コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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ここからハーレムまっしぐらも入ります。出来ははっきり言って悪いですが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

池田を初めとした好敵手達ともやりあいます。


BERSERK-4『謀略』

二日後、ライルは元文部科学省政務官の山本秋水に会っていた。ゲットーの教育の立て直しやインフラ整備に奔走する彼は、心なしか去年より疲れているようにも見えた。

 

そんな中でも、エリア11成立後も存続する日本料理店……いわゆる料亭ではなく、大衆向けで一部の貴族からの受けもいい中の上か上の下という店を紹介してくれて、日本料理を御馳走になっていた。

 

日本のコース料理、会席料理だ。色とりどりで、素材の味を生かす日本料理らしい組み合わせがそろっている。有紗の家庭料理が普段の味ならば、こちらはまさにブリタニアで言えば宮廷料理に近いものだ。

 

たまには良いものだ、と思いライルは日本料理に舌鼓を撃つ。

 

「それは、災難でしたな。」

 

「長野とゲイリーにまでけしかけられたと聞いた時には、十発は殴りたくなりました。」

 

「それはやりすぎですよ。」

 

「もう少し、搾り取っても良かったのですが……」

 

「けしかける相手を間違えた、彼らのミスですな。私としては、本当に殿下が総督になっていれば、もう少しましだったでしょう。」

 

あんなことの後では、自分が総督になったらどうなっていたか。協力企業の重役や日本政府の官僚達がやるのではないか?と思ってしまう。

 

「ところで、長野五竜の妻子は…」

 

「はい、こちらで保護しております。ですが、彼は私の想像以上に躍進しましたな。」

 

「…私を責めないでくださいよ?彼にはそれだけの人格も能力もあると見込んでの昇進ですから。」

 

山本が東洋の酒器、猪口の酒を一口飲んで苦笑する。

 

「いえ、一年足らずで准将という出世に驚いているだけです。」

 

「彼か畑方秀作、川村雛が第二の枢木スザクになるのが理想ですが、『ラウンズ』になったら私の元を離れてしまいますからね。」

 

「それは、深刻なジレンマですな。後のお二人は存じませぬが、匹敵する後任の人材を探すのに苦労させられるでしょう。」

 

 

 

長野は帰宅許可が下りたので、妻子と会っていた。あの特区の事件後、山本と彼の傘下の軍人、役人達が恭順寄りの親族の安全確保に動いたおかげで『ブラック・リベリオン』でも助かり、その後も山本の配慮で安全は確保されていた。

 

「ねえ、本国土産は良いけど。父さんの主君のライル殿下っていい男なの?」

 

年頃に近い娘の意見に長野はやや引きつった。

 

「ああ、確かに顔は良いな。」

 

「じゃあ、父さんがお世話になってますって挨拶できない?ちょっと、目の保養に。」

 

どういう目の保養だ、と思いながらも長野は考える。

 

「いくら殿下の直属とはいえ、無理ではないか?」

 

「何よ、意外と使えないのね。」

 

「言っていろ。」

 

 

 

ライルが山本と出会った翌日……

 

「それじゃあ…」

 

「ああ、十分だけ面会を許してもらえた。」

 

有紗はライルの付き添いで、昔馴染みの久保カイトとの面会許可が下りた。政庁の兵士に案内され、硬質ガラス越しに有紗は久しぶりに会う少年を見つけた。会えばカイトを刺激するので、ライルには外で待ってもらっている。

 

「カイト君…」

 

「有紗?有紗なのか?」

 

「…ええ。」

 

カイトはやつれている、という様子は見られなかったが、有紗の姿を認めると急激に顔色を取り戻したように見えた。

 

「有紗、すまない。俺はお前を助けようとしたのに!」

 

「…助ける?」

 

「そうだよ…分かっているよ。お前が第八皇子に騙されていることは!あの時、政庁を攻め落として合衆国日本ができていれば本国に攻め込んで!」

 

本国に攻め込む。そんなこと、出来るわけがない。仮に政庁を攻め落としても、まず内側の事後処理が待っている。それが分かっていない。

 

まるで、自分の願望だけを並び立てているようだ。有紗は慎重に言葉を選んで、カイトに向きあう。

 

「カイト君、私は自分でライル様にお仕えするって決めたの……」

 

「…有紗?」

 

「前に話したの、覚えてる?助けてくれた恩や、身の振り方を相談したら…メイド扱いで雇ってくれたって。」

 

アッシュフォード学園の学園祭、キュウシュウの少し前に会ったことを話す。

 

「ああ、覚えているよ。お前がさらわれたオークションは、そいつが裏で糸を引いていたことも分かっている。」

 

「…どうして、そう言い切れるの?証拠は?」

 

「ブリタニア皇族が俺達に損のないことをするわけないだろうが!お前だって、特区を見ただろう!!」

 

家族を、家を、学校を奪った国の皇族だから、有紗も少なからず抱いた感情だ……特区も見ている。

 

「でも、ライル様はあそこまでやらないわ。」

 

「部下を処刑しただろう!忘れたのか!?」

 

「……あれは特区の事件でブリタニアへの不信を再燃させたり、特区で家族を殺された人達の反乱よ?つまりは、国家反逆罪。ライル様は主君として、ご自分で直接手を下した…ブリタニアの法律的に何の問題もないわ。」

 

そう、あれ自体には法的に何ら問題もない。エクトルの死や貴族達の媚び売りにライルが参ってしまったが、それは言っても意味がない。

 

「お、お前?そこまで、洗脳されたのか?」

 

「……違うわ。」

 

カイトはブリタニア憎しで視野が狭まっている。いや、もしかしたらもっと質が悪い方向に進んでいるのか?

 

 

 

「カイト君、話は変わるけどアッシュフォード学園の占拠事件。貴方はゼロが掲げた『武器を持たない人間に危害を加えない』という最低限の理念を無視したのよ?」

 

有紗は、何を言っている?俺達が理念を無視?

 

「何言ってるんだ!俺達は正義の味方だ!だから、俺たちのやることは全部正義なんだ!」

 

「…最低限の組織のルールを無視するのも?」

 

「ブリタニアは行政特区なんて罠で日本人を大勢殺した!だから、やっていいんだ!!」

 

なのに、後で知ったが邪魔をした奴らの中には同じ反ブリタニアであるはずの『ピースマーク』がいた。同じ立場なのに、彼らは自分達を認めなかった。あろうことか、『グリンダ騎士団』と結託して自分達を攻撃した。

 

大体、有紗の言っていることは全てライルが吹き込んだことだ。きっと、食事か何かに薬を盛るか、暗示をかけてそういう考えをさせられた。そうに決まっている。

 

「……今のお前に何を言っても無駄なようだ。だが、俺の仲間はまだ活動している!ライルを殺して、お前を助けるチャンスだって来るんだ!!」

 

「カイト君…」

 

有紗の目が理解できなかった。何故?そんな、哀れむような眼をする?俺は有紗を助けるために戦っているのに!

 

「最後に一つ………私と同じように、生活のために名誉ブリタニア人になった人もいるわ。日本を独立したら、カイト君はその人達の生活をどうするの?」

 

「は?そんなの、独立できた方が良いに決まってる!」

 

そうだ!独立できれば、イレヴンなんて言われることもない!すべてが元に戻る!!

 

「…そう。」

 

有紗はそれだけ言って、出て行った。

 

 

 

有紗は深いため息をつき、壁に寄り掛かった。カイトはブリタニア憎しに染まっている。

独立ができれば、確かに日本人は日本人として生きることができる。だが、有紗はライルの側でそれが言うほど簡単ではないことを学んだ。

 

仮に独立できても、すぐに全ての問題が解決するわけではない。ブリタニア企業が撤退すれば、そこに勤めている名誉ブリタニア人やイレヴンはまたも仕事を失うのだ。

 

カイトはそれを全く考えていない。それらの後を担うNACはもういない。あのまま行けば、今踏みとどまっている山本政務官だって殺しかねない。何も対策を講じないままやってしまえば、待っているのは日本占領と同じ状況。いや、もっと酷いかもしれない。

 

物事を、自分に都合のいいようにしか解釈しなくなっている。私のせいなの?

 

私が、ライル様にお仕えしてるって言わなきゃ、こうならなかった?

 

 

 

レイはスレイター家の屋敷を訪れた。といっても、『ブラック・リベリオン』の前に母は本国に戻っている。いるのは屋敷の管理を任された使用人達だけだ。

 

「お嬢様……」

 

「……残念ね、今回は私だけ。」

 

「いえ、それはよろしいのですが………お嬢様、奥様のためにご忠告します。」

 

執事がいつになく真剣だ。

 

「何?」

 

「今、こちらでもお嬢様を『黒の騎士団』のスパイだと邪推する者がいます。下手をすれば、奥様さえも貶めるためにそれを捏造することも。」

 

レイはため息をついた。

 

「捏造なんて、小学一年の頃からうんざりするほどされてきたから……感覚がマヒしてるわ。ま、それで実は違いましたってなったらそれはそれでいいわ。合法的に仕返しできるもの。」

 

「お嬢様、それは。」

 

「…分かってるわ。軽はずみなことはしないって。」

 

 

 

雛は買い出しに出ていた。が……

 

「おい、どの面下げてほっつき歩いてやがるイレヴン?」

 

いかにも、と言った男が三人ほど現れた。

 

「…許可はもらってるけど?」

 

「どうだか?んー?」

 

こちらの顔と身体をじろじろと見ている。意図を察して……

 

「こんなのより、もっとおいしそうなのを探しなさいよ?」

 

前髪をあげると、男たちは舌打ちをした。

 

「なんだよ、こんな使えねえ女。」

 

「せっかくの上玉かと思ったら、騙しやがって。」

 

言いたいことを言って、去っていった。

 

 

 

ライルは事務次官に招待された。ヨコスカ租界のとあるビルだ。建設中のバベルタワーほどではないが、かなりの大きさだ。

 

「全く、この国は何をどこまで搾り取れば気が済むんだ。」

 

「殿下?」

 

「いえ、何でもないです。」

 

招待された時、断ろうとしたがこの男は本国でも影響力の強い貴族だ。味方にするに越したことはないのだが、味方にしたら逆に余計な巻き添えを食う予感しかしなかった。

 

そんなことを考えながら、入場する。

 

「殿下、何か顔を隠すものはございませんか?」

 

いきなり、予感が的中した。要は……

 

「闇オークションなら、今この場で逃げるし貴方を逮捕するが?」

 

「いえ、ご心配には及びません。非合法ギリギリですし、殿下に累を及ぼすことはございません。」

 

どうだか……

 

「それなら、安心したいところですね。すこし、緊張しましたので顔を洗ってきます。」

 

「ええ、お待ちしております。」

 

トイレに入り、ライルは用を足すとともに顔を洗い……通信機を取り出す。

 

「ヴェルド…」

 

〈はいはい、あんたのお優しい先輩のヴェルド様よ?〉

 

 

調子のいい言葉に苦笑し、ライルは今の案件を聞く。

 

「ヨコスカであるオークションに招待された……調べられないか?」

 

〈…政庁の奴らに気づかれないように、だね?〉

 

「ああ、フェリクスとコローレにも手伝わせてくれ。ハッキングもやって。」

 

〈あいよ。有紗ちゃんの料理で手を打ちましょうか?〉

 

「夜の相手を要求するようなら、それができないように殴るからな?」

 

〈人の女に手を出す趣味はないよ。んじゃね。〉

 

 

 

有紗は元『ユーロ・ブリタニア』のテレサに付き添われて買い物に出て、ハラジュクの人達への土産を持って政庁に帰った。あの後、ハラジュクの情報は山本経由で何とか情報が入って、福原は無事だが馴染みの人達も特区で何人か殺された。

 

落ち着いたら富士山の特区跡地に建設された慰霊碑に行きたいが、それはライルと同行する形になっている。

それにしても……

 

「イレヴンの私によく付き添う気になるわね。」

 

「別に…上官が貴方の同国人だったから」

 

上官…本国への反乱を企てた『ミカエル騎士団』の総帥か。

 

「それに、貴女と同じ孤児だから。人種の違いなんて些細なものじゃないの?」

 

「孤児って………貴女の両親は生きてるんでしょ?それも、本国でも孤児院を経営している『ユーロ・ブリタニア』の大貴族って聞いたけど。」

 

「血筋だけね。『ラファエル騎士団』だったお姉ちゃんや本当の親とはよく会っているけど、やっぱり私にとって親は事故で死んだあの人達。つまり、精神上は孤児ってこと。」

 

精神的に孤児……生まれて間もなく養子に出されて十歳ごろまで育てられたから、そう感じるのだろうか。

 

「『ミカエル騎士団』…特にシャイング卿の肝いりは、ここに似ていたわ。大貴族や平民、親に捨てられた子もいたの。そうした人達、みんなシャイング卿に…」

 

「どうしたの?」

 

テレサが立ち止まり、聞いた時。突然有紗は後ろから羽交い絞めにされ、口元に布を当てられた。振りほどこうとするが、意識が遠くなっていった。

 

 

 

「有紗!」

 

テレサは羽交い絞めにした男に後頭部で頭突きを食らわせ、腹に蹴りを叩きこんで無力化した。そのまま有紗を助けようとするが、別の男に抑えられる。

 

「この!」

 

今度は私服のヒールのかかとを足に突き刺した。

 

「が!」

 

これは痛いだろう。そのまま顔面にパンチを叩きこんだ。しかし、そうしている間に有紗を抱えた男が逃げて行った。

 

「待ちなさい!」

 

追いかけるが、相手が銃を取り出した。反射的に足を止め、ほぼ同時に足元に撃たれた。その隙をつかれて、男達は政庁へ出てしまった。

 

すぐに無線を取り出した。

 

「こちら第八皇子ライル殿下親衛隊のテレサ・スクラーリ!政庁内で誘拐発生!」

 

 

 

マルセルは『ガブリエル騎士団』から支給されたグロースターを調整していた。あの後、本国の介入で『ユーロ・ブリタニア』はロシア方面に押し込められてしまい、そちらの体制維持という形で動けなくされた。一部の騎士たちは本国の容赦のない攻撃に反発し、ファルネーゼや大公の命令を無視して独自に動き、統制が揺らいでいた。

 

その中で皇族軍への転属が『ユーロ・ブリタニア』の弱体化を兼ねているのは分かったが、マルセルはあえてチャンスと受け取った。ここで自分が実績を示し、その戦果で『ユーロ・ブリタニア』のE.U.侵攻の主導権を取り戻す足掛かりにする。同時にE.U.それ自体への復讐は継続できる。

 

「ヴィヨン卿が本国逃亡なんてするはずがない。」

 

E.U.の軍人だった自分を取り立ててくれた主君と大公の名誉のために、自分は今やれることをやる。

 

そう、たとえ所属が変わろうとも俺は『ユーロ・ブリタニア』帝国の騎士だ。大公閣下のために剣を振るう。

 

と、ここでライル軍のチャンネルで無線がなった。丁度コクピットにいたので、通信をオンにすると…

 

〈こちら第八皇子ライル殿下親衛隊のテレサ・スクラーリ!政庁内で誘拐発生!〉

 

何!?政庁で誘拐だと!

 

『ユーロ・ブリタニア』ならばエカテリーナ宮殿、E.U.ならパリの統合本部で起こるようなものじゃないか!

 

 

 




ブラック・リベリオン編でも言ったように、ここから黒の騎士団に厳しくなっていきます。

そして、セヴィーナのいうとおり厄介ごとの方から舞い込んできました。
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