コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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後編です。


BERSERK-55『日本奪還…後編』

日が傾いた頃、ライルはレイシェフのユーウェインに続く形で発進した。最高レベルの指揮官二人が参加したことで兵士の士気が高まり、防御を重視していたブリタニア軍の攻勢が強まった。

 

一度補給に戻る途中のルーカスはそれが気に食わなかった。いくら名門ヴァリエール家の当主といっても、たかがメイドなんぞと結婚したうつけと田舎貴族の皇子なんぞより自分の方がここの指揮官に相応しい。

 

いや、そもそもシュナイゼルなんかよりも自分こそがトウキョウに構えるべきだ。ゼロがトウキョウに来るという分析があるのだから、自分こそがそこを守るに相応しいのだ。

 

おまけに、あそこには自分に相応しい上玉の女がいるのにそれをいただくことはできなかった。忌々しい、平民の娘のせいだ。

 

「まあ、いい。ここで我慢してやる。そのまま、合衆国中華方面に攻め込んで俺様が勝利の立役者になる。その功績でナナリーとシュナイゼルも排除して俺様が皇帝になる。第99代皇帝ルーカス・ズ・ブリタニア……世界を制覇する男。うん、我ながら良い響きだ。」

 

女を頂きたいところだが、楽しみは後の方が良い。ルーカスはラモラックを着艦させた。

 

 

 

通信越しにルーカスの未来図を聞いていたマクスタインと彼に同調する人間はため息をついた。言っていることは立派だが、ライルとレイシェフはこちらを…より正確にはルーカスとその手下を全く信用しておらず、敵陣の端の迎撃に回された。当たり前だ。こいつを中央に配置したら勝手に攻め込んで自滅するのが目に見えている。

 

今回、こちらは基本的に守りだという事を理解しているとは言えない。E.U.の時のようにこちらが攻めるわけではないのだ。ライルにしろ、シルヴィオもエルシリアも基本的には防御を重視して持久戦を狙っているし、シュナイゼルがトウキョウに留まるのも万が一を考えてのことだ。

 

それに引き換え、この男は自分がいれば大丈夫と信じて疑わない。つい昨日も、全てをマクスタイン達に丸投げして彼と手下達はお楽しみだったのだ。手下共は自分達が最精鋭だと信じて疑わないが、とばっちりを食った騎士達はこいつらのせいで自分達まで信用されていないことを分かっていた。中には、後になり自業自得と反省した者もいるが。

 

端に追いやられたことでこちらの攻勢はルーカスと手下どもが好き勝手に暴れてくれるおかげで結果、崩しているがそれで勢いに乗り過ぎないように手綱を握るのにこちらもライルも苦労していた。

 

「ライル殿下とヴァリエール卿が敵を撤退させてくれれば一番いいのだが、もし我らの主君が暴走したらと思うと憂欝だ。」

 

本国へ帰還した折、ピオリアの本宅に預けたカミラがくれた段ボールで作った剣を模した勲章を部屋に置いてある。本人はお守りのつもりで作ったとのことで、帰ってきたら別の勲章をあげると言っていた。少し前なら、相手にしなかったが今はあの子が待ってくれているのがこの最低の軍でマクスタインがモチベーションを保つ要因となっているのを、彼自身も気付いていなかった。

 

 

 

池田は補給を終えた後、再度指揮を執っていた。

 

「『ヒポグリフ隊』は敵右翼に再度攻撃を仕掛けよ!波状攻撃で消耗戦をさせるな!」

 

そこへ、大型機が現れた。情報にあったギャラハッド、いやおそらく『セント・ガーデンズ』のユーウェインだ。

 

〈日本軍、池田誠治少佐だな?〉

 

「レイシェフ・ラウ・ヴァリエール!『逃げた剣』か!!」

 

異名は政争で妻を喪い、『ラウンズ』を辞任した後に着いた蔑称だがその実力は元『ラウンズ』である以上は折り紙付きだ。額面通りに異名を受け取っていい相手ではない。

 

〈君が指揮官であるなら、ここは強いカードをぶつけるべきだろう。〉

 

「それが戦術の基本だからな!」

 

ハーケンを発射するが、ユーウェインはブレイズルミナスでそれを防ぐ。ならば、と輻射波動砲を発射する。

 

ユーウェインはそれに対して背中の剣を抜いて、発生したエネルギーフィールドで受け流した。

 

〈ギャラハッドのエクスカリバーに対を成すクラレント。あちらが聖剣なら、さしずめこちらは魔剣かな?〉

 

魔剣……クラレントという名前は確か王を裏切った騎士がもっていた剣の名前だ。それを自分のお抱え騎士の名前にするのはあてつけ、というよりもその程度で裏切らないという信頼だろうか?

 

「全く、とんでもない武器を持っているものだ。」

 

 

 

ヴァルは敵の航空艦の一隻が新たなライル軍の旗艦となったログレス級ケアウェントに向かっているのを見つけた。所々煙を噴いている。特攻する気だ。

 

「将軍、敵の艦がそっちに向かっている!」

 

〈分かっている!後退だ!〉

 

「間に合わない!俺がやる!」

 

ヴァルはガングランを飛ばし、邪魔に入った暁を指のハーケンで捕えた。ワイヤーに引っ張られると共に更に加速を着け、暁を蹴り飛ばし、更に勢いをつけて加速する。

 

「この距離なら!」

 

最初の位置では間に合わなかっただろう。だが、移動と敵を利用して射程距離に詰めて砲撃する。

 

ハドロン砲は敵艦に届き、エンジンを被弾させた。更に高度が落ち、後退を続けるケアウェントと艦上にいるKMF隊の攻撃で敵艦は撃沈した。

 

「悪いな、あの艦には姉さんがいるんでね。」

 

 

 

良二はヴィンセントの小太刀を自己流で鍛えた構えを取る。そして、通常より軽量化された機体のスピードで暁の編隊を翻弄し、小太刀でコクピットブロックを潰す。次はフロートを破壊して飛べなくして、ハーケンで相手を捕えて肉薄。そのまま膝蹴りを頭部にたたき込み、その衝撃でコクピットがひしゃげた。中の人間は死んだだろう。

 

〈武石少尉、将軍から後退命令です!〉

 

「よし、戦闘状態を維持しつつ後退。俺達のいた場所に回れる部隊はあるんだな?」

 

〈クレヴィング将軍が既に手配しているとのことです!〉

 

「なら、良い。下がるぞ!」

 

 

 

ベディヴィエールが出てくると、敵の動きはこちらに集中した。

 

〈『洗脳皇子』が出てきたぞ!〉

 

〈奴を討ち取れ!〉

 

〈『奴隷騎士団』を助けるんだ!!〉

 

『フォーリン・ナイツ』のことか……『奴隷騎士団』などと言われているのは聞いたことがあるし、実際に彼らはそう罵られた。しかし……

 

7機の暁が囲んできた。が、囲まれていない上空へ飛んで距離を取り、一気に急降下した。急降下に動揺したパイロットの反応が遅れ、一機はクローで破壊される。そのまま両腕のハーケンで暁を二機捕まえ、パワーとスピードで二機を互いにぶつけて三機。ようやく反撃に出て機関銃を撃ってきたが、遅い。

 

カルンウェナンを抜き、一機を両断。もう一機もコクピットを貫いて、更に一機は足蹴りでコクピットを潰す。

 

〈く、来るな!来るなぁ!!〉

 

最後の一機は完全に動揺して滅茶苦茶に撃ってくる。そんな射撃が当たるはずもなく、弾幕を掻い潜ってコクピットを貫き、その剣を振り下ろした。

 

「意気込みは立派だが…弱すぎるよ。」

 

次に、ライルはE.U.の海上艦に突っ込む。艦上のパンツァー・フンメルとグラスゴーが迎撃するが、ライルの反応の方が早い。ベディヴィエールは弾幕を潜り抜け、そのまま艦に取り付いた。迎撃用のパンツァー・フンメルを一機、クローで破壊してグラスゴーは海に叩き落した。そのまま胸部のハドロン砲を発射して、艦を破壊した。そして、艦を離れて敵の航空部隊を再度ハドロン砲で薙ぎ払う。

 

「敵艦と航空戦力に穴をあけた。私のいる地点から敵を防衛圏外へ押し返す、っ!」

 

朱色の月下タイプが槍で突っ込んできた。クローでそれを受け流す。

 

〈ライル、こんな形でまた会うなんて。〉

 

「浅海…!」

 

無事オランダ軍に復帰していたか。しかし、それはつまり超合集国に合流する可能性を示唆していた。そんなことは予測してしかるべきだったこと。

 

〈ちょっと、浮気は酷いんじゃないの!?〉

 

今度は別の機体がやってきた。クラリスのローランだ。ミュルグレスで斬りかかり、浅海のソレイユを突き飛ばして離れる。そこへさらに、中華連邦のクーデター派が運用した神虎と同タイプのKMFもやってきた。

 

〈久しぶりだな、ライル。〉

 

「その声、鈴維か!?」

 

〈ああ、私のKMF。炎鳥というんだ。〉

 

向こうの文字で炎の鳥、と書いてか。中華連邦らしい名前だ。

 

〈ちょっと!邪魔しないでよ!〉

 

〈あら、私だってフランスで中断したのよ?〉

 

〈私だって、KMFで手合わせしたかったんだぞ!〉

 

三人が喧嘩をしている、かと思えば……

 

〈まあ、彼を後退させるだけでもこっちには有利よ!〉

 

ローランが先に斬りかかり、ソレイユと炎鳥が追ってくる。

 

「すまないが、指揮を一旦ゲイリーに預ける!!熱烈なラブコールを三人分喰らっている!!」

 

〈承知いたしました!全軍、殿下とヴァリエール卿が敵のエースを押しとどめている!この間隙をついて押し返せ!〉

 

 

 

デルクはメリサンドをインセクトモードにして、さながらアメンボのようにホバー移動をしていた。そこから、コクピットブロックにマウントされたライフルで上から飛んでくるサザーランドを撃ち落とす。

 

そこから上昇してカールレオン級の真下から接近する。流石に気づいたが、迎撃を掻い潜ってKMFモードに変形、エネルギーを発するフロートユニットに直接ウルナエッジを叩きこんだ。翼が爆発し、そのままカールレオン級は高度を下げていく。あとは勝手に墜落するだけだ。

 

「美奈川たちがライルを抑えている。敵のお仕返しに乗じて、こちらも攻め込むんだ!膠着状態に戻せ!」

 

そこに、長刀を装備したヴィンセントがやってきた。

 

〈『ハンニバルの亡霊』のKMFを運用しているとはな。〉

 

「第八皇子の騎士団か!?」

 

腰にマウントされたMVSで長刀を受け止め、斬り結ぶ。リーチと威力では相手が上だが、機体のパワーならばオリジナルのアレクサンダよりも上がっている。相手がヴィンセントでも負けない。

 

「お前は名誉騎士団の団長か!?」

 

旧日本軍人が政策協力の一環で参加しているという情報はある。武器からして、彼がそうだと考えるのが妥当だが。

 

〈ああ、日本軍大尉長野五竜……現在はライル殿下の名誉騎士団団長だ。〉

 

よりにもよって、こんな大物と鉢合わせるとは。

 

ウルナエッジとライフルでヴィンセントと斬り結ぶが、流石に旧日本軍人。キャリアが違う。場数と機体では五分かもしれないが、軍人としての経験の差が大きい。

 

鍔迫り合いが続くが、ヴィンセントのハーケンが右腕をはじき、更に左肘のニードルブレイザーが来た。とっさに右腕を出してコクピットへの直撃を回避するが、これでは後退するしかない。

 

 

 

ライルは三機のKMFの猛攻に圧されていた。ローランの剣を受け流し、炎鳥の槍を躱し、ソレイユの槍も受ける。三対一など圧倒的に不利だ。しかし、ライルは押し切れる相手でないことは分かっていた。

 

クラリスと浅海は実力を知っているが、鈴維も大したものだ。親衛隊のレベルは確実にある。なら、このまま相手をしてもらう。

 

「しばらく、私とダンスをしてもらうよ!!」

 

〈元より、そのつもりよ!!〉

 

〈途中で投げ出すなんて、紳士にあるまじきマナー違反じゃないのか!?〉

 

〈何なら、このまま降参して私達三人のところに来る!?〉

 

最後のクラリスの問いにライルは……

 

「魅力的だが、投げ出せない身だからね!」

 

ライルはこのまま三機の相手をし続けることにした。勝つことができないなら、負けないようにする。とにかく相手の攻撃を受け流し続けることだ。

 

 

 

その後、互いにエナジーが危うくなって各々が後退した頃……

 

「『黒の騎士団』がトウキョウ湾に現れただと?」

 

「はい、現在トウキョウ租界は通信が途絶しています。ゲフィオン・ディスターバーかもしれません。」

 

リーザの報告を聞き、ライルはうなる。そして、涼子に聞く。

 

「涼子、どうやってトウキョウ租界全体に張り巡らせたと思う?」

 

「…リニアトレインの車両に仕掛けた、としか思えません。でも、そんなことって。」

 

そう、作業員にでも協力者がいないと不可能だ。しかし、どこかでバレてもおかしくないのにどうやって?

 

やはり、ゼロがギアスを持っている?アルハヌス卿がもし、ギアスをかけられたとして……彼が受けたものと違い、命令と記憶喪失が連動したもの?

 

そう考えれば、バトレー達の記憶の混乱も説明がつく。

 

「幸也?どうしたの……え?お母さんとお姉さんの仇って!?」

 

優衣が幸也の通信を聞いたようだ。

 

「どうしたんだ?」

 

「は、はい。幸也の方で、なんかお母さんとお姉さんを殺した奴がいたって。」

 

「何?行村鷹一か!?」

 

「え、その名前って……去年ライル様が逃げられた奴の部下。E.U.にいたんですね。」

 

「まずいぞ……怨敵がいたのなら、冷静に判断できなくなっているかもしれない。援護に行けるKMFを回せ!」

 

 




平民のことを歯牙にもかけてなかったマクスタインが、そちらが好きな男のために用意された子供の保護者を買って出たことで少し変化しています。

そして、美女三人とKMFでダンスをしているライル。

良二やヴァルも頑張ってます。経験は少なくても、資質が高いライルのメンバー。しかも初陣のヴァルとセルフィーにはフォロー用に親衛隊と『フォーリン・ナイツ』から腕の良いのを回してます。



そして、次回は遂に奴です。
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