オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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原作300年前(5) VS 常闇の竜王

 

 

「“月堕蹴(ルナフォール)”!!」

 

「“雷鳴八卦”!!」

 

 限界までバフをかけられ、その腕力を強化された前衛2人……ミルコとヤマトの一撃が、『常闇の竜王』の猛攻をもかいくぐってヒットする。

 ドゴォン、と、重車両同士の正面衝突のようなすさまじい音と共に、頑丈な龍鱗にひびが入るほどの一撃が叩き込まれた。

 

 なお、技名を叫んでいたものの、それらは単に彼女達の気分を上げるためのフレーバー的なものであり、当然ながらユグドラシルにそういったスキルなどが存在していたわけではない。

 この異世界に転移してから100年、訓練を繰り返して腕を磨くうちに、多少なりそういう遊び心を皆持たせていた。

 

 直後、反撃とばかりに飛んでくる尻尾での一撃を、ミルコは一瞬で攻撃範囲外に離脱して回避。ヤマトは防御系のスキルを重複発動して受け止めるが、仮にも相手はレベルカンスト級の強さを誇る『竜王』。防御してもなお、無視できないほどのダメージが通ってヤマトのHPを削った。

 

 が、その瞬間に後方からクリムが回復魔法を飛ばし、減った分をほぼ全快まで戻す。

 そのクリムの隣にいるデミアは、ぎろりとこちらをにらむ竜王に『おーこわ』と呟きつつ、先ほどから発動させている『生命の精髄(ライフ・エッセンス)』によって、竜王の状態を確認する。

 

「とんでもない生命力の量ね。結構ぶち込んでるのにあんまり減ってる感じしない……いや減ってるのは確かなんだけど、量が多すぎ。本当にラストが言ってた『レイドボス』級かも。……けど、それよりも重要なのは、あいつがさっきから時々使ってくる、魔法っぽい技……」

 

 

『プレイヤー共が……【闇刃】!!』

 

 

 その『魔法っぽい技』をまたしても竜王が使うと、その両腕に、闇を凝縮して作ったかのような刃が形作られた。それを、爪でひっかくように振り抜いて襲ってくる。

 見た目はシンプルだが、素の攻撃力が攻撃力だと理解している近接アタッカー2人は、それをかわしつつカウンターで攻撃しようとする。

 が、意外にもその体格に似合わず竜王の動きは俊敏で、まるで『修行僧(モンク)』のように小回りの利く攻撃を連打して、体格で劣る分身軽さで優るはずの2人を寄せ付けない。

 

 スピードよりもパワー型であるヤマトはともかく、スピード型のミルコでも攻めあぐねているあたり、その技量の高さがうかがえる。

 

 それも驚異的ではあるが……それを離れた位置から見ているデミアは、今の【闇刃】なる技の発動の瞬間を見て、あることに気づいた……ないし、確信を得ていた。

 

「やっぱり……」

 

「どうしたの、デミア?」

 

「ラスト、あいつがさっきからちょいちょい使ってくる技……魔力を使ってる様子がないから、何なのかと思ってみてたんだけど……アレ、代わりに体力消費してるわ」

 

「は? MPじゃなくてHPを消費して使う技だってこと?」

 

「技、っていうか……アレが『竜王』なら、うわさに聞く『始原の魔法(ワイルド・マジック)』って奴じゃない? この世界に『位階魔法』が出現する前には主流だったっていう奴」

 

 この世界に、元々は『位階魔法』などというものは存在しておらず、今から数えて約200年前に突如として出現し、人々が魔法を使えるようになった……と、ラスト達も調べて知っていた。

 

 それまでは、この世界で魔法と言えば『始原の魔法(ワイルド・マジック)』のことを指し、世界の覇者ないし管理者という立場にいた『龍』達の専売特許だった。それ以外の者達は、魔法やそれに類似のスキルなどを使うことはできなかった。

 

 が……その時代にこの世界に来たプレイヤー達……すなわち『八欲王』が何かしたらしい。突如として『位階魔法』なるものが出現し、人類や亜人、一部のモンスター達すらも魔法を使うようになった。

 

 恐らくはその『何か』もまた、竜王達が八欲王やプレイヤー達を強烈に敵視することになった理由の1つなのだろうと、ラスト達はあたりをつけていた。

 それは実は当たっており……ラスト達はまだその答えに行きついてはいないものの、八欲王がこの世界に『位階魔法』を出現させた影響で、世界の理そのものが大きく歪んでしまい、それまで竜王達が持っていた既得権益にも等しい『始原の魔法』が大きく制限されてしまった、という事実が実はあった。

 

「『始原の魔法』の特徴って、魔力の代わりに生命力を消費するんですか……なんか、ラスト様みたいな(・・・・・・・・)ことができるんですね、竜王って」

 

「できるっていうか、そもそもそういう仕様なんでしょ。尤も正確には、生命力そのものを使ってるっていうより……何だろうコレ、生命力が付随して上下するような『何か』を消費してる……って感じがするのよね。まあ、結果的には同じなんだろうけど……」

 

「……攻撃が激しくなるのはきついけど、何かするたびに向こうが勝手に消耗してくれるなら、その事実だけ見ればありがたい限りね。そのまま、『射程圏内』まで入ってくれれば……」

 

 

 

「デカブツにしちゃ小手先の技が鍛えられてんな……亀の甲より年の劫たぁよく言ったもんだ!」

 

「竜王は『八欲王』との戦いを潜り抜けてここにいるらしいからな……その分、技量も研ぎ澄まされているということだろう。油断すべきじゃない」

 

 と、ヤマトが(一応)誉めるようなことを言ったのだが……その瞬間、『常闇の竜王』の……表情筋に乏しいはずの顔が、ひどく不機嫌に歪んだように見えた。

『ん?』という表情になるヤマトの視線の先で、龍はその口元を大きく開ける。

 

 もう何度か既に放って……しかしそのたびに回避するか、耐えて回復してきた炎のブレスとはまた違う、まるで、闇を凝縮したかのような『黒い炎』が口の中に揺らめいていた。

 

 その瞬間、ぎょっとしたような声で、後方からデミアが警告を飛ばす。

 

「ちょっ、それ止め……いや避けて絶対! なんかヤバい!」

 

「デミア? 何そんなテンパってんの?」

 

「今……視認できてるあいつのHPがごっそり減った! つまり……それだけのエネルギーをつぎ込んだヤバい攻撃が来ると見てい―――」

 

「【葬滅の吐息】……!!」

 

 見ていい、とデミアが言い終わる前に……竜王は、口元に収束させていた黒い炎を、ブレスに変えて放った。

 漆黒の火炎放射器と化した龍が吐き出す炎は、すさまじい勢いでミルコとヤマトに迫る。

 

 ミルコは緊急回避系のスキルも使って何とかそれを回避したが、ヤマトはよけきれないと判断し、防御系のスキルを重複発動して守りに入り……しかし、その鉄砲水のような黒炎に飲み込まれて見えなくなり……消滅した。

 

「は……!?」

 

「や……ヤマトさん!?」

 

 ラストが唖然とし、クリム君が狼狽する前で……しかし、ヤマトは確かに、その炎に焼かれて消えて……死んだ。

 直前にクリムがHPを全回復させてあったし、耐性系のバフも山盛りにして、ひたすらタンク役として耐えられるようになっていたヤマトが、一発でやられたことに、さすがに動揺を隠せない。

 

 竜王はまだブレスを吐き出し続けていて……直後に、ぎろりとラストたちがいる方向を向いたかと思うと、そのまま口をラスト達のいる方向に向けた。吐き出され続けている黒炎のブレスが、周囲一帯を薙ぎ払うように動いてラスト達に迫る。

 

「“上位転移(グレーター・テレポーテーション)”!」

 

 デミアが発動した魔法によって、間一髪それを回避した3人。

 一瞬前まで3人がいたところを、ヤマトの命を奪った黒い炎が薙ぎ……その後すぐに、火炎放射は止まり、竜王は口を閉じた。

 

「カリン、ヤマトは!?」

 

『大丈夫、確かに『死んだ』けど……『空中庭園』との繋がりがなくなったわけじゃない。コストの消費で復活させられるわ。けれど……今の攻撃……ここから見てたけど、やばいわね』

 

 拠点に『留守番』させているカリンに『伝言(メッセージ)』で尋ねて状況を確認し、ヤマトが復活できると確認してほっとするラスト。

 それと同時に、カリンの指摘通り、今の攻撃が明らかに『まずい』ものだと同意する。

 

 ヤマトだけでなく、ラストが召喚していた何十体もの『妖怪』達も、今の火炎放射でまとめて消し飛ばされてしまっていた。

 大した強さではないものばかりだったし、そもそも戦力として(・・・・・)召喚した(・・・・)わけではない(・・・・・・)ので、それは別に構わないのだが……妖怪達の中には、『炎属性無効』『死霊属性無効』などのように、耐性が異なるものが多数混在していた上に、『死の騎士(デス・ナイト)』のように、一度だけHP1で耐える特性の持ち主も混ざっていた。

 

 それら全て、抵抗の余地なく消滅させられている。

 

「バカげた威力かつ多段ヒットの攻撃? それなら根性スキルの持ち主が突破されたのも納得だけど……バフ山盛りのヤマトがあんな一瞬でHP全損させられたっていうのがどうも納得できない。耐性もHPも鬼強化して、ダメージ軽減のスキルも重複発動させてたはずなのに……」

 

「……あんまり想像したくないけど、触れたものを問答無用で抹殺あるいは消滅、って感じの攻撃……とか?」

 

「だ、だとしたら恐ろしいですね……食らった瞬間に、抵抗の余地もなく死亡確定って、そんなことできるの『死の支配者(オーバーロード)』くらいだと思ってました」

 

「……いや、たぶんちっと違ぇぞ」

 

 と、ヤマトと違って今の攻撃を回避したために無事だったミルコが、横から口を挟んだ。

 その姿を確認した瞬間、クリムが悲鳴に近い声を上げる。

 

「み、ミルコさん!? その足……食らってたんですか!?」

 

 ミルコの左足は、膝下あたりからなくなっていた。

 本人は特に痛そうにしてすらいないが、言うまでもなく大怪我どころではない傷である。

 

「あァ悪い、避けきれなかったみてえだ……回復頼めるか」

 

『それをさせると思っているのか……!?』

 

 ミルコが回復する前にとどめを刺そうと、竜王は飛び上がってミルコに突撃していく。

 腕に再び『闇刃』を発動し、それで薙ぎ払って、飛んで駆け寄ろうとするクリム――さすがに欠損を回復するレベルの魔法は、ある程度近づかないと効果が低い――もろとも薙ぎ払おうとする。

 

 が、そこに新手が襲来する。

 空間に突如現れた渦巻く暗黒環。そこから飛び出してきたのは、ニューコロロ空中庭園の執事長にして、肉弾戦においてミルコと同等の戦闘能力を誇る『竜人』ハヤテ。

 

 突然の新手の奇襲にも拘らずそれを冷静に迎撃しようと刃を振るう竜王。その攻撃を、空中を蹴って移動して素早くかわし……懐から、一升瓶のような大きさの瓶を取り出した。

 その注ぎ口付近の細い部分を持って……

 

「そォい!」

 

 

 ―――ガシャアン!!

 

 

 思い切り振り下ろし、竜王の脳天を殴りつけた。

 当然、瓶は粉々に砕け散り、中身の液体が飛び散る。

 

 見た目的には、宴会の席のパワハラ……を通りこして、芸人が体を張ってやるドツキ芸にしか見えないような、あんまりにもあんまりな光景だったが……もちろんハヤテは今、笑いを取ろうとしてこんなことをやったわけではない。

 その瞬間、瓶が割れて降りかかった『バフ解除効果』を持つ薬品によって、竜王の腕に発生していた【闇刃】が消滅した。

 

『っ……小癪な真似をごふっ!?』

 

 直後、普通に殴ってハヤテが追撃。既にバフの付与は済んでいた――『転移門』でやってくるより前に、その向こうで――こともあって、先ほどのミルコやヤマトの一撃に匹敵する威力の拳や蹴りが、こともあろうに連撃で炸裂し、竜王の黒い鱗を砕いていく。

 『竜人』の身体能力に加え、『修行僧(モンク)』系の職業をいくつも高レベルで納めているハヤテの素手格闘の威力は、高レベルプレイヤーを防御の上から殴殺できるくらいには高い。

 

『この……【黒水の間欠泉】!』

 

 超インファイトで自分の攻撃をかわしながら殴り続けてくるハヤテに業を煮やし、竜王はまた新たな『始原の魔法』を発動。足元の自分の影から、闇のエネルギーをまさしく間欠泉のように噴きあがらせた。

 咄嗟にハヤテは、竜王を足場にして蹴飛ばしつつその場から離脱する。

 

 結果、竜王がそのまま自分が放った漆黒の間欠泉に飲み込まれたが、もともとそういう技なのか、竜王自身がそれでダメージを受けた様子はない。

 

 その攻防の間に、ミルコはクリムによって全回復し、先ほど言いかけたことをラスト達に説明して聞かせていた。

 

「当たった瞬間、耐性も抵抗力も何もかも無視して、当たった部分が削り取られるみたいに消し飛んじまった。それだけの威力……って感じじゃなかったな。ありゃ、触れた瞬間問答無用で消し飛ばされるんだと思う。ただ、体の一部だけなら、俺みたいに生き残れるかもしれないが……」

 

「耐性その他諸々は貫通だから、胴体や頭に当たったら終わり、ってことか……しかも、ビームみたいに直進する系じゃなくて、炎っていう『広がる』形の攻撃なのが余計タチ悪いな。そもそも不可能な『受けて耐える』を選択しちゃった時点でヤマトはアウトだったわけだ」

 

 ラスト達はあずかり知らぬことだが、その『問答無用で消滅』させる理不尽な攻撃に耐える、あるいは無効化する方法がないわけではない。

 竜王らが『世界の守り』と呼ぶもの……世界級(ワールド)アイテムによる、同等のアイテムやスキルからの守護であれば、『常闇の竜王』の【葬滅の吐息】や、他のとある竜王が使う、問答無用で触れた存在全てを消滅させる黒いレーザーでさえも防いでしまえる。

 

 ただしその場合は、そういう『始原の魔法(ワイルド・マジック)による影響』を防ぐことができるだけにとどまるため、単純な高威力の攻撃は防げないという注意点もあるのだが。

 

「けどまあ、仕組みはわかんないけど注意点はわかったし、それで十分だよ。デミア、あいつの残り体力はどのくらい?」

 

「さっきの黒いブレスと、今のハヤテ君のラッシュで半分切ったわね。あのブレス、どうやら最大体力の二割弱くらい一気に消費するみたいだから、アレ2回撃ってくれたら私達で残り体力削り切れると思うけど……」

 

「いや、あんな危険なもの2回も撃ってほしくないですよ……さっきはどうにか、デミアさんのおかげで避けられましたけど、次も大丈夫だとは限らないですし」

 

「クリムの言う通りだね。……それに、そんなに待つ必要はないよ。残り体力が半分以下なら……もう、射程圏内(・・・・)まであとわずかだから」

 

 言うと同時に、ラストは再び『百鬼夜行』を発動し、数十体の『妖怪』を召喚する。

 それを見て竜王は、ちっ、と舌打ちするような音を響かせた。そして……口から、何かを取り出した。

 

(ん? あれって……)

 

 どうやって口の中にあんなものをしまっていたのか知らないが――これも『始原の魔法』だろうか――大きく開いた口の中、その舌の上には、人の頭ほどの大きさの、龍をかたどった像が置かれていた。その足元には、ただならぬエネルギーを秘めた宝石のようなものが取り付けられており、ただの調度品ではないことは明らかだった。

 

『忌まわしい『プレイヤー』とやらが持っていた品だが……同じ『龍帝の汚物』の処理に使うとなれば、似合いの使い道だろう』

 

 その舌の上で、像に取り付けられた宝石が光ると同時に……魔法陣が展開される。

 どうやら、何らかの魔法を封じ込めたアイテムだったらしい。そして、目の前の竜王は過去に戦った別なプレイヤーからそれを奪い取ったようだ。

 

(過去にもプレイヤーを殺して、そのアイテム奪ってたのか。しかもそれ、自分で使えるんだな)

 

 魔法陣の展開と同時に像は消滅し、その魔法陣の中から、何体ものドラゴンが現れた。召喚系の魔法が込められていたようだ。それも、見た目通り、ドラゴン系の魔物を……無差別に召喚するものが。

 使用者以外を襲わないようになっているらしく、出現した何十体ものドラゴンは、周囲を見回してラスト達を見つけると、殺気をむき出しにしてにらみつけ……召喚主である竜王の号令も待たずに飛び出して、襲い掛かった。

 

 それを見ても、ラスト達は特に危機感を覚えることはない。

 彼女達がいずれもレベル100なのに対して、召喚されたドラゴンは……見た目こそ迫力はあるものの、いずれもレベルは50にも満たない程度しかないため、数こそ面倒だが、簡単に倒せる。

 

 竜王もまた、それは理解している。あのガラクタを使って召喚した程度の龍では、ラストが召喚した妖怪達はともかく、この者達を倒すことはできない、数秒かそこら、足止めするのが精一杯だろうと。

 しかし、それでよかった。その、自由に動けなくなっている間に、【葬滅の吐息】で、龍達もろとも消し飛ばしてしまえばいいのだから。

 

 そう判断した竜王だったが……実はラスト達が、襲い来るドラゴン達を脅威とみなしていなかったのは、レベル差だけが理由ではない。

 彼女達……NPC達の頭の中は、今の竜王の『数で攻めるための下僕の召喚』という手に対して……全員そろって、『あーあ、やっちゃった』という感想を抱いて呆れていた。

 

 それもそのはず……竜王は知る由もないことだったが、この『ラストにゃんにゃん』というプレイヤーに対して、召喚モンスターを大量にけしかける、という手は、絶対にやってはいけない方法だったからだ。

 そのことは、彼女に近しいNPC達だからこそ知っていること……というわけではなく、彼女について知っている者であれば、ほとんど誰でも知っている常識だった。

 

 何せ、ユグドラシルのWikiにすら載っているし、数多の掲示板で『絶対にやめろ。後悔するぞ』と何度も話題に上がっていたことなのだから。

 

 ラストの持っている職業(クラス)の中に……『傾国の悪女』というものがある。

 『ワールド・ディザスター』や『万魔の母(エキドナ)』と同等レベルの超レア職業であり……これを極めることで習得できるスキルの中に、その理由がある。

 

「戦う相手の情報収集って大事なんだな、って痛感するわね、こういうの見ると」

 

 呆れたようにそう言いながら、デミア達NPCがそれを見る前で、

 

「“誘惑の魔香”……!」

 

 ラストが発動したのは、魔法……ではなく、『白面金毛九尾の狐』が持つ、種族的な特殊能力。

 例えるなら、『死の支配者(オーバーロード)』にとっての『絶望のオーラ』のようなものだが……この『誘惑の魔香』の効果は、対象に対して魅了の状態異常を与えるというものだ。

 そしてこの能力は、発動及び展開が非常に早く、さらに広範囲に広がって複数を同時に魅了状態にすることができる。

 

 ここにさらに、前述した職業『傾国の悪女』が持つスキルにより……『魅了系の状態異常の成功確率を大きく上げる』『魅了の完全耐性をも突破する』という性質が加わる、

 

 すると、どうなるか。

 

『何……!?』

 

 一瞬前まで、ラスト達に対して殺気をむき出しにしていた無数のドラゴン達が……一斉に振り向き、その殺意の視線を、『常闇の竜王』に向けた。

 この一瞬で、全てのドラゴンがラストに『魅了』され、その下僕になったのである。

 

 ラストにゃんにゃんというプレイヤーに対して、召喚モンスターや傭兵モンスターをけしかけるという方法は、時間稼ぎ目当てであっても絶対にやってはいけない。

 ほぼ確実にその全員が即座に『魅了』され、敵になって襲ってくるからだ。

 

「行きなさい。その黒トカゲを食い殺して、屍を私に捧げよ」

 

 ラストの号令と同時に、ドラゴン達は一斉に竜王めがけて殺到し、あるいは遠距離からブレスや……一部の種族は魔法も使って攻撃していく。

 

 もちろん、竜王にとってもこの程度のドラゴンの群れなど、物の数ではないし、脅威とは呼べない。爪の一撃、牙のひと噛み、尻尾の一振りでドラゴン達は次々に吹き飛んで墜落していく。

 しかし、単純に数が鬱陶しいのに加えて……腐ってもドラゴンであるため、いかにレベルが自分達以下でも、そのタフネスゆえに一撃で倒せないことも多く、文字通り食らいついてくる者達を引きはがして引き裂いて……と、1匹1匹に対応するのが煩わしく面倒だった。

 

 何より、彼らの攻撃を利用する形で、ミルコやハヤテがヒットアンドアウェイを繰り返して攻撃して来る。そっちの攻撃は無視できない威力な上、体の大きなドラゴン達に隠れてしまって察知するのが難しい。

 完全に、自分がやった手を利用されて追い込まれてしまっている状況に、ますます竜王の頭に苛立ちが募っていく。

 

 おまけに……ドラゴン達に混じって、ラストが召喚した妖怪達までも攻撃してくる。

 これも大した威力ではないため、竜王の素のステータスだけで防ぎきれるのだが、こちらをおちょくって踊るような動きを見せたり、威力は大したことはないにも関わらず、視界をふさいでしまうような、見た目だけ派手で広範囲に広がる魔法などが数多く展開する。

 

 苛立ちが頂点に達した『常闇の竜王』は、一気に全てを消し飛ばすために、口元に黒炎をため始める。

 それが何かわかったミルコ達は、技を中断させようと一斉攻撃を仕掛けるが、

 

『【黒鎧】……【世界歪曲障壁】……!』

 

 体を覆うように黒いオーラを纏ったことにより、防御力が上がったらしい竜王は、妨害をものともせず耐え続け、口の中に力をため続ける。

 さらに同時に、周囲に転移を阻害する結界を展開。これで先ほどのように、転移して範囲外に逃げられることはなくなった。

 

 防護膜を張った以外にも『何かした』と察知したデミアが、素早く考えられる全ての可能性を検証し……『転移による脱出』ができなくなっていることに気づいた。

 正確には、近距離の転移は妨害されていない様子である。しかし、あの黒いブレスを回避できるであろう距離まで転移しようとすると、それができない。

 

 狙いは考えるまでもなく明らかだ。先ほどよりもブレスのチャージ時間が長いのも……転移妨害の有効範囲内を埋め尽くすほどの規模で黒炎を吐き出そうとしているのだろう。

 また、これが『転移による脱出』だけを阻害する結界なのか、それとも転移を含めたあらゆる移動手段が封じられているのかはまだ不明で……それを検証するには時間が足りない。

 

 この状況下でしかし、デミアは即座に今取るべき行動を導き出し、ラストに提案する。

 ラストも状況を聞き、それが最善の方法であると判断。声を張って指示を飛ばす。

 

「ミルコ! ハヤテ! こっちに! デミアは『伝言(メッセージ)』でカリンに連絡を! クリムは私達全員に全力で速度バフ!」

 

(無駄だ……今から逃げたところでもう遅い!)

 

 クリムの支援(バフ)を受け取って加速したラスト達は、その場から一直線に飛んで逃げていく。このままいけば、【世界歪曲障壁】の範囲外へと出てしまうだろう。

 【世界歪曲障壁】には、範囲内外での転移を阻害する効果はあるが、空間自体が封鎖されているわけではないため、飛行や徒歩で外に出ようとした場合は阻害されない。

 

 同系統の『始原の魔法』である【世界断絶障壁】であれば、物理的な封鎖も可能だったのだが、発動に多量のエネルギーを要する上に、チャージ中の【葬滅の吐息】と同時進行で使うことが難しかったため、使えなかった。

 しかしそれでも……目の前のプレイヤー達が範囲外に出るよりも早く、【吐息】のチャージは完了する。そのまま、背中から黒炎を吹き付けて一網打尽にしてしまえばいい。

 

 面倒なのは、全員がまとまって逃げるのではなく、ばらけて逃げられた場合だが……都合のいいことに、5人全員がまとまって逃げている。あれならば、一度の発射で楽に全員を飲み込めるだろう。多少逃げられたとしても、薙ぎ払うようにブレスを放てば問題ない。

 

 そして、チャージが終わり、命を奪い去る黒炎を拭きつけようとして……しかしその瞬間、思いもよらない光景が竜王の目の前に広がった。

 

(あれは……ギルド拠点!? まさか……そんなところにあったのか!)

 

 ラスト達が飛び去った先……何もないように見えていたところに、突如として、巨大な都市や、その中心にそびえたつ城が出現した。

 今まで隠蔽されていた、ギルド拠点。まさかこれほど近くにあるとは思っていなかった竜王は、突如として姿を現したそれに驚くが、むしろこれを好機と判断した。

 どうやって今まで隠していたのかはわからないが……おそらくはあそこに逃げ込むために隠蔽を解いたのだろう。しかしそれならば、最大威力の【葬滅の吐息】で、拠点もろとも全て消し飛ばしてしまえばいい。

 もし運よく生き残りが出たとしても、ギルド拠点であるからには、奴らの心臓と言える『ギルド武器』もまたそこにあるはず。それを破壊してしまえば、大幅に戦力をそぐことができる。

 

 そう考え、拠点に逃げ込もうとするその背中目掛けて……拠点を巻き込む形で【葬滅の吐息】は放たれた。

 拠点に逃げ込むよりも早く、黒炎はその背中を捕らえる。仮によけられたとしても、黒炎はその先にある拠点を消し飛ばすだろう。どちらにしても、目の前のプレイヤーには大打撃になるし、そもそもその後薙ぎ払うように動かして当ててしまえばそちらも殺せる。

 

 発射の瞬間、その進路をふさぐように、差し向けられてきた妖怪やドラゴン達(魅了済み)が立ちふさがって妨害してきたが、構わず放てば、僅かもその威力を減衰させることができずに全てが消滅した。

 そしてその向こう、プレイヤー達の背中目掛けて一直線に炎は飛び……しかしその瞬間、プレイヤー達はさっと左右に分かれて炎を回避した。

 

(無駄だ!)

 

 避けてもその先にある拠点は滅ぶ。その浅はかさゆえに、結果として自分の拠点を失うことになるプレイヤー達の愚かしさをあざ笑う『常闇の竜王』の目の前で、黒い炎が今まさに、『ニューコロロ空中庭園』に届き……

 

 

「カリン、今!」

 

『了解! 『パラケルススの魔剣』……起動!』

 

 

 届いた瞬間、黒炎がきれいさっぱり消失した。

 吹きつけた先にあった城の外壁に、焦げ跡一つ作ることすらできずに。

 

『…………は?』

 

 それどころか、今まだまだ口の中から吐き出されるはずだった黒炎すら消失してしまった。攻撃そのものが、強制的に終わってしまった。

 突然のことに、何が起こったのか理解できない竜王の眼前で……さらなる異変が起こる。

 

『まさか、今のは……“世界の護り”か!? 奴らめ、そんなものを使って拠点を守っ―――』

 

 

 ―――ズ ド ォ ン!!

 

 

『っ、て……が、はっ……!? な、何が……』

 

 突如として竜王の腹部に衝撃と激痛が走り……見るとそこには、黄金に光り輝く、巨大な剣が突き刺さっていた。

 一体いつ誰がコレを突き刺したのか、全くわからなかった。あるいは、どこかから飛来してきたのかもしれないが、それを察知することもできなかった。

 

 わけがわからない様子の竜王だが……その身を貫く巨剣は、数秒後には消滅した。

 しかし、未だに腹に開いたままの大穴と、大きく削れた生命力が、今の光景が夢でもなんでもないことを物語っていた。

 

 竜王が理解できずにいる、今の痛恨の一撃の正体は……ラスト達が拠点防衛に設置していた世界級(ワールド)アイテム……『パラケルススの魔剣』である。

 

 剣、という名前がついてはいるし、実際に剣の形をしているものの……その実態は武器としての剣ではなく、拠点ないし建造物防衛用の設置型兵器。そして、同じ世界級アイテムの『真なる無(ギンヌンガガプ)』の天敵に位置している存在だ。

 

 ギルドホームなどの拠点ないし施設の内部に突き立てることによって『設置』するこの剣は、起動すると、常に金貨を消費し続ける代わりに、外部から放たれた拠点への攻撃の一切を遮断する。

 いかなるスキルや魔法を用いても、拠点を破壊することができなくなる。世界級アイテムによる攻撃すら無効化してしまう。

 

 そればかりか、攻撃するとカウンターが発動し、攻撃した本人に対して、防御も回避も不可能な黄金の剣による必中の反撃がなされる。

 

 反撃の威力は、撃ち込まれた攻撃の『種類』によって決まる。魔法による攻撃ならば、その魔法の位階によって反撃の威力が決まる(魔法そのものの威力は関係しない)。アイテムによる攻撃であればアイテムのレア度によって、スキルによる攻撃あればそのスキルの希少性によって、それぞれ反撃の威力が産出される。

 最も威力が高いのは、世界級アイテムによる攻撃を受けた時。次いで、超位魔法による攻撃を受けた時となる。

 

 それに匹敵する威力ないし脅威度を持つ、と判定されたのだろう。一番威力の高い反撃が――あるいは、この世界に来た際の仕様変更で、さらに高威力の一撃が叩き込まれたかもしれない――竜王の腹に風穴を開けた。

 

 相当なエネルギーをつぎ込んだ【葬滅の吐息】が無駄打ちになってしまった上に、手痛い反撃を受けてしまった竜王。

 その前に……逃げたと思っていたラスト達が『転移門(ゲート)』で戻ってきた。

 

 大きく弱ってしまった自分にとどめを刺しに来たのだろうと、簡単に予想できたが、それすらも『甘く見られた』と侮辱に感じた『常闇の竜王』。歯を食いしばって激痛をこらえながら、『始原の魔法』で迎え撃とうとし……

 

 しかし、それよりも早く……その体を半分覆うほどに巨大な火球が直撃し、たたらを踏んだ。

 

 しかも、その巨大な火球が立て続けに何発も、何十発も撃ち込まれてくる。

 咄嗟に【黒鎧】を張り直して防御を強化するものの、それを押しのけられそうな勢いだった。

 

(この威力……以前殺した奴が使っていた、『朱の新星(ヴァーミリオンノヴァ)』とかいう位階魔法か!? たしか、第9位階の……だが、第10位階ほどではないとはいえ、魔力の消耗は大きいはず! それに、魔法は強力であればあるほど、再使用までに長い時間がかかるはずでは……)

 

 爆炎の豪雨にさらされながら、思わず、思っていたことが口からこぼれ出た。

 

『どんな手を使った……第9位階の、これだけの威力の魔法を、魔力の枯渇もなくこのペースで連射するなど……いかに貴様が『プレイヤー』とはいえ、前に―――』

 

 

 

「今撃ってるのは、第9位階の『朱の新星(ヴァーミリオンノヴァ)』じゃない。第3位階の『火球(ファイアボール)』だ」

 

 

 

『……は……?』

 

 今、何を言われたのか理解が追いつかない竜王だが……配慮などしてくれるはずもなく、雨あられと火炎弾が……『火球(ファイアボール)』が撃ち込まれる。

 それをまたその身で受けた竜王は……やはり、そこまで痛打ではないとはいえ、明らかに第3位階程度の威力ではないと、ありえないと心中で毒付くが……残念なことに、ラストは一切嘘は言っていない。

 本当に、第9位階だと思って竜王が食らっている火炎弾は、第3位階の『火球』なのだ。

 

 無論、単にバフの重ね掛けや『魔法最強化』などを使って強化しても、『火球』が『朱の新星』に迫る威力になることなどない。『ワールド・ディザスター』の職業効果による魔法威力の上昇を加味したとしてもだ。

 

 が、しかし……ラストの持っているもう1つのレア職業『万魔の母(エキドナ)』。

 召喚モンスターを『自分の子供』に見立てて強化することが可能な『職業』だが……それを極めることによって習得できるスキルの1つ……『鬼子母神』がそれを可能にしていた。

 

 どういうものかと言えば単純明快で、『自分が召喚した子供(モンスター)』が倒されてしまった数に応じて、物理及び魔法の威力が一定時間強化される、というものだ。

 

 そして、最大まで強化した際のその強化幅は……実装当時、『ゲームバランス的におかしい』と運営にクレームが飛ぶレベルだった。

 

 ユグドラシルにおいて、掲示板やWikiの交流スペースなどで時々起こる、『プレイヤーの魔法詠唱者(マジックキャスター)の中で最強は誰か』という論争。

 その際、総合的な能力においては、『非公認ラスボス』ことモモンガや、『大災厄の魔』ことウルベルト・アレイン・オードルなど、その他数多くのガチビルドかつ熟練の技を持つプレイヤー達の名前が並ぶ中で……彼女は、お決まりのように、毎度こう評されていた。

 

 

 個人の最大火力だけなら、魔法詠唱者(マジックキャスター)に限らず……『ワールドチャンピオン』をも含めた全プレイヤー中で、最強は『ラストにゃんにゃん』である……と。

 

 

 ラストはここまで、複数回『百鬼夜行』を使って大量の妖怪を召喚した。そしてその全てが、竜王に襲い掛かっては一蹴され、倒されていた。

 

 その目的はしかし、壁ないし盾にするためや、魔法発動の時間を稼ぐためではなかった。最初からそれらを竜王に倒させ、スキル『鬼子母神』によってラストの火力を上げることだった。

 

 大量の召喚妖怪達の屍を積み重ね……そしてさらに、救えなかった2人の『子供達』の分もその力に組み込んで……尋常ではないレベルまで火力を強化したラストは、限られた時間ながら、連射可能な低位階の魔法で高位階なみの威力を叩き出せるまでになっていた。

 みるみるうちに削れていく『常闇の竜王』の体力。

 

 しかも油断すれば、やはり戻ってきていたミルコとハヤテが、ラストの邪魔にならないように攻撃を加え、こちらの『始原の魔法(ワイルド・マジック)』発動を妨害してくる。

 攻めあぐね、守ることもろくにできていないうちに、どんどん体力が……『常闇の竜王』にとっては、『始原の魔法』を使うのにも必要なエネルギーが減っていく。

 

「デミア、あいつの残り体力は?」

 

「見た感じ……3割切った」

 

「よし……十分。コレで終わらせる。クリム、魔力譲渡」

 

「はい! どうぞお受け取りください!」

 

 第3位階とはいえ、ああも弾幕のように連射すれば魔力も相応に減る。その減った分の魔力を補充すべく、デミアとクリムが、自分達に残った魔力の一部を譲渡し、ラストの魔力を7割(・・)ほどまで回復させる。

 魔力を回復させるアイテムやスキルが存在しないユグドラシルでは、時間経過か、誰かから譲渡してもらうか、特殊なスキルによって奪うか……このいずれかの方法でしか、魔力を回復させることはできない。

 

『終わらせる、だと? プレイヤー風情が生意気な口を……我は『常闇の竜王(ディープダークネス・ドラゴンロード)』! 真なる竜王の、この世界の真なる覇者の一角として……貴様ごときに敗北するなどありえん! あってはならん!!』

 

 魔力を回復させ、おそらくはこの後のラストスパートに繋げるつもりなのだと判断した竜王は、このまま終わってなるものかと、その命をかけてでも、差し違えてでも眼前のプレイヤーを討ち滅ぼすべく、みたび口の中に黒炎を……【葬滅の吐息】をチャージし始める。

 今、竜王の残り体力は3割を切っている。そして、【吐息】の使用の際に消費する体力量は、全体の2割弱。

 

 すなわち、それを放てばもう体力は1割ほどしか残らない計算になる。仮にその1発でラスト達を討ち取れたとしても、その後に残っているNPCの数と質によっては……そのまま討ち滅ぼされてしまうのではないかと思えるほど。

 

 しかし、その1割云々が問題になる以前に……事態は大きく動く。

 まだクリム達に魔力を譲渡してもらっている最中のラストを中心に、ドーム型の巨大な魔法陣が展開した。

 

 展開したその瞬間に、ラストはアイテムボックスから、砂時計のような形のマジックアイテムを取り出し……同時に握りつぶす。

 その『課金アイテム』により、本来は膨大な時間がかかるはずの詠唱が一瞬で終了し……

 

 

「超位魔法……“失墜する天空(フォールンダウン)”!!」

 

 

 1日に4回までしか使えないが、使用する際に魔力消費を必要としない、超火力の一撃。

 上空から、まさに天が落ちて来たかのような膨大な光熱の一撃が『常闇の竜王』に直撃し……その体力をさらに大きく削る。

 

 その一撃で、竜王の残り体力は一気に2割を割り込んだが……それでもなお、歯を食いしばって耐える竜王。

 その口元には、それまでにチャージした黒炎が、確かに霧散することなく蓄えられていた。

 

 このままこれをチャージし続けて打てば……ともすれば、その反動で、自分で自分のHPを全損させることにもなりかねない。そのことに気づいているか、思い至っているかは定かではないが……いずれにしても『何としてもここでプレイヤーを殺す』という不退転の決意が、そこにあった。

 

 しかし、残念ながら……竜王がそれを貫き通し、成し遂げることは……ない。

 そんな未来を迎える前に、ラストにゃんにゃんの周囲に再び魔法陣が展開する。ドーム状の形が特徴的な、超位魔法の魔法陣……ではない。

 それすらはるかに超える威力の……回復したMPの大半をつぎ込んで発動する、正真正銘、ラストにゃんにゃん最強の一撃。

 

「さようなら……『常闇の竜王』」

 

 

 

 

「“大災厄(グランドカタストロフ)”」

 

 

 

 

 この日、真なる竜王の1体が……堕ちた。

 

 

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