そして訪れたとある日。
『ナザリック地下大墳墓』、その玉座の間にて、スレイン法国から来た使節団が、アインズに謁見していた。
彼らは法国の宝物庫から、いくつもの『秘宝』を持ってきていた。これからの友好と、新たな神に対する忠誠の証として、アインズに献上するために。
そして同時に、アインズ(と、ラスト)からは、いくつかの秘宝を下賜される。
それらは、現地の人間にとってはきわめて強力な力を持つ武器であり――プレイヤーにとってはお察しであるが――しかも弱いレベルの者にも扱いやすく、十全に力を発揮できる。
それらをもって、『人類の守護者』として今後も励み、戦っていく所存だった。
しかし、
―――ズズズゥウウウゥゥン……!!
突如として響いたそんな音が、ナザリックにいる者達全ての耳に聞こえた。
地下深くにいる、今まさに謁見の最中だった神官長達や、その前に君臨しているアインズ達の耳にも届いていた。
音が……というよりも、その轟音の原因となった『攻撃』が発生したのは、地上であるにも関わらず、だ。
「い、今の音は一体……? 地震、でしょうか?」
「特に揺れてなどはいないようですが……」
「ふむ……どうやら、招かれざる客のようだな」
上を向いて、天井……よりも先にある『それら』を見据えるようにしつつ、アインズは言った。
既に『
ただ、『いよいよ始まる』という、少しの緊張と……それを上回る高揚があるだけだ。
「スレイン法国の者達よ、しばし待っているがいい。メイド達に控室へ案内させよう。我々は……騒がしい客人達の相手をしてくるとする」
☆☆☆
『目標、健在のようです』
『バカな……『
『白金の。これはやはり……』
『ああ、おそらくは……承知の上で、備えられていたということなのだろう』
ナザリック地下大墳墓、上空数十mほどの空域。
そこに、何十体、いや何百体もの大小さまざまな『竜』が飛んで、大墳墓の入り口付近を見下ろしていた。
小山のように巨大な竜もいれば、龍としては小さめだがすらっとした細身の竜もいる。
火山のように体中から熱気や炎、黒煙を噴出している竜もいれば、鋼のように光沢のある鱗に全身を覆われている竜もいる。
それらの中心にいるのは、白金の甲殻と鱗で全身を覆った巨大な竜。
その名は、『白金の竜王』こと、ツァインドルクス・ヴァイシオン。現存する『真なる竜王』の中でも、最強と言われる存在である。
この竜の大群は、今回の襲撃の発起人である彼によって集められたもの。
『100年の揺り返し』によって新たに現れた『ぷれいやー』がいる。
その『ぷれいやー』はおそらく、500年前に世界を大きく捻じ曲げ穢した、あの『強大なアイテム』と似通ったものを持っている可能性が高い。
そして今回、かつて『六大神』が興した人間の国家であり、今なお多くの秘宝を有する『スレイン法国』と協力関係を結び、互いの戦力を高める目的で、『秘宝』のやり取りを行うという。
それがなされれば、スレイン法国も『ぷれいやー』も、より大きな力を得ることになる。世界の覇者であり調停者である我々竜に、そして『竜王』にとって好ましくない形で。
また世界が捻じ曲げられてしまう前に、なんとしてもそれを阻止し……その拠点ごと、ぷれいやーを滅ぼさなければならない。
そう、かつての同志達に協力を呼び掛けた。
仲間を集めるのに苦労はなかった。『竜王』は皆、程度に差はあれど、『ぷれいやー』に対して憎しみや疎ましさ、怒りを抱いている。
世界を捻じ曲げたことでそれまであった『竜王』の既得権益を奪い、さらに新しい『真なる竜王』が生まれる芽を潰してしまった。竜の繁栄の歴史を断ち切ったに等しい怨敵。それが、歴史を知る竜王達にとっての、『ぷれいやー』という存在に対する認識である。
それがまた現れただけでも、その息の根を止めに行く竜は多いだろうに、さらにそれがまた何か余計なことをしようとしているとなれば、普段群れることのない竜達が、『竜王』を中心に軍団を結成して叩き潰しに行くことすら、こうして現実のこととなる。
そうして集まった、ツアーを含め5体の『真なる竜王』と、その部下や眷属達数百。
発起人……ならぬ、発起
彼らは接近をギリギリまで悟られないため、地上から見えないほど上空高い位置を飛んで、ナザリックの直上まで飛来。そこから急降下して……地上近くに来たところで、攻撃用の『始原の魔法』を一斉に発動。
可能ならそのまま、拠点と思しき墳墓そのものを消し飛ばしてしまうつもりで放ったものだったが……それによる損傷はほぼ0だった。
着弾の瞬間、地表から半球状の半透明の障壁のようなものが展開し、墳墓全体を守ったのを、龍達はその目で確認していた。
『……反応がありませんね。もう一度仕掛けますか?』
『うむ。閉じこもって過ぎ去るのを待っているつもりなら、それが甘い認識だということを教えてやらねばなるまい』
部下の竜の1体の問いにそう答えた『竜王』の1体が、次なる魔法の発動準備に入ろうとしたその時、龍達の目の前で……何もない空間に、暗黒の円環が渦巻き始めた。
彼らの内の何体かは、その現象を知っていた。『ぷれいやー』が転移して現れる際に使う、門のようなものであると。
反射的にまた『始原の魔法』による攻撃を行った者がいたが、それもまたバリアで防がれてしまい、展開した『
その向こうから……骸骨の見た目を持つ、何体もの蛇がうねって絡み合うような杖を持った魔法詠唱者が姿を現した。
それに続く形で、美貌の悪魔や、紫銀の髪の吸血鬼、冷気を漂わせる虫の武人、闇妖精の双子、浅黒い肌の大悪魔、軍服に身を包んだ異形なども現れる。
その中心にいる白骨の魔法詠唱者を見て、竜王の1体が、
『何……スルシャーナだと……!?』
「ここでも間違われるのか……よほど顔が広かったらしいな、スルシャーナとやらは」
呆れたようにそう言っていたことで、別人だということに気づく。
同時に、『死の神』と伝えられる評判とその容姿、そして、周りの者達を従えていると言える立ち位置から、その骸骨こそが『ぷれいやー』だと竜達はすぐに見ぬいた。
「突然大所帯でやってきて騒がしいことだな。ノックならもう少し大人しくやってくれないか」
『これは失礼した。わざわざ出迎えに来させてしまって済まなかったね、『死の神』とやら……君が今回きた『ぷれいやー』で、名前は『アインズ・ウール・ゴウン』……で、よかったかな?』
「今回来た、というのが『100年に一回』のことを指しているのなら……まあ、状況から見てそうだな。尤も、我らは100年以上前のアレコレは知らないから、伝聞からの推測になるが……少なくとも、私が『ぷれいやー』であることは確かだ」
『そうか、なら早速だが……君達にはこのまま死んでもらう』
口調や声音だけで、その言葉を発した『白金の竜王』には、交渉も何もする余地はないというのが伝わってきた。
口調こそ穏やかで丁寧ではあるが、何かしらの交渉を持ちかける気も受ける気も欠片もない。今日の日のこの邂逅の後、出会って間もないアインズを殺し、世界にせまる『変革』を阻止すること以外に微塵も意識を向けるつもりがない。そうわかる声だった。
(ラストさんが言ってた通りだ。バルブロみたいなのとはまた違った……歪んだ使命感や、自覚のない選民意識から来る、真面目な傲慢さ、か。こっちの話を聞くつもりもないみたいだし……)
「なるほど、期待はしていなかったが、交渉の余地もなしか」
『あるはずもないだろう。君達『ぷれいやー』は危険だ。その大きすぎる力と、力に伴わない稚拙な精神の組み合わせは、災害に等しい破壊や混乱を容易く引き起こす。この世界に関わらず、大人しく生きて死んでいくならまだ許容しようもあるが……500年前の『彼ら』のように、この世界の
やたらと饒舌に、一息でそう言い切って見せたツアー。
表面上は冷静だが、『ぷれいやー』に対して色々と言いたいことが溜まっていたのかもしれない、とアインズは予想した。
その『500年前』を筆頭に、仲間の竜王達が死んだり、できていたことができなくなったり、色々とあったのだろうから、『ぷれいやー』に対して恨み骨髄なのも理解はできる。
淡々と語ったツアーの周囲にいる竜たち……特に、その中でも突出して強い力を放っている
牙をむいて今にも食らいついてきそうな様子を見れば、何を言ったところで聞きはしないだろうし、むしろ火に油を注ぐだけだろうと簡単に予想はついた。
「いきなりやってきて物騒なことだ。そん―――」
『黙れ『竜帝の汚物』めが! 貴様と話すことなど我らにはないわ!』
『そうだ! 早々にその骸を晒し、貴様らが持っている秘宝を差し出すがよい! それこそが貴様らにできる唯一にして最善の償いだ!』
「……本当に取り付く島もないな。まあわかってたが……」
竜王達の何体かが、アインズの答えも何も待たずに、再び『始原の魔法』の発動準備に入る。
先程はバリアで防がれてしまったが、今回はより破壊力のある攻撃をもって、一気に拠点もろともアインズ達を消し飛ばすつもりだった。
ツアーもまた、それを止めることはしない。
何を話したところで、今言った通りの結末を変えるつもりは彼にもない。もはや話し合いでどうにかなる段階には事態はなく、アインズという危険因子と、その牙城であるナザリック地下大墳墓の浄化をもって事態を収束させる。これは誰が何と言おうと言うまいと決定事項だった。
数秒後には『始原の魔法』による破壊的な一撃が束になって放たれ、自分を襲ってくるとわかっているアインズだが……
「そっちがそのつもりなら仕方がない。……まあ、こっちも元々引くつもりはなかったしな。それじゃあ…………」
「…………作戦開始だ」
その瞬間、
極光と共に……天が、堕ちてきた。
☆☆☆
『何が……起きた……っ!?』
『白金の竜王』は、困惑の只中にあった。
今まさに、数多の竜の連合軍が、大火力の一撃によって邪悪な『ぷれいやー』を滅殺しようとしていたところに……突然その真上からとんでもない威力の一撃が降ってきて、大ダメージを与えられたんだから、当然と言えば当然だけども。
まあ、それやったの私達だけどね。
何をしたかと思えば単純な話である。
元々今日、『竜王』達がナザリックを攻めてくるだろうっていうのはわかっていた。
だって、そうなるように私達で仕向けたんだから。スレイン法国と『秘宝』のやり取りをするなんていう情報を流す形で、わかりやすい挑発までかまして。
予想通り、仲間を集めてやってきた『白金の竜王』は、奇襲同然にナザリックを消し飛ばそうと大火力の一撃をかましてきて……しかし、その全体を覆って守るバリアに阻まれ、破壊することはかなわなかった。
アインズさんも、バリアの向こうで平然としている。
竜王達はなおも繰り返し『始原の魔法』で攻撃しようとしていたけど……その瞬間、私達からの攻撃がクリーンヒットして盛大にすっ転ばされたわけだ。
さっきも言った通り、彼らが今日来ることはわかっていた。
なので私達はあらかじめ、『空中庭園』からナザリックの周辺を観測していた。そして『竜王』達が現れたところで、ナザリックの直上、雲よりも高い、龍達にも察知されないところに転移してスタンバイしていた。
そして、アインズさんの作戦開始の合図に合わせて……私と私の子供達、合計10名で超位魔法『
1発でもとんでもない威力と攻撃範囲を誇るそれを、一気に10発叩き落した。『竜王』達が集まっている中心部に集中して落としたけど、その余波だけで十分な威力だ。
周囲にいた龍達も結構食らって、結構死んだ。
え? 超位魔法はプレイヤーしか使えない、NPCには習得不可能な魔法だろうって?
確かにそうだけど、いくらでも『抜け道』はってものはあるんだよ。
ユグドラシル時代でも、NPCに『超位魔法を使える職業』を習得させることで、種類は限られるけど、超位魔法を使えるNPCを作ることはできた。
でも、
じゃあどうしたのかというと、私がこの世界に来て産んだ子供達の中には、自力で『超位魔法』を習得できるくらいの才能を持った子もいるんだよ。
その筆頭と言っていいのが、私が最初に産んだ子であるゼルエルだ。『
他にも、親衛隊総隊長のマリーローズや、外交・経営部門でアカネの補佐やってるソル、それに若手の中での超新星的存在のダムストーやガヴリールなんかも『超位魔法』使える。
さらに、子供達の中には、『触れた相手が最後に使った魔法を使える』とか、『一度食らった魔法を自分も覚えて使えるようになる』といった
これによって、一番厄介な『竜王』達に開幕で高DPSの大ダメージを叩き込むことに成功。
なお、アインズさん達はバリアに守られて無傷。
このとんでも強度のバリアについては……一体何なのかは、説明はまた後でね。
さて、1発目(10発だけど)が上手いこと決まったので……
「よし、次」
「いえす、マム! 次、召喚部隊前へ!」
「はい! 召喚部隊前へ! 降下の後、大規模召喚術式発動なのです!」
アカネとテレサの2人の号令で、召喚系の魔法やスキルを使える者達が動き出す。
戦場になっているナザリック周辺の上空、ある程度の高さにまで降下し、それぞれ『
それと同時に、それらと同じような効果を持つアイテムも次々投入。
さらに、地上ではアインズさんやデミウルゴス、その他配下のアンデッド達も、同じようにしてアンデッドやら悪魔やらを大量に召喚した。
あっという間に、戦場が低~中レベルのザコモンスター達で埋め尽くされた。
もちろん、こんな連中では竜達には……まあ、数合わせの雑魚竜程度ならともかく、『竜王』や『真なる竜王』クラスにはとても勝てないだろう。
でも別にいい。こいつらに期待しているのは、戦力じゃないので。
十分に数が揃ったところで――邪魔に思った竜達が倒し始めちゃってるので急いで――アインズさんに連絡。『準備できました』と。
それを聞き届けたアインズさんは、
同時に、超位魔法『
『真なる竜王』と、ごく一部の力を持った、真じゃないただの『竜王』達だけは、抵抗に成功したのか、死なずにそのまま戦場に残ったが――あらゆる耐性を貫通する系のスキルでも効かないことがあるんだよなあ、竜――それ以外のただの『竜王』や、眷属の竜達、総勢数百匹がその命を奪われた。
さらに、あらかじめ『生贄用』として召喚していた無数のモンスター達もそれで死んだ。
数にして数万にもなるモンスター達が一気に死んだことで……多く殺せば殺すほど、『返礼品』が強力になる『黒き豊穣への貢』が生きてくる。
その直後、戦場全体に広がった黒い沼のような領域から、『黒い子山羊』が合計5体現れた。
おお、すごいな……5体って、ユグドラシルの現役時代でもこんなに多く召喚できた人いなかったんじゃない? 新記録だよ新記録。たぶん。
『やってくれる……! これほど周到に罠を張って待ち構えていたとはな……!』
「まあ……戦いになるかもしれないとわかっていたなら、な。そりゃあ、絶対に負けないように、できる準備は全てやっておくし、あらかじめやるべきことも決めておくさ。ところで……まだ終わってないからな?」
アインズさんがそんなことを言うと同時に、超高高度で待機していた私達も戦場に降り立つ。
はい、『死の神』と『命の女神』揃い踏みです。
けど自己紹介するよりも先に、残りの『準備』を進めます。次は私だ。
虚空から、編み笠のような見た目のアイテムを取り出し、頭にぱさっと被る。
そしてその状態で、同じく『
私の手にあった装備が、炎に包まれて燃え散り、完全に消滅する。
何をもったいないことをしてるのかというと、今私が被っているこの笠……
公式発表とかじゃないから確実ではないんだけど、このアイテムは、昔話の『かさ地蔵』をモチーフにしていると言われている。
『かさ地蔵』は、優しいおじいさんが、道端のお地蔵さんが遮るものも何もない中、雪を被ってしまっているのを見て、気の毒に思って売り物の笠を被せてあげたところ、夜になってそのお地蔵さん達が恩返しとして米や野菜なんかの食べ物をプレゼントしていった……という話だ。
これに倣ってだろう。『謝恩の笠』をかぶった状態で、装備品(防具)を廃棄すると、そのレア度や性能の高さに応じて、強力なモンスターが召喚されるという効果がある。
『棄てる』ことができる装備は、1度に最高で5つ。今回私が棄てたのは、ユグドラシル終末期に『ギルドホーム強盗』で手に入れてた装備品ばかりで、レアなのはそうだけど使い道が元々なかったものばかりなので、全然惜しくない。
しかし、私達には使えなくとも『神話級』は『神話級』。それを捨てた結果として呼び出されるモンスター達は……最上級の強さを持つ者達が6体だった。
ドラゴンやら、妖怪やら、悪魔やら……呼び出された種族はランダムだけど、耐久力は『黒い子山羊』と同等クラスの上、様々な能力を持った怪物達ばかり。竜王相手でもきちんと戦力になる奴らが揃っている。
……ちなみに、このアイテムについてちょっと余談、というか逸話が1つ。
今言ったようにコレは、装備した状態で装備品(防具)を棄てることが発動条件だ。
が、とあるプレイヤーが、今の私みたいに、あらかじめ廃棄用の装備品を『収納』に入れておくのではなく、自分が身に着けていた装備品を、アクセサリー含めて6つ全て棄てた結果、『笠』以外何も着ていない全裸状態になってしまったことがあった。
それでもモンスター達は問題なく召喚され、全裸+笠で戦場で仁王立ちした状態で戦いに勝利してみせたその絵面のインパクトから、その光景を撮影したプレイ動画が大バズり。
そしてそれ以降、『謝恩の笠』に、『露出の笠』という不名誉な別名がついてしまった。……そんな使い方する奴滅多にいないのにね。
ともあれ、レベル90クラスの召喚モンスター達が、『子山羊』と合わせて10体以上揃った。
が、さらにここから追い込みをかけます。
『じゃあ……すいませんアインズさん。しもべ達率いて来てもらっといてなんですけど……今回は出番、譲ってもらいますね』
『どうぞどうぞ。アルベド達は俺の護衛に専念させて、俺達はゆっくり見物させてもらいます。前回の『ドラクエ作戦』では俺が表立って色々やりましたし。今回は『命の女神』様のターンってことで。それに……』
『それに?』
『久しぶりにラストさんの戦い、それも悪名高いあの凶悪コンボが見られると思うと……楽しみで楽しみで!』
戦場全体に……何十個もの『転移門』が一気に展開する。
その向こうから……
『……何だ、これは……?』
その向こうから出てくるのは……聖騎士や戦乙女、侍に軽戦士、魔法詠唱者に聖職者……
種族で言えば、人間、エルフ、ダークエルフ、獣人、アンデッド、妖怪、悪魔、天使……
『何だ、これは、一体……!?』
ケンタウロス、有翼人、ラミア、人魚、竜人、ハーフゴーレム、オートマトン……etc
数も、種類も、とにかくたくさん、上げ連ねきれないくらいに多くの戦士達が……完全武装した状態で次々に『転移門』から出てくる。
何百人どころじゃない。何千人、いやもっと……
『何なんだ……この、数は!?』
総数、約5万人。
全員が、レベル60以上。現地基準で『逸脱者』から『覚醒神人級』の領域の者、多数。
内、レベル80以上の者、1万人超。
内、レベル90以上の『親衛隊』および有資格者、千人以上。
内、レベル100到達(カンスト)、『親衛隊長』16名を含め、約150人。
全員、私の子供や孫、その先の子孫達だ。
今回のこの、『竜王』達との事実上の決戦のために駆けつけてくれた子達。
まったくもー、こんなにいっぱいは来なくていいって言ったのに、誰もかれもやる気になっちゃってまあ……ま、頼もしいし嬉しいけどさ。
信じられない光景を目にして固まっている竜王達。
……フリーズしてるとこ悪いが、さらに事態は悪化の一途をたどっていきますわよ。
カンスト級の、その中でもさらに実力のある者達のうち……テレサを筆頭に、アンデッドや悪魔の種族を持っている者達が協力して、1つの魔法を作っていく。さらに、アインズさんもそれに参加している。
この世界特有の魔法の作り方で、『大儀式』っていうやつ。複数人の魔法詠唱者が協力して、供物や祭具を用意して、大規模な『儀式』の形にすることで、本来よりも強力な、上の位階の魔法を使うことができるっていう。
スレイン法国は、この仕組みないし方法を使って死者蘇生とか行うらしい。
それを応用というか、私達なりに改良したやり方を今やっている。
供物とか祭具とかそういうのはないけど、触媒としていくつかのアイテムや魔法薬を使い、複数のアンデッドや悪魔の魔法詠唱者が協力して……その中心に、アインズさんとテレサを据えて、術を形作る。
使う魔法は、テレサが習得している『始原の魔法』……の、応用発展形。
『魂殻変化』と同じ、『神技』の1つであり到達点と呼べる能力の1つ。それを、極限まで規模を広げて使うための、この儀式モード。
準備が整ったらしい。テレサが、その小さな手をばっと上に掲げて……
「【
「―――『
唱えると同時に、周囲半径数㎞もの超広範囲を、黒い瘴気のようなものが覆い、封鎖する。
さらに空が、まるで夜のように薄暗く、冷たい闇に覆われた。
地面すら変わっていく。見渡す限りの草原だったはずが――戦闘のせいでだいぶ荒れてはいるものの――何もない枯れ果てた荒野と、そこに広がる毒の沼地に。
『
今言った通り、『魂殻変化』に並ぶ強力な『神技』であり……周囲一帯の空間を、自分達に都合のいい性質に書き換える魔法である。
今テレサが使った『
攻撃力や防御力などのほぼすべての能力が上がり、MPの自然回復速度まで上がる。
さらに、地面からは低位のアンデッドと悪魔が自然にPOPするようになる。ちょうどナザリックでアンデッドが無限に湧いて出てくるように。
さらに、展開した空間内部は外界とは隔絶された空間となるため、敵は『異天空間』の中に閉じ込められ、出ることはできなくなる。
これ自体が『始原の魔法』カテゴリに属する魔法なので、同じ『始原の魔法』か、『世界級アイテム』による相殺効果でなければ、原則突破できない。あっても相当な火力がいるが。
それ以外でも、規格外のバカみたいな火力をぶつければ可能かもしれないが……『異天空間』の閉鎖性能は超位魔法の直撃にも耐えるので、それをさらに『大儀式』で強化している今回のこれは、『竜王』すら閉じ込めるのに十分な強度を誇っているはずだ。
もう、逃がさない。
そして最後に……ダメ押しというか仕上げに1つ、私も『切り札』的スキルを使う。
……正直、あんまり使いたくないけど。
「よーし、それじゃ皆。お母さん今からっていうか、今日だけちょっと毒親ね!」
「「「おー!」」」
「全くもう……揃いも揃ってやる気満々かい」
もうだいぶ前になるけど、私の持ってる特に強力な3つの『
私が持つ、自信をもって自慢できる3つの激レア職業。
『
『傾国の悪女』
『ワールドディザスター』
『
『ワールドディザスター』の切り札は、言わずと知れた魔法系最強の広範囲殲滅攻撃『大災厄』。
「発動―――」
そして、残る『傾国の悪女』。
これを最高レベルまで極めた時に習得できる切り札スキル。