帝都ペンドラゴンが消滅したブリタニアは内政機能がマヒしたために、各エリアの軍隊は最低限の迎撃態勢を整えて『黒の騎士団』と睨みあっている。ここで、先行したライルは東シナ海で『ロンスヴォー特別機甲連隊』を待ち構えていた。
ここなら、数日後に訪れるルルーシュとシュナイゼルの戦いの邪魔をする心配もないし、二人ともこちらのことなど構っている余裕などない。
つまり、彼らは気兼ねすることなく思い切り戦うことができるということだ。
ライルは全軍に演説を行っていた。
「参加した者のほぼ全員が分かっていると思うが、今回の戦いは私のワガママだ。それに付き合わせることは申し訳なく思っている。抜けたい者はすぐにでも艦を離れてくれ。」
だが、誰も動く気配はない。嬉しさと申し訳なさがこみあげてくる。
「ありがとう……では、このどうしようもなく最低な私闘に付き合ってくれる皆に伝えるべき命令が一つある。それは生きて、帰ってくること。弟ルルーシュと兄シュナイゼル、どちらが勝っても勝つのはブリタニア、ならば我らはその中でどうすべきかを見定める必要もある。だから、私から伝えるべき基本命令は…生きて帰れ!それ以外にない!!」
〈イエス・ユア・ハイネス!!〉
『ロンスヴォー』もバルディーニが演説を行っていた。
「この戦いは、ライル・フェ・ブリタニアの私闘に端を発している。だが、我々にとっては彼と決着をつけるだけでなく、彼がルルーシュに合流することを阻止する。それだけでも意義のある戦いだ。健闘と生存を祈る。」
実際、ライルがルルーシュに合流したら相手の通常戦力は増えてしまう。それもコーネリアの親衛隊や『グリンダ騎士団』に匹敵する精鋭ばかりだ。『ロンスヴォー』も来れば帳尻はあうだろうが、余計に指揮系統が混乱してしまう。可能性は低いが、ライルが土壇場でルルーシュを裏切り、逆転を狙ってダモクレスを奪うやもしれない。
あの要塞とフレイヤがあれば本人にその気がなくても、恐怖政治の支配者として君臨することができるのだ。
立場が不安定なライルがそれで逆転を狙う可能性も否定できる要素ではなかった。
『ロンスヴォー』はフロートに換装したE.U.の陸上艦と海上艦を中心にアスカ型航空艦で構成されていた。対して、ライル軍は旗艦ケアウェントを筆頭に航空艦のみで編成されている。艦隊戦闘で言えば、空から攻撃できるライル軍が有利だ。
まずは定石どおりにライル軍が上空からの対地対潜攻撃を行おうとするが、手を呼んでいたバルディーニが海上艦と潜水艦に先制攻撃を仕掛けさせた。攻撃のほとんどがブリッジとフロートに集中しているため、砲撃を出来ない。その隙をついてKMF隊がフロートに回り込んだ。
しかし、フロート搭載艦の弱点はブリタニア側の方がよく知っている。まして、相手がバルディーニほどの指揮官であればそれで止まるはずがないとライルは予測していた。
案の定、シールドの内側に回り込んだKMF隊がフロートを狙ってきたが、それを予測していたライル軍がシールドを部分解除させて敢えて隙を作り、隣の艦上にいたKMF隊が逆にKMFのフロートを破壊し、墜落させる。更に前もって発進したフロート装備型も挟み撃ちにする。
「敵艦上にKMF隊、フロートへの急襲部隊の被害甚大。」
「…敵艦のフロート破壊を諦める。後退させ、部隊を再編。ただし…」
「敵の部隊が後退していきます。」
涼子の報告を受け、ライルはうなる。
「これで終わり?いや……今度は上から来るかもしれない。艦上部…」
「上空にスモークが展開されました。」
優衣の報告通り、艦の真上に煙幕が展開されている。
どっちだ…煙幕に紛れるか、煙幕を囮……いや、両方か!?
「正面の敵と上空、両方に備えろ!ブレイズルミナス、正面と上にエナジーを回せ!」
だが、わずかに遅かった。艦に衝撃が走った。この衝撃は…上からだ。
「艦の上にKMFがとりつきました!現在、陸戦機が交戦中です!!」
リーザの報告を聞くまでもない。まずい、この状況で正面と下にも意識を割かなければならない。下手にカンタベリーと雷光を出せないし、出したところで真っ先に狙われる。万が一に備えて、別にしてあるが……
「……やはり、作戦指揮では勝てないか。こうなったら力押しでひっくり返すしかない。ゲイリー、後の指揮を委ねるがいいか?」
「は!」
「カンタベリーと雷光の使いどころはゲイリーに任せる。」
こうなった以上、通常戦闘で勝負するしかない。重戦術兵器の雷光とカンタベリーは保険にしておいたのは正解だったが、やはり普通に指揮をしては勝てない。相手の練度が違い過ぎる。
ヴェルドは海上艦からの砲撃に苦戦していた。間合いではこちらが上なのだが、とにかく撃たせまいと機関銃で撃ってくる。いくらKMFでも護衛艦の機関銃はひとたまりもない。
「ったく、『ヴェネツィアの鯨』ってだけあってとんでもないぜ!!おまけに海上艦隊が攻撃を再開してきた!!」
流石に海軍上がりだけあり、海での戦闘を熟知している。潜水艦隊もいくらか借り受けているが、海上艦の上にいるKMFがソナーを頼りに攻撃している。ポートマンⅡの部隊も近づこうとしているが、KMFが対空迎撃に集中しているために艦の攻撃は対潜攻撃が分厚い。
「指揮官だけならヴァリエール卿より上だぜ、絶対に!!」
ハドロンブラスターで暁を何機か撃墜して後退していく。
長野は暁を串刺しにして、そのまま後ろの友軍機にもぶつける。長刀のリーチを活かして戦い続ける中、一機の大型機が現れた。フォルムはブリタニア機…それもユーウェインに似ていた。背中の長剣を抜き、こちらに斬りかかってくる。
長刀で受け止め、押し返そうとするが元が大型機であるためにこちらがパワーで負ける。押し切れないのならばと後退し、スピードで勝負する。しかし、相手は腕のシールドで受け流していく。
「この癖…フローベル卿か!?」
〈そうよ……それと、あの時忘れていた自分の本当の名前を思い出したのよ。〉
「何?」
〈私の本当の名前はアリエッタ・リア・ヴァリエール……あの男が殺したレイシェフ・ラウ・ヴァリエールの娘よ。〉
なんだと!?ヴァリエール卿の娘!
ヴァリエール家のお家騒動はライルやゲイリーから聞いたことがある。だが、まさか彼女がそれだったとは!
〈シャルル皇帝がギアスで私の記憶を書き換えたみたいで……私の記憶をいじったあいつも憎いけど、今私が憎いのはずっと近くにいたのに気づけなかったお父さんを殺したあいつ。〉
ライルへの復讐か…しかも皇帝がギアスを持っていたとは。確かに、父親を殺されたとあっては復讐の動機としては十分だ。例え、その父親が先にライルを陥れたとしてもだ。
「本当はね……あいつのお妃様を誰か一人、お母さんみたいに殺してやろうって思ってるのよ。そうすれば、お父さんの気持ちが少しはあいつも分かるんじゃないかしら?」
〈殿下は既に母親の手で愛する女性を奪われている!これ以上、同じ思いをさせるわけにはいかぬ!!〉
「あら、ご立派。じゃあ、貴方の奥さんやお子さんも私と同じ目に遭わせてあげる。」
アリアはロディーヌ用に改修されたクラレントを再度抜いて長野の新たな機体アムレンに斬りかかった。
レイはランスでアスカ型のフロートを破壊した。機動力を重視した本機だからこそできる芸当だが、他はやはり対空砲撃で近づけない。
一旦後退しようとした時、大型のKMFが襲ってきた。両手のハーケンで攻撃し、それをバックラーで弾き飛ばしてランスを構える。
「その戦い方…機体……もしかして、ローウィング卿?」
〈ああ、我が主君の復讐のためにこちらに着いたのさ。〉
「復讐…ね。自分達がライル様を陥れたくせに、逆恨み?」
〈なんとでも言え。私にとって、ヴァリエール卿は父同然だった。アリアにとっては実の父親だ。〉
父親…アリアの?なるほど、理由は分からないがレイシェフは記憶を失った娘を側に置くことで守っていたわけか。
「父親の仇、という気持ちは分かるわ。私も父親をブリタニアに奪われたから。」
尤も、だからと言って日本に着く気にはならなかったが。
「似てるわね、本当に。」
〈ああ、日本とブリタニアの間に生まれて迫害された。そして受け入れてくれた人に尽くす。〉
「譲らないわよ…あの方の騎士としても妻としても。」
〈いいだろう。〉
シルヴィオはエルシリア達と共にライルから自由行動を許されていた。指揮系統が違うシルヴィオ達がいても独自に動いてくれた方がライル達も集中できるからだ。
ディナダンとゲライントの連携にくわえ、参戦を希望したアーネストと美恵も単独ながら飛行部隊を相手に少ない数で持ちこたえている。むしろ、少ない数を活かして一撃で相手を仕留める戦い方だから、中々に捕らえられない。
「アーネスト、ハドロン砲を撃て。」
〈は!〉
ソティアテスがサザーランド・スナイパーのものをベースにしたハドロン砲で先行してくるKMF隊を撃墜し、美恵のトレウェリが両腕を展開して通常の近接戦闘の間合いの外から暁隊を斬る。たまに反応する相手もいるが、それは一撃だけ。二撃目には対応できていない。
ディナダンはハーケンでアスカ型のブリッジに急接近し、そのまま長刀を突き刺し、振り上げた。ブリッジを破壊された敵艦は爆発し、更に爆炎から飛び出したディナダンは同じく海上艦にハーケンを突き刺してフロートのブースターと巻き戻しで普通より早く接近して艦上のパンツァー・フンメルとグラスゴーを海に蹴り落とし、背中の小太刀でブリッジを潰す。
その隙を狙う敵もいたが、ゲライントが長剣でそれを阻み続け、まるで主君の邪魔をさせないと言わんばかりだ。
「『侍皇子』のKMF小隊に航空艦一隻、護衛艦一隻が撃破されました。」
「怯むな。その空域に向けて、残存部隊の砲火を集中。穴を埋めようとすれば、逆に食い破られる。」
バルディーニの指示通り、シルヴィオ達が崩した陣形に逆に砲撃が集中され、四機は後退する。
「ヴァントレーン中佐は追撃を、他はしなくていい。それよりも陣形の再編成を行う。」
鈴維は海棠の指揮下で戦闘に参加していた。炎鳥は名前のごとく、華麗に空を舞ってブリタニア軍のKMF隊を撃破していく。近接戦闘の武器しかもたないとはいえ、ベース機はあの神虎。そのスピードも規格外だった。とはいえ、ライルが鍛え上げた騎士達も優秀で撃破されたのは僅かだ。
「流石にライルの精鋭ね…!」
一機のKMFが斬りかかってきた。大型機…ギャラハッドの量産試作機パラディンだ。
〈中華連邦の楊 鈴維だな!?〉
「男の声…哀沢幸也か!」
〈俺ごときを知っているとは光栄だよ!〉
炎鳥の槍とパラディンの剣がぶつかり合い、二機はせめぎあう。総合性能はほぼ互角、ならば決めるのはパイロットの力量と精神力になる。
ヴァルとセルフィーは艦の防衛に専念していた。経験が他のメンバーより浅い以上はそれが当然ではある。乱戦に持ち込んでも艦の守りは重要だから当然だ。
母艦を叩こうと接近してきた暁をハドロン砲やミサイルで撃ち落とし、対空ミサイルの迎撃も行う。
既にKMF隊にはライルが出撃するという通達もあった。
「ライルの奴、自分から出るのか!?」
〈これならその方が良いでしょ!KMFの乱戦に持ち込めば、性能と基本練度でこっちに分があるんだから!〉
それはそうだ。『黒の騎士団』本流からの参加部隊に中華連邦の正規軍もいるが、基本はあの腑抜けのE.U.本隊が殆ど。加えて、本家は素人に毛が生えたレベルでセミプロですら少ない。
E.U.正規軍と『黒の騎士団』本流は十人いてやっと数字札一枚程度だろうが、『ロンスヴォー』中核の実力は本物、ポーカーならば一人が数字札でも、10か9は確実。隊長クラスに至ってはAか絵札であることは疑いがない。
「しかし、素人上がりとボンクラ息子共のくせによくやる!」
〈私達も人のことは言えないけど、ね!〉
セルフィーがハーケンで暁を捕まえて海に叩き落し、ヴァルはダガータイプMVSで接近戦を挑んだ暁を貫いた。
コローレは通常戦闘のKMF隊の指揮を任されていた。レイが想像以上の強敵に出くわした以上は集中させた方がいいと意見して認められたものだ。
「殿下や隊長が強敵を引き受けてくれている!そうすれば、こちらの相手は素人に毛が生えた程度だ!油断せずに行けば、勝てる!!」
剣で暁を串刺しにし、ハーケンで援護に来たヘリを撃墜する。そして、部下のガレスが海上艦の上にいるKMFを艦ごと攻撃する。
秀作は『フォーリン・ナイツ』の指揮を執っていたが、青い月下タイプを発見する。エナジーウィングを装備したKMF…あの左腕。間違いない、蒼天だ。
まずい、ただでさえ強い池田誠治があの『ラウンズ』の機体さえ破るKMFのパイロットとなれば部下達では相手にならない。
「おい、しばらく俺はアレを相手する!副官補佐、しばらく指揮を執れ!」
〈な!?〉
「ライルのお気に入りだ!殺されるぞ!」
アベンジャー・ユニットの長剣で斬りかかり、蒼天の刀とつばぜりあう。
「早くしろ!俺でも長く持たない!!」
〈…副隊長から指揮を継ぐ!雑魚掃除に集中しろ!!〉
〈イエス・マイ・ロード!!〉
〈畑方秀作か……ライルが好き勝手に暴れさせる野獣だと聞いていたが?〉
そういえば、今のは自分でも気づかなかった。主君のお人好しが移ったか?
ノエルは両手のハーケンで艦上のパンツァー・フンメル二機にワイヤーを絡め、そのままパワーに物を言わせて海に引きずり込んだ。間髪入れずに両腕に内蔵されたMVSで船体を斬り裂いて離脱した。
「乱戦に持ち込んだとはいえ、流石に指揮官が優秀ね。今私が沈めた船の周辺の敵に攻撃を集中して、陣形を乱すのよ。」
〈イエス・マイ・ロード!〉
バズーカを装備したKMF隊とガレスが周辺の航空戦力を撃墜する。陣形が崩れかけた時、一機のKMFが斬りかかってきた。暁の指揮官型だ。
〈やらせませんよ!〉
「…その声、ラルフ・フィオーレ!?」
〈ノエル・アーデルハイト!?〉
パイロットは蓬莱島で出会ったブリタニア人の少年だった。
クラリスの率いる『ヒポグリフ隊』はライルの親衛隊を相手に善戦していた。ルルーシュから借りた軍隊もいるようなので、指揮系統はやや不安定なうえに貴族の特権を奪ったルルーシュに着いたライルに従う事への抵抗もあるのだろうか。
その中で、クラリスのローラン・ファタリテは別格だった。紅蓮聖天八極式のエナジーウィングを他機種への応用を測ったため、規格がブリタニア寄りの本機が選ばれた。無論、ライルへの贔屓が強い彼女への牽制でコクピットには小型の爆弾が取り付けられており、本人も同意している。
だが、クラリスは今そんなことは頭から消えていた。彼ともう一度戦える高揚があったからだ。最低な女だ、我ながら。
〈おい、クラリス!先行し過ぎだ!〉
フィリップに言われ、クラリスは速度を落とす。ライルを探すのに夢中で忘れていた。仲間はスピードがこちらより劣るのだ。速度を落としたところで砲撃が来た。
〈惜しい…〉
〈もうちょっとだったのにね。〉
銀色を基調にした赤と緑、二機のヴィンセントが現れて後ろから青と金のツートンに塗られたヴィンセントのカスタム機が数機やってきた。
「その色、『ユーロ・ブリタニア』?」
〈ええ、『ミカエル騎士団』のテレサ・スクラーリ。〉
〈『ガブリエル騎士団』のマルセル・コヴァリョフだ。〉
〈名誉騎士団の武石良二…〉
〈親衛隊のデビー・S・ベアーズリー。〉
親衛隊に元『四大騎士団』、豪勢にも程がある。フィリップ達でなければ勝負にならないだろう。
「でも、数が足りないわよ?」
だが、『ミカエル騎士団』のヴィンセントがランスを構える。
〈承知の上…それに、最初から勝てる相手だと思ってないのよ。〉
『ガブリエル騎士団』のヴィンセントがMVSを抜く。
〈勝てない相手なら勝てそうな味方に誘導する……だろう?〉
「流石は『ユーロ・ブリタニア』…あわよくば、大公に恩を売るつもり?」
〈だったら、直属の俺達がいるわけないだろう?〉
〈露払いが我らの目的だ。殿下の一番のお楽しみの相手を邪魔させないためのな。〉
親衛隊と名誉騎士団のヴィンセントも獲物を構えて、後ろの部下達を狙っている。
「良いわね、それ。私としては、ライルだったらベッドの上が良いんだけど?」
〈だったら、私に勝つくらいじゃなきゃダメよ。〉
可変型KMFハリファクスがやってきた。
〈親衛隊にして、第一皇妃のクリスタル・ウィスティリア……〉
「あら、あのハーフ騎士かメイドが一番だと思ってたのに。」
〈政治的な事情よ……あの方にとっての一番はそのメイド、悔しいけどね。〉
「そう…だったら、あなたに勝てば同率三位くらいまでには食い下がれるのかしら!?」
ローランがミュルグレスを振るい、ハリファクスもMVSで迎え撃つ。パワーでは第九世代相当までのこちらが上だが、流石に相手もこちらの機体が性能で上だという事を分かって立ち回る。
「良いわね、貴女!今まで碌な相手と戦わせてもらえなかったのよ!」
背中にマウントされたハドロン砲を撃ち、相手も変型してそれを躱す。
〈温室育ちのお嬢様にしては交戦的なのね!〉
MVSをミュルグレスで受け止め、再び押し合う。
「これでも貴族家系だから、責任感ってものは持っていたつもりよ!!」
だが、その責任感は今や意味のない代物………責任感を果たすに値しないものに果たそうとする虚しさしか残らなかった。今、クラリスの胸中にあるのは愛した男に会いたい、彼に認められたい、愛されたい女としての願望だけだった。それとも、仕えるべき主に出会えたと貴族の血が騒いでいるのだろうか?
雛はローレンスで砲撃を続けていた。ローレンスの火力と射程は通常のKMF戦ではアドバンテージがあり、長距離ミサイルや艦砲の迎撃に大きく貢献している。ガングランとガレス、艦上の砲撃部隊も頑張っている。
「みんな、あたしらはウチの坊ちゃんたちが思いっきりやれるように艦を守ること!そのために自分を守るのも兼ねる!!これが基本構想だから、忘れないでね!!」
〈イエス・マイ・ロード!〉
麾下のガレス隊がオールレンジボマーで撃ち漏らしたミサイルを撃ち落とし、別の二機が両脇からハーケンで接近してきた暁の一機を捕らえた。
「そのまま投げ返してやりなさい!!」
命令に従いガレス二機が大型機のパワーで暁を投げ飛ばし、後続の部隊に激突、同時にガレス隊のハドロン砲でまとめて撃ち落とされた。
次を撃とうとするが、横から二機のKMFが斬りかかってきた。シールドで受け止めるが、それは見覚えがあった。
「シマネにいたアレクサンダタイプ!」
確か、メリサンドという名前だったか。ソレイユという月下タイプもいる。
「あれは、確か名誉騎士団の!」
ローレンスというモルドレッドのバリエーション…いや、より正確には原型機のカスタマイズか。
ローレンスがハドロン砲を構え、ソレイユは槍でシールドを破ろうとする。が、ローレンスは腰のハンドアックスで受け止める。パワー負けし、ソレイユははじき返された。
川村雛って名前の騎士だったわね!こんな重火力型で接近戦をこなすなんて!
至近距離でオールレンジボマーが展開され浅海はシールドを展開して距離を取る。
〈美奈川!こいつは私がやる!お前はライルに!〉
「で、でも!」
〈お前の答えを出すんだろう!行け!〉
「………お願いします!」
デルクはメリサンドのウルナエッジを展開した。スピードで突進するが、相手もブレイズルミナスで防御して突破させない。膠着状態になりつつあった。
〈っ、流石『ハンニバルの亡霊』のKMFか!〉
「そっちこそ、堅い装甲だな!!」
下手に動きを止めればバズーカの餌食になる。ならば、このまま機動力で翻弄してこいつを釘付けにしてやる。
ライルとバルディーニの指揮官としての勝負……やはり、キャリアの差でライルは圧されがちですが、それでも咄嗟の判断と勘で食い下がっているイメージで。