同じハーレムでもルーカスは飽きれば捨てるし、人数も多い。
ライルは人数が少なく、相手とも本気。
ライルは部下達の元へ戻った。そして、有紗達を呼び…
「もう知っての通り、今回の誘拐の黒幕は私の母だ。」
誰もが話を黙って聞いていた。
「すまない。いくらあの母でも、今回のような暴挙は…まして、この情勢下でつまらないことはしないと信じ、甘えた私の失敗だ。君達にはまた怖い思いをさせてしまった。」
頭を下げるしか、今はできなかった。
「もう、私を信じられないならそれでいい。あの女の保有分に今回協力した貴族達から没収した財産、そしてカジノを経営するマフィアから巻き上げた金も十分にある。全部で数十億はくだらない。私の懐に入れるくらいなら、君達に使ってもらいたい。」
有紗が黙ってそれを聞いていると…
「一億ポンドあげるから、それで国へ戻って慎ましく暮らしなさい。手切れ金ですか?」
「そうじゃない!あ…いや……ほ、本当は有紗を、いや君達を離したくない!」
だが、これでは…!
「別れたから、安全と言えるんですか?もう、私達は悪目立ちしているのに。」
有紗の問いに、ライルは答えに詰まった。
そう、既に彼女達は悪目立ちしすぎている。送り返したところで、安全だという保証などない。
「大体、この間言っていたことと矛盾しているわ。ライル様の側が一番安全だったんじゃないんですか?国に帰っても、どうせ両方から殺される可能性の方が高いんだから。」
優衣の指摘にライルは何も言えなくなってしまった。そう、それはこれまでの考えを放棄するようなものだ。
「どっちでも殺されるなら、好きな人の側にいたいです。」
「だ、だが…!私は君達を売り飛ばした…あの女の」
だが、有紗が平手打ちを喰らわせた。
「そういう言い訳をしないで!ライル様の本音を聞きたいんです!私はライル様を愛しています!本気で、釣り合いがとれるのなら結婚したいくらい!!」
「私だって同じよ!ダメなら、一生独身!上の段階なら、クリスタルやそこのリーザが結婚して私達は愛人!これでどう!?」
優衣までが迫って、更に
「ライル様、私も政治アドバイザーの片手間で夜の相手いたします。いいえ、政治の補佐だけでなく貴方の夜の相手をしたいです。貴方に誠心誠意お仕えさせてください。」
美水までがいきなり踏み込んできた。いったい、どうなっているんだ!?
レイまで割って入った。
「皇子の建前なんかじゃなくて、本音を聞かせてください!!」
「あ、あ…」
いつの間にか壁際まで追い詰められていた。もう、下がれない。
本音…そんなものは、分かり切っている。
「ぁ、は、母が首謀者だと分かって……き、嫌われると…」
だが、間にエレーナが入るどころか抱き着いてきた。
「それで嫌いになるなら、国を占領された私達は今頃ライル様に敵意を向けてます。私もあの総督のせいで、いつ殺されるか分からない恐怖を抱えていたんですから。逆恨みでライル様を殺すなら、今ここでやっています。」
エレーナは顔を上げ、胸を押し付けながら見つめてくる。
「エリア24の役人でも、身体を要求してくる貴族がいた…ライル様もそうだと思ったけど、全然違った。ヴァルを隠れ蓑にして、私と一緒にセルフィーもいただこうとするような場面もいくつかあってライル様もそれと同じ場面があった。でも、ライル様はしようとさえしなかった………いくらでも口実はあったのに。」
「………そういう手合いと同じになりたくなかっただけだよ。君の気を引く気だって…」
「しなかったから、好きになったんです。父の立場を度外視しても、ライル様と結婚したいんです。」
父の立場……確かに植民地政策に協力する要人の娘との結婚はエリア24にライルの方針を浸透させるパイプになるし、間接的なマリーベルの暴走抑制やスペイン人達の人権保障の足掛かりにもなる。
同時に、彼女自身に魅力を感じるのも事実。容姿や身体ではなく、売れているダンサーというブランドに驕らず、ダンサーとしての鍛錬を続けるその姿に…
「ねえ、本当に正直に言って。お母さんが私達を消そうとしたからといって、ライル様を嫌いになるなんてないから。私達がライル様じゃなくて皇族の地位を好きになったと思うんですか?」
「思わないし、思いたくない!!」
優衣の質問にライルは思わず声を荒げた。
「あのオークションの時、優衣は私のブランドをついでと言っただろう…あれがとても新鮮だった。有紗やジュリアと順番が逆なら、君やエレーナが一番になっていたと思っている。」
自分でも、言っていることがもう滅茶苦茶だと分かる。だが、はっきりと言えるのは
「あの事務次官や……ルーカスみたいな奴に君達を渡したくない。渡すくらいなら戦争をしてでも守る。どこにいても殺されるし、知らないところで殺されたと知るくらいなら側にいてほしい!」
「それ、私達も?」
美水やリーザまで迫ってきた。……確かに、二人も早々お目にかかれない美女だ。何より、親のブランドを自分のものと錯覚する様子もない時点ですでに好みに当てはまっていた。
「あ、め、目移りは…しかけて。」
「じゃあ、そのまま側にいてほしい女に入れてください。私は側にいたいんです。一緒にしたら失礼ですが、大宦官なんかよりずっと忠誠を尽くすに値する人ですから。」
「私だって政略を抜きにしてもライル様と結婚したいです。はっきり言って今回とパリでお会いした分で一生分の運を使ったと思っています。」
もう、二人も譲る気はない。レイの方は
「私はもう、騎士としても女としてもライル様のものです。他の男の物になるなんてごめん被ります。」
が、クリスタルは…
「私は、軍学校時代から変わりません。でも…」
「でも?」
「今から言うことは、殺されても文句が言えないかもしれません。今回の事件でも、一瞬そう考えかけたことなんです。」
クリスタルは、全て話した。ジュリアが殺されたあの事件を聞いた時……親友が殺されたというショックが真っ先に襲った。だが、その直後に醜い感情が溢れてしまった。自分がライルの一番になれるチャンスがまだあると。そう考えて、酷い自己嫌悪に見舞われた。あの葬儀でクリスタルは本気でジュリアの死を悼んだ。彼女を嘲笑した貴族達に本気で殺意を抱いた。自分があれになりかけたという自己嫌悪もあった。葬儀の後、罪悪感で泣いていたライルの姿を見て、改めて自分を恥じた。
「……何か隠しているとは思っていたが、それだったのか。それで、今回のは?」
ライルは怒気を抑えている。当然だろう……親衛隊、それも古株のクリスタルがそんな醜悪な感情を隠していたのだから。
「今回、以外にも……前に有紗達が誘拐された時です。」
有紗のことは本当に可愛く、良い子だと思っているし有紗のことは好きだ。だが、あの誘拐でも一瞬同じことを考えそうになった。そんな自分を必死で抑え、事件解決に尽力した。外出の際に彼女だけでなく優衣と涼子のガードを引き受けるようにしたのも、有り体に言えば償いだ。そして、今回も同様だ。だが、今度は本当にライルが壊れてしまう、という心配が先に出てあの醜い感情を抑え込んだ。
全てを話し終え、クリスタルは目を閉じた。多分、処刑宣告もあり得る。なくとも、除名だ。しかし……
乾いた音が響いた。ライルの平手打ちだ。
「本当ならもう十発はやりたいが、今まで尽力したので帳消しにしてやる。それに…」
「それに?」
「あの女はジュリアが死んだ後だけじゃない。『極東事変』でルルーシュとナナリーが死んだと聞いた後、クロヴィス兄様やユフィが死んだときも祝杯を挙げていたんだ。私が死を悼んでいるのを見たくせにだ。」
「な!……あの人本当にライル様のお母さん?」
優衣が唖然としながら、あまりにも失礼な疑問を口にした。しかし…
「おじい様達の最大にして唯一の失敗だよ。あの女の育て方を間違えたのは。孫ながら、不思議だ。ゼロだって驚く奇跡だろう。」
「殿下…」
「それに、ジュリアを嗤ったあいつらやあの女もだが…今回やあの時を見計らって露骨に言い寄ってくる女共に比べれば、そうした感情を抑えるどころか、今全部打ち明けた君は聖女だよ。」
クリスタルはライルの言葉に胸を打たれた。それは、まるで……
「とにかく、そうした感情を信じる。ただし、少しでもあの女共みたいなことをすれば君でも許さない。いいな?」
「ぁ…はい。もう、一生貴方のものになります。」
クリスタルの涙まみれの笑顔にライルは心を打たれた。
ああ、ジュリアより先に会ったのが彼女だったら本当に…
彼女と婚約していたかもしれない。もし、彼女と先に出会って軍学校時代で婚約していたらだいぶ違う形に……
いや、それならば多分有紗達と出会うことはなかった。今の方針を打ち立てることもなかっただろう。
ライルは自分に巡った運命を呪いながらも、今ここにいる人達と出会えたことへの感謝も実感した。
「……改めて、臣下としても女としても……君達に側にいてほしい。」
「はい…」
全員がうなずいた。もう、誤魔化せない。彼女達を愛している。老いて死ぬまで、側にいたい。
「老いて死ぬ時まで側にいてくれ。」
「…イエス・ユア・ハイネス。」
その夜………有紗達があまりにも強く希望したため、ライルはこれまでの四人に加えてエレーナ、美水、リーザまでも加えて抱くことになった。一気に七人まで増えたのはライルにとっても想定外だが、あれだけ言われては断れないし相手も下がる気がなかった。
処女を捧げるため、エレーナ、美水、リーザの三人を知り合った順番に抱いて、その後に有紗達を…特にクリスタルは今度こそ本当に愛し合うように激しく抱いた。
全員を抱きながら、ライルは奇妙な気分だった。エレーナたち三人は有紗やクリスタルよりも体、特に胸は非常に大きくライルの手から大きくはみ出す。
しかも、ライルが相手をしている間に余ったメンバーは女同士で交わった。クリスタル曰く、『ベッドの上でも好きな男の気を引くためになりふり構わない』とか。正にそれを実践し、しかも顔も身体も申し分ないから妖艶で、今交わっている女から目移りしかけた。お互いの豊かな胸をこすりつけ、吸いついて…ライルの愛を自分にしみこませようとするようで、美しい光景だった。
そのまま、七人を相手に日付が変わっても抱き、どちらが先に体力を使い切ったか分からないまま眠りについた。
シェール・フェ・ブリタニアはブリタニア宮の塔の頂上で幽閉された。イギリスのロンドン塔やフランスのタンプル塔のような重罪を犯した皇族を幽閉する区画だ。
「出しなさい!全てはあのイレヴン共の陰謀なのです!私は未来の皇太后シェール・フェ・ブリタニアですよ!?」
あれだけのことを本国中に中継され、しかも息子によって引導を渡されたというのにまだそれを認めようとしなかった。既にハウエルズ子爵家さえもジュリア・ボネットの親戚への謝罪に直接出向いた。『気持ちの整理を着けられない』、と追い出されたがその後も他の被害者達の補償に奔走させられた。
結局、シェールは息子の妨害しかせず、実家の子爵家までも取り潰される危機を招いた身勝手な女としてその悪名を広めた。実家より権力のあるアルバートフ、ウィスティリア、ヴィオレットの三つの伯爵家にイレヴンのハーフというマイナスを抱えながらも堅実に力を保つスレイター侯爵家、ライルのナンバー2であるクレヴィング辺境伯家……これだけの大貴族を敵に回した上に土壇場で寝返ったフィリドール家なども既にシェール個人を見限った。
しかも、最大の協力者のはずであったクラウザー伯爵家も娘がライルに味方したことで父親は逮捕、娘が当主代行になって被害者への賠償やその後の補償を取り付けるという形で離反され、味方をしてくれるはずの貴族も軒並み他の罪状を盾に逮捕されたのに、シェールは未だに有紗どころかフェリクスやゲイリーの陰謀だと喚き続けていた。しかも、もうなれない皇太后などという地位まで持ち出している。
処刑されても文句を言えないだけのことをした。実際にライルは処刑を主張したのだが、シュナイゼルが諫めて生涯をこの塔で過ごすことになった。他の貴族や皇子にも説得され、塔の敷地内に限れば外に出ることさえライルは認めなかったのを折れたのだ。シェールはそれを聞いても理解していなかった。
塔で幽閉されれば、少しは考えが変わるという説得に耳を傾けたのは息子としての最後の甘えなのかはライルにもわからなかった。
七人と凄まじく淫靡でありながらも、真摯に愛し合った夜が明けた。ライルが目を覚ました時、有紗達は母親が赤ん坊を愛でるように豊かな胸でライルの顔を交互に包むか膝枕で豊かな果実をみせていた。曰く、子供が生まれた時の予行練習だと言っていたが、こればかりはクリスタルが隠していた劣情よりもまるで隠せていない。
「次はちゃんと一対一にして?」
貴族の娘として育ったはずのリーザなど、昨夜はライルが他を相手にしている時に他の女を攻めており、優衣ならばライルに抱かれている時よりも快楽に呑まれているように見えたほどだ。相手にしたことはないが、娼婦の才能でもあるのではないか?
一番豊かな胸のエレーナはライルに吸われている時にも激しく踊っており、ベッドの上でも一流のダンサーだとレイが茶々を入れていた。
「完全にルーカスのレベルに堕ちている……」
すると、優衣が不機嫌そうになって顔をつねった。
「まだそんなこと言ってる……」
レイがくわわり、自分の唇をなぞった指をライルの唇に当てる。
「ライル様じゃなかったら、私達もこうするのは嫌です。」
「それでもと言うなら、私達で胃もたれするくらいの朝食を御馳走しますね…」
美水がとろけた顔で唇を重ね、クリスタルも張り合ってライルの唇を奪う。
「朝は私だけにして?」
「だめ、私が先よ…」
と、有紗も自分の胸を触らせてねだってくる。
「ああ、もう。分かったよ…今夜も全員纏めて相手をするから、朝はやめてくれ。」
ライルは強引に有紗達を押しのけて起き上がり、身内への言い訳を考えながら服をまとった。
クリスタルの抱いていた醜悪な感情の正体は…自分にもチャンスが巡ってくる。という、多分女でも男でも恋愛なら僅かでも抱く物かもしれません。
クリスタルの場合はライルがジュリアの死を本気で悲しみ、自分も悲しかったのにそんな感情を抱いた自己嫌悪とライルへの本気の気持ちも入り交じってました。
その結果、これです。ある種の許しを得たと言えるでしょうね。
ちなみに、フェリクス達が考えていたように誘拐されてすぐに『真実の愛を教えます』とかいって言い寄る女がいたら、最悪本当に首が飛ぶでしょう。そこまで行かなくても、人前に出られない顔は恐らく必至。
ライルは悪い事例を見過ぎて、本気で有紗達を好きでもルーカスみたいだという偏見を自分に持ってもいます。
ただ、その方面で行けばルーカスは手当たり次第に食い散らかして飽きたらタイプ、ライルは無理矢理は絶対にしないし、関係を持てば気の済むところまでは責任を取る。全然、違うんですが多分分かってません。
そして、前も言ったかもしれませんが、ある意味ライルは打算ありきの女ばかりだったから優衣のようなストレートなタイプは苦手です。ルルーシュと違う意味で変化球の相手に慣れすぎているが故でしょうね。
そして……ライルの妃達は『モザイクの欠片』のハンネスが見れば、欲しがるでしょう。まあ、その悪癖を知っているライルなら本当に戦争をします。