コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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留守番?しているときのライルです。ちなみに、これは掲示板時代になかった奴。


BERSERK-26『暴走列車』

秀作達は合流したという連絡が入り、数日した頃……ライル軍はアンドラ政府と話をおおよそまとめようとしていた時……

 

「あら、何かしらこれ?」

 

優衣が何かに気付いた。同じく管制に付いている涼子と他のオペレーター達も気付いた。

 

「お姉ちゃん、これブリタニアのチャンネルよね?」

 

「ええ、でも…こっちではE.U.のチャンネルを掴んだわ。でも、なんでこんな位置に?」

 

他のオペレーター達も困惑している。

 

「どういうことだ?」

 

ゲイリーの問いに優衣が答える。

 

「はい、さっきからE.U.とブリタニアの通信チャンネルが飛び交ってて…『列車を拿捕しろ』とか、『避難民を逃がすな』とか…」

 

列車…避難民……

 

それからブリタニア軍とE.U.……まさか。

 

「位置は分かるか?」

 

「位置は…丁度フランス国境付近です。ドイツ方面に行こうとしている線路があります。」

 

優衣が詳しい位置を出す。ここから、いけない距離ではない。もし、想像通りであるならば止めねばならない。

 

「私とクリスタル、レイ、長野の四人で現場に急行する。ゲイリー、すまないがアンドラ政府を経由してフランス政府に事態の説明を、本国にもこのことを。」

 

「え、どういうことですか?」

 

困惑する有紗に優衣と涼子が、美水が意図を察する。

 

「つまり、殿下はE.U.の避難列車が襲われていると思っているのですね?」

 

「ああ、通信を傍受して現場に急行し、真偽を確かめる。名目はこれでいいだろう?」

 

美水は頷く。

 

「はい…内容が不明瞭である以上は現場に急行するのが確実です。」

 

「しかし、テロリストが紛れ込んでいる可能性も。」

 

その可能性は否定できない。だが……

 

「本物の避難民をその巻き添えにするわけにもいかないだろう。」

 

幕僚の反対意見を押し切り、格納庫へ向かった。

 

 

 

スペインがブリタニア領土となって、フランスは蜂の巣をつついたように慌ただしくなっていた。諦めて今まで通りの生活を続ける者、フランス政府と四十人委員会を非難する市民、その中でもスペインとの国境付近に住まう市民はパリまたはパリより更に東の都市に非難を試みていた。その中で、政府の要請で市民の避難列車を運行する鉄道会社もあった。

 

夜行列車から観光用の、果ては廃棄前の列車まで用いていた。

 

その中の一つが、越境していたブリタニア軍に発見された。停車を命令され、KMFまで現れた。これでは止まるしかないと思われた矢先、今度はE.U.の軍隊が現れた。

 

市民は政府の命令で防衛に来た軍隊だと喜んだ。しかし、違った。

 

なんと、E.U.までが列車に停車を命令した。ブリタニアはテロリストが乗り込んでいる、E.U.はブリタニアの侵攻に対抗するために市民にも協力の義務があるといって、金品や食料の没収を掲げた。

 

どちらも避難民を相手に略奪するのが目的だった。どちらに降っても、市民達にとっては絶望的な選択しかない。

 

男達は奴隷に、女達は連れ去られ、老人と子供は放置されてそのまま野垂れ死に。酷ければその場で皆殺し。

 

そんな未来予想図が全ての乗客の脳裏によぎった。

 

列車の運転手達も同様の結論に辿り着き、出た結論は走らせ続けること。両軍の停車命令を無視して、列車は速度を上げた。

 

 

 

「列車が速度を上げました!」

 

「逃げられると思うのか、馬鹿め。」

 

ブリタニア軍の将校は列車を見てほくそ笑んだ。既にE.U.の多くは我がブリタニアの領土、フランスも秒読み。

 

ならば、いずれ全てを奪う。それが少し早くなっただけだ。テロリストを乗せた列車を拿捕したということにすれば、いくらでも言い訳は付く。

 

「先頭車両の破壊はやむを得まい!先頭だけ破壊し、残りの車両を抑えろ!若い女は連れて、子供と年寄りは皆殺しだ!」

 

「イエス・マイ・ロード!!」

 

 

 

「ブリタニアに先を越されるな!金品と食料は接収、若い女は我々に同行させろ!!」

 

彼らは正規軍だが、ブリタニアの侵攻に危機感を覚えて防衛体制を整えるべく行動を起こした。

 

本人達はそのつもりだが、実際には軍上層部からは何の命令もなく、独断にすぎない。ここでブリタニアが来たのは予想外だが、ここで撃退すれば避難民を守ったという体裁が成り立ち、避難民にも積極的な協力を余儀させることが出来る。

 

指揮官はそう考えていた。

 

 

 

最早軍隊と名ばかりの二つの野盗集団に逃げ惑う列車。そこへ、一発の砲撃があった。ハドロン砲である。

 

列車の右から来るブリタニア軍を砲撃で遮り、E.U.の部隊をバズーカの砲撃が止めた。

 

「こちらは神聖ブリタニア帝国第八皇子ライル・フェ・ブリタニアである。ブリタニア、E.U.両軍に告げる。直ちに列車への攻撃を停止せよ。」

 

まだ確認中ではあるが、あの列車は避難用の列車である可能性が高い。線路の方向もドイツに向かっている。ならば、政府の要人や軍の関係者の家族もいるかもしれないが、大半は一般市民だと考えるべきだ。そう判断してライルは列車の安全確保を優先した。

 

「繰り返す、直ちに攻撃を中止せよ。」

 

連れてきたのはクリスタルのハリファクス、レイと長野のヴィンセントの計四機。カールレオン級が一隻、親衛隊と『フォーリン・ナイツ』と共に遅れてくる予定だ。何もなく、両軍とも攻撃を停止してくれればそれでよい。が………

 

〈そのような名前の人間、我がブリタニアの皇室にはおらぬ!ブリタニア皇族の名を騙る不届き者め!撃ち落とせ!!〉

 

〈イエス・マイ・ロード!!〉

 

ライルは愕然とした。仮にもKMF十機以上の部隊を率いる指揮官ならば、まともな判断が出来るはずだろうに!いや、口封じか!

 

大方、ライルを殺してその責をこの場にいるE.U.の部隊に擦り付けるつもりだ。そして、ライル救出に間に合わなかったと言い訳をするつもりだろう。

 

E.U.は……

 

〈ブリタニア皇族の侵略から列車を守った手柄を作れるぞ!!〉

 

こちらはこれだ。どちらも救いようのない愚か者だ。

 

「最後通告である。攻撃を中止し、各々の軍に原隊復帰せよ!」

 

それでも、最後通告という単語を付け加えた。これが通らなければ、最悪の選択をする覚悟で。

 

〈この期に及んで、まだ皇族の名を騙るとは!!〉

 

〈手柄は我々の物だ!皇族を討ち取れば、昇進は思いのままだ!〉

 

どちらも同じだ。どちらの言い分も食い違っているが、民間人への略奪の現行犯ではある。ならば……

 

「やむを得ない。両軍を相手に応戦しろ!」

 

〈イエス・ユア・ハイネス!!〉

 

自分を贋者呼ばわりしたこともそうだが、ここまで私欲にまみれた者達は生かしておけない。そのうち、友軍相手に略奪を行いかねない。

 

 

 

ブリタニアの騎士達は最新鋭機、ヴィンセントに圧倒された。新型がたかが四機、数で押し切れると思っていた。だが、銀と青のヴィンセントはサザーランドを全く寄せ付けない、野獣のような戦いぶりだ。

 

フロートを装備しているだけでここまで差が付く物なのか!?

 

上空から一機のサザーランドのコクピットをランスで串刺しにしたかと思えば、そのまま串刺しにしたサザーランドを蹴飛ばして別の機体にぶつけ、その部隊に突っ込んでニードルブレイザーで一機を撃破、後ろからの砲撃をフロートで上空へ逃れたかと思えば左右に高速移動する。

 

「な、なんで当たらない!?」

 

〈前線に出ないから鍛えられないんだ。〉

 

ランスでコクピットを串刺しにされ、その騎士の命は潰えた。

 

 

 

指揮官機のグロースターのパイロットは一機でこちらを圧倒するヴィンセントに怯えた。

 

「ば、化物か!?」

 

〈『ラウンズ』や『四大騎士団』の総帥だってこれくらいはやれるさ。〉

 

「ほ、ほざけ皇族の面汚しが!!」

 

〈贋者扱いしたと思えば、認める。〉

 

突き出したランスを右腕ごと連結したMVSで切り落とされ、更にヴィンセントはそれを構える。

 

〈自滅だな。〉

 

MVSがグロースターの上半身と下半身を両断した。

 

 

 

E.U.の部隊は二機のヴィンセントに手も足も出なかった。元々格闘戦が想定されていないパンツァー・フンメルでは対KMFの格闘戦を想定した上に機動力に長けたヴィンセントが相手では捉えられない。まして、これまでイレヴンや外人部隊を相手にぬるま湯にどっぷりと浸かっていたために実戦らしい実戦など殆どしていない素人同然のパイロット達が乗る機体では、相手に怯む上に味方誤射をしてしまう始末。

 

長野のヴィンセントが長刀で両断し、ハーケンで追撃する。レイがランスで足を破壊し、機動力で相手の砲撃を躱してライフルで相手を蜂の巣にしていく。

 

「全く、この程度だなんて。」

 

レイは相手の能力の低さに呆れかえった。アンドラで交戦した部隊はまだ歯ごたえがあったのに、こいつらときたら。他人にやらせることが当たり前になって、自分達でやると言うことを知らない連中ばかりだ。

 

中に混じっていたグラスゴーと鹵獲されたサザーランド…否、確かエストレヤと改名されたKMFがライフルや格闘戦用のナイフで仕掛けてきた。

 

が、パンツァー・フンメルよりはいい動きをするパイロットが乗っているようだが、それでも経験が少なすぎる。フロートで飛ぶまでもなく、跳躍力に長けたヴィンセントの機動力を生かしてニードルブレイザーを展開、エストレヤのコクピットにエネルギーを直接たたき込んだ。

 

もう一機をハーケンで破壊し、最後のグラスゴーを長野が両断した。

 

 

 

クリスタルはライルの命令で装甲車を空から先回りした。指揮官機は撃破されたが、コクピットブロックは無事だ。残りの戦車と装甲車は逃げようとするか、他の部隊への応援を呼ぼうとするがすぐに潰す。

 

「全く、同僚殺しなんて不快なことをやらせて。地獄でもう一回殺してやる。」

 

ハリファクスをフォートレスモードに変形させ、ハドロンスピアーを展開する。高出力のエネルギーがヘリを全て火の玉に変えた。

 

ブリタニア軍、E.U.軍共に小規模だったこともあり、ライル軍の勝利で戦闘は終結した。逃げようとした、或いは応援を呼ぼうとした部隊は遅れて到着した本隊に全て抑えられ、すぐさま周辺地域の両軍に状況を伝達された。

 

 

 

列車は混乱のさなかでも、無事に逃げ切っていた。KMFといえど、速度を上げた列車に追いつくことは出来ない。まして、KMF戦になれば尚のことだ。

 

両軍の生存者は捕虜として捕えられ、ライルに突き出された。特にブリタニア軍の士官達には……

 

「何か言い分は?」

 

怒気と殺気をむき出しにライルが問いかけていた。仮にも前線へ出ていた騎士達は青ざめ、何も言えずにいた。

 

「状況は既に本国や周辺エリア、『ユーロ・ブリタニア』、フランス政府にも通達している。フランス政府とブリタニア政府の国際法廷で裁くかは、双方の沙汰次第だろうな。」

 

実のところ、今回はライルの手に余るような気がした。E.U.の略奪部隊をE.U.正規軍に引き渡したところで、ブリタニアの侵攻の真っ只中。適当な理由をつけて解放されるのが目に見えている。ブリタニアも同じだ。IDから、こいつらの中には貴族が何人かいる。同じような理由で解放される。

 

「私個人としては……ブリタニア側は皇族への反逆で全員処刑か終身刑、E.U.はこのまま捕虜として連行したい。」

 

「そ、そんな不公平な!」

 

「外国の軍隊と自国の軍隊の違いだ。」

 

ゲイリーが異議を正論で潰した。

 

「そ、それは……ええと…」

 

「あ、あの列車にはテロリストが潜伏していると…」

 

「ふざけるな!アレはフランス政府が手配した民間人の避難列車だ!」

 

「つまり、貴方達E.U.正規軍はそれを分かって襲ったと自供する訳ね。」

 

ブリタニアの言い訳をE.U.が反論したら、レイがねじ伏せた。すると……

 

「イレヴンの混ざり物が我らブリタニア貴族を裁くか!!」

 

「俺達革命政府に隔離されているイレヴンが俺達を捕まえるなんて不平等だ!!」

 

今度は両方がレイや長野をだしに自分達の理不尽を喚いている。ここまで来ると、見苦しいにもほどがある。

 

「それは、今ここで関係のないことだろう。現実に、両軍共に避難用の列車を略奪目当てに攻撃して民間人保護に動いたこちらを攻撃した。テロリストという濡れ衣で。」

 

ゲイリーが更に現実を突きつけた。そう、どんなに喚こうとその事実は覆らない。

 

「さ、散々同じようなことをやってきたのに今更正統派の軍人を気取られるのですか!殿下!?」

 

ついさっき、自分を皇族の名を騙るテロリスト呼ばわりした奴らがこの場面で臣下を気取る。その態度に捕虜の名簿作成を兼ねて来ていた優衣が怒った。

 

「あんた達、いい加減にしなさいよ!さっきから黙って聞いてれば、子供の我が儘みたいな事ばっかり並べ立てて!!軍人以前にいい大人が情けないにも程があるわ!!」

 

「な、なんだと!?」

 

「私はまだ使ってもらうようになって日が浅いけどね、少なくともライル様があんた達よりはまともだって事は分かるわ!同類だってのなら、エリア24やアンドラは今頃地獄になってるわ!!」

 

当事者の言い分…といえばそれまでだが、当事者で実際に見たからこそ自分達を棚に上げる者達には効果があるだろう。

 

「小娘が…!イレヴンの分際で、皇族のご寵愛を賜っているのを良いことに!!」

 

「そのイレヴンにこんなことを言われるのが恥と思わないわけ?大体、あんた達は皇帝陛下のご威光を笠に着てるじゃない!私よりずっと大きなご威光を!」

 

「い、イレヴンが知った風な…」

 

「イレヴンでも想像つくことしか言えない自分を恥じたらどうなの?そんなんで、ナンバーズを導けるの?大体、E.U.だって革命政府が隔離収容してるイレヴンを取り立てる皇子様に負けた時点で、負け犬の遠吠えじゃない!!散々、あんた達が負け犬と見下したイレヴンを使う皇子様にあんた達は負けたのよ!」

 

涼子が更にたたみかけ、略奪者達は何も言えなくなってしまった。更に優衣が追い撃ちをかける。

 

「エリア11を出て勉強したこと……国なんて関係なく、馬鹿のやることは一緒って事ね。」

 

涼子も軽くため息をつく。

 

「そうね……正当化する方便さえもゼロか皇帝陛下、革命政府という違いしかない。」

 

「二人共、もうやめなさい。」

 

レイが窘め、ライルは再度略奪者達をにらみつける。

 

「……改めて言う。両軍共処刑か終身刑を課すように要請している。後の言い訳は国際法廷でしてくれ。」

 

略奪者達は今度こそ絶望し、うなだれた。

 

事態は全て、双方の政府に通達している。記録もあるし、残ったKMFのレコードも抹消されていない。今ライルにできることは、こいつらの逃げ場を潰すことだった。

 




オズO2でオルドリンが居合わせた略奪ですが、今度はライルは運が悪いのか両軍の獲物の取り合いに居合わせ、本音では両方とも処刑したい難しい場面になってしまった。

ある意味、運が悪い。

私もわかりませんが、普通なら国際法廷で裁くべきでしょうがあの情勢では厳正に自国の軍人を裁いてくれないでしょうね。オルドリンみたいにその場で全員容赦なく斬り捨てて始末か、敵に引き渡してお互いの合意の上で捕虜交換の際も未来永劫返さないか、処刑くらいしか浮かびません。

そして、優衣と涼子がエリア11を出て学んだこと。馬鹿のやることは同じ。『正義の味方』でも『皇帝陛下のご威光』でも程度の低い人間が使えば実態は同じだと思います。詰まるところ、ガンダムSEEDのロゴス理論。

自分が最後はそこに行き着く馬鹿さ加減にも少し嫌になりますが。

オルドリンみたいに列車の人達が戻って、感謝される。なんてことはありません。あったらつまらないし、ブリタニア軍なんだから判断材料もありません。



ちなみに、展開の一つとして橋が壊れてライルがヴィンセントで強引に列車を止める、なんてのも考えてました。
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