コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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少し疲れていました。再開します。





BERSERK-64『支配者の狗…後編』

優衣と涼子はライルに殺された久保カイトのことを考えていた。

 

「ねえ、あいつ有紗のこと好きだったのは明らかよね?」

 

「そうね……」

 

涼子が頷いた。あの様子は知り合いではない。少なくとも、先方が有紗に気があったのは見て取れた。涼子もそれを察しているように続ける。

 

「好きな女の子を取り返したいって、のは分かるけど……あのやり方はね。」

 

「もしかして、中華連邦のクーデターみたいになるか、そんな風になる自分に酔ったんじゃないの?」

 

優衣も途中で放送が止まったものの、結婚式の中継は見ていた。オデュッセウス第一皇子と天子の結婚にあの星刻が殴り込んで、クーデターに及んだという。年齢からして、天子の結婚が政略結婚で大宦官主導なのは見て取れた。

 

「有紗が無理矢理ライル様と結婚させられたと考えて……自分が助けるっていう、まあお安い物語の主人公みたいな気になっちゃったんじゃないかしら?」

 

「だとしたら、哀れだけど馬鹿ね。有紗本人も言っていたけど、自分の都合ばっかり……」

 

涼子の言うとおりだ。大体、あの政略結婚の妨害それ自体には天子の意志を蔑ろにした大宦官の国家私物化への異議というクーデター派なりの大義名分があったはず。それがあの密約の暴露で完全に正当化された。

 

だが、あいつらのは全く違う。ただ、物的証拠も何もなく有紗達が無理矢理ライルと結婚させられたと喚いていただけ。アマチュアに毛が生えた優衣でも、政治的にも軍事的にも周りを納得させる理由が何一つないのが分かる。

 

「コレが長野隊長だったら、家族を人質にされて無理矢理狗にされてるって理由で家族を誘拐して、救出とか何とかって喚くんでしょうね、きっと。」

 

優衣の分析に涼子も頷いた。

 

「支配者の狗には支配者の狗なりに言い分があるのにね。まあ、私達も今がその狗だから身をもって知っているんだけど。」

 

 

 

池田はライルと再び会っていた。

 

「合衆国日本とイタリアの合同でお前が法廷に立った場合の公文書が発行される。」

 

「随分と骨を折らせてしまったな、兄様達に。」

 

「何、言っては悪いが皇神楽耶は優秀だがいかんせん教条主義に偏りがちだ。副司令は素人である以上、そうした判断を出来る人間が少ない。」

 

「私はE.U.が発言権の強化ないし維持で使えるという事か?」

 

やはり、そのくらいは分かっていたか。

 

「市民と将兵を救ってくれた恩もあるだろうが、今度は恩を売りつける狙いもあるのだろう。」

 

「返せるといいんだが。」

 

「流石にそこまで高望みしていないだろう……」

 

「そうね、欲張って泣きを見るのをあの人は分かっているわ。」

 

クラリスが現れた。彼女と美奈川浅海、合衆国中華の楊 鈴維の三人がライルのことを……池田もそれとなく察していた。既に七人の皇妃を娶っているライルだが、その半分以上は名誉ブリタニア人…この三人特にクラリスならばフランスの講和で政略結婚できたのではないだろうか。いや、それはそれで彼女の両親の不正が有耶無耶になってしまう。そうなれば、ろくでもないことになる。

 

難儀な生まれだな、お互いに。

 

「さて、男と女の別れに無粋の輩は退散するとしよう。ごゆっくり。」

 

 

 

クラリスは退場した池田を見ながら、苦笑した。

 

「やれやれ……で、一応安全は保障できたようね?」

 

「ああ、バルディーニ将軍が先日の騒動の詫びで武器とエナジーフィラーは融通してくださる。これで既に返せない気がするが。」

 

「向こうがお詫びと恩って言ってるんだから、そうしておきなさい。私個人としては安い気がするけど。」

 

そして、クラリスはここでしかないチャンスを見ていた。誰も見ていないのを確認し、ライルに抱き着いた。

 

「……今更ハニートラップ?」

 

「言わないでよ…分かってるくせに。」

 

ライルが小さなため息をついた。

 

「せっかく父親の不正を正した点数がマイナスになるぞ?」

 

「それとこれは別……できれば、貴方がこのままこっちで捕まってくれれば私としては獄中結婚もできたのに。」

 

「どうせなら、私に亡命を決断させて結婚の方が良いだろう。」

 

考えなかったわけではないが、それをさせるにはライルの立場は難しい。それに、あいつらが出張ってくるのが嫌だった。返事がないのを何か察したライルは…

 

「…………もう少し早く、君に会っていたらどうなっていただろうね。」

 

「少なくとも、親に振り回される点で意気投合できたと思うわ。」

 

あまり嬉しくない理由だが、それも一つのきっかけかもしれない。画像で見た時から良いと思っていた。実物をあのパーティーで見て、惹かれた。整った容姿もさることながら、ボンクラ共とは真逆……むしろ、自分の地位で靡かないようなタイプを求めてすらいるように見えた。クラリスも元貴族家系のブランドに群がる男に加えて、この体と顔によだれをたらす男に辟易していた。

 

両親はそんな奴らと結婚させたがるが、クラリスはごめんだった。仮に家のためでも、そんな奴らと結婚したら、家がつぶれるのが目に見えている。その中で、ライルは本当に希少だ。リラも目を着けられていた父達の不正を暴くのに積極的に動き、貢ぎ物にされた女達にも迫られてはいたが身体までは手を着けなかった。

 

先祖が革命に賛同した高潔な貴族の精神を見たような気がした。彼にならば、女としての自分を捧げられる。年下でもそう思えたのは、クラリスの中に流れる貴族の血がそうさせるのだろう。

 

「次に会うためのおまじない、させて?」

 

返事を待つ前にライルの唇を奪った。舌を絡め、吸い付くがライルもそれに答える。病みつきになりそうなキスだ。

 

ぁあ、あの子達で慣れてるのね。でも…良いわ、これ。

 

年下なのに、慣れていてとても丁寧なキス。これでは、惚れる女が多いのも無理ない。

 

「お別れのキス、いかがだった?」

 

「君くらいの美人と出来る男は幸せだね。」

 

「ベッドインできないのが残念…」

 

より強く抱き着き、耳元でささやいた。

 

「貴方なら、初めてをあげられるのに。」

 

「それはまた、別の機会にしてくれ…」

 

 

 

引き上げる準備が整う中で鈴維はライルに会うことができた。

 

「とんだ騒動になってしまったな。」

 

「私が来た時点で、多少の騒動は覚悟していたが……ここで決闘をする羽目になるとは思わなかった。ワンマンチームの欠点を間近で見た。」

 

「星刻様がおられるとはいえ、大元が日本系であるからな。で、あの兄達は信用できるのか?」

 

「ルーカスよりはね。」

 

「……比較対象が酷すぎて参考にならないぞ。」

 

ライルが苦笑する。

 

「分かっているよ…だが、いつまでもここにいたらまた何をされるか分からない。それに、まさか皇帝弑逆を企てた大罪人が本国に隠れているなんて普通は考えないだろう?」

 

「データベースはハッキングしてごまかせるし、極力出てこなければ…ということか。確かに逆の発想だ。」

 

確かに、相手がシュナイゼルでもなければ気付く人間はそうはいない。

 

「それに家族を心配している部下達も多い。その安否だけでも確認する価値がある。」

 

「なるほどね……」

 

鈴維はこんな状況下でも部下を考えるライルのその姿勢に惹かれるものを感じた。もし、ブリタニア人だったら……

 

ブリタニア人だったら、何?私…この人に?

 

また、胸の高鳴りが…また、これ。

 

「あ、あの!」

 

「な…あ、改まって何か?」

 

「わ、わ、私が連絡員としていくのは駄目ですか!?」

 

ライルが目を丸くするが、数秒経過して首を横に振る。

 

「よせ、万が一のことがあれば『黒の騎士団』との内通が疑われる。言い訳ができない。」

 

「だ、だったら今からでも公賓は!?私が星刻様を説得するから!」

 

「鈴維…そんなの通らないことは君の方が分かるだろう?」

 

「あ…わ、分かっている。分かっているけど、私は貴方が!!」

 

今、自分で言って気付いてしまった。あの時、既に恋してしまったんだ。この人に……世界を自分の色だけに染め上げる国の皇子を、彼ならば自分達にとっても良い色にしてくれるという期待と…そんな彼の側にいたい。愛して、しまった…………

 

「……君のことは本当に魅力的な女性だと思う。」

 

「ぅ。」

 

面と向かって、男にそんなことを言われたのは初めてだ。それが愛する男なら、なおのことだ。

 

「だが、今の状況は私も君も死んでしまうようなものだ。」

 

「それ……無実が証明されたら、私も和睦の一環で皇妃になれるって、事?」

 

「ぁ…そ、それは。」

 

ライルもすぐに答えられない。だが、顔が赤い。少なくとも、脈はあるようだ。

 

「分かった、今はそれでいいから。」

 

既に七人もの公費を娶っている男に我ながら呆れるが、もうこの感情に嘘は着けない。彼を、愛している。

 

 

 

ライル軍はシルヴィオ達に連れられ、蓬莱島を後にすることにした。当然ではあるが、途中までは『ロンスヴォー』が随行して後ろからは旗艦斑鳩だ。どう考えても、『ロンスヴォー』と何かしでかせば後ろから撃つ気でいるようだ。

 

「当然、と言えば当然か。申し訳ありません、私のせいで。」

 

〈気にすることはない……それで、誰かに何かお伝えすることは?〉

 

「……池田誠治に。」

 

モニターに池田の顔が映り、その顔を数秒見つめる。

 

「……ホッカイドウで戦って以来、一度会ってみたいと思っていた。それがこんな形で適ったのは、正直嬉しかった。」

 

〈ああ、お前との会話は中々に心が躍った。〉

 

「次に会う時は戦場?」

 

〈だろうな……手は抜かないぞ?〉

 

「抜かれたら困るよ。」

 

それから、蓬莱島の外まで何事もなく通り過ぎたところで『ロンスヴォー』も離れる。

 

「バルディーニ将軍、何から何までお世話になりました。」

 

〈いや、貴方に借りを返すこともでき、今度は貸しを作ることができた。〉

 

「踏み倒しても怒らないでくださいよ?」

 

〈踏み倒すおつもりで?〉

 

「そんな状況が来てほしくないだけです。」

 

 

 




久しぶりの投稿ですが、お詫びしたいことがございます。

数日前にGoogleのAIモードで既に投稿した分や使わなかったアイデア若しくは原稿の中にある展開などを検証しましたが、既に投稿した分を含めて実際の政治との擦り合わせなどには使えたが、根本的なストーリーと台詞、文章としては……引き続き、ガンダムSEEDの時と同じように原稿をベースに細かい修正、または追加や削除で1から書く形で続行します。

検証やシミュレーションなどでも、原作の終盤手前で気の緩みからAIを使ってしまい申し訳ございません。結果、上記通り文章それ自体は自分で原稿を削除・再度手作業で入力しています。

その後、暫くは原稿作成と自分自身の休憩も兼ねて活動休止いたしますので…それまではどうかお願いいたします。

長々と謝罪文、ご迷惑おかけいたしました。
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