オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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第12章 旧き勇者の試練

 

 

 神(私)に会うための試練ってことで、ユリーシャのしもべの1体である『レティス』と戦ってもらったわけだけど……やっぱさすがにコイツの相手させるのは気の毒だったかな、ってちょっと思った。

 ごめん。さすがにちょっと反省したわ。

 

 でもまあ、無事に試練突破してくれたので、晴れてユリーシャから私に連絡を取って、『謁見』できることになった。

 その後、『空中庭園(ここ)』に連れてくるための使者として、クリムに行ってもらった。天使だから、神様の使徒としては見栄えいいと思うし。

 

 ただ、いつものラフな服装だとアレかなと思ったから、宝物庫の中から適当に、そこそこ立派あるいは荘厳な感じに見える服を選んで着て行ってもらった。

 

 そうしてクライム達を『空中庭園』に招待して……『玉座の間』で謁見。

 自分でも『何言ってんだwww』って思うけど……ここはひとつロールプレイってことで、『命の女神』として彼らに会いました。なるべく威厳……というよりは、神秘的で静謐な雰囲気を出すように、表情も……まあなんとか工夫して。

 

 たぶん、上手くいったんだと思う。クライム君一行、男性も女性も問わず、ぽかんとして口開けて、私に釘付けになってたから。

 自画自賛させてもらうけど、私このとおり絶世の美女だし? それに加えて、神秘的な雰囲気が出るように、アイテムで燐光っぽいオーラと火花みたいなオーラが出るようにしてあったので、見た目も『女神様』っぽくなってたと思う。

 

 後は、いつもの雑というかフレンドリーな口調は出さないようにして……と。

 

「我が使徒、ラナー。そして……クライム。よく、ここまでたどり着きましたね」

 

「……っ……!?」

 

 私が声をかけた瞬間、クライムが何かに気づいてはっとしたようなリアクションをした。

 多分……聞き覚えがある声だと気づいたからだな。

 

 蘇生させるとき、ド〇クエのオープニング的に『私の声が聞こえますか……?』って語り掛けてあげたからな……夢うつつの状態だったはずだけど、ちゃんと覚えてたようで何よりだ。

 

「ようやく、直接お目にかかることができました……『命の女神』……ラスト様。私の、そして、クライムの命を死の淵より救い上げてくださったこと、そして、兄バルブロを打ち倒すための機会をくださったこと……どれだけ言葉を尽くしても、感謝を表すには足りません」

 

「気にする必要はありません。私はただ、無念と悲しみの中、儚く消えていこうとしていたあなた達の魂の叫びに、少しだけ耳を貸してあげただけですから」

 

「それでも……ラスト様の恩情がなければ、私の兄は、このままこの大陸中を恐怖で包む悪の魔王に……人間でありながらそう呼ばれるほどの『邪悪』になってしまっていたかもしれません。それを止める機会をくださったこと……本当に、かたじけなく……」

 

「……それを聞いて、あらためて……よかったと思いました。あなたを……いいえ、あなた達を、私の使徒として選んだ私の目に、狂いはなかった」

 

 ……悪女ロールより、なんか、ムズムズするな……神様ロール。清楚系で威厳のある演技って、こう、その……趣味と性格に合わん……。

 けど、せっかくアインズさんとパンドラが考えてくれたセリフだし……。

 

 あ、言い忘れてたけど、この『ドラゴンクエスト』作戦、シナリオは私やデミア、デミウルゴスが主に担当なんだけど……威厳出す用のセリフ回しとかは、アインズさんとパンドラズ・アクターが担当してくれてます。

 そういうロール、パンドラがすごく得意で……そしてそのパンドラの創造主だけあって、アインズさんもそう言う分野に造詣が深いんだよね。なので、頼らせてもらった。

 

 それで一生懸命考えてくれた台本だから、文句は全然ないけど……これは思ったより表情筋を酷使するな、とか思いました。

 夢壊さないように、頑張らないと。

 

 ……あと、私が必死で演技してることを知っている面々……エオンとか、ヴィヴィアンとか、クレマンティーヌも微妙に笑い堪えてるな。まあ、キャラ全然違うからね。そりゃ違和感あるよね。

 

「では、ラナーよ……あなた達の手で、バルブロを倒すのですね?」

 

「はい。これ以上、我が兄の手で……王国を、いえ、この大陸を……穢させはしません。ヴァイセルフ王家の血を継ぐ者として、そして、神に選ばれた使徒として……私は、その勤めを全うします。……クライムと、そして、仲間達と共に……!」

 

 その言葉に、力強くうなずくクライム。

 他の仲間達も……やれやれって肩をすくめるブレインとか、緊張した様子でうなずくネイアとか、反応はそれぞれだけど……皆、ラナー王女とともに戦うつもりだった。

 

 うんうん。元々仕込みで入ったエオンとかはともかくとして……いい感じで皆、RPGのパーティメンバー的な一体感が生まれてるな。

 最初つっけんどんだったイビルアイとか、クライムの面倒は見つつも我が道を行く感じだったブレインも、頼れる仲間っぽくなってるし……敵国のキャラだったレイナースも、背中を任せて戦うことに躊躇いなくなってるし。よしよし。

 

「あなた達の覚悟に敬意を表し……私からも、バルブロと戦うために力を貸しましょう」

 

 私は虚空に手を突っ込んで、『これを使いなさい』と言って、クライムに……1本の剣を渡した。

 

 昔、『ユグドラシル』がとある国民的ゲームとのコラボイベントを実施した際に、イベント期間限定で作成可能だったアイテムだ。

 レアリティは『聖遺物級(レリック)』。正直言って、私らカンスト勢の戦いについてこれるようなアイテムではない。

 しかし、そのもととなったゲームの人気の高さゆえに、ロマンビルドのプレイヤーが一時期こぞって使っていた武器でもある。

 

 見た目も名前もそのまんま。『ロトの剣』と言えば、すぐに頭に浮かぶ人も多いんじゃないかな。

 

 ……なお、出身国が思いっきり、国家規模で同じネタに走っている『ラダトーム』出身であるノアは……ド〇クエ縛りとか関係なく普通に強い武器を使っております。

 

 デザインはカッコイイこの剣、データクリスタルを使えるスロットが多いのをいいことに、色々改造して『勇者の武器』っぽくしてあります。これを、クライム君にプレゼント。

 んでもって、カバーストーリー的な助言も1つ。

 

「この剣であれば……バルブロを倒せるのですか?」

 

「それはあなた次第です。剣はあくまで剣でしかない……振るうのはあなたです。しかし、バルブロの身を守る『闇の衣』を……完全に消し去れるのは、その剣を措いて他にないでしょう」

 

「あの、俺達の攻撃がことごとく通じなかった闇のバリアみたいな奴か……確かにありゃ厄介だったな」

 

「この剣さえあれば、あれをはがせるんですか?」

 

「ええ。しかし……今のままではそれはできません」

 

「……というと?」

 

「この剣は……今よりもはるか昔、かつて存在した勇者が使っていた武器なのです。しかし、その勇者は魔の者達との戦いの中、志半ばで力尽き……その勇者と共に覚醒するはずだった剣は、真の力を覚醒させないまま、いわば未完成の状態で眠りについてしまった。あなた達がバルブロを倒すためには、この剣の力を覚醒させ、剣を完成させる必要があります」

 

「それは……どうすれば?」

 

「その、かつての勇者がやり残した『試練』……それを、あなた方が乗り越えること」

 

 そう言って私は、大陸の地図を取り出して、ラナーに渡す。

 そこには、光を放つ不思議なインク(課金ガチャのはずれ)で書き加えられたマークが4カ所に記されて、ある座標を示していた。

 

「4カ所……印をつけておきました。そこには、かつての勇者が倒すことができなかった、強大な魔物が封印されています。それらの魔物を、その剣を使って倒すのです……その時こそ、剣は完成し、闇を祓う光の力を手に入れることでしょう」

 

 渡した剣をしっかりと握りしめ……クライムは、ラナーと視線を交差させ、どちらからともなくこくりとうなずいた。

 そして、強い決意を秘めた目で、しっかりとこちらにも視線を返してきた。

 

 うーん、絵になるなあ……。

 

 それから、他にも餞別として、彼らの戦力強化になるプレゼントをいくつか。

 

 まず、カルウィンが使っているパワードスーツ『アーバレスト』。

 ゲゲルの時に『神々の遺産』とかなんとか嘘こいて、すごい武具だって印象を植え付けておいたわけだが……これをさらに強化。

 

『まだその鎧は真の力を発揮できていません。少し貸してみなさい』と言って、それっぽい魔法を使うように見せかけて……あらかじめ作っておいた、同型のパワードスーツと入れ替えた。

 同じロボットアニメに出てくる、『アーバレスト』の強化版であるロボットを元ネタにして作った、パワードスーツ『レーバテイン』と。

 

 見た目は結構似てるので、『これが真の姿か!』って皆普通に納得したようだった。

 すり替えも、『時間停止(タイムストップ)』使ってやったから、気づきようもなかっただろうしね。

 

 なお、性能的には『アーバレスト』と比較して10レベル分くらいは違う。

 ユグドラシルにおいて10レベル差があるっていうのは、『まず絶対に勝てないレベルの戦力差』なので、相当違う。

 まあそれでもカンスト勢には全然及ばない程度だけどね。

 

 次、お待ちかね、レイナースの呪いを解いてあげることにしました。

 

 彼女の顔半分を醜く変えてしまっているこの『呪い』だけど、『カースドナイト』の職業の方を何とかすれば解除できる見通しは立っている。

 ただその職業自体バグっているので、生半可な解呪手段では太刀打ちできずに弾かれる。その繰り返しで、レイナースはずっと今まで呪いを捨てられずにいた。

 

 ならどうするかって言うと、その職業を上書きしてしまえばいい。

 

 ユグドラシルの『職業(クラス)』には、同じキャラクターで同時に取得することができないという設定の『職業』がいくつか存在する。

『セイクリッドナイト』もその1つで……職業の説明文だかフレーバーテキストだかに、神々の祝福を受けた聖なる騎士とか書いてあったと思う。そしてそんな設定なので、呪いをその身に宿して戦う『カースドナイト』とは両立できない職業なのだ。

 

 なので、ちょうど空中庭園(うち)にある転職用のアイテムを使って、彼女を『セイクリッドナイト』に転職させてしまえば、『カースドナイト』を捨てることができる、というわけだ。

 

 ただしこのアイテム、『所持している状態でレベルを5上げる』のが職業取得の条件である上に、レベル制限に時間制限、戦闘回数制限まであるため……結構きつい。

 これが、アインズさんがレイナースに『呪いを捨てられるかどうかはお前の覚悟次第』と言ってた理由だ。時間がかかるわけじゃないものの、難易度的にけっこうないばらの道である。

 

 それでも、レイナースは迷わず私からそのアイテム『聖騎士のエンブレム』を受け取り、胸に装着していた。ここから、彼女にとっての試練の道のりが始まる。

 ……上手くいけば、すぐにでも結果は出るんだけどね。一応、色々とお膳立てというか、補助はしてあるから。

 

 さらに次に、ヴィヴィアンに『あなたの秘めた力を解放して差し上げます』といって、それっぽく魔法を使うふりをした。

 それが終わると、なんとヴィヴィアンは、その身に眠っていた竜の力を解放し、巨大なドラゴンの姿に変身できるようになっていた! 戦力大幅アップ!

 

 ……うん。嘘。元から変身できたよ。

 ただ、パワーアップイベントっぽく盛り上げただけ。

 

 そして最後に、ラナーにもいくつかプレゼント。

 彼女は戦闘に直接参加はできないので、『堕天使とはいえ、神の使徒となったあなたなら使えるでしょう』って言って、支援用のアイテムとかをいくつかあげました。

 きちんと戦闘で役に立てるように、かなり強力なのを(ただし現地基準)。

 

 チーム全員の体力を回復できる『けんじゃの石』。

 チーム全員の攻撃力を一度に上げられる『戦いのドラム』。

 チーム全員のテンションを挙げられる『ふしぎなタンバリン』。

 こんな感じのアイテム達を、データクリスタルを使って『ラナー以外使えない』という設定に改造してプレゼントした。戦力大幅アップだ。

 

 ま、こんなところかな。よし、じゃ、後は自力で頑張れ。

 

 こうして、クライム達はバルブロを倒す希望となる『(ふる)き勇者の剣』を手に入れ、それを完成させるために、各地に眠る魔物を討伐するという『試練』の旅に出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、約半月後。

 かなりボロボロになって、しかしどうにかクライム達は、その『強大な魔物』達を……もちろん、私達が中ボスとして用意しておいたモンスターを倒し、剣の力を覚醒させることに成功した。

 

 したんだが……

 

『お母さん……さすがに文句言わせて。はっきり言ってレティスの時よりヤバかったからね!? 選択ミスだよどう考えても!』

 

 エオン達からこんな感じでクレームが……うん、ホントごめん。マジごめん。悪かったと思ってる。

 今回はガチでクライムも何度か死にかけてたし……というか、そのクライムより全然強いクレマンティーヌも下手したら死にそうになってたし……。

 

 アイテムのプレゼントとかのテコ入れがなかったらガチで誰か死んでたかもしれん。

 

 でもだって……ガチャとかコラボイベントで手に入れたはいいものの、正直性能的にアレだから死蔵してて出番のなかった召喚ユニットがいっぱいいたから……ここぞとばかりに供養する意味で大放出しちゃって……

 

 最後の仲間としてアンティリーネが加わったのをいいことに、『これは手ごたえのあるボス用意しなきゃダメだね!』とか考えて安直によさそうなの(・・・・・・)をチョイスした私が、うん……間違ってました。本当ゴメン。

 

 ちなみに、その中ボス×4、何を投入したのかというと、

 

 ・妖魔ゲモン +お供2体

 ・天魔クァバルナ

 ・魔竜ネドラ

 ・魔元帥ゼルドラド

 

 以上4体。

 名前に『魔』がついててそれっぽいっていうのもあって選びました。

 

 めんどいので説明省略するけど、元ネタ知ってる人からしたら『殺す気か!?』って言われそうなのがずらりと……

 

 ……よく試練を乗り越えましたね、クライム……新たな勇者よ……!(すっとぼけ)

 

 ……これでも我慢した方なんだよ。『アメジストワーム』とか『ブリザード×4』とか出さなかったし……『勇者の剣』も、ホントは海底宝物庫まで取りに行かせて『キラーマジンガ×2』と戦って勝ち取らせる予定だったし。

 ノリノリで考えてたところに、ガヴリールとダムストーに横から『お母さんそれ死人出る絶対』って強めに指摘されて渋々やめたけど。

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

「疲れた……」

 

 ここは、ローブル聖王国の首都、ホバンス。

 その王城の一角、客人であるクライム達に割り当てられた豪華なゲストルーム。

 

 そこで、ふわふわのソファに思い切り体重を預けて脱力しているブレインが、口からこぼしたのがそんな言葉だった。

 なお、ブレインのみならず、だいたい全員そういう感じである。元気な者は1人もいない。

 不死者(アンデッド)ゆえに疲労しないはずのイビルアイも、ぐったりとした様子でテーブルに突っ伏していた。

 

 ここ最近の『勇者の試練』として戦った魔物達との激戦……特に、つい数時間前まで続いていた、『魔元帥ゼルドラド』からのホバンス防衛戦。

 そこでの激闘の疲れが、まだ彼ら彼女らの体に重くのしかかっていた。

 

「おい、イビルアイの嬢ちゃんよ……お前さん、昔『13英雄』として大陸中を回って魔神倒してたんだろ? ちゃんと見逃さずに倒しとけよああいうのもよ……」

 

「うるさい……こんなのがいるなんて、知らなかったんだから仕方ないだろ! というか、あの時戦ってたら、ツアー以外は全滅してたかもしれん……情けない話、ある意味戦わなくて正解だった……」

 

「カリンシャが落とされかけるとか、笑い話にもなりませんよ……カルカ様やレメディオス様達が無事だったからよかったものの……」

 

「やめろネイア、誰に文句つけたところで仕方ねえだろ……ケラルト達がまずは無事だっただけでもよしと……ああくそ、体中痛え……あの鎧、強いけど反動きついな。鍛え直さねえととても使いこなせねえぞ……マジでレメディオスあたりに手伝ってもらうか?」

 

 かつての勇者が倒し損ね、やむなく封印するしかなった4体の魔物……というよりは、おそらくは『魔神』。

 どれも恐ろしいほどに手強く、楽な戦いは1回もなかった。

 

『妖魔ゲモン』とは、アベリオン丘陵の一角、かつて『ダークドワーフ』が暮らしていたという土地で戦うことになった。

 

 今から数か月前、ダークドワーフ達の採掘の影響で、封印が破壊されて解除されてしまい、蘇ったゲモンがその周辺の魔物や亜人を片っ端から襲って食い荒らしていた。

 その時の大暴れが原因で、多くの亜人達が住処を追われ、ナワバリがぐちゃぐちゃになってしまい……あぶれた亜人達が行き場をなくし、聖王国へと攻め込んでいった。

 つまり、あの大侵攻の原因は、何を隠そうこの魔物だったのだということを、偶然にもクライム達はこの『試練』を通して知ることになった。

 

 なお、『試練』として設定された魔物達の内、この1匹だけ明らかに格下なので、『何かテコ入れした方がいいかな』と余計なことをラストが考えた結果、お供として、同じ鳥っぽいモンスターであり、トラウマ雑魚として名高い『れんごくまちょう』を2匹つけるに至った。

 それが明らかにやりすぎだったと、ラストは重ねて反省していたりする。

 

『天魔クァバルナ』については、聖王国南部にある、とある貴族が隠して保有していた金山に封印が置かれていた。

 その貴族が典型的な悪徳貴族であり、もちろんその金山について、王政府に申告していなかったため、そこでとれる金についてはこっそり懐に入れて脱税を行っていた。

 

 しかしこちらもその採掘の際にクァバルナを復活させてしまい、現場が阿鼻叫喚の地獄絵図となっていたところにクライム達が到着。どうにか倒すことに成功した。

 なお、隠蔽と脱税をしていた貴族については既に身柄を拘束されており、しかるべき処罰が下される見込みである。

 

『魔竜ネドラ』は、聖王国の北部と南部を分断する形で走っている、巨大な『溝』の底に、氷漬けにされて封印されていた。しかしこれもつい最近、封印が解けて――おそらく、ゲモンとクァバルナの復活に連動したと見られている――湾岸地域に出現、強襲した。

 そこで、聖王国と協力関係にある『シードラゴン』と戦いになった末、圧倒的な力でこれを蹂躙し、食い殺してしまう。

 

 クライム達が駆けつけて討伐したものの、シードラゴンはほぼ全滅、周辺に暮らしていた民や、海に住んでいたマーマン達にも、小さくない被害が出た。

 港湾地域の都市機能はほとんどがストップし、海運や漁業の安全にも大きな課題が生まれる結果となり、政府は対応に追われるだろう。

 

 そして、ネドラ討伐の直後、『魔元帥ゼルドラド』が復活。眷属である悪魔達を率いて、聖王国北部へ侵攻、途中にある都市を滅ぼしながら北上していった。

 途中、王兄であるカスポンドが、軍を率いて迎撃に出るが、敗北し囚われの身になってしまうという、超がつく非常事態にまで発展した。

 情報伝達の遅れから、クライム達にその知らせが届いたのは、カスポンド敗北の後だった。封印の場所に来たもののゼルドラドはおらず、そしてその理由を知ったクライム達は大急ぎでそれを追って北上した。

 

 聖王女カルカはこの時代に、建国以来一度も発せられることのなかった『国家総動員令』を出し、城塞都市カリンシャにて、レメディオスやケラルトと共にゼルドラド軍を迎え撃ったが、全く歯が立たず。

 

 レメディオスもケラルトも倒れ、カルカもゼルドラドの手に捕まり、絶体絶命となったところにクライム達がようやく到着。

 カルウィン(『レーバテイン』装備)、クライム、そしてノアを主軸とした怒涛の連続攻撃の末に、ついにこれを撃破し、聖王国を救うことに成功したのである。

 

 なおこの時、絶体絶命だったところに飛び込んでゼルドラドの手からカルカを救ったのは、ノアだったのだが……その際に、助け出されたカルカが、わかりやすい『乙女の顔』になっていたことに気づいた者は、決して少なくなかった。

 今後、この2人の仲がどう進展していくのか……それは、神のみぞ知るのかもしれない。

 

 なお、その(ラスト)はくっつける気満々である。

 

 ちなみに、カスポンドもきちんと救出されている。

 カルウィン達がゼルドラドと戦っていた時に、別動隊によって囚われていたところを、アンティリーネを主軸とした強襲部隊――チームを二つに分けて対応していた――が救出した。

 もしアンティリーネもゼルドラドとの戦いに加わっていればもっと楽だっただろうが、カスポンドの身柄も一刻も早く、確実に救出しなければならなかったため、やむを得ない判断だった。

 

 こうして、4つの試練を突破し……クライムの持つ『剣』は真の意味で完成した。

 

 なお、このあたりの『シナリオ』全体を通して聖王国が酷い目に遭いすぎな気がするが、これについてはデミウルゴスの進言だったりする。

 

 聖王国は国民皆兵で、もし相手にするとなると法国に次いで厄介な国であり――滅ぼそうと思えば一瞬である戦力差であるとはいえ――またナザリックや空中庭園が直接支配にかかわっていない分、この国へはこちらの陣営への影響力が小さい。

 その為、他の国より入念に『縛り付けて』おく必要がある。

 

 どうせ最後は、バルブロとヤルダバオト、そして『ラスボス』のせいになるので、コラテラルダメージとして容認しようということで話がまとまっていた。

 

 バルブロがここ最近、悪魔の儀式を大陸各地の『祭壇』で行っていて、その影響で大陸に邪悪な力が広がってきており、そのせいで封印が緩んで各地の『魔神』が目覚めた、あるいは目覚めやすくなっていた、というストーリーが後日流される予定である。

 

 

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