オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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長くなりすぎて間に合わなくて遅くなりました……反省。

それと、長くなった分を2話に分割したので、先に投稿した前話と合わせてごらんください。
どうぞ。


原作100年前 普通に迷惑な奴ら(後編)

【異世界転移 300年目 〇日目 ※続き】

 

 とまあ、なんか予想外に唐突に戦いは終わった。

 

 これは後からデミアに聞いた考察なんだけど、あの竜王、他者から強奪した『魂』をため込んで消費することで、その自我ないしは存在を保ってたんじゃないかって。

 

 そもそもその仕組み上、アンデッドは『始原の魔法』を使えない。

 アンデッドは命を持たないから、生命力と直結する『魂』の力も基本的に持ってないからだ。これは竜王であっても例外じゃない。

 

 しかし、外付けで魂を調達して、それを蓄積し、必要に応じて消費するという形でなら、理屈の上ではアンデッドでも『始原の魔法』を使えることになる。おそらく『朽棺』はコレをやってたんだろう。

 というかコレ、前に私が『例えば』で考えたことあるやり方だな……もっともあの時は、魂の力を回復ないし補充する手段として、『生命維持に魂が直結しないなら肉体への負担は』云々っていう文脈だったと思ったけど。

 

 で、あのアンデッド竜王、他の生き物から魂の力を強奪してたけど、それは攻撃の際の燃料としてだけじゃなく……自分の生命維持のためでもあったんじゃないか、とデミアは推理した。

 アンデッドであると同時に、『始原の魔法』を使うための高度な知能や竜王としての『格』を維持し続けるために。

 要するに、『アンデッドの竜王になる』『アンデッドでも竜王であり続ける』という感じの効果の『始原の魔法』を常時発動させていたんじゃないか、と。

 

 そして、ボッコボコにされて魂の力が減り、それに伴って抵抗力とかが下がってガタガタになったところで、バフ解除効果のあるクリムの『天国の門』をクリティカルで食らって抵抗失敗したことで、前述の『存在維持』を含めた効果が全て解除されてしまった。

 

 結果、奪った魂で保っていた竜王としての力や知能を失い、『始原の魔法』が使えなくなり……その状態で多段ヒットした『天国の門』のアンデッド特効を受けて浄化、祓われてしまったのでは……というのがデミアの見立てである。

 色々辻褄合ってるし、たぶんこれが正解だと思う。

 

 ともあれ、こんな感じで『朽棺の竜王』は倒したわけだが……さて、この後どうするかです。

 まあもちろん……200年前と同じことをするんだけどね。

 今回も勝ったのは私達。だから、今回のアンデッド竜王も、遠慮なくその全てを『有効利用』させてもらう。

 

 まあ、つまるところ……

 

 

 

 家族が増えるよ! やったね皆!

 

 

 

【追記】

 

 書き忘れてた。

 最初に『魂の強奪』で殺されてしまった+アンデッドにされてしまった子達は……一応、戻っては来たものの……全員無事で、元通りに、とはいかなかった。

 

 この世界では、死んだ後に死体がアンデッドになってしまうと、蘇生させることができなくなってしまう。アンデッドという全く別な存在になり果ててしまうから、だそうだ。

 

 ユグドラシルではそんなことはなかったんだけどね。

 倒した敵をアンデッドにするスキル、ってものがあるんだけど……それによってプレイヤーやNPCがアンデッドにされた場合、それは『アンデッド化という状態異常』とみなされる。

 だから、一旦倒して(殺して)、状態を『死亡』に書き換えてしまえば、その後蘇生すれば元通りになる。

 

 今回死んだ者達のうち、以前の『常闇の竜王』の時と同じで、私とNPCとの間にできた子供には、そのユグドラシルのルールが適用された。

 なので、ごめんだけど一回命を奪わせてもらって、その後蘇生すれば元通りになった。

 

 ただし例によって、孫世代以下だったり、NPCとの子ではない、あるいはその両方の立場の者達については、アンデッド化から救う術がなかった。

 

 しかし、このまま荼毘に付すことになるかと思ってたところで……デミアがちょっとした実験をして、それを成功させてくれたおかげで、『一応』その子達も復活させることはできた。

 

 ただし……アンデッドとしてだが。

 

 単純な話だ。『朽棺の竜王』と同じように、外側から『魂』を注いで蓄積させれば、種族はともかく、知能や人格は復活して、蘇生させられるんじゃないかと思った。

 『始原の魔法』ではなく、代わりにいくつかのマジックアイテムやスキルを使っての――その内の1つは世界級(ワールド)アイテムである――実験だったが……子供達は、生前の記憶や人格をきちんと保ったまま、アンデッドになって復活した。

 

 元通り目覚めさせてあげられなかったことは心苦しいけど、子供達曰く『自分達が未熟だった結果だから仕方ない』『呼び戻して、また一緒に過ごせるようにしてくれただけで十分。すごく嬉しい』とのこと。

 

 今後は、種族変化に伴って能力とか色々変わってしまったり、下がってしまったりしたので、そのあたりの再調整も含めて鍛え直していくそうだ。

 もちろん、全力で応援してあげるつもりである。アンデッドだろうと、私のかわいい子供達であることに変わりはないのだから。

 

 ……もう少ししたらアンデッドの弟・妹が増えるしね。多分。

 

 

 

【異世界転移 300年目 〇日目】

 

 幸運なことに、『朽棺の竜王』……を改造して作った、新しい『種竜』は、いい仕事をしてくれている。

 生まれてくる子供は、アンデッドでこそあるものの、ちゃんと龍の力を受け継いでいる。そこにさらに私の『妖怪』の血が混ざってるので……何て言えばいいんだろうなこの種族? 『半妖半竜不死者』とかだろうか?

 

 妖怪の力とアンデッドの力がどうも相性がいいみたいで、低位のゾンビやスケルトンみたいに、知能がない、あるいは低い感じにはならなかったし……アンデッドでありながら『魂』の力を多少なり体に宿していた。

 ただし、生者に比べるとかなり小さい。成長していってもそこまで大きくなるかどうか……使いすぎはあっという間に枯渇、そして死を招くだろう。

 

 ……となると、ここでも父親の竜王と同じで、外部から補充するか……あるいは、自分で自分の『魂』を少しずつストックして、地道にためていくのがいいかな?

 自分で自分の血を少しずつ抜いて、自分用の輸血用の血液を保存・確保しておくイメージで。

 あのゾンビ竜王と違って……わたしの血が入っているせいか、少しずつだけどきちんと『魂』は自力回復もするみたいだからね。それも可能だろう。

 

 もうすでに何人も生まれている『朽棺の竜王』の血を引く子供達だが、上の兄弟姉妹たちにかわいがられてすくすく育っている。

 才能もある子も多そうだし……将来が楽しみだ。

 

 ……そう、『育ってる』んだよな……アンデッドなのに。

 生命活動停止してるから、成長もしないはずなのに。

 やっぱ『妖怪』の血のせいかな? それとも『魂』の力のせい?

 

 まあ、別に健康に育ってくれればなんでもいいけどね? 親としては。

 

 

 

 それはさておき、今また『揺り返し』の時期なわけだが……ユグドラシルから何かが来た的な噂は、今回聞かないな。

 いきなり見慣れない遺跡が現れたとか、すごく強い冒険者や傭兵が突然現れたとか、その手の話はどこにも出てこない。

 

 今回は誰も来なかったのか、それとも隠れ住んでるのか……大人しくしているために単に噂に登らないって可能性も高そうだ。

 その場合は……別に無理して調べなくてもいいか。

 

 そういうわけなので、世界は何事もなく平和である。

 

 ……いや訂正、平和とは言えないか。

 

 ユグドラシルとか関係なく、起こるところでは戦争も悲劇も全然起こってるからな……人間っていう種族は、外に敵がいればある程度まとまりはするけど、敵がいないとしばらくして自分達で敵と味方に割れて争い始める生き物だ……ってのは、どこでも変わらないらしい。

 そのまま平和を維持して仲良くしてればいいものを、どうして同族で喜んで足の引っ張り合いや殺し合いを始めるんだか……

 

 異種族ともどんどんガンガン仲良くなって、どころか『家族』になってる私達を少しは見習ってほしいもんだ。子供たちに囲まれてのスローライフ最高。

 

 まあでも中には、分かり合えない異種族相手に仕方なく戦ってる、戦わざるを得ない、かわいそうな国もあるようだけど。さしあたって3カ所ほどね。

 

 1つ目は、竜王国。

 ビーストマンとかいう、人を食料としてしか見ていない亜人種族の住む国と国境を接しているため、日常的に襲撃が起こって国民を餌にされている国。

 

 聞いた話だと、その国の王族は『竜王』の血を引いていて……見た目は人間だけど、ある程度は竜の力を使えるらしい。……うちの子達みたいな感じだろうか?

 けど、その王族が強い、っていう話も特段聞こえてはこないんだよな。

 

 2つ目は、聖王国。

 こちらも、多数の亜人が住む地域と国境を接しているために、頻繁に小競り合いが起こっているらしい。

 敵の数は竜王国よりも多いらしいけど、こっちはきちんと国軍の力で侵入を防いできちんと撃退とかできているそうだ。

 

 国の中枢には高位の魔法詠唱者や強力な聖騎士なんかもいるそうだし、そこそこ力はある国だということらしい。

 

 そして3つ目は……法国。周辺国家の中で最も歴史が古い国であり……かの『六大神』が守り、興した国。そしてそれゆえに、その教えが最も力強く根付く国。

 それは大いに結構なんだが……その信仰が数百年の間になんか尖った形に暴走したようで、今では『人類至上主義』を唱える国家方針になってるらしい。

 六大神が守り導きたもうた人類こそがこの世界の覇者にふさわしく、魔物や亜人は排除すべきだとか何とか……。

 

 あの国のことは、行ったことはないにせよ、色々調べて割と昔から知ってるけど、昔はもうちょっとマイルドだった気がするんだけどなあ……?

 まあ、宗教なんてもんはいつどんな風に解釈が変わっていくかもわからんものだし……考えても仕方ないか……っと、話がずれた。

 

 そんでその法国だけど、最近、どっかの大森林にあるエルフの王国と戦争を始めたらしい。

 

 まあ、亜人蔑視の国だから不思議はないっちゃないんだけど……それでも国家規模で戦争が始まったのには、何かきっかけみたいなのがあったのかな? そのへん、さっと調べた程度じゃわかんなかった。

 

 なお、国としての規模とか兵力に関しては圧倒的に法国の方が上だけど、エルフ王国側は基本的にナワバリである森から出てこないため、ゲリラ戦みたいなことになると攻めきれなくて、法国も決定打を与えられない。

 そのため、戦争状態は間違いないんだけど、そこまで大規模かつ頻繁に戦火をバチバチ散らしてるわけでもないようだ。

 

 そしてそのエルフ王国だけど、亜人としてそれなりにエルフ達が強いのはいいとして……その頂点に君臨してる王様がかなり強い、という話を聞く。

 

 昔、あの大森林……そうだ思い出した、エイヴァーシャー大森林、って名前だったな。

 あそこやその周辺にはエルフ以外にもいくつかの亜人やモンスターの国や集落があった。それらはエルフ王国に攻め入って……しかし、全て返り討ちに遭って滅んだらしい。

 それをやったのがエルフの王だという話だ。

 

 詳しく調べたわけじゃないから、詳細や真贋の程はわからんし……そもそも今のもほぼ全部伝聞の知識だけども。

 

 しかし……エルフねえ。

 

 この300年の間に、『城下町』には人間以外にも様々な種族が移民として入った。その中には、エルフもいる。

 最初は民達も驚いて警戒したりしていたけど、すぐに仲良くなって……人類と変わらない『隣人』として付き合い始めた。

 

 そしてもちろん私も、エルフとの間にも子供を作った。そんなに数は多くないけど。

 

 で、その受け入れるエルフの難民の中に、たまにそのエルフ王国らしき国の出身者がいるんだが……なんかその王様、彼らに評判よくなさそうだったんだよな。

 あまりいい思い出なさそうだったし、無理には聞きださなかったけど……そろそろ心の傷も癒えてくれたと思うし、今度ちょっと聞いてみようかな。

 

 エルフ王国……そしてその王様。どんな奴なのかって。

 

 もし面白そうなら……ちょっと遊びに行ってみるのもいいかもね。

 

 

 

【異世界転移 300年目 ×日目】

 

 エルフ王、普通にクズだった。

 ざっくり話聞いただけでも『うわあ』ってなるレベルでクズだった。

 

 この世界基準でとはいえ、すげえ強いのは本当みたいだけど……自分の血筋を世界に広めて、その力でもって全てを跪かせるのが目的で、その為に国民の女を片っ端から抱いて子供作って、その子供達を兵隊にして戦わせて他国を侵略させてるって……。

 

 しかも、より強い兵を産むためにはより強い女を孕ませる方がいいと考えて、戦争で戦果を挙げた強い兵士をまた抱いて孕ませて子供を作ってるって……

 

 ……あの、その兵士、あなたの娘なんですよね? それ、つまり近【自主規制】って言うんじゃ……マジかお前。

 女の子が父親に向かって『大きくなったらお父さんと結婚する!』って言うのはよくあることだけど、それガチでやっちゃうのはダメだろ……しかも父親の方から強権で手籠めにするとか。

 

 私もかなり節操なしにヤりまくって子供産みまくってる自覚はあるけど、さすがにそれはしたことないぞ。

 

 おまけに最近では、『母親はエルフに限らなくてもいいか』とか考え始めて、戦争で敵方の女兵士や傭兵なんかを拉致して孕ませることまで始めたらしいし……何、そのエルフ王ってエロゲーの登場人物か何かか? 下半身で戦いすぎだろ。

 

 ……ぶっちゃけ、すごく強いって聞いてワンチャン『ユグドラシル関係か?』って思ったりもしたんだが……そうであってほしくないわ最早。そんなのと同郷とか恥ずかしいもん。

 

 とはいえ……聞いた限りだと、相当強いっていうのは確からしいな……今んとこ興味はあんまりないけど、頭の片隅にでも置いとくか。

 

 

 

 それと、そのエルフ王国と法国との間での戦争なんだけど……その戦争の中で法国が拿捕したエルフ達は、処刑されるか、心を折られた上で奴隷として売られるらしい。

 主に法国で。あるいは法国と関わりのある国に卸されることもあるとか。

 

 というか、エルフに限らず、今の法国は軍事行動その他の中で拿捕した亜人を奴隷として公然と売買してるらしいから……あの国に行けば、行き場も帰る場所も失ったかわいそうな亜人がたくさんいるってことだな。

 うちの『城下町』にまだいない種族で、かつきちんとなじめそうで……そして、私の食指が動くような種族はいるのかな……?

 

 まだ今は、こないだ作った、元『朽棺の竜王』のおもちゃがいい感じに楽しく遊べるから、しばらく楽しむつもりだけど……それに飽きて暇になったら、ちょっと遠出してみるのもいいかもな。

 

 

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