ライルの旗艦ケアウェントの寝室……特設にもうけられた寝室のベッドは十人以上が寝られる巨大なサイズだ。エリア11へ行く前に部下の一人が勝手に手配して運び込んでいた。ライルの了承もなく、勝手にやったことだったようなので、その費用は給料から天引きしてやった。
そこで、ライルは皇妃達七人と交わっていた。
豊かな肢体を躍らせ、その花を愛でられて喜んで……巨大な果実でライルの身体をこすって、赤ん坊みたいに吸われ、その姿を母親みたいに愛でながら、注ぎ込まれた。ライルは皇妃達と考えられる形の全てをもって、愛し合った。
だが、自分でも驚くほどにまだ足りず……皇妃達が限界を超えても抱き続けた。
日をまたいで……いよいよ『ロンスヴォー』との戦いが間近に迫っていた。シルヴィオ軍とエルシリア軍も監視を兼ねて参加することになった。
「本当に、シルヴィオ様と木宮さんだけでいいのですか?」
ミルカが二人を心配げに見る。
「ライルの私闘なんだ…部下達まで参加させたら、ライルだってやりにくいだろう?」
「そうね、お目付け役でもあるし。よそ様の喧嘩でうちの子達を巻き込みたくもない。」
それに、万が一に備えてウェルナーを逃がすことも考えなければならない。ルルーシュも一応の了承をしてくれて、参加するのはシルヴィオと木宮…エルシリアとセラフィナ、クレア、後は相手がE.U.ということで『ユーロ・ブリタニア』出身者。『十勇士』と『アマゾネスナイツ』を中心とした両軍の親衛隊は後方で将兵達の回収を主任務とした。
「心配しないで、万が一の場合はあたしがシルの盾になるから。」
「…私は、貴方にも帰ってきてほしいんです。ちゃんと結婚して、シルヴィオ様の一番になりたいんですから。」
「まあ、可愛い。こんなかわいい奥さんを貰えるなんて、シル貴方幸せ者よ?」
「お前の誉め言葉なら、素直に受け取るよ。」
「すまない、ウィンスレット。」
「いえ、我々まで巻き込みたくないという姫様方のお心遣いは承知しております。」
それに、ライルの部下達を回収する役割も必要だ。たとえ勝てなくとも、日本を再占領したルルーシュと戦う部隊への援軍を削ぐだけでも戦う価値はある。
「貴方が後ろにいてくれるから、私も姉さんも気兼ねすることなく戦えます。本当に、感謝しています。」
「身に余るお言葉です。」
ウィンスレットが一礼をしたところで、クレアがセラフィナの肩を叩いた。
「セラ、ここは良いから秀作君のところに行ってあげなさい。」
「クレア……でも。」
エルシリアが「いいから。」と半ば強引に押し出す。
「後悔してからじゃ遅いのよ…」
「姉さん……はい。」
雛はウェルナーと士官室で会っていた。
「ブリタニア皇族同士での戦争、か。」
「別におかしな話じゃないでしょ?日本だって天下統一のために兄弟とやりあうんだから。」
「いえ、ブリタニア皇族もそういう歴史があるのは習っています。でも…」
「学ぶのと、実際に居合わせるのとは違う?良かったじゃない、一つ勉強ができて。」
だが、雛は不思議と不安だった。今まで何度も出撃してきたのに……
「雛、どうしたんですか?」
ウェルナーが問うと………
「あ……なんでもない。」
だが、武者震いか?恐怖か?手が震えている。
それにウェルナーの細い手が握ってきた。
「雛…」
「な…何改まって。」
「立って、向かい合ってください。」
「は、はい。」
言われるままに立ち、ウェルナーが深呼吸をして向き合う。そして、手で空中に何かのサインを描く。確か、アコレ―ドという騎士の任命…?
「略式ですが、ウェルナー・レイ・ブリタニアは川村雛を我が騎士に任じます。」
「え…」
いきなり、ここで騎士の任命?
「我が騎士に命じます。兄上と共に戦って、生きて帰ってきてください。その祈りを、愛をここに。」
右手を取り、甲にキスをした。
「ぃ!?」
余りの事態に雛は頭が真っ白になり、すぐパニックになった。
「な…何考えてんのよあんた!?つうか、それ騎士がお姫様にするもので逆でしょう!あたしがあんたにするんじゃないの!?」
「僕と貴女ならこれでもいいでしょう?」
可愛い笑顔で、妙に納得することを言ってきた。同時に、ウェルナーが自分をここまで想ってくれていることが素直に嬉しかった。
「あ、ああもう!」
ここまでされたら、もう雛としても引き下がれない。改めて、膝をつく。
「イエス・ユア・ハイネス!」
秀作はセラフィナが格納庫を訪れていたことに驚いていた。
「良いのか、こんなところにきて。」
「ここが良いの。」
コンテナの上に秀作が座り、セラフィナも隣に座る。
「シュナイゼル兄さんが勝っても、ルルーシュが勝っても…ブリタニアの世界制覇は達成される。」
「そうだな…」
「私も、昔はE.U.や中華連邦もブリタニアが纏めて、世界を平和にするのが良いことだと思ってた。でも…」
「でも?」
「ユフィのようなやり方も良いんじゃないかって。ああいう方法で仲良くできれば、他の国をエリア化しなくても良いんじゃないか?って、ライル兄さんの影響もあるのかも。」
何ら変哲もない会話が続いた。
「……俺は、あんたとライルに…クレヴィング将軍に感謝してる。あんた達に会わなければ、俺は永遠に奴らの道具で、今ごろあっちだった。」
「前言ったかもしれないけど……秀作はご両親とお爺様が亡くなってもう生まれているの。復讐も、兄さんやクレヴィング将軍を好きなのも秀作が自分の心で従ったものよ。」
そう、これはルルーシュが使うギアスという力は関係ない。秀作が自分で求めて、得た結果だ。人を操るギアスによるものじゃない……むしろ、彼に祖父の勇名を押し付けて注文通りにさせることこそ、ギアスより質が悪い呪いではないか。
秀作も気付かずにその呪いに縋って、敵を、血を求めた。まだそれはあるだろうが……
「私が、貴方を愛しているのも私の意志……血筋が欲しいんじゃない。貴方という一人の男の子が好きなの。」
セラフィナの方から秀作の唇に自分の唇を重ねた…秀作が一瞬離れようとするが、すぐにぎこちなくも秀作も答えた。
「映画のワンシーンを自分でやることになるとは。」
「もう、色気がないんだから。………ねえ、もう一つ今ここで済ませたいことがあるの。膝をついてくれない?」
「…ああ。」
秀作とセラフィナはアストラットの足元で向かい合う形になる。そして、セラフィナは下げているショートソードを抜いて跪いた秀作の肩にかける。
「畑方秀作、貴方は私セラフィナ・ギ・ブリタニアの夫として、騎士として兄ライルと共に戦いなさい。そして、共に生きて帰るのです。」
秀作は一瞬、気圧される。だが、不思議と彼女のこの美しさに惹かれた。ああ、これが所謂恋というもの…そして、忠義なのだろう。レイが愛と忠義をライルに捧げるのと同じ。
これに応えたい……復讐だけの人生で、初めて学んだ愛に、そして忠義というものに。
奴らには決して曲げまいとした膝を彼女に、ライルになら躊躇せず曲げられる。
「イエス・ユア・ハイネス。」
「誓いを、改めて。」
セラフィナが手を出し、それの意図をそれとなく理解する。
「無作法ではあるが…」
手の甲にキスをして、誓いを立てた。
居合わせた涼子から、秀作が簡略ではあるがセラフィナの騎士に任じられ、プロポーズもされたことがヴェルド達に伝わった。
「あいつ、17で彼女どころかいきなり結婚か。貴族の仲間入りだな。」
ヴェルドが茶化すが、ゲイリーの前もあってか少し真剣な表情だ。
「やっぱり、元ナンバーズの分際でって思う?」
「いや……私自身は殆ど何もしてないのに、主君と普通の恋人を得たのが悔しいような嬉しいような。」
「そんなことないですよ、将軍。」
コローレが軽く肩を叩いた。
「将軍は秀作にコミックを買ったり、バイクを買ったりしてやったんでしょ?あいつが日本ではほとんどやれなかったこと。自分で言ってたでしょう?」
自分で言っていた…そうだ、息子達にさせてやらなかったこと。もっと遊ばせて、もっと自由にさせてあげた。本人も休暇でサイドカーにゲイリーを乗せて走るのは嬉しそうだった。
「本人も父親と言っているんですから、胸を張っていいですよ。」
デビーも諭し、グラスを掲げる。
「ええ……貴方も父親としてステップアップしたのでしょう。」
この中では同じ父親で付き合いも深い長野も感慨深げな顔だ。
母方の領地に飛んでいたエリスは帝都が消滅して混乱する各方面の調整に当たった。幸い、ルルーシュから発令もあって落ち着きを取り戻しつつあり、この混乱に乗じて本国へ攻め込もうとする『黒の騎士団』の牽制の指揮を執っていた。ルフィナは知り合いの貴族の領地方面の軍と連絡を取り合うために出払っている。
「兄上とルルーシュ、世界にとってはどちらが勝っても地獄。なら、私はその地獄でどう立ち回るかだね。」
自分の力が軍事力に殆ど裂かれていないことは自覚している。ならば、その後の世界でどう立ち回って、皇妃達を守るかに尽きる。
ミリアムが入れたコーヒーを飲みながら、二人の状況を見る。
ルルーシュはペンドラゴンが消えて内政機能がマヒして、各エリアの軍隊も『黒の騎士団』と睨みあっており、自由が利くのは日本を再占領した部隊のみ。ライルはシルヴィオ兄上達と共に蓬莱島にいるE.U.の最強部隊を引きずり出している。
片や、シュナイゼルは『ラウンズ』が壊滅して『グリンダ騎士団』がカンボジアに置いて行かれたという。通常戦力はアーニャのモルドレッドのみ。
ダモクレスとフレイヤは強力だが、勝手は効かない。だが、『黒の騎士団』もゼロがいない……フレイヤという最悪のジョーカーを何枚も持つシュナイゼル、決め手になるカードがない『黒の騎士団』となれば…
「『黒の騎士団』と同盟…いや、私ならフレイヤのスイッチを持っているのをいいことに連中を脅すね。」
「どういうことです?」
「クラリッサ、『黒の騎士団』は代表達を救出しなければならない。だが、兄上にはそれをする必要はない。なら、フレイヤで脅せば労せずして強力な駒を手に入れることができる。」
しかし、フレイヤの威力は既に二度の使用で立証済み。となれば、弾の正確な数が分からない以上は何か対抗する武器を持っていなければルルーシュに勝ち目はない。ルルーシュがそれを用意して、どのタイミングで使うかが勝負の分け目になるだろう。
今まで勝ったことのないルルーシュが兄上に勝つのか、それともこのまま兄上がまた勝つか。
二人の対局を見たこともあるエリスでも、こればかりは予想できなかった。
と、ミレイユがエリスの手を取る。
「エリス様…私達は制度が変わっても、地獄までエリス様にお供いたします。」
「娼婦の私を拾ってくれなければ、今の私はいなかったんです。」
「皇族でなくなっても、エリス様を支えますから。」
グレースやアイノも同じだ。皇妃達の一途な愛をいとおしく感じ、エリスは目を伏せる。
「ありがとう、素直に受け取る。……万が一に備えて、色々と財産を持っていてよかったかもな。」
これまで、悪徳貴族の摘発や軍、政府の不正告発を元手に株式…外国の相場で稼いだ財産は把握しているだけでも皇族達の中でもトップクラス。帝都にもあったが、それは全体の一割にも満たない。
今は外国の相場と国内の財閥の株から手を引き、国内相場の新しい方針転換でも手を引いているから損失は全体の13%に抑え込まれた。
正に悪徳政治家のそれだが、エリス自身は後ろ暗いことはしていないし正規の手順で得て、増やした財産だからあれこれ文句を言う権利はなかった。
アーネストは久しぶりに美恵を抱いた。
激しく動く巨大な果実を何度も吸い付くし、潰れるほどに揉んで、美恵が気を失うまで責め続け、既にあふれ出ていた身体を痙攣させている。
眼が虚ろになるほどに激しく抱いて、辛うじてアーネストを認識できるほどにまでなった美恵をアーネストは後ろから抱き締めた。
「美恵……愛している。」
痙攣したままの美恵の唇に自分の唇を重ね、巨大な胸を揉みながら愛をささやいた。本当に、この娘にここまで心を奪われるとは自分でも驚きだ。
ここまで連れてきてしまった以上、一生をかけて責任を取らなければならない。『ユーロ・ブリタニア』の貴族として、男としても。
そして、アーネスト自身もペンドラゴンを見て、ブリタニア貴族として何もせずにはいられなかった。
マクスタインとクルークハルトを筆頭にしたルーカス軍の少数派達はうなだれていた。ようやく、ルーカスが死んで解放されたと思った矢先に女達は治療先のペンドラゴンで死んでしまうなど………
しかも、最悪なことに女の中にあの『ロンスヴォー特別機甲連隊』の身内までがいた。伝えなければならない。こればかりは……彼女達を攫い、結局救わなかった自分達が一生背負うべき十字架だ。
「クルークハルト様…」
「私達が証言しますから。貴方やマクスタイン将軍だけは違うって。」
「私達、このまま貴方にお仕えいたします。」
女達の表情は真剣だ。とても、断ることはできない。
「ありがとう…感謝する。」
そして、マクスタインは本宅と連絡が取れた。
「そうか、カミラも無事か。」
〈ええ、お代わりになりますか?〉
「頼む。」
数秒後、電話から幼い少女の声が聞こえてきた。
〈おじさん、ペンドラゴンがなくなっちゃったって聞いたけど、怪我とかしてない?〉
「ああ、私は大丈夫だよ。カミラこそ、いい子にしているか?」
〈うん、お屋敷の人達から勉強を教えてもらった。〉
「そうか……まだ暫く帰れそうにないから屋敷の人達の言うことをちゃんと聞いて留守番をしてるんだぞ。」
〈はーい。〉
あの子の声を聴くと、不思議と安心する自分がいて驚いた。平民の子供なのに、ここまで安らぐとは妙な気分だ。
良二はスザクと連絡が取れた。『ナイトオブセブン』時代の回線が使えたのが幸いした。
「スザク…お前、何を考えているんだ?」
〈俺はルルーシュの剣になると誓った。それ以上は言えない。〉
「……それは、ルルーシュがブリタニア人で初めてできた友達だからか?」
スザクの表情が強張った。
「やっぱり、ナナリー総督とルルーシュがお前の家に来ていたブリタニア人だったんだな。」
〈良二…それは。〉
「殿下も薄々感づいている……お前が何を狙っているかは分からない。俺も今は殿下と自分のことで手一杯だ。だが、これだけは言わせてくれ。」
〈良二?〉
「お前が何をしようと、イレヴン共が、世界がお前をどう言おうと俺は友達だ。そのスタンスは絶対に譲らない。」
〈………そうか。〉
「無茶するなよ?」
〈お互いにね。〉
通信が切られたところで、ノックがした。
「どうぞ。」
入ってきたのは優衣だ。
「はい、お姉ちゃんから貴方のヴィンセントの状態。OKならサイン頂戴だって。」
「悪いな…」
「今の通信の相手、枢木スザク?」
「ああ……」
「はあ、貴方も良い男なのになんで友情が先なの?」
「知らないよ。お前こそ、殿下の相手は良いのか?」
すると、優衣はわざとらしく腕で自分の胸を持ち上げた。気のせいか、前より大きくなっているような気がする。
「ご心配なく、昨夜たっぷり楽しんだの……ちょっと歩くのきついけど。」
「あ、そ。」
デビーは涼子にアイスティーとクッキーを差し入れた。
「あら、親衛隊自ら差し入れてくれるなんて。」
「お前のKMFのおかげで助かっているからな、これくらいいいだろう?」
「そう。」
涼子は調整の手を休め、クッキーをかじる。
「お前、この後どうする?」
「え?」
「ルルーシュ皇帝が勝とうと、シュナイゼル殿下が勝とうと結局ブリタニアの世界制覇がなされる、と殿下はお考えだ。そんな状況でどうする?」
「え?……そうね、学校は無事だったみたいだから優衣と一緒に復学ね。できれば、もう一度こっちでエンジニアしたいわ。今度はあのアルビオンと戦えるKMFを作りたいし、この子達の面倒も見たいから。」
「筋金入りのKMFバカだな。美人なのに勿体ない。」
「優衣のような色ボケよりマシでしょう?」
エレーナは久しぶりに弟と妹と食事をしていた。
「姉さん、随分と昨日はお楽しみしたみたいね。」
「え?もしかして、聞こえてた?」
「違うって……と言うよりバレるっての。」
は、恥ずかしい……いや、確かに昨夜はすごかった。七人を一度に相手にしてもまだ足りないのでは、と思ってしまった。
「あ…セ、セルフィーは幸也とどうなの?」
「…は?」
「それは俺も気になった……どうなんだ?」
「え、あ、ないわよ!あんなデリカシーの欠片もない奴!!」
嘘だ、その様子からして脈はあるようだ。
「に、兄さんはどうなのよ!?」
「俺?そうだな……今のところ、ウチの軍ではいないな。」
「何よ、それだけいい男なのに勿体ない!そっちじゃないわよね?」
「そんなわけあるか。」
『セント・ガーデンズ』に追われてから、気の休まる暇がなかったが……明日の決戦に備えて少しだけ心がリラックスできた。
テレサはルビーと再会した。
「そう、メイフィールド家は何とか踏みとどまってるのね?」
「ええ、児童福祉事業はどんな体制でも必要だから、没落だけは避けられたわ。」
そうか、それはよかった。
「私もそっちの孤児院の出身だから、それは安心した。」
「そういえば、シルヴィオ殿下のところにも孤児院出身の人がいるのよね。」
「ええ、今も健在。」
「大丈夫なのかしら?」
二人は知らないが、エリアの孤児院も別の貴族が融資して設立されたものだ。そちらに力を入れる貴族が申し入れたことで、事業の権限のほとんどをルルーシュに取られるが、孤児院だけは守りきって踏みとどまった。
これらだけでもまだマシな方で、国内に残る貴族達は未だに権益を奪うことを良しとせずルルーシュに抵抗する、または領民達の安全を優先して事業の方針転換で生き延びようとしていた。
今、彼らは帝都の消滅という衝撃よりもそちらで手がいっぱいになっていた。ルルーシュに歯向かうどころではなくなってしまった。
ティーナ・B・アルバートフの家も貴族制の廃止であり方を変えるべき場面に立たされていた。噂になったライルのシャルル皇帝弑逆容疑もまた曖昧であり、彼女の父は元々展開していた事業の方針を見直し、領地もまた解体と再編に伴い信頼のおける重役たちに自分を基準に、それに近い形で行政を担えば譲る用意があると宣言、最低限の財産保持を呼び掛けることにした。
ライルの祖父母のハウエルズ子爵家はペンドラゴンが消滅した知らせを受け、すぐさま自分達の領地に呼び掛けて水と食料の支援を決定した。また、貸別荘のいくつかを仮の避難所として提供する準備も整えていた。オレゴン州府もそれに協力してくれることで没落だけは回避できた。
「殿下、ルルーシュ皇帝に着いたそうだけど。大丈夫よね?」
「心配か?」
「お父様………ええ、私にとってあの方は……………弟、ですから。」
はとこで彼女が歳上ならば確かに弟は成り立つが、どこかで男として見ている自分もいた。それでも、一人っ子故の寂しさから彼に弟を求めて有紗達と結婚したことも純粋に嬉しかった。
「無事に帰ってきてほしいです。有紗さん達の子供達の名付け親になりたいですから。」
「そうか……」
サラ・クラウザーは父の不正の矢先に貴族制の解体で対応に追われていた。大貴族達はクラウザー家にこのチャンスを逃すべきでないと主張するが、それがサラの耳には帝都を消したシュナイゼルを支持するべきと聞こえた。
いくらなんでも、帝都を丸ごと消滅させた宰相に従うという事はサラにはできなかった。まして、ナナリーがあれに着いているなんて。
アッシュフォード学園でのナナリーしか知らない自分のギャップなのかもしれないが、何の勧告もなく帝都を消す行為がルルーシュに対抗するためでも正当化される行為とは思えなかった。それでは、ライルの尊厳を守るというもっともらしい言い訳で有紗達を排除しようとした父と何ら変わらない。
それが彼女の中立表明につながった。より正確には決めかねている、と言った方がよい。
「ライル様……ルルーシュ君が兄弟なら、貴方はどう思いますか?」
「そうですか、やはり皇帝への心象は。」
〈無理もあるまい…日本を解放したかと思えば再占領だ。〉
長野は山本秋水と連絡を取っていた。やはり、再占領という事で日本人達の心象はまた悪くなった。しかし、今度は訳が違うというのが二人の見解。
あの最高評議会が合衆国日本の暴走による外交マナー違反を取ったため、ブリタニア側の言い分は外交マナー違反による皇帝の拘束と『黒の騎士団』の権限外である内政干渉を容認し、その主犯格たる日本への占領。
ある意味、サクラダイトの権利よりは筋が通った話ではある。それでも占領は占領だから、日本人達の怒りは大きく、それに対抗する者はたとえブリタニアの宰相でも支持している。
トウキョウ租界を消したフレイヤだというのにな。
妻子の無事は分かって安心していても、あの要塞がもし世界中にフレイヤを撃つようなことになれば、長野はとても支持できなかった。どちらも悪い結末なら、人間が支配した方がまだマシだ。
グレイブ・ガロファーノは『ピースマーク』の連絡先を見つけた時には正直、驚いた。何しろウィザードと呼ばれる仮面の男がこちらの動きを察知してきたのだから。どこにいるかまでは分からなかったが、ライルの依頼という形で手伝ってくれたのは意外だった。
「一体、誰なんだ?」
ブリタニアの内情にかなり詳しい貴族なのだろうか?そんな人間、あげたらきりがない。まして、今はルルーシュの政策で既得権益が損なわれつつあるから協力者も出てきそうだ。
「いずれにせよ、今は国内だ。帝都消滅の混乱を何とか収めないと。」
情報部なら、出来ることはある。まず帝都周辺地域の封鎖と行動可能な軍に救助と支援を………
ベディヴィエール・ソウキュウの調整は終わった。サラやティーナの、エクトルの実家の無事は確認できた。反抗せず、領民の生活の安定を第一にと伝えて、連絡を密に取るようにさせた。
やれることは全てやった。後は明日、『ロンスヴォー』との接触を待つのみだ。シャワーを済ませ、ライルは今夜だけは有紗と二人きりになりたくて、彼女を呼んでいた。
先に来ていた有紗はバスタオルを身体に巻いており、タオル越しでも大きな果実が盛り上がっているのが分かる。有紗は無言でバスタオルを脱いで、また一段と豊かに成長した裸体を見せた。
「本当にきれいだよ、有紗。」
「…ライル様にだけ、あげられるのがうれしいです。」
バスローブのまま有紗をベッドに押し倒し、唇を重ねた。お互いに慣れたように濃密なキスをして、バスローブを脱いだ。
「ライル様の身体、素敵……細いのに、鍛えられてる。」
「これでも、軍人だからね…あの馬鹿共は女にきゃあきゃあ言われるステータスになるなんて言っていた。」
「……この前の、三人も?」
「…クラリス・ドゥ・ピエルス達の事?」
有紗は何処か面白くなさそうにうなずいた。
「確かに、あの三人のことを良いとは思っている。君達に続く十人目の妃に欲しいほど。」
そう、クラリスや浅海、鈴維にも魅力を感じている。敵の女だからこそ、自分に遠慮がない部分。そこがライルにとって、あの三人から特に感じるものだ。『洗脳皇子』の看板の先にある自分という敵を見据えている。
「敵まで、皇妃なんて…欲張り。」
胸板を少しなぞり、有紗が呆れる。
「あの男の奪えをこの時だけは認めたくなった。それに、あの部隊の人達も興味があるからね……あの三人を口実に側に欲しいんだ。」
そう、外人部隊や日本軍、E.U.のはみ出し者とも言うべき部隊。それがライルの部下達にも重なって見えていた。シンパシーだろう。
「そんな理由?」
「好敵手がいるのも本音だよ…これを逃したら、もう戦う機会は訪れないだろうから。悪いね、最低の男で。」
そこから、ライルは有紗を徹底的に抱いた。
寝室に有紗の甘い悲鳴が響き、ライルは明日の戦いへの興奮を全て有紗に叩き込み、窒息するほどに唇を吸い、初めて会った時よりも大きく成長し、赤子に飲ませる分が無理やり吸いだされると思うほどに有紗の果実を揉みしだき、吸って、しゃぶりつくして、身体の奥にも身籠るどころか収まりきらないほどまでに自分の愛を注ぎ込んで有紗を何度も果てさせた。
先日抱かれたばかりなのに、有紗もライルに満たして欲しくて必死に応えていた。
今回、ライルは皇妃達とよろしくやっているだけ。代わりに、他のメンバー重視です。
シルヴィオとエルシリアの軍隊は後方待機……軍事的にも、私のキャパ的にもその方が無難です。
そして、ウェルナーと雛…秀作とセラは制度は廃止されたけど騎士になりました。
秀作へのセラの想いは自分なりに表現し、ギアスより質が悪い呪いと書きました。
エリスは非常用資金も稼いでました。自分の皇族の収入で、しかも領地にも一部還元してる。悪徳政治家っぽいけど……本当に本人は後ろ暗いことはしてません。でも、シュナイゼルより悪徳政治家っぽいかも。