで救われた人がいるんです。」

 

そう、それは絶対に誰がなんと言おうと揺るがない。ゼロがあのオークションに来ていても、間に合った保証もない。それに、実際に保護してくれたのはライルだ。

 

「中島さんたちの時だって、私達をかばったのを私が知ってるから。」

 

口裏合わせた芝居?そんなわけがない。大体、ライルだけが無実になってどうするのだ?それなら、ライルを虐殺者に仕立てた方が効果がありそうだ。

 

あの反乱もお気に入りの女だけ手元に残すために、反乱を仕向けた?反乱を仕向けるなら、もっと大掛かりな方が良い。

 

有紗だってそう思うのだ。反ブリタニアの連中はただ、皇族が悪逆非道であるという固定観念を持つ。いや、もしかしたらそうこじつけているだけなのかもしれない。

 

他は分からないが、少なくともライルは違う。大体あのユーフェミアだって、あそこであんなことをするのに何のメリットがあるというのだ?スザクは感情から無実を主張しているようだが、ライルは感情とそうした観点で彼女を無実だと考えている。本国時代、『ユーロ・ブリタニア』貴族の姉経由で面識があったというテレサもユーフェミアを無実だと思っているのだ。

 

要は、分かりやすい悪役にしたいだけじゃないのか?それも、ブリタニア憎し以上に自己正当化の方便として。

もしそれなら、私はこの人を信じる。イレヴンごときどんどん死ね、ツーフォーなどいくらでも死んだ方が良い。なんて考えられれば楽なのにそういう考えを人一倍嫌っている。でなければ、ここまで疲弊するわけがない。

 

「私はライル様がブリタニアの改革も、ナンバーズの事も本気で考えてるって知っているから…」

 

前も言ったことだが、改めて伝えた。

 

「私……そんなライル様のもので幸せなの。」

 

そう、この人にお仕えして……愛人のままでも愛し合っている今が最高に幸せだ。

 

ライルが見上げてきて、どこか安心したような顔になる。

 

「有紗……すまない。今は、それで十分だから。」

 

 




ルーカスも、正にブリタニアの悪行の代表例でしょう。

とにかく凝り固まった選民思想の皇族で、自分は何をしても良いという典型的な我が儘皇子で暴君。そのくせ、戦場では安全な場所で火力にものを言わせるタイプ。

コーネリアのようなタイプには嫌われる事確定です。
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