オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

31 / 121
マーレ君はお詫びしたい!

 

 

 シャルティアの一件は、無事に……と言っていいかどうかはわからないけど、終わった。

 

 予定通り、アインズさんがシャルティアを一回殺して……その後、NPC用の金貨による復活でナザリックに蘇らせたそうだ。

 その際、色々と力の抜けるやり取りもあったんだけど……まあそれは置いといて。

 

 しかしアインズさん、自分でやるとは言ってたけど……まさか一対一でシャルティアに勝っちゃうとは……。

 我が師匠ながら、ホントにすごいわ……改めてマジで尊敬する。

 

 事前にバフ山盛りにした上で、虚実織り交ぜた駆け引きに、ペロロンチーノさんから聞いていた事前情報の優位、それに課金アイテムもいくつも使っての戦いだったので、手札が同じだった……とは言えないかもしれない。

 けど、それを加味してもあそこまで『完全勝利』と言える勝ち方、普通できないからね。

 

 ぷにっと萌えさんの言葉だったかな……『勝敗は戦う前に決まっている』って。

 その言葉をこれだけ見事に体現してみせたPVPも中々見れるもんじゃない。超位魔法のリキャストタイムの計算や、スキルの使用回数、残存魔力の計算……全部完璧だった。

 これほどのことが戦いながらできるって言うのは……ゲーマーとして本当に憧れる。

 

 誉めようと思えばまだまだいくらでも続けられるけど、まあこのへんにして。

 

 で、復活したシャルティアについてだが、無事に精神支配は解除されていた。

 ただ、やはりその記憶は、直前にギルドを出たところで止まっていて、『何が起こって、誰に精神支配なんか受けたのか』という肝心な情報を聞くことはできなかった。

 

 これは私も知ってる。この世界における、NPCが死んだときの仕様だ。

 NPCが死んでも金貨で復活させることができるけど、最後にギルドホームを出て以降の記憶を失った状態で復活する。前に『常闇の竜王』との戦いで、子供達やヤマトが死んじゃった時もそうだったから、よく知ってる。よく覚えてる。

 

 下手人がわからなかったのは残念だけど、ひとまず無事にシャルティアが戻ってきてよかった。

 

 ただ、アインズさんとしては……さっきもちらっと言ったけど、とても『無事』に済んだとは思えていないようで。

 自分がペロロンチーノさんから預かったシャルティアを、よりにもよって自分の手で殺すことになった、その原因……『精神支配』の犯人は、いつか必ず見つけて報いを受けさせる、って静かに怒っていた。……ぶっちゃけ怖かった。

 骸骨の顔も相まって、本当の意味での『死神』……死をもたらす神様、って感じだったもん。

 

 ……もっとも、それについては私も同じ思いだけどね。

 ペロロンチーノさんは、私にとっても盟友だ。ゲーマーとしても、エロゲー好きとしても。当然、その子供同然のシャルティアについては、私もペロロンチーノさんから散々自慢されて色々と聞いていたし、この世界に来てからは、機会があればかわいがっていた。

 ペロロンチーノさんに関する思い出話とかすると、目をキラキラさせて聞き入ってくるの、本当にかわいかったよ、シャルティア。

 

 ……シャルティアってかなりサドっ気あるし、例によってナザリック以外を強烈に見下してるところがきちんとあるから……今回の件ってもしかしたら、シャルティアの方からその『何者か』に手を出した可能性もあるんじゃないか、って正直私、思ってるんだ。

 ナザリックの、アインズさんの利益になると考えたら、道徳も倫理も考慮する価値なしで行動に移す感じの子だし。

 

 ……けど、だとしても結論は変わらんよ。

 なんだったら、そのことに関しては一言『うちの子』――空中庭園(うち)の子ではないけど――がその時はごめんね、って謝った上で……その上できちんと殺すつもりだ。

 

 何でって?

 そりゃ、敵なんだし。殺すでしょ。

 

 出会いがどうあれ、分かり合えない間柄になっちゃったのなら……その延長線上で、また自分達に被害が出る前に、きちんと始末を済ませなきゃ……ね?

 開き直りだと言われても、大事なことだ。……家族を守りたいのなら。

 

 

 

【追記】

 一応、『あくまで推測ですけど』って断って、アインズさんに今回の件の犯人かもしれない(・・・・・・)勢力については話しておいた。

 

 一番怪しいのは、やっぱスレイン法国だろう。あそこは『六大神』が興した国であり、彼らゆかりの品……すなわち、ユグドラシル由来のアイテムがいくつも保管されてるって話だからな。

 

 私の知る限り、ユグドラシルのアイテムで、一番強力な『魅了』を操れるアイテムとなると……世界級(ワールド)アイテムの1つ、『傾世傾国』だろう。たしか、キラキラした刺繍が入っているチャイナドレスみたいな見た目だ……って聞いたことがある。

 

 で……丁度こないだ、そのスレイン法国出身の女の子を1人、空中庭園に『迎えた』ところだったんだよね。

 

 その子に色々と聞いてみた結果、まさにその特徴とドンピシャで一致する『ケイ・セケ・コゥク』なる国宝が法国には存在するんだそう。

 イントネーション失敗した外国人みたいな感じなのは、ユグドラシルの言語が変な風に伝わったからだろう。『傾世傾国』を持ってる法国は、この件の最重要容疑者だと見ていいと思う。

 

 ただ、仮にそうだとすると、よっぽどのことがない限り持ち出されることがなく、使える者も限られているらしい『国宝』が、なんであの夜あそこにあって、シャルティアに使われたのか……ってところが気になるけどね。

 そりゃ当然、何かを『魅了』するために持ってきてたんだろうが……何を?

 

 ひょっとして……ナザリックや私達を?

 法国は、龍王達と同様に『100年の揺り返し』の存在を知っている国だから、『もうそろそろ何か来てるかも』と感づいててもおかしくはない。

 

 けど、外部の連中に存在を悟られるような隙は見せてないはずなんだけどな……私達はもちろん、アインズさん達も。よそとの関わりを、色々な意味で限定的にしてるから。

 

 それにだ。六大神信仰が根付いてる法国なら、ユグドラシル出身者って時点でまず『神』として恐縮して崇めに行くと思うんだよな……動機や内心はどうあれ、この子(クレマンティーヌ)もそうだったし。

 『それ』が八欲王クラスでヤバい、世界共通の敵とでもいうような輩だったなら別だけど。

 

 色々引っかかる部分はあるが……それでも法国は、『傾世傾国』を持ってる=それができる、ってことで最有力容疑者にさせてもらおう。

 

 あとは、こないだも書いた気がするけど、『竜王』が使う『始原の魔法(ワイルド・マジック)』の可能性。位階魔法と同じく、色々バリエーションがあるので、相手を洗脳するようなのがあってもおかしくはない……かも。

 

 そして、それに関連して、もう1つ……容疑者、というか怪しい国、あったわ。

 アーグランド評議国。『竜王』を含む複数の『評議員』によって治められているという国だ。

 

 あの国の評議員の1人である、『白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)』というドラゴンは、600年以上前から生きている古株で……すなわち、六大神や八欲王の時代を生きて、知っている。

 さらに、八欲王やその配下の魔神との戦いで、殺した相手のアイテムを鹵獲していくつか所有しているらしい、っていう噂もある。

 

 『竜王』がどれだけ私達ユグドラシルプレイヤーを敵視しているか、そのあたりは、身をもって体験したから、よーく知ってる。

 過去に2度ほど、その『竜王』に襲われてるもんでね。両方返り討ちにした上で、その体と遺伝子は有効活用させてもらってるけど。

 

 『竜王』かつ、プレイヤーとの接点もある連中。……『始原の魔法』と世界級アイテム、そのどちらも可能性がある。異邦人である私達に対して抱いているであろう敵意も鑑みて……シャルティアの件の下手人か否かに関わらず、要注意だな。

 

 その旨アインズさんに話すと『……覚えておきます。ラストさんもどうか気を付けて』とのことだった。

 

 

 

 

【追記その2】

 

 今回のアインズさんVSシャルティアの戦い、今後の参考にするために、アインズさんに許可取った上で録画させて貰ってたんだよね。

 まるで詰将棋のように、自分が狙った通りに戦いを運んで、最初から決まっていた結末に追い込んでいくアインズさんの戦い……本当にかっこよかったし、すごく勉強になった。

 

 個人的に永久保存版で、何回でも見たいと思ったんだけど……ふとコレ、ナザリックのしもべ達……特に、戦ってる本人のシャルティアには絶対見せられないな、って思った。

 

 だって、主であるアインズさんに刃を向けるなんて、ナザリックのしもべとして大罪も大罪だ。

 いくら戦ってるアインズさんがカッコよくても、見ていていい気分には……ならないよなあ。

 

 映像の中で、シャルティア、槍でアインズさんのことグサグサ刺したり、魔法ぶっ放したりして思いっきり攻撃してるし、色々挑発的で失礼なことも言ってたし。

 

 洗脳されてアインズさんと敵対した、って復活直後にアウラに聞かされた時も、

 

 

『……ってことがあったんだからね!』

 

『え? 嘘……嘘でしょ? え、私……えっ!?』

 

 

 いつもの郭言葉を忘れる勢いでショック受けてたみたいだし。

 その事実を聞いただけでもショック受けるような内容なのに、まさにそれをやってる最中の映像とか見たら……メンタルやられかねない。

 

 PVPの教材、あるいは、アインズさんのファンビデオとしては最高だけど……同時に守護者達にとっては、目を覆いたくなるような衝撃映像集になっちゃった……。

 

 コピー作って『最古図書館(アッシュールバニパル)』に寄贈とかしようかな、って思ってたけど……うん、やめとこ。

 

 

 

【異世界転移400年目 !日目】

 

 こないだの一件でシャルティアが落ち込んでるらしい。

 そして同じく、エ・ランテルの一件で失態を犯したマーレもまだちょっと落ち込んでるらしい。

 

 失敗したわけだから反省は必要だとは思うけど、あんまり引きずりすぎるのもそれはそれでよくないわけで……。反省したら後はきちっと切り替えて、今後同じミスをしないように、今回のことを教訓にしてより一層頑張っていきます……くらいに考えてちょうどいいと思うんだよね。

 

 かといって、それをアインズさんが注意したりすれば『自分がまた至らないせいで至高の御方に注意されてしまった……もうだめだ死ぬしかない』みたいな感じになるのがナザリックのしもべの思考回路である。

 忠誠心は結構だけど、こんだけガチガチだと、そりゃアインズさんも息が詰まるだろうなあ……。

 

 うちの連中を見習って……とはさすがに言えないけど、それでももうちょっとくらいフランクで全然いいと思うんだけどね。

 

 で、マーレとシャルティアが落ち込んでるから、気分転換にってことで、『空中庭園(うち)』に招待することになった。

 遊びに来させるわけじゃなくて、きちんと仕事としてね。定期的にうちからナザリックに納めてる上納金その他を運ぶための受け取り役を、今回はマーレとシャルティアにやらせる。

 

 ……という建前で実際は遊びに来させるんだけどね。

 もちろんきちんとお金も渡すけど、『急に決まったから用意に時間がかかる』とかなんとか理由をつけて2~3日滞在させて、その間ゆっくり羽を伸ばさせるつもりだ。

 

 それで今日、2人と……何かあった時の雑務担当としてだろうか、エントマも一緒に来たので、計3人を出迎えた。

 そして、あらかじめ用意しておいた『適当な言い訳』を伝えて、しばし滞在してもらうこととした。アインズさんに許可は取ってある、とも。

 

 これがアルベドやデミウルゴスあたりなら、『気を使われてる』ってことまで含めて見ぬくんだろうけど、果たして2人はどうだったかな。

 わからなかったのならもちろん結構だし、察してしまったとしても、気にせずゆっくりしていってほしい所だ。アインズさんのご厚意でもあることだしね。

 

 

 

 で、1日見た感じ、2人とも、別に目に見えて落ち込んでいる、ってわけじゃさすがにないようだけど……同時に、どこかぎこちなさをそれぞれ感じた。

 

 一応、元気づけようと思って色々工夫しておもてなししてあげたんだけどね……。

 

 アインズさんと同じく、シャルティアもアンデッドなので、普段は飲食はできない。

 飲み物を飲むことはできるそうだけど(血とか吸うわけだし)、固形物は食べられない。

 

 けど、ここでなら好きなように食事ができるので、昼食でも夕食でも、美味しそうに食べてたな。血がしたたるくらいの焼き加減レアのステーキ、口に合ったようで何よりだ。

 

 加えて、一緒にシャルティアに出した赤ワインは、ブドウとか果物から作ったものではなく……人間の血から作った特別な品である。製作者というか、開発者はデミア。

 特殊な製法で作っているので、吸血鬼が飲んでも『血の狂乱』を起こさない。なので、うちの『真祖(トゥルーバンパイア)』のサンゴやテレサも愛飲してる。

 

 味はいいし、肉にも合うしで、驚きつつも絶賛してた。喜んでもらえてよかったよ。

 お土産に数本プレゼントすることにした。『飲み物』だから、ここじゃなくナザリックでも普通に飲めるしね。

 

 喜ぶ様子も、感謝してお礼を言ってくれるのも、ちゃんと本心からだとは思う。

 けど、ふとした拍子に、何かを思い出してつらそうな表情になっているのを、何度か見た。

 さらに言えば、心なしか酒を飲む量が多かったようにも……気のせいかな?

 

 一方、マーレは、何時も通り図書館で本を読んでるみたいだけど……ふとした拍子に『はぁ…』ってため息をついている様子が、図書館職員達によって目撃されている。

 ふだんからちょっとオドオドした様子だから、よく見ないとわかりにくいけど……やっぱり落ち込んでるようだ。

 

 食事中も、シャルティアと一緒に楽しそうに話したり食べたりしてたけど、ちょいちょいわた―――

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ―――コンコン

 

「? はーい、誰?」

 

 日記を書いている途中だったラストだが、自室のドアがノックされる音が聞こえて、何だろう、と呼び掛けて尋ねる。

 

「メイドリーです。ラスト様、マーレ様がお見えなのですが……いかがなさいますか?」

 

「マーレ君が? 何だろ、何も聞いてないけどな……まあいいか。いいよ、入れて」

 

 ラストは、特に会う予定はなかったはずだけど……と首をひねりつつも、入室許可を出す。

 時刻は既に夜、それなりに遅い時間だった。仕事も用事ももうすでに終わり、後はそれこそ、日記を書いて、風呂に入って寝るだけ、といったところだ。

 

 そのタイミングでの訪問。特に不機嫌にはならなかったが、やはり思い当たる用件がない。

 

「し、失礼します……」

 

 少し腰が引けた様子で入ってきたマーレを、応接スペースに通す。

 ちらちらと上目遣いで、不安そうにこっちを見てる。……普段からこんな感じではあるけど、でも普段よりもっとオドオドしてるように見えるな? ただ遊びにとか、暇だから来たとか、そういう理由じゃなさそうだ。

 

 ……けどちょっとよくわかんないのが……その不安そうな態度や視線の中に、なぜか、私が普段非常に慣れ親しんでいる、ある感情が混ざってる気配がするんだけど……どうしてだろう?

 

(……マーレ君、なんでちょっとエッチな気分になってんの? え、もしかしてそういうことしに部屋に来た? いやそんなまさか、ち、茶釜さんの子に限って……でも年齢(人間換算)からすればそろそろ異性に興味持ち始めてもおかしくない時期? どうしよう、私は全然ウェルカムだけど、受け入れていいものか……)

 

「あ、あの……」

 

「う、うん!? 何かな!?」

 

 変な想像をしていたせいで声が上ずってしまうラスト。

 しかし、それに気づいていないらしいマーレは、独自のペースでオドオドを続けつつ、どうにか話を切り出して、言った。

 

「ええと……僕、ずっとあの時のこと謝りたくて……墓地で、いきなりあの男の人を殺しちゃって……ごめんなさい!」

 

「え? ……ああ、あー……あの時ね」

 

 マーレが切り出したのは、自分が今落ち込んでいるまさにその理由である……ンフィーレア撲殺の件。

 そのまさに撲殺した時に、ラストの前で何の断りもなく、ンフィーレアの頭を『スイカ割りの後のスイカ』状態にしてしまい、下になっていたラストに盛大に果汁(婉曲表現)がかかって汚してしまったり、単純に驚かせてしまったことについてだった。

 

 あの時はあの時で一応謝ったし、その場でアインズに怒られたことで『じゃあこの話は終わりね』『次から頑張ろう』という感じになってしまったため、それ以上何も言われなかったし、あれ以降触れられることもなかった。

 

 けれど、そのことを知った守護者仲間からは『何をやってるんだ』と非難されることもあったし(特に姉)、何よりマーレ自身、この失敗に関しての自己嫌悪が大きかった。

 なので、機会があるならばもう一度……蒸し返すような形になってしまうけれど、この件についてあらためて話して、謝罪したかった……ということのようだ。

 

 あと、かなうなら……改めて、あの時やったことに関して説明も。

 これも、かえって言い訳みたくなってしまうかもしれないが……あの時、全裸に薄絹一枚という状態のンフィーレアに押し倒された上に、そのンフィーレアは直前の『魅了』のせいで性的に興奮していた。……どことは言わないが、ある一部分はきっちりと変形していたし。

 

 仰向けに倒れたラストにのしかかり、カクカクと腰を振る。そんなンフィーレアの姿は、傍から見ていて、『そういう場面じゃない』と知っていてもなお、色々『酷い』光景だったのは確かだ。

 マーレもまた、あの時は、そういう事情だと知っていてなお、押し倒されるラストとのしかかるンフィーレアを見て、強烈な嫌悪感や、今すぐ排除しなければ、助けなければ……といった、黒いどろりとした感情で頭がいっぱいになってしまい、我慢できず、気づけば杖を振るっていた。

 ……というのが、あの瞬間自分に起きていたことだった、と語った。

 

(なるほどね……何かエッチなこと考えてる気配がしたのは、あの時のことを思い出してたからか。あの時の私、見た目だけなら『性犯罪の被害者になる5秒前』って感じだったからな……そういう風に感じてプッツン切れちゃっても仕方ないと言えば仕方ないかも)

 

 相変わらず不安そうにしながらも、1つ1つはっきりと述べて、その上で謝罪するマーレ。

 その真剣で必死な姿を見て……ラストは『やれやれ』とほほ笑んでいた。

 あの時のことは何も怒ってなどいないし、言い訳がましいだとか思ってもいない。むしろ、本当に心から悪いという思い、謝罪したいという思いを感じ取って、好ましく思っていた。

 

(一応は許されたって言っても、あの場で、流れで言った感じもあったからね……どうしてももう一度、はっきり『ごめんなさい』って言いたかったんだろうな。いい子)

 

 繰り返しになるが、『そういう場面ではない』とは知っていたわけだから、理性でブレーキを掛けられなかったことは反省点ではある。

 けれど、自分のことを大切に思ってくれた結果、『とっさに、反射的に体が動いた』という理由であることも確かなので……ラストとしては、マーレに対して悪く思っていることはない。

 改めてそれを伝えて、『いいんだよ』となだめようとした……のだが。

 

 その直後、マーレが意を決したように言った言葉は……ラストにとって、予想外のそれだった。

 

「それで、その……お詫びになるかどうかわからないんですけど……あ、もちろん、これで許してもらおうとかそういうんじゃないんですけど……! あの、ラストにゃんにゃん様! もし、もしよければ、この後……」

 

 

 

「僕に、お風呂で……お背中、お流しさせてもらえませんか!?」

 

 

 

「…………ほへ?」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。