コードギアス 戦場のライル B2   作:meitoken

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決着です。


BERSERK-76『蒼天と蒼穹…後編』

レイとクレスの戦いは佳境に入った。機体の性能も実力も、気迫もほぼ五分。

 

クリームヒルトのランスもロディーヌの長剣ももはや限界であった。

 

「いい加減に、しつこいわよ…!」

 

〈き、君に言われたくはないね。〉

 

お互いに体力も気力も限界が近い。後一発が限度だ。

双方が改めて距離を置いて突っ込んだ。ロディーヌの振り下ろした剣をヴィヴィアンがバックラーで防ぐ、と思わせて左腕ごとバックラーを捨てた。そのままランスを突き出し、ルミナスコーンの回転が鞘のフロートユニットごとロディーヌの左腕を貫く。だが、まだ終わらずにヴィヴィアンがランスを捨て、MVSを逆手持ちで抜いて頭を切り飛ばした。

 

この間合いなら、取り回しの悪い長剣を持ったロディーヌが不利だ。頭部を失い、更に追撃のハーケンで両足を失った。もはや戦闘継続は不可能だ。

 

一泊遅れ、もう一機のロディーヌがやってきた。アリアだろう。

 

 

 

時間は遡り、長野とアリアの戦いはアリアの勝利で終わった。

 

長野の刀をロディーヌの長剣がたたき折った。しかし、長野はそれでは終わらずに折れた刀でも剣を弾き飛ばすことは出来た。

 

が、そこからはアリアが単純にパワーで勝るロディーヌで力任せに攻めた。ロディーヌの拳がガンリュウの頭部を潰し、更にハーケンでフロートユニットを破壊して飛べなくしてやった。そのまま墜落するかと思われたが、『フォーリン・ナイツ』のグロースターが受け止めて牽制をする。

 

アリアはそれを相手にすることなく、クレスの救援へ向かった。

 

「……どうして、殺さなかったの?」

 

あの男に手心でも加えたのだろうか?彼が『父親』だから?

 

彼の娘に同じ想いをさせたくなかった?馬鹿馬鹿しい…既に何百人も殺しているのに。

 

 

 

ベディヴィエールと蒼天は再び斬り結んでいた。槍を受け流して左腕の間合いに飛び込んでもらおうとしても、今度は槍を回転させて反対の刃で斬りつけようとする。その攻撃をかわして距離を取った。今度は蒼天が刀で斬りかかり、ベディヴィエールが槍で受け止める。そのまま押し切られるか左腕に捕まるというところで至近距離から胸部のハドロン砲を発射しようとして、輻射波動で防御しながらパワーを上げて受け流す。

 

そのまま刀で突っ込んでくる蒼天に対してベディヴィエールは両手のシールドで刀と左腕を同時に受け流し、蹴り飛ばす。

 

「全く、どこが『狂戦士』だか!」

 

誰だ、こんな呼び方を始めたのは!強敵との戦いに執着する傾向は強いが、それ以外は正に熟練の騎士だ。だが、それでもこんな状況なのに池田は高揚している。

 

「もっと早く会いたかったよ。思い切り戦いたかった。」

 

〈ああ、私もだ。お互い、どうしようもない戦闘狂のようだな!!〉

 

ベディヴィエールの槍を蒼天は輻射障壁で止めるが、膨張するより早く槍を遠ざけて腕をクローで破壊しようとしたが躱される。反撃にと蒼天が撃ったハーケンも槍ではじきかえされる。

 

通信を聞いていた者達はもはや恐怖すら感じた。敵でありながら、ここまで通じ合えるとは。恐ろしいにも程がある。

 

同時に、ライルや池田をよく知る者は思ってしまった。

 

どうして、敵同士で二人は出会ったのだろうか?

 

 

 

有紗はライルの戦いを前に、只祈った。帰ってきて、と。ブリッジにいる優衣、リーザ、エレーナもそれは同じだった。

 

 

 

二機の青いKMFの戦いは終わりを迎えつつあった。ハドロン砲も輻射波動も撃ちつくし、エナジーも残り少ない。体力も互いに限界が近かった。

 

「池田…一つ聞いて良いか?」

 

〈なんだ?〉

 

「もし、私が日本人だったら私は君の部下になっていた。君は?」

 

〈奇遇だな……私もブリタニア人なら喜んでお前に仕えていた。〉

 

全く…どうして、こうも気が合うんだ。この戦いが永遠に続けば良いのに、とさえ思うのに。

 

「だが、人間は必ず死ぬ。私か君が絶対にね。」

 

〈安心しろ…できるだけ遅く地獄に行ってやる。〉

 

「早く来てほしいよ…寂しい。」

 

ライルはその顔を狂気に染め上げ、突っ込んだ。

 

ロンゴミアントの柄が折られ、刀が左腕を貫通してコクピットを直撃した。が、ベディヴィエールもまた蒼天のコクピットを槍で貫いた。

 

〈私の…ま、けだ…〉

 

どうやら、今ので池田は致命傷を負ったようだ。こちらはギリギリで武器が直撃しなかった。

 

「ギリギリの勝利だ………本当に、永遠に続いてほしかった…」

 

〈い、まお前が言ったこと…を否定、するか。だが、同感だ。〉

 

こんな時にまで……

 

〈地獄で、待っている。遅く、来い。〉

 

「ぜん、しょ…するよ。」

 

蒼天がベディヴィエールを突き飛ばし、落下していく。そのまま海へ堕ちるより先に蒼天は爆散した。

 

 

 

稲垣はまだ飛び続けているベディヴィエールを撃ち落としてやりたい衝動に駆られた。普通ならばそうするところだ。しかし……

 

「戦略的勝利と交渉だ!」

 

ライルを殺せば確かに戦略的に有利だが、捕らえた方がこちらとしても都合が良い。側近のKMFが向かってくるが、距離的にこちらの方が有利だ。

 

「捕らえるぞ!」

 

〈承知!!〉

 

部下達も続き、西野も後に続こうとするが……

 

〈全軍、戦闘を停止せよ!〉

 

バルディーニの旗艦からだ。同時に伝聞が来る。

 

「て、敵の艦隊が長距離砲撃を持って艦隊とKMF隊に甚大な被害を与えた?」

 

 

 

時間を遡り、ライルが池田と決着をつける前だ。ライルが最強格のKMFを抑え、こちらは通常のKMF戦闘では徐々に有利になりつつあった。引き換えにこちらのエース級は殆どがKMFを損傷させているが、予備機で出る準備もある。

 

ゲイリーはこれをより確実にするために各艦に配備した虎の子を使う決断をした。

 

「雷光とカンタベリーで敵に通常戦闘不可能なほどの打撃を与える。艦を前進させろ。残存のKMF隊は本艦を目標に集結、護衛に回せ。」

 

〈あたしらが道作ってあげようか?〉

 

雛がモニターに映り、ゲイリーはうなずく。

 

「フルパワーで頼むぞ。」

 

〈じゃあ、上にのせて。それでエナジー切れだから。〉

 

 

 

宣言通り、ローレンスのエナジーも残り少ない。なら、残り少ないエナジーをありったけ使った方が良い。ダブルバズーカモードをフルパワーに調整し、雛は照準を絞る。

 

「艦の正面に絞ったわ……撃つタイミングは?」

 

〈私の合図をしたら横薙ぎで頼む。〉

 

「イエス・マイ・ロード。」

 

返礼して五分ほどした頃…雛は手袋の中を今までにないほど汗で湿らせていた。

 

「ここまで緊張する砲撃も久しぶりだわ…」

 

〈川村、そろそろだ。十秒後に撃て。〉

 

ゲイリーが指示を出し、雛は深呼吸をする。

 

「はい、どうぞ。」

 

五、四、三、二、一……

 

〈撃て!〉

 

「それじゃ、最後の一発行くわよ!!」

 

ローレンスの残ったエナジー全てを費やした長距離砲撃が敵のヘリと航空艦をなぎ払う。さすがはモルドレッドないしベースとなったゼットランドを派生させただけある。自分で撃って自画自賛したくなる威力だ。

 

「って、こりゃ確かに乱発は無理ね……負荷が大きすぎるわ。」

 

今の一撃でエナジーは正真正銘空になってしまった。もう、動くことも出来ない。

 

「悪いけど、少し守ってくれる?完全に的になっちゃった。」

 

艦上のKMF隊に要請し、サザーランドとグロースターが何機か近づく。

 

〈全く、艦に戻る分くらい計算に入れておけ。〉

 

「悪かったわね…シミュレーションと実戦じゃ勝手が違うのよ。」

 

 

 

ローレンスの砲撃に合わせ、これまで艦内に収容されていた雷光とカンタベリーが火を噴いた。只でさえこれまでの戦闘で空を飛べるKMFが減っていたこの状況に、カンタベリーと雷光が空と海に向かって一斉に砲撃を加えた。多段弾頭で雨あられのように弾丸が降り注ぎ、シールドを展開できないKMFや艦は中の人間ごと蜂の巣になる。

 

直ぐに二発目が発射され、艦隊を更に削る。その間隙を縫ってガングランが二機、後方にいた旗艦にとりつき、一機がハドロン砲を…もう一機が両手のハーケンを構えた。他の艦艇にもフロートを装備したKMF、或いは海兵騎士団のポートマンが取り付いている。

 

「ゲームオーバーよ…」

 

〈ここで俺達を撃っても、艦が巻き添えだ。どうする?これ以上数が減れば霧散するぞ?〉

 

セルフィーにヴァルが続き、相手の指揮官も数秒うなる。

 

〈……分かった。これ以上の戦闘継続は不可能だ。貴軍に投降する。〉

 

お互いに戦力を大きく消耗した。だが、条件がほぼ同じならば旗艦を抑えているライル軍の勝ちだ。実際、クリスタル達は予備機として残っていたグロースターやヴィンセントに乗り換えており、雷光とカンタベリーによる砲撃はまだ可能。

 

 

 

バルディーニは歯ぎしりした。通常戦闘でも勝つ算段は立てていたが、あの砲台をギリギリまでライルは温存していた。あの砲台に対抗できるKMFがない以上、もはや将兵達は先ほどのように散弾で蜂の巣になるだけだ。

 

加えて、通常戦闘の切り札でもある最強クラスのKMFを殆ど失っている。勝ち目がないのは明らかだ。武器の優位性だけで戦いが決まるわけではないが、ここまで来てしまえばもはやそれは通じない。

 

将兵の命を優先するしかない。

 

「全軍に戦闘停止を通達、我々はブリタニア軍に投降する。」

 

一人の皇子のワガママに端を発した戦いはここに終結した。

 

 




短く、かなり大雑把になったとは思います。

それでも、お互いに譲れないものや意地をかけて戦いました。

そして、『ロンスヴォー』への戦略的な勝利は超火力の武器を温存したゲイリーの判断で勝ちました。

正直、これくらいしか手が浮かびません。
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