コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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今度はフランスへ攻め込む準備のブリタニアが主です。


BERSERK-31『混迷から混迷へ』

グランビル海岸がスザクによって陥落した頃……エリア24では最大勢力『マドリードの星』が政庁に奇襲をかけるも、待ち伏せていたマリーベルの部隊によって壊滅させられた。しかし、問題はその後………

 

これまで、辛うじて止められていたタガが外れたかのようにマリーベルは80機を超えるヴィンセントだけで構成された部隊『リドールナイツ』による鎮圧…その名を借りたゲットーへの殺戮だけを繰り返した。住民への勧告も何もせずに、手当たり次第。

 

ついにその暴挙を前にレオンハルト、ティンクどころかシュバルツァーに並んで忠実なはずのライアーまでが反発の意志を見せた。

 

「マリー、何を考えているんだ!」

 

〈異なことを仰るのですね、テロ鎮圧ですよ。〉

 

だが、ライルはパネルを叩きつける。

 

「どこがだ!君のやっていることはもう統治ですらない!統治の名を借りたテロだ!」

 

〈お兄様は、わたくしがテロリストだと仰るのですか?〉

 

「不特定多数から見れば、今の君もテロリストも同じに見えると言っている。私個人の意見を言えば、今の君は『虐殺皇女』だ。」

 

このままいけば、ユーフェミアが殺した日本人の数十倍のスペイン人が殺される。かつて讃えられた『英雄皇女』の面影はもはや消えている。

 

〈私への侮辱とみなして、今から貴方の元へ軍を派遣しましょうか?〉

 

そう来るか……だが。

 

「そういう問題を言っているのではない。このままいけば…本国と『ユーロ・ブリタニア』、それどころかE.U.までが休戦して君一人を始末するために野合しかねないんだぞ。」

 

いくら『大グリンダ騎士団』でも本国とE.U.に『ユーロ・ブリタニア』を一度に相手取ることはできない。数で既に勝負にならないのだ。

 

「それらがすべて私一人のために民衆を脅かすのならば、『大グリンダ騎士団』の本懐」

 

「私だけではない!本国の多くの貴族達が、ブリタニア人とスペイン人双方を脅かすのは君だと考えている!!」

 

「スペイン人などこの世に存在しません。」

 

まるで平行線……いや、前以上に酷い。いったい、マリーベルはどうしたんだ?

 

「………とにかく。これ以上続ければ、植民地政策に協力する企業も軍も財界人も一人もいなくなる。それどころか、君個人さえブリタニアからも完全に孤立する!」

 

それを最後に、ライルとマリーベルの通信は切られた。

 

ただでさえ、ゼロの復活で他のエリアでも反ブリタニアの灯が再び燃え始めている。だが、ライルにとってはそちらよりもブリタニア軍内部が問題だ。

 

秀作達がいない間にE.U.とブリタニアの不良部隊の両方に襲われた避難民を救ったが、それで終わらなかった。今度はゼロの復活に呼応したというもっともらしい言い訳でブリタニア軍の一部が本国軍の司令官や各エリアの総督たちの命令を無視して各地で略奪を行い、挙げ句の果てに止めに来た部隊が返り討ちに遭い、罪を擦り付けられた事態もあった。

 

こちらは発覚した際にはすぐさま、その部隊は一人残らず処刑されることで徹底的につぶされ、罪を擦り付けられた彼らの名誉を回復。勲章授与と異例中の三、四階級特進に平民出身者は正式な騎士階級を授け、家族にも軍と政府からの慰謝料と正式な弔慰金を出すなどの対応にまで追われる。ライル軍も危うくそれに騙されかけたことがある。

 

ルーカスの影響が強い軍はすでにブリタニアの軍門に下ったE.U.加盟国だったエリアで略奪の限りを尽くし、総督に就任予定の皇族や貴族、エリア化の手続きを行うブリタニアの官僚、そこへさらに恭順の意を示した現地の政府が連名で本国へ抗議し、エリア24周辺はマリーベルの暴走を隠れ蓑にする不良部隊までがいる。

 

『ナイトオブラウンズ』や総督の声すら聞こうとせず、もはや軍はただの野盗集団に成り下がりつつあった。

 

この要因はやはり、大きく二つ。一つは国土が広がったことによる統率の停滞……巨大になればなるほど自重を支えきれなくなる植民地政策の問題。もう一つは皇帝の強者至上主義を言い訳にした自己正当化と領土拡大に伴う人員不足でそうしたモラルの低い将兵が増えつつあることだ。

 

貴族でさえ、そういう手合いが増えつつある。

 

「これでは、『ユーロ・ブリタニア』が本国に反発するのが当たり前じゃないか。」

 

 

 

「ライルであれば、『ユーロ・ブリタニア』の反発に納得するだろうな。」

 

「ええ、これは流石に問題だわ。シルの影響下にある正規軍も駆り出されているんだもの。」

 

ミルカがさらに続ける。

 

「それだけじゃありません……いくつかの部隊は騙されて本来鎮圧に向かった部隊を逆に命令違反で攻撃してしまったんです。」

 

後になってそれが発覚した際には、本来の略奪部隊を例外なく全員処刑し、貴族は領地、財産、爵位の剥奪をされた。騙された部隊は処刑こそしなかったが、降格処分は行われ、爵位を持つ貴族はその爵位もはく奪或いは一つ下げられた。

 

そして、だまし討ちで殺された鎮圧部隊はシルヴィオが本国へ申請してその遺族に騎士の位を与え、殉職者は全員を例外的に三階級進ませ、爵位を与えるなど便宜を図った。だが、これでは逆にそれを狙う手合いも出てきそうだ。

 

「軍事力だけで、これをまとめられるのか?」

 

「無理だわ……体制そのものが破裂寸前の風船なのよ、きっと。」

 

 

 

「ブリタニア人だけでやることに限界が生じているのかもね。」

 

「クレア、私たち皇族が襟を正すように…」

 

「働きかけようとしてもこれよ?私達だって既に騙されている。」

 

あくまで皇族としての規範意識を主張するエルシリアの意見をクレアは冷徹な現実論で否定する。実際に騙され、危うく討伐する相手を間違えかけたことがある。

 

「そのうち、偏った思想教育をされた子供達で殺すしかなかった…なんてことになりかねないってことよ。子供好きの貴女に耐えられる?」

 

略奪や愉悦を目的に幼い子供達を大勢殺す。ただでさえ、各エリアの反抗活動では独立と無関係の子供を狙い撃ちにするようなテロもあるというのに。

 

ゲットーの子供達のための福祉や教育の改善をクレアの父とも議論するエルシリアにとっては許せない行為だ。

 

ゲットーの子供などいくらでもいる?代わりは後から生まれる?子供はどこの国にも代えられない財産だ。そうした矛盾を自分で作っている自覚はある。だからこそ、一人でも巻き込まれる子供を減らしたいのに……

 

後から沸いてくるなどという発想で子供を殺す。実際にそうした理由で子供を手にかけた将兵を処刑したエルシリアにとっては万死に値する行為だった。

 

「……じゃあ、どうすればいいの?」

 

「そうね…シュナイゼル殿下が言ってもこればかりは効果がないわ。」

 

「だからと言って、その場の火消しじゃあきりがないわよ。」

 

セラフィナの言う通り……既にいくつもの部隊が勝手な行動をしており、それが各国への侵攻の停滞にも繋がっている。マリーベルでさえ、それ自体は問題視しているのだ。

 

「ルーカスが大々的にやっているのもその要因でしょうね。」

 

『皇族が公然とやって許される。だから自分達も許される。』

 

まるで子供の屁理屈だ。ライルが人種や爵位を根拠にするブリタニア優位論とそれを振りかざす人間をひどく嫌うのはこういう気分なのだろうか?

 

「当面は対症療法しかないでしょう……こうなった以上、処刑を前提に対応させるしかないわ。虚偽の報告で略奪の罪を擦り付けたら、軍法会議も投降も認めない。セラには厳しいけど、これ以外に手がないわ。」

 

「そうね……クレアの意見を採用するわ。ウィンスレット、聞いての通りだ。」

 

「は…我が軍を手始めに通達します。」

 

下級貴族故か、家の躍進に真摯なウィンスレットは頼りになる。グラビーナも気合が入っている……

 

だが、現実問題として……こうなってしまったら、そうした恐怖をもって踏みとどまらせる以外に手はない。エルシリアにとっても不本意ではあるが、それはここまで国を肥大化させたブリタニア……ひいては自分たち皇族の責任であるのかもしれない。

 

そう思わずにいられなかった。

 

 

 

ルーカスはベラルーシで調達した女達を抱いていた。中々に楽しめるが、少し物足りない。何度も何度も吐き出した後…

 

「飽きたな……おい、この女共を始末しろ。」

 

「後日、いただいてもよろしいですか?」

 

「ああ、好きにしろ。飽きたら、捨てていいし殺してもいいぞ。」

 

「イエス・ユア・ハイネス。」

 

部下達が意識を失っている女達を担ぎ、まだ歩ける女は無理矢理歩かせて連れて行った。行先は彼らの居室だ。ルーカスは面倒くさいが、ブリッジに上がる。

 

艦長席へ座り、ふんぞり返ったルーカスの元へ、マクスタインが深いため息をついて進言してきた。

 

「殿下、これ以上は本国や他の皇族方に目をつけられます。下手をすれば、E.U.より先に我々に粛清の手が伸びます。」

 

「返り討ちにすればいい。大体、皇帝陛下は奪えと仰っている。そのうえ、ここは我が国の領土。どこに問題がある。」

 

マクスタインが歯ぎしりをし、黙った。

 

「ならば、せめてカミラの前ではお控えください。ただでさえ、あの子の教育に良くない環境なのですから。」

 

「お前がベッドでたっぷり教えてやればいいだろうが。」

 

「子供に手を出す趣味はありません。」

 

それだけ言って、マクスタインは退室してルーカスはフィリアを側に呼ぶ。

 

「相変わらず面白みのない人ですね。」

 

「ああ、それにしても仕入れた女共にはもう飽きた。他を仕入れたいな。」

 

「もう、私は飽きたんですの?」

 

「違うよ。」

 

その夜、ルーカスはフィリアとリーリャ、本国の娘たちの合計十人を明け方が過ぎても堪能し、事務は全てマクスタインらに任せていた。

 

 

 

グランビル海岸を制圧し、パリ攻略の準備に入ったシュナイゼルは現場の報告書を読んでいた。

 

「やれやれ……ここまで酷いとは。」

 

「領土拡大が仇になったようです。総督だけでなく、遠征に参加している皇族の方々も対応しきれずにおります。」

 

テロ鎮圧をでっちあげた略奪及びその阻止に動いた正規軍の衝突、挙げ句には出世のライバルを抹殺するために略奪をでっちあげる将軍までいる始末だ。『ユーロ・ブリタニア』の弱体化に加え、ゼロの復活がそれに拍車をかけている。

 

「カンボジアのトロモ機関からは?」

 

「建設自体は順調に進んでいるとのことです。」

 

「そうか…」

 

この暴走を抑止する意味でも、あれを完成させねばならない。平和を維持するために…

 

 

 

 




オズであった田舎での略奪。私なりに掘り下げました。

実際、あそこまで広がるとありそうで怖い。
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