コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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まず、いきなりエリア11です。



BERSERK-2『反乱の地へ』

ライルはまず、エリア11の視察を行う予定だ。『グリンダ騎士団』の活躍とその後のカラレスの統治で、治安はある程度落ち着いているものの、今度はカラレスの統治それ自体が問題になっていた。

 

とにかく、カラレスは徹底した弾圧を行って反抗的な動きのあるゲットーは壊滅、十分な取り調べも行わずに手当たり次第に逮捕者を処刑していた。植民地政策に協力している日本の財界人達も何とか緩和を働きかけているが、聞く耳を持たずにゲットーは生産力が落ちてリフレインが前以上に蔓延、更にマフィアもここで活発に動いている。

 

それらを口実にライルはエリア11へ向かい、その後は中華連邦も訪問。その後でE.U.侵攻に合流することになった。

 

「あのような極東の猿共の土地になぜ、あなたが行くのですか!?」

 

離宮へ戻って一応の報告を受けたシェールの第一声はこれだ。

 

「あれだけ大きな反乱がおきたからです。もう一つは、エリア11出身者達は『ブラック・リベリオン』以来戻っていません。家族の安否が確認されているとはいえ、直接会うことも大事です。」

 

「猿共の代わりなど、いくらでもいるのです!」

 

「彼らは人間です。」

 

「何を仰いますか!?ブリタニア人以外はすべて、猿!しゃべる家畜なのですよ!!」

 

これだ……大体、この女の場合は自分以外が家畜や道具なのだろうが。

 

「いずれにせよ、この件は既に宰相閣下のご了承も得ています。」

 

そう言って、ライルは退室して自室に戻り、有紗にアイスティーを頼んだ。

 

「すごい言い争いでしたね。」

 

「ああ……下手なテロリストよりも質が悪い。」

 

これで有紗達との仲を勘づかれたら何をしてくるか、分かったものではない。

 

あのオレゴンを訪れた休暇の後、有紗、レイ、クリスタルと関係を結んだことを部下達に気づかれるのにそれほど時間はかからなかった。むしろ、新兵以外は歓迎すらしていた。

 

ゲイリーや幕僚達によれば…

 

「酒でも女でも、殿下の気がまぎれる要素ができたのであれば、我々としては助かります。とばっちりで貴方に斬られたくありませんから。」

 

等と、容赦のない非難を浴びせてきた。自覚もあった分、ライルも言い返せなかった。確かに三人とも抱いているが、それでも一週間に一回か二回だ。そんなに頻繁ではない。クリスタルはやや不服そうだが。

 

「有紗、エリア11に行くことは確定しているからハラジュクに行くといい。ただ、前に比べてどうなっているかは分からない。少なくとも、ゲットー外苑までは必ず親衛隊と『フォーリン・ナイツ』の護衛と一緒に行ってくれ。」

 

「はい。」

 

 

 

「ああ……軍の活動方針をあまり詳しく明かせないが、そっちに戻れる。本国のクッキーくらいは持って帰るよ。」

 

〈毛生え薬でももらって、そのスキンヘッド何とかしたら?〉

 

長野五竜は娘と電話で話していた。長野の実績を考慮して、特例として長野本人と妻子に電話の所持を許されたのだ。

 

「生憎、これは父さんのトレードマークだ。」

 

〈あら、そう。まあ、気を付けてね。〉

 

「ああ、母さんにもよろしく。」

 

電話を切り、長野はため息をついた。携帯の所持を認めてもらったのは幸いだ。爵位こそ持たないが、被占領国の軍人でブリタニアの将官にまで上り詰めた長野は注目を浴びてしまうも、不満を持つ人間はスザクの時と同様に実力を持って黙らせた。

 

彼らは目を背けていた。今後の働きいかんでは名誉騎士候を叙せられるだけでなく、日本代表として貴族になる可能性も。

 

既に破格の出世をしている枢木スザクに続くナンバーズの躍進につながるのではという事実を。

 

事実、エリア11はともかく他のエリアでスザクはその出世を讃えて『ナンバーズの英雄』と呼ばれ、長野達もその名誉挽回を指して恭順派から『代表騎士団』などと呼ばれている。

 

レイはブリタニア貴族のハーフゆえに『ブリタニア貴族の母のおかげ』という風潮が強いが、場合によっては双方から迫害されるハーフの中でブリタニア皇族の騎士という最上位の地位を獲得したことがハーフやクォーターの恭順の呼び水にもなった。

 

加えて、スザクや長野には及ばないが有紗もネットを通じて噂が広まっている。もっとも、『色仕掛けでメイドになった』、「第八皇子殿下は東洋人が好み」などという噂の比率の方が高いが。

 

『仏の顔も三度』というが、そうならないようにせねばならぬか?

 

 

 

秀作はセラフィナ・ギ・ブリタニアと食事をしていた。と言っても、軍の食堂でだが。基地の将兵達は何やらひそひそと話しているが、既に一度や二度ではないのでもはや慣れていた。が…

 

「あいつ、イレヴンのくせに皇女殿下に取り入りやがって。」

 

「どうやって、口説いたのかしら?ああ、顔は可愛いからちょっと甘えたのね。」

 

毎度毎度、良く飽きないな…

 

そして、セラフィナ自身もため息をついていた。

 

「ごめんなさい、こんな場所になって。」

 

「別に…」

 

「エリア11に行くけど……その、お世話になった人とかいないの?」

 

「特にいないな。」

 

あの日、秀作はトットリの組織に拉致されて担ぎ出されそうになった。拒んで殺されそうになったところを、リーダーを刺して命からがら逃げだした。そして、ブリタニア軍に助けを求めた。

 

立場が立場ゆえに政庁から重要人物扱いされたが、幼かったこともありさほど監視はなく、恭順派の保護観察下に置かれていた。名誉ブリタニア人になれたのもその縁だ。

 

「その、政策に協力している日本政府の人達には会いたくないの?」

 

「………さあな。俺が今貴族の保護者で皇族の親衛隊になっているのを知ったら、ライルかあんたに執り成せって言ってくるだろうよ。冗談じゃない。」

 

どうせ、そうなることは目に見えている。そもそも、俺の血筋でブリタニア軍出世なんて期待から保護したに決まっているんだ。

 

 

 

「じゃあ、ずっと…」

 

「ええ、そう。友達とか家族はみんな、おたくらとの戦争で死んだ。だから、土産話にできそうなものはないわ。」

 

雛は出立前に会いたいというウェルナーの要望で離宮を訪問していた。

 

「そう、ですか……その、僕個人としては特区で亡くなった人達の慰霊碑に花でも備えたかったんですけど。」

 

「…あんたのそういうところは好きだけど、やめときなさい。ブリタニア人のくせにおこがましいとかって殺されるから。まして、皇子様なんだから。」

 

「…ユフィと、同じに決まっている?」

 

「そ。ブリタニア皇族は全部、副総督なんて固定観念が根付いてる可能性があるわ。ウチの皇子様だってそうなんだから。」

 

「………ナナリーも?」

 

あの子、か…

 

最近知った、『ブラック・リベリオン』の直後に行方が判明した皇女。かつては日本に留学していたそうだが、目と足が不自由なのでは人質か何かなのは今の雛ならば十分わかる。なんでも、兄と一緒に来ていたとか。

 

そりゃ、油断するのも無理ないか。まあ、後の展開やそれについては全否定するけど…

 

「ねえ、随分と入れ込んでるけど…そのナナリー様ってあんたの初恋?」

 

「え?」

 

ウェルナーの顔が真っ赤になった。図星のようだ。

 

「………そ、そうですね…僕と真逆で、昔はお転婆で母君や兄君を困らせていたんです。特にユフィなんて、どっちが兄君と結婚するかって取り合いになったんですよ?」

 

「うわ…あの副総督があれだけの美人なら兄さんは良い男でしょ?ウチの皇子様並?」

 

「そうですね、今も皇籍にいたら結婚したがる人が沢山いたと思います。それに……一人っ子としては羨ましかったから。ちょっと、嫉妬してました。」

 

「そういう元気なところに惚れたのね……って、本物の一人っ子がここにいるのよ?」

 

「あ、すみません。」

 

そして、夕食を取って雛は戻ろうとしたところをウェルナーの母、トゥーリアに呼び止められた。医療法人を経営する貴族の出身で、爵位は男爵家だった。爵位は低いが、ちゃんと医科大学を出ており、大貴族の出産も手伝ったらしい。現在は現場を離れて、いくつかの病院の運営に回っている。

 

離宮を訪ねる内に顔を合わせるようになり、家臣達と違いナンバーズの雛がウェルナーと会うことにさほど文句を言ってくる様子はないが……

 

「なんでしょうか?」

 

「雛さん…率直に申し上げます。少しだけ、息子と距離を置けますか?」

 

「…火傷女が、おたくの息子を誘惑してると?この顔知ってる人が言うことで?」

 

前髪を指さして、雛は半ば嘲笑するように答える。

 

「そういう問題ではなく、貴女とライルのために言っているのです。ライルがウェルナーを味方とするため、貴女を送り込んだと邪推する者がいます。」

 

「…そいつらの頭を分析したら?こんなのより、ウチの皇子様のお気に入りの女の方が食いつき良いでしょう?あたしが男なら、あの三人横取りしてたっぷり楽しむわ。」

 

もっとも、そんなことをしようものなら本当に首が飛ぶのは確実だし、その三人がライル一筋なのは雛とて承知している。

 

「そうは思わない輩が多いのです……」

 

「…戦争でなら、何とか整理を着けられるけど政争で殺されることがあったら?」

 

「はい…付け加えれば、任務に乗じてという手もあります…」

 

「………で?」

 

「貴女には本当に感謝しています。あの子が自分で歩く努力をするようになり、外を見る意志を持つようになったのは貴女のおかげです。あの子の母として、皇妃としても貴女を案じているから言っているのです。」

 

どうやら、自分は思っていた以上に貴族様の反感を買ってしまったようだ。しかし、連中も暇だ。大体、自分が失敗したのは心象をよくしたい相手の分析を失敗したからじゃないのか?それを棚に上げて、よくも。

 

「皇妃としての忠告は、家族殺されてこんな顔にされた身としては聞けない……けど、あの子の親としての意見で聞いてあげます。まあ、電話やメールは許してくださいね。」

 

「…あまり、頻繁になさらないように。」

 

 

 

ライル軍は本国の事件で使ったカールレオン級を四隻そのまま使わせてもらうことになった。その間にも、ライルはエリア11の情勢を見るがやはり芳しくない。『黒の騎士団』の影響がいまだ強く残っているのもあるが、それ以上に生産率や治安が低下している。やはり、コーネリアと『純血派』に比べればカラレスの統治能力が劣っているのだ。

 

これでは、集まる名誉ブリタニア人希望者が余計集まらないし、ゲットーの問題だって悪化する一方だ。

 

一瞬、これなら自分がやった方がまだマシだったのでは?と自惚れてしまった。

 

「まだ、お休みになっていないんですね。」

 

有紗が軽食のおにぎりを持ってきたが、そういう彼女とてまだ休んでいない。

 

「ああ、報告で見た限りだとやはりゲットーの状態は前より酷い………これでは、富士山の式典跡地に行けるかどうか。」

 

うなるライルの側に有紗が歩み寄ってきた。

 

「今、無理に行かなくてもいいのでは?それこそ、E.U.の方で頑張ってその成果でライル様が後任の総督に志願すれば……」

 

「それが現実的だな…今となっては、ユフィの一味扱いだろうが。」

 

加えて、あの処刑の一件もある。山本秋水やグレイブ・ガロファーノに聞いたところ、今ではナンバーズの女を中心に侍らしている、挙げ句には裏でユーフェミアと同じことを企てていると一部の協力企業からも邪推されている始末だ。

 

「どうして…あそこであんなことをする意味がないことくらい、私でもわかるのに。」

 

未だに燻る疑問が出てくるが、今は考えても仕方がない。ライルが抱いている可能性とて、何ら根拠もない突飛な発想なのだから。

 

「とにかく、今は行けるだけ行こう。私ももう少ししたら休むから、君も休んでおけ。」

 

「はい。」

 

有紗が退室した後、おにぎりを二個頬張り、緑茶を飲んで再び考える。やはり、妙だ。なぜこんな状態のエリア11に皇帝は目を光らせる?E.U.と中華連邦の方が外交的にも戦略的にも重要なはずなのに。

 

アッシュフォード学園が何か関係している?そして、スザクも何らかの形で関与しているのか?

 

 

 

 




雛は母君の覚えがよく、外野故に甘やかさずに叱ったことで息子が変わったことに感謝されています。皇妃としては難色を示すところでも、親としては感謝するというジレンマです。

秀作もセラが世話を焼いて、軍隊の食堂での相席などを積極的にやってる。でも、外野から見れば皇女のセラがイレヴンの秀作に入れ込んでいるように見える。

貴族だから気に入られて当たり前、と思う手合いは妬むでしょうね。もっとも、実力主義でブリタニア人、特に貴族を信用していないライルに言わせればレベルが低いかも。
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